講義内容詳細:地域政策論

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年度/Academic Year 2020
授業科目名/Course Title (Japanese) 地域政策論
英文科目名/Course Title (English) Regional Policy
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 須田 昌弥
英文氏名/Instructor (English) SUDA, Masaya

講義概要/Course description
地域経済学の知識を前提に、今日の日本におけるより具体的な「地域の問題」を、政策との関連で検討する。戦後日本における地域政策の流れを概観した後、「地域の活性化」から始まり「国土の均衡ある発展」に至る地域政策上の課題を検討する。地域政策は経済学の知見を適切に反映したものとは限らず、しばしば政治的な思惑によって歪められてきた面もあった。そのことも直視して、政策を批判的に検討していきたい。
当面はWebexを使用したオンライン講義の形態をとるが、漫然と資料を眺めるだけでは得るところ(「単位」を含む)は少ない。本講義においては、無味乾燥な知識の「記憶」よりも、知識の現実への「応用」能力を高く評価する方針である。講義中、適宜課題を出す(日時・回数は未定)ほか、慣れてきたら適宜指名して解答を求めることがある。そのほとんどは皆さんの日常の経験・知識に基づけば解答可能であるので、憶することなく答えてもらいたい。
達成目標/Course objectives
地域政策について、各自の見解を持つために必要な知識と考え方を身に付ける
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
履修に際しては地域経済学Iの内容を理解していることが前提である。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class オリエンテーション
事前学習/Preparation このシラバスにあらかじめ目を通しておく。
事後学習/Reviewing 「地域政策」と「地域経済学」の関連について確認しておく。
2
授業計画/Class 地域政策の体系:理論的根拠と法規上の位置付け
事前学習/Preparation 「地域政策」の根拠を、経済学の「市場の失敗」の文脈で確認しておく。
事後学習/Reviewing 「国土総合開発法」から「国土形成計画法」への改正がなぜなされたのかを説明できるようにする。
3
授業計画/Class 地域政策の流れ(1):全総と新全総
事前学習/Preparation 高度経済成長期の日本経済の動向を確認しておく。
事後学習/Reviewing 全総と新全総では、何が目標とされ、それがどこまで実現したか、何が実現しなかったのかをまとめておく。
4
授業計画/Class 地域政策の流れ(2):三全総からグランドデザインまで
事前学習/Preparation 1980〜1990年代の日本経済の動向を確認しておく。
事後学習/Reviewing 「全国総合開発計画」という政策スタイルが、既にこの時代には合わなくなってきている点を整理する。
その上で、これらの全総計画が目指したものとその結末をまとめておく。
5
授業計画/Class 地域政策の流れ(3):国土形成計画
事前学習/Preparation 国土形成計画が、従来の全総計画とどこが異なるのかを確認しておく。
事後学習/Reviewing 現行の国土形成計画が、どこまで現状の改善に寄与しているかを考察する。
6
授業計画/Class 「地域活性化」について(1)
事前学習/Preparation 地域経済学Ⅰの、集積の経済に関するところをあらかじめ理解しておく。
事後学習/Reviewing 地方と東京の「違い」を明確に示してみる。
7
授業計画/Class 「地域活性化」について(2):地方分権と地域活性化
事前学習/Preparation 「一村一品運動」、地方交付税交付金などについて調べておく。
事後学習/Reviewing 今日の日本において、地域の活性化に何を期待すべきか、自らの見解をまとめる。
8
授業計画/Class 東京一極集中について
事前学習/Preparation 今日の日本において、東京一極集中は何をもたらしているか整理する。
事後学習/Reviewing 東京一極集中を是正するとすれば、どのような方策が考えられるか説明する。
9
授業計画/Class 地域間格差と補助(1):公共事業の政治経済学
事前学習/Preparation マクロ経済学の「乗数効果」について復習しておく。
事後学習/Reviewing 地域間格差を是正することは、どのような問題をもたらすことなのかまとめてみる。
10
授業計画/Class 地域間格差と補助(2):補助の総額を減らすには
事前学習/Preparation 公共財供給における「フリーライダー」問題について調べておく。
事後学習/Reviewing PFIなどの制度が今後より利用されるようになるには何が必要か考える。
11
授業計画/Class 交通インフラ整備(1):財源をどうするか
事前学習/Preparation 前回の講義内容を復習しておく。
事後学習/Reviewing インフラ整備費用を利用者負担に委ねることのメリットとデメリットを整理する。
12
授業計画/Class 交通インフラ整備(2):地域に何をもたらすか
事前学習/Preparation 新幹線や高速道路の開業が、地域に何をもたらしているかを調べてみる。
事後学習/Reviewing 「新幹線」が、なぜ今なお多くの地域で待望されているのかを考える。
13
授業計画/Class ICTと地域
事前学習/Preparation 「電話」と「インターネット」の違いを整理しておく。
事後学習/Reviewing ICT技術の発展が、地域に何をもたらすのかまとめてみる。
14
授業計画/Class 「国土の均衡ある発展」について(1)
事前学習/Preparation 「国土の均衡ある発展」とはどのような発展なのか考えてみる。
事後学習/Reviewing 「地域を豊かにする」ことと、「地域間格差を是正すること」がしばしば両立しない理由を検討する。

15
授業計画/Class 「国土の均衡ある発展」について(2)
事前学習/Preparation 前回の講義内容を復習し、「国土の均衡ある発展」が何をもたらしてきたかを整理する。
事後学習/Reviewing これからの地域政策はどのようなものであるべきか、自分の見解をまとめる。
授業方法/Method of instruction
第2回以降の講義ではプリントを事前にコースパワーに上げておく。
テキストは特に指定しないが、参考書の1.は受講者全員が読んでいることを前提に講義を行う。
成績評価方法/Evaluation
1 100% 講義中に適宜課題を出し(日時・回数は未定)、次週までにコースパワー経由で解凍してもらう。その点数の合計によって成績評価を行う。なお、課題については講義中に何らかの解説を行いたい。
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
価格
Price
コメント
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1 山田浩之・徳岡一幸編 『地域経済学入門[第3版]』 有斐閣 2018年 ¥2,500+税 その他の参考文献は講義中に指示する。
2 山﨑 朗ほか 『地域政策』 中央経済社 2016年 ¥2,400+税
メッセージ/Message
講義内容に関して質問のある者はアドレス:msuda@econ.aoyama.ac.jpまで連絡をとること。
その他/Others
後期の「地域経済学II」との連続性にも配慮したい。