講義内容詳細:ジェンダーと法

戻る
年度/Academic Year 2018
授業科目名/Course Title (Japanese) ジェンダーと法
英文科目名/Course Title (English) Gender and Law
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 谷田川 知恵
英文氏名/Instructor (English) YATAGAWA, Tomoe

講義概要/Course description
法は、男性により作られ、運用されてきた。現在でも法曹三者の8割以上は男性であり、法に性別があるとすればそれは「男性」である。法は、人を普遍的なものと位置付けながら、その「人」が男性であることを自明としてきた。21世紀の現在、多くの国では法律上の男女平等を実現したが、日本をはじめとして、いまだに不平等な規定も多く残り、男性と、女性および男女に分類されない人々との、事実上の平等は達成されていない。このような歴史と事実を知り、具体的な問題を素材に、だれもが自分らしく輝くためにあるべき法の姿を検討してゆく。
達成目標/Course objectives
実務家が扱う身近な(職場、家族、日常生活等が舞台となるような)事件には、その原因も、結果も、法的な解決方法も、当事者に無批判に内面化されたジェンダーバイアス(性別に対する偏見)に基づくものが少なからず存在する。そのジェンダーバイアスに気付かなければ、性差別の再生産に荷担してしまい、法曹による二次加害さえ惹起しかねない。個人と社会の正義の実現に裨益する法曹となるために、ジェンダーと法をめぐる問題への感性を磨く。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
特になし。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class ジェンダー統計から見える日本と世界
数字から見える世界各国の男女平等達成度(男女共同参画局パンフレット『ひとりひとりが幸せな社会のために』を忘れずに)
事前学習/Preparation 『ジェンダー法学入門』の該当箇所に目を通し、授業中はそのテーマについて発言できるように準備すること。
事後学習/Reviewing そのテーマについての解決法を、論理と正義に照らして、自分なりに導くこと。
2
授業計画/Class 近代市民法の成立と女性の排除1 欧米を中心に
近代司法における性差別確立の過程
事前学習/Preparation 『ジェンダー法学入門』の該当箇所に目を通し、授業中はそのテーマについて発言できるように準備すること。
事後学習/Reviewing そのテーマについての解決法を、論理と正義に照らして、自分なりに導くこと。
3
授業計画/Class 近代市民法の成立と女性の排除2 日本
日本法における性差別と天皇制
事前学習/Preparation 『ジェンダー法学入門』の該当箇所に目を通し、授業中はそのテーマについて発言できるように準備すること。
事後学習/Reviewing そのテーマについての解決法を、論理と正義に照らして、自分なりに導くこと。
4
授業計画/Class 国連の取り組みと女性差別撤廃条約
世界女性の憲法とされる女性差別撤廃条約の成果と限界
事前学習/Preparation 『ジェンダー法学入門』の該当箇所に目を通し、授業中はそのテーマについて発言できるように準備すること。
事後学習/Reviewing そのテーマについての解決法を、論理と正義に照らして、自分なりに導くこと。
5
授業計画/Class ポジティブアクション
事実上の平等を促進するポジティブアクションへの評価と批判
事前学習/Preparation 『ジェンダー法学入門』の該当箇所に目を通し、授業中はそのテーマについて発言できるように準備すること。
事後学習/Reviewing そのテーマについての解決法を、論理と正義に照らして、自分なりに導くこと。
6
授業計画/Class 家族とジェンダーと法
家族の実態、家族法の問題点、性の多様性
事前学習/Preparation 『ジェンダー法学入門』の該当箇所に目を通し、授業中はそのテーマについて発言できるように準備すること。
事後学習/Reviewing そのテーマについての解決法を、論理と正義に照らして、自分なりに導くこと。
7
授業計画/Class 家族法改正の方向性
別氏婚と同性婚
事前学習/Preparation 『ジェンダー法学入門』の該当箇所に目を通し、授業中はそのテーマについて発言できるように準備すること。
事後学習/Reviewing そのテーマについての解決法を、論理と正義に照らして、自分なりに導くこと。
8
授業計画/Class 労働とジェンダー
雇用機会均等法、男女賃金格差、間接差別
事前学習/Preparation 『ジェンダー法学入門』の該当箇所に目を通し、授業中はそのテーマについて発言できるように準備すること。
事後学習/Reviewing そのテーマについての解決法を、論理と正義に照らして、自分なりに導くこと。
9
授業計画/Class ペイドワークとアンペイドワーク
アンペイドワーク(無償労働)、女性/母子家庭の貧困、ワークライフバランス
事前学習/Preparation 『ジェンダー法学入門』の該当箇所に目を通し、授業中はそのテーマについて発言できるように準備すること。
事後学習/Reviewing そのテーマについての解決法を、論理と正義に照らして、自分なりに導くこと。
10
授業計画/Class 女性に対する暴力1 ドメスティック・ヴァイオレンス(DV)
女性に対する暴力(violence against women)の歴史、ドメスティック・ヴァイオレンス、デートDV、ストーカー
事前学習/Preparation 『ジェンダー法学入門』の該当箇所に目を通し、授業中はそのテーマについて発言できるように準備すること。
事後学習/Reviewing そのテーマについての解決法を、論理と正義に照らして、自分なりに導くこと。
11
授業計画/Class 女性に対する暴力2 セクシュアル・ハラスメント
職場、学校におけるセクシュアル・ハラスメント
事前学習/Preparation 『ジェンダー法学入門』の該当箇所に目を通し、授業中はそのテーマについて発言できるように準備すること。
事後学習/Reviewing そのテーマについての解決法を、論理と正義に照らして、自分なりに導くこと。
12
授業計画/Class 女性に対する暴力3 性暴力
性暴力の実態、日本刑法の問題点、国際的な改革
事前学習/Preparation 『ジェンダー法学入門』の該当箇所に目を通し、授業中はそのテーマについて発言できるように準備すること。
事後学習/Reviewing そのテーマについての解決法を、論理と正義に照らして、自分なりに導くこと。
13
授業計画/Class 女性に対する暴力4 買売春
買春、売春、トラフィッキング(人身売買)
事前学習/Preparation 『ジェンダー法学入門』の該当箇所に目を通し、授業中はそのテーマについて発言できるように準備すること。
事後学習/Reviewing そのテーマについての解決法を、論理と正義に照らして、自分なりに導くこと。
14
授業計画/Class 生殖とジェンダーと法
中絶、代理母、死後懐胎
事前学習/Preparation 『ジェンダー法学入門』の該当箇所に目を通し、授業中はそのテーマについて発言できるように準備すること。
事後学習/Reviewing そのテーマについての解決法を、論理と正義に照らして、自分なりに導くこと。
15
授業計画/Class 期末試験解説
事前学習/Preparation 試験勉強を十分に行う。
事後学習/Reviewing 解説に納得できない箇所があれば徹底的に調べる。
授業方法/Method of instruction
1.受講生が『ジェンダー法学入門』の該当箇所を熟読したことを前提に、担当教員が解説を行う。
2.その後、全員で、その問題についてどう考えるか、どのように既存の法を解釈すれば解決可能か、どのような立法なら解決可能か、それは社会にどのような影響を及ぼすか等について議論を行う。
3.市民として、法律家として、主権者として、どのような社会が公正なのか、今の社会に何が足りないのか、あなた個人にできることは何かを意識して議論することが必要である。
4.議論の目的は反対意見を論破・排除・無視することではない。民主主義社会では反対者をすべて社会から排斥することはできない。反対意見はあなたの磨き石である。それらを包摂しながらより良い解決策を模索することが説得力をもち、高い評価につながる。
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 70% 期末試験での評価
2 その他 Others 30% 授業での発言頻度、内容の説得力を評価する。上記「授業方法」を参照。
教科書/Textbooks
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
Price
コメント
Comments
1 初回は、男女共同参画局パンフレット『ひとりひとりが幸せな社会のために』を使用するので、男女共同参画局のサイトからダウンロードして持参してほしい。 http://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/pamphlet/index.html
2 三成美保 [ほか] 著 ジェンダー法学入門 法律文化社 2015.4 9784589036773 2500円+税 資料集として毎回使用する
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
Price
 
1 角田由紀子著 性と法律 岩波書店 2013.12 9784004314615 820円+税 蔵書情報 / Library information
2 辻村みよ子著 概説ジェンダーと法 信山社 2016.9 9784797286199 蔵書情報 / Library information
3 ジェンダー法学会編 講座ジェンダーと法全4巻 日本加除出版 2012
メッセージ/Message
あなたはなぜ法を学ぶことを決意したのだろうか。法のチカラは言葉のチカラである。あなたが発する言葉(口からとは限らない)のひとつひとつを星屑のように輝かせ、この社会を照らす光としてほしい。その光は、誰よりもあなたじしんを、あたたかくつつむだろう。
その他/Others
質問を大歓迎する。授業後に教室でできなかったときにはメールも可。