講義内容詳細:商法総則・商行為・手形小切手法

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年度/Academic Year 2019
授業科目名/Course Title (Japanese) 商法総則・商行為・手形小切手法
英文科目名/Course Title (English) Commercial Law General Rules,Commercial Transactions,Bills and Cheques Law
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 大垣 尚司
英文氏名/Instructor (English) OHGAKI, Hisashi

講義概要/Course description
1.法曹になってから知らないと苦労するさまざまな商取引の仕組みとそれに関連する商取引法・業法を概観する。商法の一部(運送・海商関連)が改正されたので新法に基づいて授業を行う。
2.会社法の授業では授業時間との関係で省略することが多い会社法総則(1条~24条・907条~910条)の部分について、個人事業主にかかる商法総則の内容と対比させて解説する。また、商法分野の「本丸」である会社法を学ぶ上で必要な基礎的考え方を学ぶ。
3.手形小切手法については、手形利用が激減する一方、それに代わるABLやファクタリング、電債ネット等新しい債権流通の形態が普及してきており、法曹の常識として欠かせないものとなっている一方、手形小切手法の古典的な論点には実務上の意義が薄れているものが増えていることから、より幅広く「債権流通法」という視点から、手形・小切手、ABF(asset-based finance)や割賦販売・カード取引(民法の債権譲渡・債務引受)・一括支払・電子記録債権(電債ネット)、証券取引の機能と仕組みを概観し、それぞれで用いられている債権流通にかかる法技術の異同を整理することで、関連する民商法を有機的に位置づけながら学ぶ(一部民法債権総論等と重なる項目があるが、企業取引の実情を知らないと理解が難しい点や民法の授業では詳しく取り上げることが難しい点を補足的に解説することで立体的な学習につなげる)。
4.会社法の重要判例のうち、手形取引がからむために理解が難しいものをピックアップして会社法の該当項目を復習(履修状況によっては予習)しながら理解を深める。
達成目標/Course objectives
実務家として最低知っておくべき企業取引の仕組みをこれに関する商法の規定を結びつけて有機的に理解する。商事法を学ぶ上で必要な基礎的な知識を身につける。また、大きく変化しつつある経済社会の下で、きわめて「足の速い」分野である企業取引法が今後どのように変わっていくかを考える。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
「金融と法」を並行して履修すると理解が深まる(必須ではない)。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 企業とは何か。
事業組織の選択。
商号。
事前学習/Preparation ・教科書 序論、I
・『金融から学ぶ会社法入門』を持っている者は第2講〜第3講が参考となる。
事後学習/Reviewing レジュメの内容を確認。
2
授業計画/Class 商業登記
経営者と従業員の法律上の地位
利益の確定と会計、簿記の考え方
事前学習/Preparation 教科書 III. IV. VI. 
事後学習/Reviewing レジュメの内容確認
3
授業計画/Class サプライサイドの取引
・商事売買の諸相
・代金債権の保全
事前学習/Preparation 教科書 VIII. IX. 
事後学習/Reviewing レジュメの内容確認
4
授業計画/Class ロジスティクス
・運送業
・倉庫業
事前学習/Preparation 教科書 XIII. XIV. XV. XVIII. 
事後学習/Reviewing レジュメの内容を確認
5
授業計画/Class インターメディエーション
・代理
・問屋
・媒介・仲介
・フランチャイズ契約
事前学習/Preparation 教科書VII. XI . X II
事後学習/Reviewing レジュメの内容を確認
6
授業計画/Class デマンドサイドの取引と消費者保護
・消費者契約法
・販売金融・割賦販売
・特定商取引法
事前学習/Preparation 補助教材を読む
事後学習/Reviewing レジュメの内容を確認
7
授業計画/Class サービス業
商行為概論
事前学習/Preparation 教科書 XVI. XVII. VIII. 
事後学習/Reviewing レジュメの内容を確認
8
授業計画/Class コーポレートファイナンスと法①
・決済
・商事取引における同時履行の確保と荷為替手形の仕組み
・企業間ファイナンス
 - 売掛け金・買掛け金
 - 交互計算
・当座預金取引と小切手
事前学習/Preparation 教科書 X. 第2篇XIX
事後学習/Reviewing レジュメの内容を確認
9
授業計画/Class コーポレートファイナンスと法②
・約束手形による支払い
・手形法のポイント(1)
事前学習/Preparation 教科書 第2編 XIX、II
事後学習/Reviewing レジュメの内容を確認
10
授業計画/Class コーポレートファイナンスと法③
・手形法のポイント(2)
事前学習/Preparation 教科書 第2編 XIII, XV, XVII
事後学習/Reviewing レジュメの内容を確認
11
授業計画/Class コーポレートファイナンスと法④
・手形法のポイント(3)
・商業ファイナンス
 - 手形割引
 - 一括支払い方式
 - 電子記録債権
 - ABL
事前学習/Preparation 教科書 第2編 XX
事後学習/Reviewing レジュメの内容を確認
12
授業計画/Class 手形法と会社法の交錯
・利益相反取引と手形行為
・手形行為と名板貸
事前学習/Preparation 教科書  VII  IX
事後学習/Reviewing レジュメの内容を確認
13
授業計画/Class コーポレートファイナンス
・長期与信
   - 銀行融資
 - 社債
 - リース
・市場調達と市場の役割
 - 絶対的商行為
 - 金融商品取引概要
 - 問屋としての証券会社
 - 公募市場調達の仕組み
事前学習/Preparation 配布資料による
事後学習/Reviewing レジュメの内容を確認
14
授業計画/Class リスクマネジメント
・市場リスクとデリバティブ
・イベントリスクと保険
・企業価値とリスクマネジメント
事前学習/Preparation 教材配布
事後学習/Reviewing レジュメの内容を確認
15
授業計画/Class 期末試験解説・講評
事前学習/Preparation 期末試験準備:試験は、持ち込み自由で、メモランダムの作成を行ってもらう。
事後学習/Reviewing 企業取引に商法その他の法律がどのように関わっているかについてのイメージが講義前より明確になったかを確認する。また、ナマの判例を読むことへの抵抗が少なくなったかを確認する。
授業方法/Method of instruction
教科書は平易なものを選んだので該当部分を読んでくること。範囲が非常に広範なので、実務に就いてから自分でリサーチをする場合のとっかかりとなる知識の習得に重点を置く。試験は持ち込み自由とし、細かな知識の記憶よりは、授業を通じて商法や有価証券法に固有の法的思考を身につけられたかを問う。
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 80% 期末試験での評価
2 その他 Others 20% 平常授業参加。
教科書/Textbooks
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出版年
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コメント
Comments
1 丸山秀平 商法I 総則・商行為法/手形小切手法[第4版] 新世社 2018 2650 商法が改正されているので、必ず最新版によること。
六法は、スマホやタブレットではなく必ず紙の六法(最新年度のもので判例付でないもの)を持参すること。
参考書/Reference books
 著者名
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タイトル
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出版社
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出版年
Published year
価格
Price
 
1 江頭憲治郎 『商取引法[第7版]』 弘文堂 2013年
2 大垣尚司 『金融から学ぶ会社法入門』 勁草書房 2017年
3 大垣尚司 『電子債権−経済インフラに革命が起きる』 日本経済新聞社 2005年
4 根田正樹・大久保拓也 支払決済の法としくみ 学陽書房 2012 3000
メッセージ/Message
金融や税務の背景知識がないと全体的な理解が難しいリースや匿名組合を用いたファンドなどは、「金融と法」の講義で詳しく扱う。
その他/Others
予習負担は課さないが、授業に出席すること。