講義内容詳細:現代社会の諸問題(個別科目)

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年度/Academic Year 2020
授業科目名/Course Title (Japanese) 現代社会の諸問題(個別科目)
英文科目名/Course Title (English) Problems in Modern Society (Independent Courses)
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 中川 辰洋
英文氏名/Instructor (English) NAKAGAWA, Tatsuhiro

講義概要/Course description
Minority against Media――「ヨーロッパ・メディアは伊藤詩織さん強姦事件をどのように報道したか」ほか

#MeToo 運動を契機にセクシズムやジェンダー差別等への関心がわが国でも高まる中、フリージャーナリストの伊藤詩織さん「強姦事件」をはじめ、女性への性暴力の記事やレポートを目にする機会が多くなった。だが読んでいて「なんだこれは?」と思うことがたびたびある。伊藤沙織さんの事件がその際立った事例であり、本件の加害男性を「容疑者」ではなく、ジャニタレばりのVIP待遇ーーさすがに「やまぐちTBSメンバー」と言うのを憚られたのだろうが、それでも「氏」という敬称付きーーで報道する同業者(この国のメディア関係者)たちに強い憤りを覚えるのは、独り小生だけであろうか? この事件はヨーロッパ各国でも広く報道されたばかりか、この国とは扱いが随分と異なる。例えば、ドイツの有力週刊誌 Der Spiegel は当該容疑者を Noriyuki Yamaguchi と呼び捨てにした。当然至極!

知人のメディア関係者によると、この国ではかの強姦事件でさえ報道されるだけまし、だから「新疆ウイグルの回教徒、ロマ(ジプシー)やロヒンギャなどの少数民族への迫害、さらには中東やアフリカの移民問題は、ニュースの数のすくなさもさることながら突っ込みも足らないなんて野暮天の口上だ」と言う。そのせいだろうか、中国当局によるウイグル族への暴虐ぶりは筆舌に尽くしがたく、独誌 Der Spiegel はこれを「文化的ジェノサイド」と呼ばわったほか、フランスの誇るクォリティペーパー Le Monde は「中国版アパルトヘイト」と口を極めて非難したが、そうした国外メディアの報道を知る人間はこの国ではごく少数派だ。「国際的に関心のある問題」の一つとして日本メディアも「客観報道」を装って一応報道するもその量や頻度、物事の見方や分析力などを考えると、ヨーロッパ・メディアに太刀打ちできるような代物ではない。ただ一つだけ救いを挙げるとすれば、他のアジア諸国のメディアよりは「関心の度合いが高い」ことぐらいである。ジェノサイド、アパルトヘイトといえば「人道に対する罪」であるにもかかわらず、香港問題ともども「中国の内政問題」だと見て見ぬふりを決め込む国がわが国と目と鼻の先にあるのは、まことにもって赦しがたい。これこそは「人道に対する罪」の首謀者を利するあからさまの片棒担ぎであり、その罪は重いと言わなくてはなるまい。

この講義では、マイノリティの現代的諸問題を、ヨーロッパ・メディアはどのような形態、どのような視角から報道したか、そしてその意義はどのようなところにあるかーーなどを、入手可能な記事やレポートを実際に読んで、さまざまの角度から考えることを目標にしている。
達成目標/Course objectives
今日「メディア」と称する組織や機構ははいて捨てるほどあるが、信頼に値するのはさほど多くない。この講義では、ヨーロッパ・メディアの報道記事やレポートを読んで、”Minority” の問題にアプローチしその意味するところを考えていきたい。そのさい、かれらが日本のメディア関係者とどこがどう違うかも、あわせてみていきたい。それはまた、われわれ日本人とわれわれの生きる社会を見つめ直すことでもあり、この講義が最終目標とするものである。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
「講義概要」でふれたテーマに関心のある学生。この講義は現代社会の問題のテーマとする社会科学系の講義であるが、英文テキストを使用することから、英語が不得手の学生には不向きであることをあらかじめ申し添えておきたい。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 第1回 オリエンテーション:本講義のテーマ、目標および講義のあり方について解説。
事前学習/Preparation とくにないが、この講義をつうじて何を勉強したいか考えておくことがのぞましい。
事後学習/Reviewing 講義の要点、問題点の整理。次回使用テキストに一通り目を通す。
2
授業計画/Class 第2回:ヨーロッパ・メディアは伊藤詩織さん強姦事件をどのように報道したか――(1)使用テキスト ”A Rape Case Finally Has Japan Talking about Sexual Assault", Spiegel Online, December 12, 2019.
事前学習/Preparation 課題レポートに一応目を通して内容を確認しておくこと。
事後学習/Reviewing 講義の要点、字句のチェック、問題点の整理。次回使用テキスト(パート)に一通り目を通す。なお、関連する記事を検索してテーマの理解を深める。
3
授業計画/Class 第3回:ヨーロッパ・メディアは伊藤詩織さん強姦事件をどのように報道したか――(2)使用テキスト ”A Rape Case Finally Has Japan Talking about Sexual Assault", Spiegel Online, December 12, 2019.
事前学習/Preparation 課題レポートに一応目を通して内容を確認しておくこと。
事後学習/Reviewing 講義の要点、字句のチェック、問題点の整理。次回使用テキスト(パート)に一通り目を通す。なお、関連する記事を検索してテーマの理解を深める
4
授業計画/Class 第4回:ヨーロッパ・メディアは伊藤詩織さん強姦事件をどのように報道したか――(3・完)使用テキスト ”A Rape Case Finally Has Japan Talking about Sexual Assault", Spiegel Online, December 12, 2019.
事前学習/Preparation 課題レポートに一応目を通して内容を確認しておくこと。
事後学習/Reviewing 講義の要点、字句のチェック、問題点の整理。次回使用テキスト(パート)に一通り目を通す。なお、関連する記事を検索してテーマの理解を深める。また、可能であれば次回講義テキストに一応目を通すこと。
5
授業計画/Class 第5回:BREXIT後のスコットランドの選択。使用テキスト”New Battle over Scottish Independence Has Begun", Financial Times, December 23, 2019. 
事前学習/Preparation 課題レポートに一応目を通して内容を確認しておくこと。
事後学習/Reviewing 講義の要点、字句のチェック、問題点の整理。次回使用テキスト(パート)に一通り目を通す。なお、関連する記事を検索してテーマの理解を深める。また、可能であれば次回講義テキストに一応目を通すこと。
6
授業計画/Class 第6回:ミャンマー最高政治指導者、英メディアにロヒンギャ問題を弁解。使用テキスト、Aung San Suukyi, "Give Myanmar Time to Deliver Justice on War Crimes", Financial Times, January 23, 2020.
事前学習/Preparation 課題レポートに一応目を通して内容を確認しておくこと。
事後学習/Reviewing 講義の要点、字句のチェック、問題点の整理。次回使用テキスト(パート)に一通り目を通す。なお、関連する記事を検索してテーマの理解を深める。また、可能であれば次回講義テキストに一応目を通すこと。
7
授業計画/Class 第7回:中国政府によるウイグル族迫害は「文化的ジェノサイド」(1)。使用テキスト、”China's Oppression of The Uighurs: The Equivalent of Cultural Genocide", Spiegel Online, November 28, 2019.
事前学習/Preparation 講義テキストに一応目を通しておくこと。
事後学習/Reviewing 講義の要点、字句のチェック、問題点の整理。次回使用テキスト(パート)に一通り目を通す。なお、関連する記事を検索してテーマの理解を深める。また、可能であれば次回講義テキストに一応目を通すこと。
8
授業計画/Class 第8回:中国政府によるウイグル族迫害は「文化的ジェノサイド」(2)。使用テキスト”China's Oppression of The Uighurs: The Equivalent of Cultural Genocide", Spiegel Online, November 28, 2019.
事前学習/Preparation 講義テキストに一応目を通しておくこと。
事後学習/Reviewing 講義の要点、字句のチェック、問題点の整理。次回使用テキスト(パート)に一通り目を通す。なお、関連する記事を検索してテーマの理解を深める。また、可能であれば次回講義テキストに一応目を通すこと。
9
授業計画/Class 第9回:ウイグル族を支援するEU(ヨーロッパ連合)。使用テキスト”China’s Uighur Crackdown: The Holocaust Did not Take Place in Onde Day", Spiegel Online, January 3, 2020.
事前学習/Preparation 講義テキストに一応目を通して内容を確認する。
事後学習/Reviewing 講義の要点、字句のチェック、問題点の整理。次回使用テキストに一通り目を通す。
10
授業計画/Class 第10回:ロマ(ジプシー)への偏見はなぜなくならないか?(1) 使用テキスト"Sinti and Roma Youth: The Stereotype Affect Us", Spiegel Online, January 13, 2020.
事前学習/Preparation テキストに一応目を通して内容を確認する。
事後学習/Reviewing 講義の要点、字句のチェック、問題点の整理。次回使用テキスト(パート)に一通り目を通す。
11
授業計画/Class 第11回:第10回:ロマ(ジプシー)への偏見はなぜなくならないか?(2) 使用テキスト"Sinti and Roma Youth: The Stereotype Affect Us", Spiegel Online, January 13, 2020.
事前学習/Preparation テキストに一応目を通して内容を確認する。
事後学習/Reviewing 講義の要点、字句のチェック、問題点の整理。次回使用テキストに一通り目を通す。
12
授業計画/Class 第12回:第11回:第10回:ロマ(ジプシー)への偏見はなぜなくならないか?(3) 使用テキスト"Sinti and Roma Youth: The Stereotype Affects Us", Spiegel Online, January 13, 2020.
事前学習/Preparation テキストに一応目を通して内容を確認する。
事後学習/Reviewing 講義の要点、字句のチェック、問題点の整理。次回使用テキストに一通り目を通す。
13
授業計画/Class 第13回:女性と職業(1)使用テキスト”Fighting for Fairer Access to the Jobs Makets", Financial Times, May 20, 2019.
事前学習/Preparation テキストに一応目を通して内容を確認。
事後学習/Reviewing 講義の要点、字句のチェック、問題点の整理。次回使用テキストに一通り目を通す。
14
授業計画/Class 第14回:第13回:女性と職業(2)使用テキスト"Masters in Management Data Highlights Gendert Pay Gap", Financial Times, October 21, 2019.
事前学習/Preparation テキストに一応目を通して内容を確認する。
事後学習/Reviewing 講義の要点、字句のチェック、問題点の整理。
15
授業計画/Class 第15回:まとめ
事前学習/Preparation これまでの講義内容の整理・確認。
事後学習/Reviewing 講義で興味を持ったテーマについて深く調べてみる。
授業方法/Method of instruction
授業方式は、オンライン授業、使用ツールは Cisco Webex Meeting とする。

講義は毎回リアルタイム方式で行い、テキストの内容の紹介と論点整理を旨とする。また時に応じて関連資料や講義用レジュメ(summary)を「配布」する(CoursePowerに保存、受講生はこれをダウンロードすること)。

講義の注意点として、受講生はテキストに一応目を通し内容を確認しておくこと、また、講義後はその要点を整理・確認して、そこで知り得た事件やエピソード、あるいは人と人とがどのように結びついているか、そしてそれらの後世にあたえた影響を理解することを心がけることが望ましい。

なお、参考図書の紹介や講義中の不明な点や疑問点に関する問い合わせは、講義終了後に行うことを希望する。
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 100% 期末試験による成績評価。試験は講義で取り上げたテキストのなから2問出題、いずれも1500字程度で解答するものとする。なお、毎回出欠を取る愚かしい真似はしないもの、自発的長期欠席者や学業怠慢の受講生を対象とした追試やこれに準ずるレポートの提出といった教育的配慮を欠いた救済措置は一切講じない。
教科書/Textbooks
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1 「授業計画」参照。ただし、世界情勢の変化など映してテキストを差し替える可能性あり。
参考書/Reference books
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1 「授業計画」参照。このほか、講義中に適宜紹介。
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