講義内容詳細:東洋史特講(9)

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年度/Academic Year 2020
授業科目名/Course Title (Japanese) 東洋史特講(9)
英文科目名/Course Title (English) Lecture on Oriental History (9)
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 渡部 良子
英文氏名/Instructor (English) WATABE, Ryouko

講義概要/Course description
「文書が映す西アジア・イスラーム社会の歴史」

歴史研究の最も重要な史料の一つが,古文書です。文書史料はその時代のミクロでリアルタイムの情報を伝える貴重な史料であるとともに,その類型や形式・作成方法そのものに,文書が作られた社会の制度・文化が反映されています。本講義は,歴史学の技術としての古文書学の基礎を学びつつ,イスラーム期西アジアにはどのような古文書史料が残されてきたのか,その形式や機能からどのような社会・文化のありかたを読み解くことができるか,アラビア語の影響下で発達したペルシア語の文書を題材に考えていきます。
達成目標/Course objectives
・歴史学の基礎的手法である古文書学の入門的知識を身につける。

・イスラーム期西アジア史研究における古文書史料について知り,西アジア・イスラーム社会の言語文化・行政制度・法制度の歴史を古文書史料を通して学ぶ。

・イスラーム社会で培われた政治の秩序や,イスラーム法の社会における役割など,現代のイスラーム圏の政治・社会を理解する手がかりを歴史の観点から考察できる力を身につける。


履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
高校の世界史の授業や西アジア史関連の講義を受けていなくても履修可能です(本年度開講「史学特講B(1)(2)」「東洋史特講(7)(8)」を履修する人は,歴史的背景がより良く理解できるでしょう)。日本史・他アジア地域史・ヨーロッパ史で古文書学・文書史料に関心を持っている人にも受講も勧めます。


授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class イントロダクション:古文書学と西アジアの古文書史料(自己学習型とリアルタイム型授業)
1時30分からガイダンスと導入をWebexによるリアルタイム型授業で行います(ミーティングリンクは事前にCourse Powerで発表します)。
事前学習/Preparation Course Powerで事前に配布する資料教材をダウンロードして予習し,設問の解答を考えておく(授業で解答を示します)。文書研究について自分がどのような関心を持っているか,考えてくる(授業後にアンケートに答えてもらう予定です)。
事後学習/Reviewing 今後の授業計画をよく確認する。期限(翌日)までに理解度確認キーワードテストに回答し,分からなかった箇所は公開される正解をもとに資料教材でよく復習する(第2回以降の受講方法を練習・確認する)。
2
授業計画/Class イスラームの成立とアラビア語文書の登場(自己学習型とリアルタイム型授業)
事前学習/Preparation Course Powerで事前に配布する資料教材をダウンロードして予習し,設問の解答を考えて授業に備える。
事後学習/Reviewing 期限までに理解度確認キーワードテストに回答し,分からなかった箇所は公開される正解をもとに資料教材でよく復習する。
3
授業計画/Class アッバース朝の繁栄とアラビア語文化の発達・イスラーム文書史料諸類型の形成(自己学習型とリアルタイム型授業)
事前学習/Preparation Course Powerの資料教材をダウンロードして予習し,設問の解答を考えて授業に備える。
事後学習/Reviewing 期限までに理解度確認キーワードテストに回答し,分からなかった箇所は公開される正解をもとに資料教材でよく復習する。
4
授業計画/Class イラン高原のイスラーム王朝の登場・ペルシア語文化の発達(自己学習型とリアルタイム型授業)
事前学習/Preparation Course Powerの資料教材をダウンロードして予習し,設問の解答を考えて授業に備える。
事後学習/Reviewing 期限までに理解度確認キーワードテストに回答し,分からなかった箇所は公開される正解をもとに資料教材でよく復習する。
5
授業計画/Class 行政文書(1):文書庁の役割と行政文書の諸類型(自己学習型とリアルタイム型授業)
事前学習/Preparation Course Powerの資料教材をダウンロードして予習し,設問の解答を考えて授業に備える。
事後学習/Reviewing 期限までに理解度確認キーワードテストに回答し,分からなかった箇所は公開される正解をもとに資料教材でよく復習する。
6
授業計画/Class 行政文書(2):勅令形式が示す王権の秩序(自己学習型とリアルタイム型授業)
事前学習/Preparation Course Powerの資料教材をダウンロードして予習し,設問の解答を考えて授業に備える。
事後学習/Reviewing 期限までに理解度確認キーワードテストに回答し,分からなかった箇所は公開される正解をもとに資料教材でよく復習する。
7
授業計画/Class 行政文書(3):ペルシア語勅令形式の発展と王権表象の変容(自己学習型とリアルタイム型授業)
事前学習/Preparation Course Powerの資料教材をダウンロードして予習し,設問の解答を考えて授業に備える。
事後学習/Reviewing 期限までに理解度確認キーワードテストに回答し,分からなかった箇所は公開される正解をもとに資料教材でよく復習する。
8
授業計画/Class 1〜7回の振り返りと研究実践(自己学習型授業)
事前学習/Preparation Course Power1〜7回の学修内容(古文書学基礎・イスラーム期西アジアの文書史料類型・行政文書)に関する研究実践課題(選択型)が公開される。自分が特に関心を持った課題を選び取り組む。
事後学習/Reviewing フィードバックに基づき,自分の学修成果を確認する。
9
授業計画/Class イスラーム法文書(1):イスラーム法廷の役割と法文書の諸類型(自己学習型とリアルタイム型授業)
事前学習/Preparation Course Powerの資料教材をダウンロードして予習し,設問の解答を考えて授業に備える。
事後学習/Reviewing 期限までに理解度確認キーワードテストに回答し,分からなかった箇所は公開される正解をもとに資料教材でよく復習する。
10
授業計画/Class 文書(2):法文書が映す人々の生活(1)〜婚姻契約(自己学習型とリアルタイム型授業)
事前学習/Preparation Course Powerの資料教材をダウンロードして予習し,設問の解答を考えて授業に備える。
事後学習/Reviewing 期限までに理解度確認キーワードテストに回答し,分からなかった箇所は公開される正解をもとに資料教材でよく復習する。
11
授業計画/Class イスラーム法文書(3):法文書が映す人々の生活(2)〜売買契約(自己学習型とリアルタイム型授業)
事前学習/Preparation Course Powerの資料教材をダウンロードして予習し,設問の解答を考えて授業に備える。
事後学習/Reviewing 期限までに理解度確認キーワードテストに回答し,分からなかった箇所は公開される正解をもとに資料教材でよく復習する。
12
授業計画/Class ワクフ(寄進)文書(1):イスラーム社会における寄進の役割(自己学習型とリアルタイム型授業)
事前学習/Preparation Course Powerの資料教材をダウンロードして予習し,設問の解答を考えて授業に備える。
事後学習/Reviewing 期限までに理解度確認キーワードテストに回答し,分からなかった箇所は公開される正解をもとに資料教材でよく復習する。
13
授業計画/Class ワクフ(寄進)文書(2):寄進をめぐる社会の営み〜イスラーム聖者廟への慈善ワクフ(自己学習型とリアルタイム型授業)
事前学習/Preparation Course Powerの資料教材をダウンロードして予習し,設問の解答を考えて授業に備える。
事後学習/Reviewing 期限までに理解度確認キーワードテストに回答し,分からなかった箇所は公開される正解をもとに資料教材でよく復習する。
14
授業計画/Class ワクフ(寄進)文書(3):寄進をめぐる社会の営み〜権力者の慈善施設設立と家族ワクフ(自己学習型とリアルタイム型授業)
事前学習/Preparation Course Powerの資料教材をダウンロードして予習し,設問の解答を考えて授業に備える。
事後学習/Reviewing 期限までに理解度確認キーワードテストに回答し,分からなかった箇所は公開される正解をもとに資料教材でよく復習する。
15
授業計画/Class 914回の振り返りと研究実践(自己学習型授業)
事前学習/Preparation Course Power914回の学修内容(イスラーム法文書・寄進文書)に関する研究実践課題(選択型)が公開される。自分が特に関心を持った課題を選び取り組む。
事後学習/Reviewing 課題と本講義全体に関するフィードバックに基づき,本講義での自分の学修成果を確認する。
授業方法/Method of instruction
本講義は,自己学習型授業とWebexによるリアルタイム型授業を組み合わせた形で行うオンライン授業です。各回の授業の流れは,以下のように予定しています。
・Course Powerに設置された各回の授業フォルダで,資料教材(PDFファイル形式)が授業日1週間前から配布されます。教材をダウンロードしてよく予習・自己学習し,その回のポイントに関わる設問に自分の回答を用意しておきます。
・授業日・授業時間は,Webexによるリアルタイム型授業を開催します。開始時刻とミーティングリンクは,毎回Course Powerで告知します。リアルタイム型による講義内容は受講者の自己学習による予習を前提に,その回のポイントに焦点を当てたものになります(自己学習と質問の時間を取るため,毎回の講義は60分以内を目安とします)。
・授業後,Course Powerでその回の理解度確認キーワードテストが公開されます。期限(翌日)までにそれに回答するとともに,自己学習と講義受講を踏まえた質問を,受講コメントとして提出して下さい。質問へのフィードバックは後の回で行われます。
・第8回と第15回では,振り返りのための研究実践課題(選択式)に取り組んでもらいます。Course Powerで配布される複数の資料・課題テーマから自分が関心を持つものを選んで取り組み,指定期日までに提出します(詳細はCourse Powerで告知します)。
 授業方法は以上の通りを予定していますが,リアルタイム型授業に関しては,受講者の受講態勢も考慮し,相談しながら改善を加えていく可能性もあります。教師と学生で協力し,より充実した授業を作り上げていきましょう。
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 60% 27回,第914回(全12回)の講義で行う理解度確認キーワードテストと質問で,理解度を評価します。
2 試験 Exam 40% 8回,第152回の振り返りの研究実践課題を課します(配点各20点)。
教科書/Textbooks
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1 指定する教科書はありません。毎回配布する講義資料に基づき講義を行います。
参考書/Reference books
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1 毎回テーマに即した参考文献を紹介します。
メッセージ/Message
ペルシア語文書(日本語訳)という史料を読むことを通して,一次史料に基づき過去の社会・文化を再構成する歴史研究の営みとはいかなるものかを体験してもらいたいと思います。西アジア・イスラーム社会の文化・制度をどのように史料から明らかにしていくことが可能か,文書の類型や形式にはイスラーム社会の特色が反映されてくるのか(日本やヨーロッパとどのような違い・共通点が見いだせるか),1枚の文書から広がっていく歴史学のおもしろさを追求していきましょう。
キーワード/Keywords
西アジア     中東     イラン     歴史     古文書     行政文書     法文書     イスラーム     アラビア語     ペルシア語