講義内容詳細:アメリカ文学演習Ⅱ(4)/アメリカ文学演習(4)

戻る
年度/Academic Year 2020
授業科目名/Course Title (Japanese) アメリカ文学演習Ⅱ(4)/アメリカ文学演習(4)
英文科目名/Course Title (English) Seminar in American Literature Ⅱ (4)/Seminar in American Literature (4)
学期/Semester 後期/通年 単位/Credits 2/4
教員名/Instructor (Japanese) 西本 あづさ
英文氏名/Instructor (English) NISHIMOTO, Azusa

講義概要/Course description
沈黙を破る──アフリカ系アメリカ人女性作家たちの声

 バラク・オバマ政権時代、ミシェル・オバマがさまざまな場面で新しいファースト・レディ像を発信した姿は、今も私たちの記憶に鮮明に残っている。文学の分野でも、1993年にノーベル文学賞を受賞し2019年88歳で没したトニ・モリスンは、現代アメリカ文学を代表する作家の一人と位置づけられている。今日、私たちは様々な分野で活躍するアフリカ系の女性たちの姿を目にするようになった。だが、アメリカ合衆国の歴史を振り返れば、彼女らの活躍の背後には、長らく人種と性の二重の差別によって社会の最底辺に位置づけられ、「この世の騾馬」とも形容されてきた黒い肌の女たちの苦難と闘いの歴史がある。
 この演習では、合衆国の社会史、文化史の中にアフリカ系アメリカ人女性の体験を位置づけながら、声を奪われ人間性を否定された人々が沈黙を破り自らの経験を語る主体となることで人間としての尊厳を証言してきた過程を辿り、彼女たちが残した声に耳を傾ける。
 [2]では1920年代を中心とするハーレム・ルネサンスと呼ばれる時代が生んだ作家Zora Neale Hurstonから始め、前期に読んだ19世紀の作家たちと比較するとともに、1970年以降のアフリカ系アメリカ文学の第二のルネサンスとも呼ばれる時代の作家たちへと、沈黙を破る声の系譜がどのように引き継がれていくかを考察する。Toni MorrisonやAlice Walkerのような公民権運動後の時代を代表する作家に加えて、バルバドス系の先駆的作家Paule Marshallやブラック・レズビアンとして声を上げたAudre Lordeなどを取り上げる予定である。
 文学テクストを通して、合衆国でアフリカ系の女性たちを取り巻く歴史的、社会的、文化的背景について理解を深めると同時に、沈黙を強いられる環境の下で彼女たちそれぞれが声を上げる契機やその際に選んだ戦略などを分析しながら、そこにこめられたメッセージを読み解いていく。さらに、アメリカ合衆国における人種とジェンダーをめぐる問題について理解と思考を深める。
 一年を通じて知識を蓄積し議論を深めていくことを目指すので、通年で履修することが望ましい。




達成目標/Course objectives
 19世紀~20世紀のアフリカ系の女性たちが書き残した小説やエッセーなどを精読することを通じて、複雑な歴史的・社会的・文化的背景を担った英文テクストを読み解く力をつける。
 アフリカ系アメリカ文学・文化についての知識と理解を深める。
 合衆国史におけるアフリカ系の女性たちの経験ついての知識と理解を深める。
 合衆国における人種とジェンダーをめぐる問題について理解と思考を深める。
 
 
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class イントロダクション ~ ハーレム・ルネサンス期の女性作家たち
事前学習/Preparation 前期の授業内容を振り返っておく
指定された部分のテクストを精読し疑問点やクラスのディスカッションで提起する問題点を明確にしておく
事後学習/Reviewing 授業を踏まえてテクストを再読する
2
授業計画/Class Zora Neal Hurston:「私は悲劇的に黒人であるわけではない」①
事前学習/Preparation 指定された部分のテクストを精読し疑問点やクラスのディスカッションで提起する問題点を明確にしておく
事後学習/Reviewing 授業を踏まえてテクストを再読する
3
授業計画/Class Zora Neal Hurston:「私は悲劇的に黒人であるわけではない」②
事前学習/Preparation 指定された部分のテクストを精読し疑問点やクラスのディスカッションで提起する問題点を明確にしておく
事後学習/Reviewing 授業を踏まえてテクストを再読する
4
授業計画/Class Their Eyes Were Watching God──黒人女性が語る声①
事前学習/Preparation 指定された部分のテクストを精読し疑問点やクラスのディスカッションで提起する問題点を明確にしておく
事後学習/Reviewing 授業を踏まえてテクストを再読する
5
授業計画/Class Their Eyes Were Watching God──黒人女性が語る声②
事前学習/Preparation 指定された部分のテクストを精読し疑問点やクラスのディスカッションで提起する問題点を明確にしておく
事後学習/Reviewing 授業を踏まえてテクストを再読する
6
授業計画/Class The Bluest Eye──Toni Morrison文学の原点①
事前学習/Preparation 指定された部分のテクストを精読し疑問点やクラスのディスカッションで提起する問題点を明確にしておく
事後学習/Reviewing 授業を踏まえてテクストを再読する
7
授業計画/Class The Bluest Eye──Toni Morrison文学の原点②
事前学習/Preparation 指定された部分のテクストを精読し疑問点やクラスのディスカッションで提起する問題点を明確にしておく
事後学習/Reviewing 授業を踏まえてテクストを再読する
8
授業計画/Class Alice Walker, ”Beauty: When the Other Dancer Is the Self"──自分自身を愛すること①
事前学習/Preparation 指定された部分のテクストを精読し疑問点やクラスのディスカッションで提起する問題点を明確にしておく
事後学習/Reviewing 授業を踏まえてテクストを再読する
9
授業計画/Class Alice Walker, ”Beauty: When the Other Dancer Is the Self"──自分自身を愛すること②
事前学習/Preparation 指定された部分のテクストを精読し疑問点やクラスのディスカッションで提起する問題点を明確にしておく
事後学習/Reviewing 授業を踏まえてテクストを再読する
10
授業計画/Class The Color Purple──Alice Walkerのウーマニズム
事前学習/Preparation 指定された部分のテクストを精読し疑問点やクラスのディスカッションで提起する問題点を明確にしておく
事後学習/Reviewing 授業を踏まえてテクストを再読する
11
授業計画/Class ”From the Poets in the Kitchen"──バルバドス系作家Paule Marshallの文学の起源
事前学習/Preparation 指定された部分のテクストを精読し疑問点やクラスのディスカッションで提起する問題点を明確にしておく
事後学習/Reviewing 授業を踏まえてテクストを再読する
12
授業計画/Class I Am Your Sister──ブラック・レズビアンの詩人Audre Lorde
事前学習/Preparation 指定された部分のテクストを精読し疑問点やクラスのディスカッションで提起する問題点を明確にしておく
事後学習/Reviewing 授業を踏まえてテクストを再読する
13
授業計画/Class Beloved──民族の歴史の語り部Morrison①
事前学習/Preparation 指定された部分のテクストを精読し疑問点やクラスのディスカッションで提起する問題点を明確にしておく
事後学習/Reviewing 授業を踏まえてテクストを再読する
14
授業計画/Class Beloved──民族の歴史の語り部Morrison②
事前学習/Preparation 指定された部分のテクストを精読し疑問点やクラスのディスカッションで提起する問題点を明確にしておく
事後学習/Reviewing 授業を踏まえてテクストを再読する
15
授業計画/Class 後期のまとめ
事前学習/Preparation 後期あつかったテクストと論点を整理し自分の疑問や意見を明確にしておく

事後学習/Reviewing 後期レポートを執筆する
授業方法/Method of instruction
Webex MeetingとWebex Teamsを併用しながらリアルタイム授業を行います。グループ発表や、グループおよびクラス全体でのディスカッションを中心とした学生主体の授業となります。なお、初回の授業までにCourse Powerを通してMeeting情報を公開しますので、初日からWebex Meetingに集まってください。教材テクストや発表者のレジュメ等の配布もCourse Powerを通して行います。
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 40% グループ発表の内容、および、クラス全体とグループでのディスカッションへの貢献度を評価します。

2 レポート Report 60% 期末レポートで評価します。
教科書/Textbooks
 コメント
Comments
1 プリント教材を配布する
参考書/Reference books
 コメント
Comments
 
1 教室で適宜指示する
メッセージ/Message
学生主体の授業形態のため、やる気のある積極的な学生を求めます。
その他/Others
毎週の予習と授業への出席は前提条件となります。その上で、授業中のグループでのプレゼンテーションや、グループおよびクラス全体でのディスカッションへの積極的な参加を通して知識と思考を深め、最終的に学期全体の学びの集大成として期末レポートを仕上げてもらいます。