講義内容詳細:法哲学

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年度/Academic Year 2018
授業科目名/Course Title (Japanese) 法哲学
英文科目名/Course Title (English) Jurisprudence
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 住吉 雅美
英文氏名/Instructor (English) SUMIYOSHI, Masami

講義概要/Course description
 基礎法学とは、現行の実定法やそれを支える原則・理論を多様な視角から吟味検討し、相対する学問分野であるが、その中にあって法哲学は、法曹にとって自明視されてきた法原則に対し、哲学という思考法を主要な手段として取り組むものである。本講義の内容は次の3つに大別される。1. 法哲学の視点から法の機能と解釈論を見直す、2. 変動する社会における法の「正義」とは何であるかについて考える、3. 多文化主義、価値相対主義、個人主義が相克する現代において、法は何ができるのか考える。本講義ではこれらの視点から、具体的な法律問題を素材として基本的論点を解説しつつ、より適切な法解釈や事件解決とはいかなるものであるかということを考えてゆく。したがって授業の方法としては講義形式が主であるが、場合によっては受講者に問題を提起し、討論してもらうこともある。 
達成目標/Course objectives
 本授業では、受講者が、生活の中に頻発する法的事件における法解釈上の争いや法の欠缺などに遭遇したとき、いかにしてより「正義」に適った解釈方法をとりうるかについて、自ら思考し判断する能力を習得することを目的とする。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
特にない。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 第1回 なぜ法哲学が必要か
 法律を不要とするアナーキズム思想の概観・社会あるところに法が生ずる仕組み・法とその他のルールとを分かつものについて考える
事前学習/Preparation  テキスト「はじめに」を読んでおく。
事後学習/Reviewing  配布されたレジュメやノートに基づき、授業内容を復習する。
2
授業計画/Class 第2回 法という規範の意義・機能・射程
 法とエチケット、道徳との関係・法機能の限界を考える・必要最小限の強制とは?・「法化」の光と影
事前学習/Preparation  テキスト「第1講義」を読んでおく。
事後学習/Reviewing  配布されたレジュメやノートに基づき、授業内容を復習する。
3
授業計画/Class 第3回 西洋法の普遍性と相対性
 法は文化によって支えられる・近代立憲主義の成立・現代法理論の多様性
事前学習/Preparation  テキスト「第3講義」を読んでおく。
事後学習/Reviewing  配布されたレジュメやノートに基づき、授業内容を復習する。
4
授業計画/Class 第4回 日本における西洋法の受容
 日本の近代化とヨーロッパからの法受容・戦後日本の法理論とアメリカからの法受容・日本の西洋法受容における問題点
事前学習/Preparation  テキスト「第2講義」を読んでおく。
事後学習/Reviewing  配布されたレジュメやノートに基づき、授業内容を復習する。
5
授業計画/Class 第5回 法の解釈・適用の仕方
 概念法学と法実証主義・裁判官は自動判決機械たるべきか?・法の解釈適用の合理化とは?・「法に依拠して判断する」ことの意味
事前学習/Preparation  テキスト「第4講義」を読んでおく。
事後学習/Reviewing  配布されたレジュメやノートに基づき、授業内容を復習する。
6
授業計画/Class 第6回 閉じた法と開かれた法
 一般的ルールと例外的裁量(H・L・A・ハートの議論から)・「ハードケース」にどう取り組むか(R・ドゥオーキンの議論から)
事前学習/Preparation  テキスト「第5講義」を読んでおく。
事後学習/Reviewing  配布されたレジュメやノートに基づき、授業内容を復習する。
7
授業計画/Class 第7回 現代の権利論
 個人主義の進行と道徳・集団的規制と個人の自由・権利の主体とは誰か・権利は万人に同一か? 
事前学習/Preparation  テキスト「第6講義」を読んでおく。
事後学習/Reviewing  配布されたレジュメやノートに基づき、授業内容を復習する。
8
授業計画/Class 第8回 正義
 法と正義との関係・現代正義論への多様なアプローチ(J・ロールズ、R・ドゥオーキン、R・ノージックなど)・価値相対主義を克服する正義とは?
事前学習/Preparation  テキスト「第8講義」を読んでおく。
事後学習/Reviewing  配布されたレジュメやノートに基づき、授業内容を復習する。
9
授業計画/Class 第9回 正義と多文化主義・共同体主義
 多文化主義とは・マイノリティの権利保護・集団的権利と個人的権利との衝突――「伝統」にどこまで従わねばならないのか
事前学習/Preparation  テキスト「第7講義」を読んでおく。
事後学習/Reviewing  配布されたレジュメやノートに基づき、授業内容を復習する。
10
授業計画/Class 第10回 社会の変動と法
 生命倫理と法・稀少財の分配問題・我々は未来世代への責任を持つか?
事前学習/Preparation  テキスト「第9講義」「第10講義」を読んでおく。
事後学習/Reviewing  配布されたレジュメやノートに基づき、授業内容を復習する。
11
授業計画/Class 第11回 公正とは何か
 福祉国家論への批判(アナルコキャピタリズムとリバタリアニズム)・功利主義(個人の権利より全体の福利)・我々は自由放任主義をどこまで許容しうるか?
事前学習/Preparation  テキスト「第8講義」と配布する資料を読んでおく。
事後学習/Reviewing  配布されたレジュメやノートに基づき、授業内容を復習する。
12
授業計画/Class 第12回 法学におけるジェンダー・バイアス
 フェミニズムからの問題提起・ジェンダーとは・司法におけるジェンダーバイアス
事前学習/Preparation  テキスト「第11講義」を読んでおく。
事後学習/Reviewing  配布されたレジュメやノートに基づき、授業内容を復習する。
13
授業計画/Class 第13回 ポストモダン法学入門
 法の主体と他者・法が黙殺している人々をいかに救うか・法の力・法の密猟・法学の将来
事前学習/Preparation  テキスト「第11講義」と「第12講義」を読んでおく。
事後学習/Reviewing  配布されたレジュメやノートに基づき、授業内容を復習する。
14
授業計画/Class 第14回 自己決定権と法
 J・S・ミルの「危害原理」・法は信仰をどこまで規制できるのか・「愚行権」の射程・個人の自由と「公共の福祉」
事前学習/Preparation  配付する資料を読んでおく。
事後学習/Reviewing  配布されたレジュメやノートに基づき、授業内容を復習する。
15
授業計画/Class 第15回 期末試験解説
事前学習/Preparation 試験の出題内容等を再確認し、再考察する。
事後学習/Reviewing 試験解説を踏まえた復習を行なう。
授業方法/Method of instruction
 講義と質疑応答と小テスト
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 80% 期末試験での評価
2 平常点 In-class Points 20% (1)授業への取り組み(2)質疑応答の積極性と内容・小テスト等の内容
教科書/Textbooks
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
Price
1 長谷川晃, 角田猛之編 ブリッジブック法哲学 信山社出版 2014.2 9784797223491 2300円+税
参考書/Reference books
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1 特になし