講義内容詳細:法学(日本国憲法を含む)B

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 法学(日本国憲法を含む)B
英文科目名/Course Title (English) Law (Japanese Constitution Contained) B
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 高橋 徹
英文氏名/Instructor (English) TAKAHASHI Tooru

講義概要/Course description
 あなたは法学と聞いてどんなイメージを抱きますか?「法律知ってると得だよね..」法学の素養がないと生き残れない現代社会、こんな印象でしょうか。「でも、なんだか難しそう..」そんな風に考えた人は、法学を六法全書の暗記科目だと思ってはいませんか。法律に関する知識が豊富になるのは結構なことですが、知識だけで解決ができる問題は、実はʻごく僅かʼしかありません。法学を学ぶ上で大切なこと、それは「法的なものの見方」ができるかどうかにあるとされています。この講義では憲法・民法・刑法などの法学分野の実践的な学習を通じて「法的な思考」とは何かについて考えていきます。
 本授業は法学A〜Bに渡って4部構成となっています。前期・法学Aの【導入編】では法的思考をあなた自身で体験し、続く【基礎編】で法的思考を身につけながら各法分野の基本を習得してきました。後期の法学Bは【応用編】【実践編】、さあ、いよいよあなたが法的思考を試し実践していく番です。そうは言っても前期・法学Aの知識前提での応用編ではなく(もちろん、履修がまだの人は次年度以降法学Aの世界ものぞいてみることをお勧めしますが)、法学Aとは全く違う応用的実践的観点から法の世界を観察していきます。ここでは楽しく学ぶ前期とは一変してかなり重たいテーマに踏み込んでいくことになりますので覚悟が必要です。果たして法的思考は法や裁判に活かされているのか、最後に結論を下すのはあなたです。 

達成目標/Course objectives
本授業のテーマは日本国憲法を含む法学です。法の主役は国民であり、あなたが現実に社会生活上のトラブルに直面した時「自ら問題点を発見・分析し自分自身の意見がしっかり表明できるか」が何よりも大切です。この講義では毎回受講者であるあなたが実際に様々な事案を解決していく中で「法的な思考」を実践してもらう参加型授業です。かねてから社会問題に興味がある人も、残念ながら今までは社会の出来事に関心が持てなかった人も、この授業に取り組む中で自分の意外な見識と実力を再発見してもらえることでしょう。前期は典型的な法学的課題の解決術を学び、後期は「こんなところでも?」という応用的な場面に挑みます。基礎から応用までどのような場面でも存分に法的思考を発揮できるようになること、これこそが本講義の達成目標です。

履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
特になし。法学Aより先に履修することも可。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 【オリエンテーション】法的思考の海原へ 法はどうやって使いこなせばいいのか
(初回のみオンライン(オンデマンド型)にて実施)
事前学習/Preparation 発展編、本日スタート!実際に法的トラブルに巻き込まれたとき、どのように解決すればいいのか、気を付けるべきことは何があるか、法的思考で考えてみよう。
事後学習/Reviewing まずは「法的思考」の意味を思い出しておこう。今日の授業ではいくつも実例が出てきたが、あなたはうまく解決できただろうか?その解決で本当に良かったか?後期の授業で答えが出る日まで、その日に備えて頭の中で整理しておこう。
2
授業計画/Class 【これが本当の応用編】少年法はてぬるいか?(1)教職取るなら知っておきたい少年法
事前学習/Preparation 少年法、知っている知識を整理しよう。もし先生を目指す人なら少年法は他人事ではない。
事後学習/Reviewing 授業で取り上げたこと、知っていたこと知らなかったこと、もう一度整理しよう。
3
授業計画/Class 【これが本当の応用編】少年法はてぬるいか?(2)少年法はどこまで理解されているのか
事前学習/Preparation 先週の知識を再復習。賛否両論ある少年法だが、なぜそうなっているのか考えてこよう。
事後学習/Reviewing 少年法はどこまで理解されているのか、授業を踏まえて問題点はどこにあるか考えよう。
4
授業計画/Class 【これが本当の応用編】死刑は廃止すべきか?(1)交錯する存置論と廃止論、さてあなたは
事前学習/Preparation 死刑について知っている知識を整理しよう。あなたは死刑制度に賛成、反対、その理由は?
事後学習/Reviewing 死刑制度に関するあなたの見解をまとめよう。来週に向けビデオの概要を整理しておこう。
5
授業計画/Class 【これが本当の応用編】死刑は廃止すべきか?(2)なぜ隠される、死刑の実態
事前学習/Preparation 先週の授業を思い出し、ビデオの概要、登場人物の主張を整理しておこう。
事後学習/Reviewing ビデオで見落とした点はないかよく振り返りつつ、あなたの考えを整理しよう。
6
授業計画/Class 【やってみる実践編】あなたも裁判員になる(1)あなたが参加すると裁判はこう変わる
事前学習/Preparation 裁判員制度について知っている知識を整理しよう。また長所短所などについても考えよう。
事後学習/Reviewing 今回は実際に裁判員になったつもりで事件を検討してもらったが、問題点を整理しておこう。
7
授業計画/Class 【これが本当の応用編】あなたも裁判員になる(2)「司法制度を改革せよ」
事前学習/Preparation 日本の裁判、どんな問題が指摘されているか。司法改革の道筋についても調べてみよう。
事後学習/Reviewing 裁判員制度導入という司法制度改革は適切か。課題があるとすればどこかまとめてみよう。
8
授業計画/Class 【これが本当の応用編】何のための人権か(1)最後の砦・司法は人権を救済できるか
事前学習/Preparation 人権は何のためにあるのか、裁判所の役割とは何なのか、調べてみよう。
事後学習/Reviewing 授業で見た法律問題を踏まえ、人権を充実させ裁判所が効果的に機能する方法を検討しよう。
9
授業計画/Class 【これが本当の応用編】何のための人権か(2)憲法を取り巻く状況の変化
事前学習/Preparation 以前と比べて司法による救済は機能しているのか、様々な事件を想起しつつ考えてみよう。
事後学習/Reviewing 授業で取り上げた事例を時系列に沿って整理しつつ問題点を整理して解決策を考えよう。
10
授業計画/Class 【やってみる実践編】日常生活のもめ事と裁判(1)実践!紛争解決の流れを理解しよう
事前学習/Preparation 日常生活のもめ事を沢山思い浮かべてみよう。また法律上どんな解決になるか知っているか。
事後学習/Reviewing 複雑な紛争解決の流れを今一度整理しよう。「契約」の特徴とその法的問題を整理しよう。
11
授業計画/Class 【やってみる実践編】日常生活のもめ事と裁判(2)民事紛争、もはや他人事ではない!
事前学習/Preparation 前回の事例を思い出し問題点を整理しておこう。論理的に文章を書く練習をしてみよう。
事後学習/Reviewing 「不法行為」の特徴とその法的問題を整理しよう。文章がうまく書けたか検証しよう。
12
授業計画/Class 【やってみる実践編】日常生活のもめ事と裁判(3)拡大する民事紛争の行方は?
事前学習/Preparation 日常生活のもめ事を裁判で解決する上でどんな問題が起こりうるか考えてみよう。
事後学習/Reviewing 授業で取り上げた事例はどこに問題がありどんな解決をすれば納得できたのか振り返ろう。
13
授業計画/Class 【やってみる実践編】社会の変化と法(1)変化し続ける社会と法の現在
事前学習/Preparation 21世紀の法的課題にはどんなものがあるか。社会変化はどんな法的問題を引き起こすか。
事後学習/Reviewing 授業で取り上げた事例はどこに問題がありどんな解決が必要か。将来を見据えて検討しよう。
14
授業計画/Class 【やってみる実践編】社会の変化と法(2)法律社会はどこに向かう
事前学習/Preparation これまで見てきた問題を振り返りつつ、法はどうあるべきか考えてこよう。
事後学習/Reviewing 授業で取り上げた事例を踏まえ法の進むべき道はそれでいいのか、あなた自身が考えよう。
15
授業計画/Class 【未来への架け橋編】法に何を求めるか 最後に考える、法学とは何だったのか
事前学習/Preparation 半年間を振り返り、何をやってきたか思い出そう。法的思考とは何だったのか考えよう。
事後学習/Reviewing 法学を終えるにあたり、法的思考は実現できているのか考えよう。そしてあなた自身が自分の力で考える準備は整ったか!
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes進め方
授業中随時あなたに問題を投げ掛けていきます。回を追う毎に徐々に深い考慮が要求される課題を増えていきます。法的思考は誰かに身に付けてもらうものではなくあなた自身が身に付けるもの。法律を題材に思考に次ぐ思考の連続となるので覚悟してください。

実施形態について
講義形式ですが説明を聞いて理解するだけの勉強では身につきません。一方で近年さまざまな授業方法が試みられていますが、結局その担当者以外の人にとってはついつい他人事になりがち。しかしこの授業では全ての受講生が自分の考えは自分のペーパーに書きます。実技や討論に参加した上でペーパーにまとめることもあります。下記の形態のどれでもありどれでもありません。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 67% 1.平常レポート この講義に単なる出席票はありません。授業で取り上げたテーマに基づいて全ての回で豊富な課題が用意されており、あなたの書き上げた内容によって点数が加算されていく仕組みです。ハイレベルな履修者が多くなってきたため、好成績を収めるには授業への強い参加意欲が必要となることを了解の上で履修してください。
2 その他 Others 33% 2.特別課題 上記に加え、以下を適宜組み合わせて成績評価の対象とします。
1)学期末レポート 各学期末にレポートを課します。自分で調べ考える力を問います。
2)特別レポート 裁判傍聴を始めとする課外活動や講演会が開催された場合など報告書を随時募集します。
3)期末試験 履修者の習熟度や参加意欲に応じ、必要が生じた場合には試験を実施することがあります。
教科書/Textbooks
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1 法学の基本は『六法全書』です。六法だけは必ず入手してもらわなければなりません。六法の選び方など詳細は初回の講義時に説明します。いわゆる「教科書」は特に指定しません。
参考書/Reference books
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1 教科書は指定しませんが、興味が湧いた分野があれば「参考図書」の紹介・相談に応じます。気に入ったものがあれば、ぜひ書店で手に取ってみてください。
メッセージ/Message
通常の講義形式とは異なるところが所々あります。初回のオリエンテーションに参加し授業を体験してから履修を決めてください。履修登録した時点で授業方法に了解しているものとして授業を進めます。