講義内容詳細:国際人権法/EU法

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年度/Academic Year 2020
授業科目名/Course Title (Japanese) 国際人権法/EU法
英文科目名/Course Title (English) International Human Rights Law/EU Law
学期/Semester 後期/通年 単位/Credits 2/4
教員名/Instructor (Japanese) 申 惠手
英文氏名/Instructor (English) SHIN Hae Bong

講義概要/Course description
今日、国際人権法は、人権に関する国際基準として広く用いられる(国の義務というだけでなく、「ビジネスと人権」という文脈や、オリンピック憲章などにおいても)ほか、憲法などの国内法を補完するものとして国内でも重要な役割を果たしている。日本も、国連で作られた人権条約(国際人権規約、女性差別撤廃条約など)の多くを批准しており、そのための国内法整備(国内法の制定や改廃)は日本の法制度に大きな影響を与えているし、裁判で国際人権法が援用されることもある。他方で、国内法整備が不十分な点はまだ残っているし、国籍にかかわらず国の管轄下にあるすべての人の人権を保護する国際人権法の観点からすれば、例えば技能実習生や、入国管理局の収容施設に長期間収容されている人の人権など、外国人の人権状況には大きな問題がある。
この授業では、このような問題を含め、日本はもちろん広く世界に視野を広げて、様々な人権問題が国際人権法の観点から検討され国内法制の改善が議論されている状況について、具体的に取り上げて考えていく。細かな知識を身につけることよりも、実際に論点となっている事柄について自分自身で考え、それを発展させることが重要であるので、授業では、その時々の時事問題に関連する論点の検討や、ディスカッションも適宜取り入れる。
達成目標/Course objectives
国内外で実際に起きている人権問題に関連する様々な論点をめぐり、憲法はもちろん国際的な基準に照らしてどのように考えるべきか、その判断に至るにはどのような要素を考慮すべきかといったことを、自分で筋道を立てて考え、論じることができる基礎的な素養を身につけることである。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
入学年度によって履修条件が異なるので、自身の入学した年度の授業要覧を確認すること。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class オリエンテーション/国際人権法の概要
事前学習/Preparation 社会で生起している様々な人権問題について、普段から、本や新聞、映画などにふれ、自分なりに問題意識を養っておく
事後学習/Reviewing 授業で扱った事柄について、配布資料も読みながら考えを深めておく
2
授業計画/Class 外国人の人権(1)人権条約と入管法
事前学習/Preparation 外国人の人権に関するマクリーン事件最高裁判決を読んでおく
事後学習/Reviewing 授業で扱った事柄について、配布資料も読みながら考えを深めておく
3
授業計画/Class 外国人の人権(2)難民認定・収容
事前学習/Preparation 日本は難民を受け入れているか調べておく
事後学習/Reviewing 授業で扱った事柄について、配布資料も読みながら考えを深めておく
4
授業計画/Class 外国人の人権(3)退去強制と家族
事前学習/Preparation 家族が保護を受ける権利や子どもの権利に関する人権条約の規定を見ておく
事後学習/Reviewing 授業で扱った事柄について、配布資料も読みながら考えを深めておく
5
授業計画/Class 人種差別の撤廃(1)社会生活上の差別
事前学習/Preparation 小樽市入浴拒否事件について調べておく
事後学習/Reviewing 授業で扱った事柄について、配布資料も読みながら考えを深めておく
6
授業計画/Class 人種差別の撤廃(2)ヘイトスピーチ
事前学習/Preparation 人種差別撤廃条約の規定(特に1条、2条、4条、6条)を読んでおく
事後学習/Reviewing 授業で扱った事柄について、配布資料も読みながら考えを深めておく
7
授業計画/Class 人種差別の撤廃(3)日本法による対応の是非
事前学習/Preparation ヘイトスピーチ解消法の規定を六法で読んでおく
事後学習/Reviewing 授業で扱った事柄について、配布資料も読みながら考えを深めておく
8
授業計画/Class 女性差別の撤廃(1)性別役割分担思想の弊害
事前学習/Preparation 女性差別撤廃条約の前文を読んでおく
事後学習/Reviewing 授業で扱った事柄について、配布資料も読みながら考えを深めておく
9
授業計画/Class 女性差別の撤廃(2)性暴力・セクハラ
事前学習/Preparation 女性差別撤廃条約1条を読んでおく
事後学習/Reviewing 授業で扱った事柄について、配布資料も読みながら考えを深めておく
10
授業計画/Class 女性差別の撤廃(3)日本法とその解釈・適用における課題
事前学習/Preparation 性暴力に関する刑法の規定(強制性交罪、準強制性交罪など)を読んでおく
事後学習/Reviewing 授業で扱った事柄について、配布資料も読みながら考えを深めておく
11
授業計画/Class 障害者の権利―障害者権利条約を国内法制の変革に活かす(1)
事前学習/Preparation 障害者権利条約に目を通しておく
事後学習/Reviewing 授業で扱った事柄について、配布資料も読みながら考えを深めておく
12
授業計画/Class 障害者の権利―障害者権利条約を国内法制の変革に活かす(2)
事前学習/Preparation 前回同様
事後学習/Reviewing 授業で扱った事柄について、配布資料も読みながら考えを深めておく
13
授業計画/Class 子どもの権利(1)子どもの虐待防止
事前学習/Preparation 子どもの権利条約に目を通しておく
事後学習/Reviewing 授業で扱った事柄について、配布資料も読みながら考えを深めておく
14
授業計画/Class 子どもの人権(2)子どもの権利と予算
事前学習/Preparation 前回同様
事後学習/Reviewing 授業で扱った事柄について、配布資料も読みながら考えを深めておく
15
授業計画/Class 人権法と国内人権機関の意義
事前学習/Preparation これまでの授業で扱った、日本における国際人権法の実施状況を振り返っておく
事後学習/Reviewing 授業を通して深めた国際人権法の知見を、今後の勉強に活かしていく
授業方法/Method of instruction
Webex又はZoomを用いたリアルタイム型オンライン授業とする。
なお、授業で取り上げる内容や順序は一応の予定であり、受講生の関心や時間配分に応じて変更する場合がある。
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 100% 平常授業時に、テーマについて設定した論点をめぐって意見交換やディスカッションを行い、それによって考えを深めた上で、その論点について小テストを行う。小テストでは、配布資料や自分のノートを見ながら論述してよい。成績評価は、小テストの平均点によって行う。
教科書/Textbooks
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1 申惠丰 国際人権入門―現場から考える 岩波書店 2020 800 岩波新書
参考書/Reference books
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価格
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1 申惠丰 友だちを助けるための国際人権法入門 影書房 2020 1900
その他/Others
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