講義内容詳細:芸術文化論Ⅰ/芸術文化論

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年度/Academic Year 2020
授業科目名/Course Title (Japanese) 芸術文化論Ⅰ/芸術文化論
英文科目名/Course Title (English) Art and Culture Ⅰ/Art and Culture
学期/Semester 前期/通年 単位/Credits 2/4
教員名/Instructor (Japanese) 村島 彩加
英文氏名/Instructor (English) MURASHIMA, Ayaka

講義概要/Course description
本講義では、幕末〜明治中期を生きた歌舞伎の狂言作者・河竹黙阿弥に着目します。

演劇作品は、作者の人生だけではなく、その作品が書かれた時代の世相、舞台機構、同時代を生きた人々の心性などと切り離しては、深く理解することが出来ません。本講義では、幕末〜明治中期という転換期を生きた黙阿弥の人生とその作品に焦点を当て、時代の潮流に則して姿を変えてきた歌舞伎の力強さ、面白さを知ることを第一の目的とします。そして、近世〜近代の演劇のあり方が、今日私たちが楽しんでいる演劇作品やその上演とどのように繋がっているのか、また、何が失われてきたのかを考えることを、第二の目的とします。その作業はひるがえって、日本演劇の現在と、これからのあり方についての考えを深めるためのヒントとなることでしょう。
達成目標/Course objectives
本講義の達成目的は、以下の通りです。
・現在、日本を代表する演劇ジャンルとして広く知られている歌舞伎の歴史について理解を深める。
・特に幕末〜明治中期に目を向け、時代の潮流と共に、歌舞伎がどのように変容したのかを知る。
・上記2点の目的を果した上で、今日私たちが楽しんでいる演劇作品やその上演のあり方について、深く考える契機とする。履
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
特にありません。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 「歌舞伎のいろは」
現在、日本を代表する演劇ジャンルの一つとして知られている歌舞伎の歴史、代表的な演目や現在の興行についてなどの基本事項を学びます。
事前学習/Preparation 初回なので、特に必要なし。
事後学習/Reviewing 授業内容をよく頭に入れておくこと。
2
授業計画/Class 「黙阿弥の生きた時代」
本講義の主人公である河竹黙阿弥とは、どのような時代を生きたのでしょうか。日本史の流れを確認すると共に、同時代にどのような人々がいたのか、また、人々の生活はどのようなものだったのかを見ていきます。
事前学習/Preparation 前回の内容を頭にいれておくこと。
事後学習/Reviewing Couese Powerにアップされた資料を読んでおくこと。
3
授業計画/Class 「江戸の狂言作者・黙阿弥」
いよいよ、河竹黙阿弥の人生に目を向けていきます。江戸時代、黙阿弥はどのようにして狂言作者となったのでしょうか。また、狂言作者とは、どのような仕事をしたのでしょうか。さまざまな資料から、その実態を学びます。
事前学習/Preparation 前回の内容を頭に入れておくこと。
事後学習/Reviewing Couese Powerにアップされた資料を読んでおくこと。
4
授業計画/Class 「江戸から東京へ」
明治維新を迎え、江戸は東京となります。時代が大きく転換する中、黙阿弥は?劇場は?役者たちは?歌舞伎をめぐる環境がどのように変化したのかを学びます。
事前学習/Preparation 前回の内容を頭に入れておくこと。
事後学習/Reviewing Couese Powerにアップされた資料を読んでおくこと。
5
授業計画/Class 「『魁写真鏡俳優画(さきがけしゃしんのやくしゃえ)』ー歌舞伎と新文化の出会いー」
黙阿弥は、新しい時代の文化・風俗を取入れた作品を多く書いたことで知られます。今回の講義では、初めて新時代の文化である「写真」を取入れた作品に着目し、劇界外の人物との交流や、歌舞伎をめぐる文化の変遷について学びます。
事前学習/Preparation 前回の内容を頭に入れておくこと。
事後学習/Reviewing Couese Powerにアップされた資料を読んでおくこと。
6
授業計画/Class 「『東京日新聞(とうきょうにちにちしんぶん)』ー散切物のはじめー」
開化期の風俗を取入れた歌舞伎作品を「散切物」といいます。今回は、黙阿弥初の散切物といわれる『東京日新聞』という作品に着目し、黙阿弥が作品の中で時代とどのように向き合い始めたのかを考えます。
事前学習/Preparation 前回の内容を頭に入れておくこと。
事後学習/Reviewing Couese Powerにアップされた資料を読んでおくこと。
7
授業計画/Class 「『富士額筑波繁山(ふじびたいつくばのしげやま)』」
通称「女書生」と呼ばれたこの作品には、女でありながら男装をして学問に志を持つ繁という女性が登場します。当時の若者たちにとって「学問」とはどのようなものだったのか?という問いを中心に、この作品に描き込まれた様々なキーワードを読み解きます。
事前学習/Preparation 前回の内容を頭に入れておくこと。
事後学習/Reviewing Couese Powerにアップされた資料を読んでおくこと。
8
授業計画/Class 「新富座、新築再開場」
明治前期に歌舞伎興行の中心的存在を果した新富座。明治9年に類焼してからしばらく仮小屋であった同座が、明治11年に新築再開場を果します。その開場式と開場興行は、今後の歌舞伎の劇場・作品のあり方を示すものでした。その内容を確認します。
事前学習/Preparation 前回の内容を頭に入れておくこと。
事後学習/Reviewing Couese Powerにアップされた資料を読んでおくこと。
9
授業計画/Class 「活歴と九代目市川団十郎」
歌舞伎の大名跡として知られる市川団十郎。黙阿弥が明治期に作品を提供したのは九代目に当ります。その団十郎が明治前期に好んで手がけた「活歴」と呼ばれる作品群に着目します。
事前学習/Preparation 前回の内容を頭に入れておくこと。
事後学習/Reviewing Couese Powerにアップされた資料を読んでおくこと。
10
授業計画/Class 「黙阿弥という名前」
明治14年、黙阿弥は劇界からの引退を表明します。その背景を探ります。
事前学習/Preparation 前回の内容を頭に入れておくこと。
事後学習/Reviewing Couese Powerにアップされた資料を読んでおくこと。
11
授業計画/Class 「皿屋敷の系譜1」
女性幽霊が登場し、「一枚、二枚…」とお皿を数える怪談話は、日本各地にその作例が見られると言います。その「皿屋敷伝説」を題材にした歌舞伎作品は江戸時代からあり、明治期には黙阿弥も手がけています。今回は、その作品『新皿屋敷月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ)』に焦点を当て、近世以来の伝説を、黙阿弥がどのように新時代の狂言に取入れたかを考えます。
事前学習/Preparation 前回の内容を頭に入れておくこと。
事後学習/Reviewing Couese Powerにアップされた資料を読んでおくこと。
12
授業計画/Class 「皿屋敷の系譜2」
前回に引き続き、皿屋敷物の作品を取り上げます。黙阿弥の『新皿屋敷月雨暈』は再演を繰り返しますが、次第にその上演場面や、役者や劇評家たちの作品解釈は初演時と異なってきます。その過程を検証します。
事前学習/Preparation 前回の内容を頭に入れておくこと。
事後学習/Reviewing Couese Powerにアップされた資料を読んでおくこと。
13
授業計画/Class 「ターニングポイント・明治20年〜歌舞伎座開場」
明治20年には、後の歌舞伎のあり方を大きく決定付けた「天覧劇」、そして新しいジャンルである「新演劇」の登場がありました。大きなターニングポイントとなった明治20年から、明治22年の歌舞伎座開場までを振り返り、その時黙阿弥はどうしたかを検証します。
事前学習/Preparation 前回の内容を頭に入れておくこと。
事後学習/Reviewing Couese Powerにアップされた資料を読んでおくこと。
14
授業計画/Class 「『風船乗評判高閣(ふうせんのりうわさのたかどの)』ー晩年の黙阿弥ー」
明治24年、黙阿弥は『風船乗評判高閣』という作品を書きます。当時評判となった「風船乗り」を当て込んだ表題の作品を中心に、最晩年の黙阿弥と同時期の劇界に目を向けていきます。
事前学習/Preparation 前回の内容を頭に入れておくこと。
事後学習/Reviewing Couese Powerにアップされた資料を読んでおくこと。
15
授業計画/Class 「黙阿弥の死とその後」
明治26年、黙阿弥は死を迎えます。今回は彼の死と、その後の明治期の歌舞伎の概観を行います。
事前学習/Preparation 前回の内容を頭に入れておくこと。
事後学習/Reviewing Couese Powerにアップされた資料を読んでおくこと。
授業方法/Method of instruction
授業時間内に、オンタイムでオンライン講義を行う。視聴出来なかった学生の為に、講義で用いたPDFをはじめ、復習のための資料をCourse Powerにアップロードするため、同時刻の視聴がかなわなかった場合はそれらに必ず目を通すこと。場合によっては動画をアップロードする可能性もある。
成績評価方法/Evaluation
1 100% Course Powerを用いてのレスポンス、レポート等で評価を成績評価を決定する。
教科書/Textbooks
 コメント
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1 教科書は指定しない。授業で使用した資料がそのまま教科書となるようにする。
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
 
1 神山彰 『近代演劇の来歴ー歌舞伎の一身二生ー』 森話社 2006
2 古井戸秀夫 『歌舞伎入門(岩波ジュニア新書)』 岩波書店 2002
メッセージ/Message
2020年度前半期は、講師も従来経験のないオンライン授業となります。
学生の皆さんも戸惑い・不便を感じることがあるでしょうが、共に学んでいけることを楽しみにしています。
みなさんのオンライン利用状況をふまえつつ、柔軟に対応していけるよう、こちらも努力して参ります。
講義を視聴、もしくは資料を閲覧する際にはいつも「自分がこの時代に生きていたら」という問いを、心のどこかに置いておいていて下さい。教科書的に歴史を通観するのではなく、ぜひ、実感を持って学んで頂けたらと思います。
キーワード/Keywords
歌舞伎     近代日本演劇     河竹黙阿弥