講義内容詳細:商法D/商法(保険法)

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年度/Academic Year 2020
授業科目名/Course Title (Japanese) 商法D/商法(保険法)
英文科目名/Course Title (English) Commercial Law D/Commercial Law (Insurance Law)
学期/Semester 前期 単位/Credits 4
教員名/Instructor (Japanese) 山下 典孝
英文氏名/Instructor (English) YAMASHITA, Noritaka

講義概要/Course description
   我々は日常生活を行っている際に様々なリスクに遭遇する。そのリスクを回避する最たる制度として保険というものがある。我々の生活にとってなくてはならない存在となっている保険制度について法規制を行っている保険法の検討を行う。保険法という場合に、大きな意味では、保険を引き受ける保険事業者の監督規制を中心とする保険業法と、保険契約者と保険者との間で締結される保険契約に関する法規制を行う保険契約法を含めるが、本講義では、保険契約法を中心に講義を進めることになる。なお、わが国は、保険契約法を規律する法律の名称は、「保険法」となっている。保険法は民法の特別法というのが立案担当者の考え方である。
  なお、この授業で取り扱うのは、損害保険会社、生命保険会社、民間の共済事業者、少額短期保険事業者が引受を行っている保険契約である。国や地方公共団体が社会保障政策の一環として運営している健康保険、失業保険はこの授業の対象外である。別途、社会保障法の授業で取り扱うことになるので、そちらで勉強頂きたい。
達成目標/Course objectives
 保険の技術的な特色から通常の契約とは異なる法理が支配する。このような技術的な特色を理解してもらうことが第一の目的である。
 次に、保険契約の射倖契約性から、保険制度を悪用する者が後を絶たなく、保険金不正取得を阻むために、様々な法理が考えられてきた。これらのモラル・リスク対策に関する法理を理解することが第二の目的である。
 最終目的として、授業で取り扱った各テーマの基本的な事項について他者に対して適切に説明できることを目的とする。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
入学年度によって履修条件が異なりますので、自身の入学した年度の授業要覧を確認してください。自身が入学した年度の授業要覧で履修又は同時履修が求められている民事法関連科目以外でも、民事法関連科目を履修又は同時履修しておくことが望ましい。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class ガイダンス、保険制度総論、保険法と保険業法の違い、保険法における保険契約の分類、各保険契約における給付要件、当事者と関係者、
事前学習/Preparation 私的所有制度、過失責任主義、国の福祉制度の現実問題等について事前に知識を確認しておいて下さい。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
2
授業計画/Class 片面的強行規定の導入とその解釈、保険契約成立に至る過程、保険募集に関する監督規制
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
3
授業計画/Class 告知義務制度(1)
 概要、告知義務者、告知の相手方、告知事項等、保険媒介者による告知妨害等
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
4
授業計画/Class 告知義務制度(2)
 告知義務違反の効果、因果関係不存在特則、民法の意思表示の瑕疵との関係
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
5
授業計画/Class 保険料支払義務、保険料可分の原則、保険料の返還、保険料不払いによる契約解除、失効と復活
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
6
授業計画/Class 遡及保険、承諾前死亡
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
7
授業計画/Class 危険増加による契約解除、危険の著しい減少
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
8
授業計画/Class 重大事由による契約解除、不実申告に関する問題、任意解除、保険事故の通知義務・説明義務
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
9
授業計画/Class 保険給付の履行期、保険給付請求権の消滅時効
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
10
授業計画/Class 損害保険契約の種類、内容、損害保険契約の成立と効力、被保険利益、保険価格、全部保険、一部保険、超過保険
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
11
授業計画/Class 第三者のためにする損害保険契約、超過保険に関する規制、保険価額の減少
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
12
授業計画/Class 損害防止義務、損害額の算定、一部保険の取扱、重複保険の取扱、
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
13
授業計画/Class 保険代位(残存物代位、請求権代位)
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
14
授業計画/Class 火災保険契約、責任保険契約、直接請求権、損害賠償請求権者による特別の先取特権
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
15
授業計画/Class 火災保険、自動車保険、責任保険概論
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
16
授業計画/Class 損害賠償請求権者による特別の先取特権、直接請求権、示談代行、弁護士費用保険
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
17
授業計画/Class 専門家賠償責任保険、損害保険契約における保険者免責(1)
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
18
授業計画/Class 損害保険契約における保険者の免責(2)、片面的強行規定の適用除外
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
19
授業計画/Class 地震保険、再保険制度
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
20
授業計画/Class 生命保険契約の種類、他人の生命の保険契約、被保険者同意、被保険者による解除請求
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
21
授業計画/Class 他人のためにする生命保険契約、保険金受取人の変更(1)
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
22
授業計画/Class 保険金受取人の変更(2)、保険金請求権の放棄
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
23
授業計画/Class 保険契約者の変更、生命保険買取、保険契約関係者の当事者確定
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
24
授業計画/Class 生命保険における保険者免責(1)
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
25
授業計画/Class 生命保険契約における免責(2)
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
26
授業計画/Class 保険金受取人の死亡、保険金請求権の譲渡、質権設定
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
27
授業計画/Class 保険契約者以外の者からの解除請求と介入権、保険料積立の払戻
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
28
授業計画/Class 傷害疾病保険契約の種類・特色・内容、傷害疾病保険契約の成立と効力 
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
29
授業計画/Class 傷害疾病保険契約に基づく保険給付、傷害疾病保険契約に特有の免責条項、傷害疾病保険契約の終了、責任開始期前発病不担保条項
 
事前学習/Preparation 該当する教科書の箇所、レジュメに記載されている内容を事前に読んでおくこと
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
30
授業計画/Class 保険業法による監督規制、AI等の技術革新に伴う新たな保険契約上の課題
事前学習/Preparation レジュメと指定教科書の該当する箇所を予め読んでおくこと。
事後学習/Reviewing 講義で触れた内容について教科書、レジュメ、参考文献で、用語の定義、根拠条文、裁判例の内容の確認を行う。
授業方法/Method of instruction
 コース・パワーに予めアップしているレジュメ、資料を基に、原則、自己自習型の方法で行う。必要があれば、Webexを用いてライブで授業を実施することや、オンデマンド方式で、動画のリンクを張ったり、PowerPointへの音声を付けたファイルをコース・パワーに準備することもある。
 自己自習型を前提とするので、指定教科書、レジュメ、資料を受講生が読んだ上で、コース・パワーを介して、小テスト(〇×問題、穴埋め問題)、課題・小レポートの提出を行うこととする。その上で、小テストの解説や、課題の解説を行い知識の再確認を行ってもらうこととする。
  授業中の質問等や受講生間の意見交換に関してもコース・パワーの質問・掲示板の機能を通じて行うこととする。
 ネット通信料を考えてパケット料に負担がかからない自己学習型を前提に行うが、その代わりに課題、小テストを実施したり、長めのレジュメを配布する等の対応をとらなければならないので、PC又はiPad等の10インチ以上のタブレット機器は必要となる点はご了承頂きたい。
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 60%   コース・パワーで実施する課題・小テスト(60%、小レポート提出、短答式問題、〇×問題、穴埋め問題等を毎回出題する)と、期末レポート課題の提出(40%)で評価する。
 
2 レポート Report 40%    期末レポート課題の提出(40%)で評価する。
 なお、レポート課題については、「授業要覧(履修ガイド)」で説明されている以下の点について注意する必要がある。すなわち、「論文やレポートはオリジナルなものであることが不可欠です。もし他人の発言や文章に 拠った場合は、必ずその旨を記してください。そうでない場合は、剽窃(他人の文章などを 盗むこと)と判断され、不正行為となりますので、ご注意ください。」である。レポートの内容が剽窃、盗用と評価された場合は、不正行為となり、当該学期のすべて科目の単位認定が無効となり、かつ学内の規程に基づき停学等の懲戒処分の対象となる。きちんと出典を脚注に明記するとか、参考文献も末尾に明記する等、不正行為と評価されないよう注意する必要がある。期末試験の場合は試験時間内(60分等)で答案用紙に解答することが求められる。他方、レポート提出の場合は、参考文献等を見ながら、参考にしながら必要な内容を書いていく違いがある。先行研究を前提に自分の考えをまとめるにせよ、参考となったあるいは自分が考える基礎となる先行研究があれば、必ずそれを明記しなければならない。 
教科書/Textbooks
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1 山下典孝編 スタンダード商法Ⅲ保険法 法律文化社 2019年 9784589039736 2600円+税 コースパワーで実施する課題・小テスト等の出題範囲及び解説に関して該当頁を示して説明を行うので必ず購入しておくこと。
参考書/Reference books
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1 山下友信, 洲崎博史編 保険法判例百選 有斐閣 2010.12 9784641115026 2400円+税 保険法に関する重要判例解説、図書館HPにアクセスとしてデータベースを利用すれば、必要な判例解説を入手できる。 蔵書情報 / Library information
授業関連情報/Class-related information
 件名/Title内容/Contents備考/Memo
2 金融庁HP http://www.fsa.go.jp/
3 損害保険協会HP http://www.sonpo.or.jp/
4 生命保険協会HP http://www.seiho.or.jp/
5 日本少額短期保険協会 http://www.shougakutanki.jp/general/consumer/insurance.html
6 日本共済協会 https://www.jcia.or.jp/
7 外国損害保険協会 https://www.fnlia.gr.jp/
8 生命保険文化センター http://www.jili.or.jp/
9 損害保険事業総合研究所HP http://www.sonposoken.or.jp/
10 生命保険文化センター学術出版物検索・閲覧 http://www.jili.or.jp/research/search/index.php
11 日本保険学会「保険学雑誌」検索・閲覧 http://www.js-is.org/?p=30
12 「損害保険研究」検索・閲覧 http://www.sonposoken.or.jp/publication/publication
13 生命保険経営学会「生命保険経営」検索・閲覧 https://www.seihokeiei.jp/search/
14 月刊誌「共済と保険」 保険法・判例研究 https://www.jcia.or.jp/publication/monthly/law.html
メッセージ/Message
 保険法は民法の特別法なので、民法についても一生懸命に勉強してください。民法との関係や、その他の関連する法律分野の話にも指定教科書やレジュメで言及している。
その他/Others
 参考文献は図書館HPを利用したデータベースから検索して入手できる範囲での文献と以下で説明する文献を前提としている。そのため無理をして図書館に実際に行き、図書館内で関連する書籍や雑誌類を探してまでして、期末レポートを作成する必要はまったくない。あくまでも自宅等、学外からインターネットを介して図書館HPにアクセスしてデータベースで得られた資料、公益財団法人生命保険文化センター、公益財団法人損害保険総合研究所、日本保険学会等のHPで公開されている学術論文、判例研究の範囲内で入手できる文献で最終レポートの作成をすれば良い。間違っても図書館内で無理をして書籍や雑誌類を探すことはことまでは求めていない。
 なお、コース・パワーにアップしているレジュメ、資料等をダウンロードしてご自身の勉強のために利用することは一定の制限の上で認められる。しかし、レジュメ、資料等をWeb上のアップした上で、多くの人が見たり、聞いたりできる状況にすることは、禁止されています。著作権法に違反し、10年以下の懲役又は(及び)1千万円以下の罰金が科される犯罪行為となります。
キーワード/Keywords
保険業法     保険法     損害保険     生命保険     傷害保険     責任保険     自動車保険     弁護士費用保険     専門職業人賠償責任保険     人身傷害保険     自動車損害賠償保障法