講義内容詳細:日本の法と社会B

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年度/Academic Year 2019
授業科目名/Course Title (Japanese) 日本の法と社会B
英文科目名/Course Title (English) Japanese Law and Society B
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 葛西 康徳
英文氏名/Instructor (English) KASAI, Yasunori

講義概要/Course description
日本の法と社会というテーマについて、従来は日本が輸入したヨーロッパ近代法と伝統的な日本社会ないし日本人の法意識の乖離というありきたりの問題設定で長年議論されてきた。その結果、何ら新しい研究成果や視点は生まれなかった。本授業は、これに対する反省の上にたって、アイデンティティ論の視点から法と宗教に焦点を当て、古代ギリシア、西洋との比較において考察する。教科書の一つに指定した山本七平氏は戦前に青山学院に学び、戦後出版業の傍ら独自の視点と学識によって貴重な著作を発表した。氏の提起した問題は、グローバル化が掛け声だけに終わっている日本の現状に対する警鐘として、いまなお考察すべき対象である。他方、アルトーグの著作は、古代ギリシアおよびローマを素材としつつ、ヨーロッパ人のアイデンティティを批判的に論じた西洋古典の入門書として重要な作品である。イギリスのEU離脱やアメリカ・ファーストの動きがなぜ生じるのか、貴重な示唆を与える。
達成目標/Course objectives
法律と社会について、できるだけ幅広い視野のもとに批判的相対的に理解する。特に、近代化という名目のもとに、日本人が西洋の法を伝統社会に移植したときに、結果として、いかに自己完結的かつ他の法文化と絶縁した独特の法的世界とターミノロジーの虜になってしまったかを反省する。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 講義の概要、目的、進め方について全般的な説明を行う。特に授業のキーワードである法と宗教、慣習について説明したのち、それをアイデンティティの視点から分析するという問題設定について理解を促す。
事前学習/Preparation 日本人論についての基本文献を一つ読む。
事後学習/Reviewing 関心を持った参考文献を参照する。
2
授業計画/Class 日本人論の代表作としてイザヤ・ベンダサン(山本七平)の『日本人とユダヤ人』の概略と影響について説明する。なお、山本七平氏は、青山学院のOBである。
事前学習/Preparation 『日本人とユダヤ人』を事前に読む。
事後学習/Reviewing 『日本人とユダヤ人』を読む。
3
授業計画/Class 古代ギリシア人のアイデンティティについての教科書アルトーグ『オデュッセウスの記憶』の概説を行う。なお、古代ギリシア人のアイデンティティ論はそのまま西洋人のアイデンティティ論につながる。
事前学習/Preparation 教科書『オデュッセウスの記憶』を事前に読む。
事後学習/Reviewing 教科書『オデュッセウスの記憶』を読む。
4
授業計画/Class 古代ギリシア人のアイデンティティについての教科書アルトーグ『オデュッセウスの記憶』の概説を行う。なお、古代ギリシア人のアイデンティティ論はそのまま西洋人のアイデンティティ論につながる。
事前学習/Preparation 『オデュッセウスの記憶』を読む。
事後学習/Reviewing 『オデュッセウスの記憶』を読む。
5
授業計画/Class ユダヤ人とユダヤ教、ユダヤ法について簡潔にまとめた、この分野の最新の研究書『ユダヤ人とユダヤ教』を読む。
事前学習/Preparation 『ユダヤ人とユダヤ教』を事前に読む。
事後学習/Reviewing 『ユダヤ人とユダヤ教』を読む。
6
授業計画/Class 参考文献 葛西康徳「ギリシア教に改宗することはできるか」(史友、2019)について解説する。
事前学習/Preparation 「ギリシア教に改宗することはできるか」(史友、2019)を事前に読む。
事後学習/Reviewing 「ギリシア教に改宗することはできるか」(史友、2019)を読む。
7
授業計画/Class 授業前半のまとめと質問。発表担当個所を決める。
事前学習/Preparation 授業前半のまとめ。
事後学習/Reviewing 授業前半総括。発表準備を始める。
8
授業計画/Class 担当者発表(1)
事前学習/Preparation 発表箇所を事前に読む。
事後学習/Reviewing 発表箇所を読む。
9
授業計画/Class 担当者発表(2)
事前学習/Preparation 発表箇所を事前に読む。
事後学習/Reviewing 発表箇所を読む。
10
授業計画/Class 担当者発表(3)
事前学習/Preparation 発表箇所を事前に読む。
事後学習/Reviewing 発表箇所を読む。
11
授業計画/Class 担当者発表(4)
事前学習/Preparation 発表箇所を事前に読む。
事後学習/Reviewing 発表箇所を読む。
12
授業計画/Class 担当者発表(5)
事前学習/Preparation 発表箇所を事前に読む。
事後学習/Reviewing 発表箇所を読む。
13
授業計画/Class 担当者発表(6)
事前学習/Preparation 発表箇所を事前に読む。
事後学習/Reviewing 発表箇所を読む。
14
授業計画/Class 総括1 これまでの報告の中から特に重要なテーマ、および議論しきれなかったテーマについて総括討議を行う。
事前学習/Preparation 教科書全体
事後学習/Reviewing 教科書全体
15
授業計画/Class 総括2 これまでの報告の中から特に重要なテーマ、および議論しきれなかったテーマについて総括討議を行う。
事前学習/Preparation 教科書全体
事後学習/Reviewing 教科書全体
授業方法/Method of instruction
前半は授業で扱う文献を各回開設する。後半は毎回担当者と担当箇所を決め、まず発表を行い、それに対してディスカッションを行う。
成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 50%
2 平常点 In-class Points 50%
教科書/Textbooks
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
Price
1 山本七平 [著] 日本人とユダヤ人 角川書店 2004.5 404704167X
2 フランソワ・アルトーグ(葛西・松本訳) オデュッセウスの記憶 東海大学出版部 2017 9784486019503 4800
3 市川裕 ユダヤ人とユダヤ教 岩波新書 2019 9784004317555 780
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
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コメント
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1 長谷部恭男編 「この国のかたち」を考える 岩波書店 2014 9784000229371 1900
2 葛西 康徳 ギリシア教に改宗することはできるか 史友 2019 青山学院大学史学会『史友』
メッセージ/Message
教科書の一つに指定した山本七平氏は戦前に青山学院に学び、戦後出版業の傍ら独自の視点と学識によって貴重な著作を発表した。氏の提起した問題は、グローバル化が掛け声だけに終わっている日本の現状に対する警鐘として、いまなお考察すべき対象である。他方、アルトーグの著作は、古代ギリシアおよびローマを素材としつつ、ヨーロッパ人のアイデンティティを批判的に論じた西洋古典の入門書として重要な作品である。イギリスのEU離脱やアメリカ・ファーストの動きがなぜ生じるのか、貴重な示唆を与える。
キーワード/Keywords
アイデンティティ 宗教 国体 慣習