講義内容詳細:教育の社会学

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年度/Academic Year 2023
授業科目名/Course Title (Japanese) 教育の社会学
英文科目名/Course Title (English) Sociology of Education
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 辰巳 哲子
英文氏名/Instructor (English) TATSUMI Satoko

講義概要/Course description
この授業は、教育社会学の中で取り上げられてきた主なテーマについて取り上げる。教育の当たり前を問い直し受講者自身の経験だけではなく、具体的なエビデンスを基に、自分の問いを深め、考える授業とする。学習者の授業への主体的な参加が求められる。

過去に履修した学生による授業解説

・現在の教育の考え方や問題について学べたことはもちろん、データやファクトに基づいて事実を客観的に見られるようになったことが大きな学びだった。(2022年度履修)
・今まで当たり前だと感じていた「教育」について、様々な視点から問い直すことのできる貴重な機会でした。また、受動的な授業ではなくグループ内でそれぞれの経験や意見を共有し、積極的にディスカッションを行うことで新たな発見に気付くことができます。毎週の課題についても、経験や意見だけでなく具体的なエビデンスや事実を元に述べることが求められるため、今後に重要なスキルを強化するための手助けになると考えています。(2022年度履修)
・この講義では、ただ教育の問題について知るだけでなく、自分のこれまでの常識を疑うきっかけになったと感じている。授業を通して自分がいかに主観的に物事を考えてしまっているかがわかった。また、レポートを書くに当たって、事前にレポートの内容をプレゼンする形でまとめたのも、他の講義ではない形だったがとても良かった。内容が整理できるだけでなく、友人からもらったフィードバックはレポートを書く際にとても役に立った。(2022年度履修)
達成目標/Course objectives
教育社会学で扱われてきたテーマのうち、関心のある領域・テーマについて、FACTに基づいて、自分なりの視点でレポートがまとめられるようになることを目指す。
学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)に基づき、当該科目を履修することで身につく能力 / Abilities to be acquired by completing the course in accordance with the faculty and graduate school diploma policy (graduation certification and degree conferral)
学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)/ Undergraduate and Graduate Diploma Policy (Graduation Certification and Degree Conferral)
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
事前履修は設定しない
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 教育社会学の分野でこれまでに扱われてきたテーマについて、教科書に沿って外観する。(学校の役割、学力格差の実態、学校から職業への移行、貧困、ジェンダー、キャリア教育など)を紹介し、テーマの決定をおこなう。受講希望者のオンライン環境の確認、評価方法や授業の進行についての説明をする。
2
授業計画/Class システム・シンキングの考え方を伝え、それをベースにしながら、教育領域で生じている問題について、(1)教育システムと外部環境との間の問題、(2)教育組織内部の問題、(3)教育システムと経済システムの間の問題をとりあげる
3
授業計画/Class 学校の社会的機能
社会において果たしている学校教育の役割について①社会化②能力証明・資格付与③選抜・配分④正統化をとりあげる
4
授業計画/Class 高学歴社会における教育の役割
学校教育の拡大と教育の役割の変化をあつかう
5
授業計画/Class 学力の獲得は平等なのか
1990年以降の格差社会論について、学力・努力の格差拡大、アスピレーションの格差拡大、希望の二極化をとりあげる
6
授業計画/Class 学歴と労働市場
労働市場における学歴の効用について、高学歴化社会の問題状況、高校卒就職、大学中退についてとりあげる
7
授業計画/Class 近代化とメリトクラシー
能力主義とは何か、日本の能力主義の変化や現在、教育現場で求められている能力について取り上げる。社会への移行に際して求められている能力について、議論する
8
授業計画/Class 学校から社会への移行~キャリア教育
キャリア教育が始まった背景を50年前の米国の歴史から紐解く。キャリア教育が求められる背景と、実際に行われている内容、その課題を扱う
9
授業計画/Class 社会人の学びなおし
我が国では産業構造の変化に伴った労働移動施策を視野にいれた社会人の再教育を検討している。社会人の学びなおしの現状と我が国のリスキリング施策について学ぶ
10
授業計画/Class ジェンダー
教育と職業における性別格差の実態、各国の性別格差是正制度改革の推移をとりあげる。進路選択のジェンダー構造、キャリアパスの違いを扱う
11
授業計画/Class 子どもの貧困
貧困世帯の子どもの学習についてとりあげる
発表準備について解説 フィードバックの方法
12
授業計画/Class 多様な学校、多様な学び
「学ぶ」という概念、学び方が大きく変化する中、多様な学校の設立のきざし、未来の学校の役割を考える
13
授業計画/Class 我が国の抱える教育課題について、各自テーマを決め、発表する(1)


14
授業計画/Class 我が国の抱える教育課題について、各自テーマを決め、発表する(2)
人数によってフィードバックの時間にあてます。
15
授業計画/Class 学習者の理解状況に応じて振り返り、最終レポートに向けたまとめと質疑応答をおこなう
 
事前学習/Preparation 次の回の授業テーマについて、事前課題があります(毎回ではありません)授業に持ち込んだ課題をディスカッションに使用します。
事後学習/Reviewing (履修人数にもよりますが)グループ発表のための準備をしてください。就職活動などでやむなく出席が難しい場合は、教員に事前に連絡の上、前回授業の資料に必ず目を通してから参加してください。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method ハイブリッド型ブレンド形式 / hybrid blend
補足事項/Supplementary notes本講義は対面授業(ハイブリッド型ブレンド形式)です。授業の目的や進行にあわせて対面授業日とオンライン授業日を組み合わせて実施をします。
授業形式によらず、すべての回でアクティブな学習が求められます。自分の頭で考え、自分の考えたことをレポートで発表する機会を設けています。自ら積極的に情報を収集した上で、授業の中で扱う各課題について、自分の考えを深めてください。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 60% 教育社会学の分野で扱われているテーマから、自分で問いを立て、エビデンスと共に論述する。レポートの構造や書き方は授業中に解説する(指定されたフォーマットA4で3000文字以上)
2 その他 Others 30% レポートと同じテーマについての発表。教育社会学の分野で扱われているテーマから、自分で問いを立て、エビデンスとともに発表する。発表の仕方は授業中に解説する(パワーポイントで6ページ程度)
3 平常点 In-class Points 10% グループ発表(履修人数による)
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法/Feedback methods for assignments (exams, reports, etc.)
フィードバックは、①教員からのフィードバックと②学生からのフィードバックの2種類があります。
①教員からのフィードバック
・授業中に出す、振り返りの課題・予習の課題・発表資料について、次の授業の中で全体共有および解説をします。
②学生からのフィードバック
・フィードバックを「する」方法、フィードバックを「受け取る」方法について授業中に解説します。学生からのフィードバックでは、解説した方法に沿っておこなわれます。
・最終発表については、「フィードバックの観点」を示したうえで、学生同士でフィードバックをおこないます。



教科書/Textbooks
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
Price
1 片山悠樹 [ほか] 編 半径5メートルからの教育社会学 大月出版 2017.9 9784272412389 2200円+税
メッセージ/Message
高校までの学習とは異なり、大学以降の学習は、正解のない世界の中で、これまでのエビデンスを踏まえながら、自分の考えを紡ぎだすことが必要です。
特に教育については、すべての人が経験したことがあるだけに、「社会科学」としてではなく、「経験」として語ってしまう人が多いようです。この授業では、教育社会学の研究成果を紹介しながら、現実社会で起こっている課題について皆で考えてみたいと思います。

やむなく授業を欠席する場合は、コースパワー上の資料に目をとおした上で次の授業に出席してください。
その他/Others
国の委員を務めており、各自治体との共同研究や海外調査機関との共同研究、企業での講演やワークショップなどを行っています。以上の経験からリアルな場で起こっている課題について関連する講義の中で話しています。
キーワード/Keywords
教育社会学     キャリア教育     能力     貧困     実務経験