講義概要/Course description
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「財務会計研究Ⅰ・Ⅱ」では、企業による財務報告が経済社会において果たしている役割について研究する。したがって、会計・監査制度や会計基準自体の検討も当然に実施するが、① 財務会計にかかわる制度や基準がヒトやその集合体である企業に対してどのように影響を及ぼしているのか、あるいは ② 特定の社会の目的が存在すると仮定して、それ(ら)を達成するためにはどのような制度や基準が必要であるのか、などについて理論的・実証的に考察することがコースの中心となる。たとえば、現在の財務会計の概念フレームワークは、投資者への意思決定に有用な情報の提供が財務報告の目的であると規定する。こうした考え方は、意思決定有用性アプローチとよばれる。このとき、意思決定有用性アプローチの観点から、資本市場における財務会計情報の役割を分析する研究の貢献と課題を考察することが重要となろう。また、財務報告を巡る利害関係者が置かれている社会・経済環境と、利害関係者それぞれの経済的インセンティブについての知ることも必須であろう。いずれにせよ、あるべき論(規範論)ではなく、現実にどうあるのか、またどのように説明できるのか(理論・実証論)を議論したい。
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達成目標/Course objectives
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会計研究のほか、経済学、行動科学、ゲーム理論などの諸学問分野のディシプリンを援用し、 ① 財務会計情報が社会において果たす役割・財務会計を巡る現在の社会制度・環境、 ② 社会目的を達成するための会計を巡る制度・諸基準のありかた、などの論点を科学的に 議論できるような基本的素養を学修する。
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学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)に基づき、当該科目を履修することで身につく能力 / Abilities to be acquired by completing the course in accordance with the faculty and graduate school diploma policy (graduation certification and degree conferral)
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学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)/ Undergraduate and Graduate Diploma Policy (Graduation Certification and Degree Conferral)
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履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
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学部上級レベルの簿記・会計学の知識を有していることを前提とする。 このほか、入門的な統計学の素養があると望ましい。 「財務会計研究Ⅰ」を履修済であること。
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授業計画/Lecture plan
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1
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授業計画/Class |
オリエンテーション(学習⽂献の決定,授業の進め⽅の決定,発表担当割当,⽇程 の確認,本講のねらいと成績評価⽅法の説明など)【オンライン(オンディマンド型)】 * 前期と継続する場合は、前期のまとめをし、後期からの授業にスムーズに接続 できるように内容を再確認する回となる。 * 以下の授業計画は、ウィリアム・R・スコット(2022)を利⽤する場合のもの である。 |
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2
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授業計画/Class |
第7章 経済的帰結と実証会計理論 ②(実証的会計理論(PAT),経済的帰結と実証会計理論(PAT)についての結論)
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3
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授業計画/Class |
第8章 コンフリクトの分析 ①(概要,ゲーム理論を理解する,経営者と投資家のコンフリクトを分析する非協⼒ゲーム,協⼒ゲーム理論のいくつかのモデル,経営者の情報優位)
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4
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授業計画/Class |
第8章 コンフリクトの分析 ②(議論と要約,エージェンシー理論,会計に対するエージェンシー理論の含意,効率的証券市場の理論と経済的帰結との整合性,結論)
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5
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授業計画/Class |
第9章 経営者報酬 ①(概要,インセンティブ契約は必要か︖,経営者報酬制度) |
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6
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授業計画/Class |
第9章 経営者報酬 ②(経営者報酬の理論,報酬についての実証研究,経営者報酬の政治学,結論) |
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7
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授業計画/Class |
第10章 利益マネジメント ①(概要,利益マネジメントのパターン,ボーナス目的の利益マネジメントについての証拠,利益マネジメントに対するその他の動機)
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8
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授業計画/Class |
第10章 利益マネジメント ②(利益マネジメントの良い⾯,利益マネジメントの悪い⾯,結論)
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9
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授業計画/Class |
第11章 基準設定︓経済的問題 ①(概要,経済活動に対する規制,情報⽣産への私的インセンティブ)
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授業計画/Class |
第11章 基準設定︓経済的問題 ②(市場の失敗原因,情報はどれぐらいあれば⼗分なのか︖,分権的規制,経済的問題についての基準設定の結論)
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11
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授業計画/Class |
第12章 基準設定︓政治的問題 ①(概要,規制についての2つの説,カナダとアメリカにおける基準設定,国際会計基準審議会(IASB))* テキストにはないが、わが国の会計基準設定の構造も考察
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12
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授業計画/Class |
第12章 基準設定︓政治的問題 ②(規制理論との関係,対⽴と妥協,細則主義と原則主義,基準設定のための判断条件,結論とまとめ)
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13
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授業計画/Class |
第13章 最近の研究の動向①(その時点で読んでおくべき最新の⽂献を読む) |
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授業計画/Class |
第13章 最近の研究の動向②(その時点で読んでおくべき最新の⽂献を読む) |
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授業計画/Class |
総括(1年間の授業のまとめ,今後の課題の議論) |
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事前学習/Preparation |
その講義回に扱うテキストの該当章を読み、内容をまとめてくる。
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事後学習/Reviewing |
講義内で指定した問題、あるいはさらに深く調査すべき内容につきまとめ、小レポートを作成する。 |
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授業方法/Method of instruction
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区分/Type of Class |
対面授業 / Classes in-person
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実施形態/Class Method |
通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes 対面授業(通常型)により、詳細は以下のようなものとなる。 (1)毎回、日本語(ないし英語)で約20頁から約30頁の文献を読む。 (2)講義内で内容に関して確認・議論する。 (3)指定する演習問題に解答して、教員に提出する。 (4)(次回)教員が解答内容に対してフィードバックを与えるので確認する。
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活用される授業方法/Teaching methods used |
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成績評価方法/Evaluation
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1 |
平常点 In-class Points
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100%
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毎回、日本語のテキストを読み(20頁から30頁)、演習問題への解答等の課題を行う。 当該課題の提出によって評価する。テキストは各自で入手してください。
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教科書/Textbooks
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| コメント Comments |
1 |
授業内容によって扱う⽂献が異なるため、詳細は第1回(ないし前期の最終回)の講義において指⽰する。 具体的には、下記の「参考書/ Reference books」欄に掲げた図書を参考にしてもらいたい。
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参考書/Reference books
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| 著者名 Author | タイトル Title | 出版社 Publisher | 出版年 Published year | ISBN | 価格 Price | コメント Comments | |
1 |
ウィリアム・R・スコット著,太田康広・椎葉淳・西谷順平訳
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『財務会計の理論と実証』
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中央経済社
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2022
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4502427616
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6,930
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上記の講義計画にのせた書籍。
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2 |
大日方隆編著
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『会計基準研究の原点』
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中央経済社
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2012
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4502454303
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6,160
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3 |
太田康広編著
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『分析的会計研究―企業会計のモデル分析』
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中央経済社
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2010
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4502230200
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4,180
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4 |
ダン・ハーマン・井上達男・ウェイン・トーマス編
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『会計制度の実証的検証』
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中央経済社
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2009
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4502292303
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3,960
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5 |
斎藤静樹
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『会計基準の研究(増補改訂版)』
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中央経済社
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2013
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4502484903
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4,420
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6 |
ジョン・A・クリステンセン・ジョール・S・デムスキ
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『会計情報の理論―情報内容パースペクティブ』
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中央経済社
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2007
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4502269301
|
7,040
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7 |
椎葉淳・高尾裕二・上枝正幸
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『会計ディスクロージャーの経済分析』
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同文舘
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2010
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449519531X
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4,180
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8 |
サラ・E・ボナー・田口聡志監訳
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『心理会計学―会計における判断と意思決定』
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中央経済社
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2012
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4502453501
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5,060
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メッセージ/Message
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財務会計を巡る諸問題につき、「ヒトや社会制度・環境」の観点から実証的に研究したい受講生を歓迎する。
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