講義内容詳細:財務会計研究Ⅰ

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年度/Academic Year 2021
授業科目名/Course Title (Japanese) 財務会計研究Ⅰ
英文科目名/Course Title (English) Financial Accounting (1)
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 上枝 正幸
英文氏名/Instructor (English) UEEDA Masayuki

講義概要/Course description
 「財務会計研究Ⅰ・Ⅱ」では、企業による財務報告が経済社会において果たしている役割について研究する。したがって、会計・監査制度や会計基準自体の検討も当然に実施するが、① 財務会計にかかわる制度や基準がヒトやその集合体である企業に対してどのように影響を及ぼしているのか、あるいは ② 特定の社会の目的が存在すると仮定して、それ(ら)を達成するためにはどのような制度や基準が必要であるのか、などについて理論的・実証的に考察することがコースの中心となる。たとえば、現在の財務会計の概念フレームワークは、投資者への意思決定に有用な情報の提供が財務報告の目的であると規定する。こうした考え方は、意思決定有用性アプローチとよばれる。このとき、意思決定有用性アプローチの観点から、資本市場における財務会計情報の役割を分析する研究の貢献と課題を考察することが重要となろう。また、財務報告を巡る利害関係者が置かれている社会・経済環境と、利害関係者それぞれの経済的インセンティブについての知ることも必須であろう。いずれにせよ、あるべき論(規範論)ではなく、現実にどうあるのか、またどのように説明できるのか(理論・実証論)を議論したい。
 なお、以下では、会計学専攻の大学院生の基礎知識を習得するための好テキストとして、『アドバンスト財務会計(第2版)』を読み解く場合の講義計画を示している。受講生の関心・目的のため、より適した文献がある場合、そちらを選択することになる。
達成目標/Course objectives
会計研究のほか、経済学、行動科学、ゲーム理論などの諸学問分野のディシプリンを援用し、
 ① 財務会計情報が社会において果たす役割・財務会計を巡る現在の社会制度・環境、
 ②   社会目的を達成するための会計を巡る制度・諸基準のありかた、などの論点を科学的に
議論できるような基本的素養を学修する。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
学部上級レベルの簿記・会計学の知識を有していることを前提とする。
このほか、入門的な統計学の素養があると望ましい。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class オリエンテーション(学習文献の決定,授業の進め方の決定,日程の確認,本講のねらいと成績評価方法の説明など)。【オンライン(オンディマンド型)】
事前学習/Preparation 本講のシラバスおよび教科書の「序」を読んでおく
事後学習/Reviewing 講義のオリエンテーションで決まった学習を進めるべく必要な知識の再確認をする
初回分の課題レポートを作成する。
2
授業計画/Class 序章 科学としての会計学—研究論文の書き方・読み方—
事前学習/Preparation 前回分の資料等を読んでおく。
事後学習/Reviewing あなたが書こうとしている修士論文に対し、本章の内容がどのように役立つかについてまとめる。
3
授業計画/Class 第1章 推論規則—論証手法の基礎
事前学習/Preparation 前回分の教員からのフィードバックを確認する。
事後学習/Reviewing 演習問題に解答する。
4
授業計画/Class 第2章 利得、所得と会計利益
事前学習/Preparation 前回分の課題に対する教員からのフィードバックを確認する。
事後学習/Reviewing 演習問題に解答する。
5
授業計画/Class 第3章 資本維持
事前学習/Preparation 前回分の課題に対する教員からのフィードバックを確認する。
事後学習/Reviewing 演習問題に解答する。
6
授業計画/Class 第4章 実現概念
事前学習/Preparation 前回分の課題に対する教員からのフィードバックを確認する。
事後学習/Reviewing 演習問題に解答する。
7
授業計画/Class 第5章 対応原則
事前学習/Preparation 前回分の課題に対する教員からのフィードバックを確認する。
事後学習/Reviewing 演習問題に解答する。
8
授業計画/Class 第6章 費用の期間配分
事前学習/Preparation 前回分の課題に対する教員からのフィードバックを確認する。
事後学習/Reviewing 演習問題に解答する。
9
授業計画/Class 第7章 会計規則
事前学習/Preparation 前回分の課題に対する教員からのフィードバックを確認する。
事後学習/Reviewing 演習問題に解答する。
10
授業計画/Class 第8章 Event StudyとRelevance Study
事前学習/Preparation 前回分の課題に対する教員からのフィードバックを確認する。
事後学習/Reviewing 演習問題に解答する。
11
授業計画/Class 第9章 会計情報と企業のファンダメンタルズ
事前学習/Preparation 前回分の課題に対する教員からのフィードバックを確認する。
事後学習/Reviewing 演習問題に解答する。
12
授業計画/Class 第10章 会計行動のインセンティブ
事前学習/Preparation 前回分の課題に対する教員からのフィードバックを確認する。
事後学習/Reviewing 演習問題に解答する。
13
授業計画/Class 第11章 会計発生高と利益マネジメント
事前学習/Preparation 前回分の課題に対する教員からのフィードバックを確認する。
事後学習/Reviewing 演習問題に解答する。
14
授業計画/Class 第12章 実証研究のための統計技法(1)
事前学習/Preparation 前回分の課題に対する教員からのフィードバックを確認する。
事後学習/Reviewing 演習問題に解答する。
15
授業計画/Class 第13章 実証研究のための統計技法(2)
事前学習/Preparation 前回分の課題に対する教員からのフィードバックを確認する。
前期中の議論の内容を振り返り、疑問があれば質問できるようにしておく。
事後学習/Reviewing 演習問題に解答する。
後期に向け、前期の講義内容の総まとめをする。
授業方法/Method of instruction
 対面授業(通常型)により、詳細は以下のようなものとなる。
(1)毎回、1章分(日本語で約20頁から約30頁)を読む。
(2)講義内で内容に関して確認・議論する。
(3)指定する演習問題に解答して、教員に提出する。
(4)(次回)教員が解答内容に対してフィードバックを与えるので確認する。
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 100% 毎回、日本語のテキストを1章(20頁から30頁)読み、章末の演習問題に解答する。
当該解答の提出によって評価する。テキストは各自で入手してください。
教科書/Textbooks
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
Price
1 大日方隆 アドバンスト財務会計(第2版) 中央経済社 2013 502475009 3,800+税
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
Price
 
1 ウィリアム・R・スコット著,太田康広・椎葉淳・西谷順平訳 『財務会計の理論と実証』 中央経済社 2008 4502284505 6000
2 大日方隆編著 『会計基準研究の原点』 中央経済社 2012 4502454303 5600
3 太田康広編著 『分析的会計研究―企業会計のモデル分析』 中央経済社 2010 4502230200 3800
4 ダン・ハーマン・井上達男・ウェイン・トーマス編 『会計制度の実証的検証』 中央経済社 2009 4502292303 3600
5 斎藤静樹 『会計基準の研究(増補改訂版)』 中央経済社 2013 4502484903 4200
6 ジョン・A・クリステンセン・ジョール・S・デムスキ 『会計情報の理論―情報内容パースペクティブ』 中央経済社 2007 4502269301 6400
7 椎葉淳・高尾裕二・上枝正幸 『会計ディスクロージャーの経済分析』 同文舘 2010 449519531X 3800
8 サラ・E・ボナー・田口聡志監訳 『心理会計学―会計における判断と意思決定』 中央経済社 2012 4502453501 4600
メッセージ/Message
財務会計を巡る諸問題につき、「ヒトや社会制度・環境」の観点から実証的に研究したい受講生を歓迎する。