講義内容詳細:コミュニケーション特論Ⅱ

戻る
年度/Academic Year 2020
授業科目名/Course Title (Japanese) コミュニケーション特論Ⅱ
英文科目名/Course Title (English) Theme-based Communication Ⅱ
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 源 邦彦
英文氏名/Instructor (English) MINAMOTO, Kunihiko

講義概要/Course description
英語は国際共通語と呼ばれています。アメリカやイギリスのような英語主要国の使用者が大多数を占める国々は、世界に自身の政治・経済・教育システムを提供する、すぐれた科学技術を提供する、民主主義の理念を提供する、便利な共通語を提供するという謳い文句で、植民地支配、開発援助や英語教育を通じて、世界各国・地域の英語の普及を支え、英語主要国の政治経済的権力を拡大・維持してきました。日本やナイジェリアのような英語を主要な言語としては使用しない人々が大多数を占める国々も、先進の科学技術を取り入れるため、世界に通じるリンガフランカを手に入れるため、主に教育を通じて国民の英語能力の向上に腐心してきました。英語には異なる集団間のコミュニケーションの便利な道具の一つという側面があることは確かです。その一方で、政治、経済、教育、日常生活における異集団間交流、マスメディアや学術分野における情報流通において、英語を主要言語として使用しない、とくに非ヨーロッパ系の人々が差別的な状況に置かれることが多々あることも事実です。そして、ここには、言語問題以前の根源的な人種主義も存在します。本講義では、英語を用いる異集団間コミュニケーションにおいて、国家、企業、国際機関などの組織レベル、個人レベルで、英語とその他の言語の関係、そして、ヨーロッパ系英語諸変種と非ヨーロッパ系英語諸変種の関係をどのように正常化できるのかを考えます。そして、英語による一極支配が進む異集団間コミュニケーションの舞台で、ほとんどの場合英語を主要言語としては用いない人々が、どのように英語を戦略的に活用できるのかを模索したいと思います。
達成目標/Course objectives
・言語の普及要因を理解する
・言語と権力・支配の関係を理解する
・異集団間コミュニケーションにおける言語格差を批判的に考え論じることができる
・上記の諸知識・見解をもとに、英語を主要言語としない社会における英語以外の言語と英語、英語主要国の英語と他の言語を主に用いる社会における英語の政治経済的関係について批判的に考え論じることができる
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
英語による専門書を読んでみようという、研究職やビジネスでの専門職に必要とされる学術的英語力を身につけようという気概のある受講者を待っています。ただし、履修要件として掲げられている資格試験やGPAだけでは授業を受講できるだけの英語力は判断できないため、Course Powerにアップロードしてある教科書の第1章分を参照して自身で受講の可否を判断してください。10回目以降の授業では教科書の内容を分担発表するため、辞書を使用しながらでも読み進められるだけの基礎的な英語力があることを履修条件とします。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 1. ELT: Taking stock of a world commodity
事前学習/Preparation テキスト第1章(1~16頁)を読む
事後学習/Reviewing 授業内容を振り返り、特にキーワードを説明できるようにする
2
授業計画/Class 2. English, the dominant language、小テスト
事前学習/Preparation テキスト第2章(17~37頁)を読む
事後学習/Reviewing 授業内容を振り返り、特にキーワードを説明できるようにする
3
授業計画/Class 3. Linguistic imperialism: theoretical foundations
事前学習/Preparation テキスト第3章(38~56頁)を読む
事後学習/Reviewing 授業内容を振り返り、特にキーワードを説明できるようにする
4
授業計画/Class 3. Linguistic imperialism: theoretical foundations、小テスト
事前学習/Preparation テキスト第3章(57~77頁)を読む
事後学習/Reviewing 授業内容を振り返り、特にキーワードを説明できるようにする
5
授業計画/Class 4. Earlier work relevant to linguistic imperialism
事前学習/Preparation テキスト第4章(78~92頁)を読む
事後学習/Reviewing 授業内容を振り返り、特にキーワードを説明できるようにする
6
授業計画/Class 4. Earlier work relevant to linguistic imperialism、小テスト
事前学習/Preparation テキスト第4章(93~108頁)を読む
事後学習/Reviewing 授業内容を振り返り、特にキーワードを説明できるようにする
7
授業計画/Class 5. The colonial linguistic inheritance
事前学習/Preparation テキスト第5章(109~136頁)を読む
事後学習/Reviewing 授業内容を振り返り、特にキーワードを説明できるようにする
8
授業計画/Class 6. British and American promotion of English、小テスト
事前学習/Preparation テキスト第6章(137~172頁)を読む
事後学習/Reviewing 授業内容を振り返り、特にキーワードを説明できるようにする
9
授業計画/Class 7. Creating a profession: the structure and tenets of ELT
事前学習/Preparation テキスト第7章(173~198頁)を読む
事後学習/Reviewing 授業内容を振り返り、特にキーワードを説明できるようにする
10
授業計画/Class 7. Creating a profession: the structure and tenets of ELT、小テスト
事前学習/Preparation テキスト第7章(199~222頁)を読む
事後学習/Reviewing 授業内容を振り返り、特にキーワードを説明できるようにする
11
授業計画/Class 8. English language teaching in action
事前学習/Preparation テキスト第8章(223~245頁)を読む
事後学習/Reviewing 授業内容を振り返り、特にキーワードを説明できるようにする
12
授業計画/Class 8. English language teaching in action、小テスト
事前学習/Preparation テキスト第8章(246~270頁)を読む
事後学習/Reviewing 授業内容を振り返り、特にキーワードを説明できるようにする
13
授業計画/Class 9 Arguments in linguistic imperialist discourse
事前学習/Preparation テキスト第9章(271~299頁)を読む
事後学習/Reviewing 授業内容を振り返り、特にキーワードを説明できるようにする
14
授業計画/Class 10. Linguistic imperialism and ELT、小テスト
事前学習/Preparation テキスト第10章(300~321頁)を読む
事後学習/Reviewing 授業内容を振り返り、特にキーワードを説明できるようにする
15
授業計画/Class まとめのテスト
事前学習/Preparation 後期内容全体の振り返り
事後学習/Reviewing 他の授業のレポート作成や試験勉強をしっかりやってください
授業方法/Method of instruction
オンライン授業(Webex使用)、授業用言語は日本語、教員がプレゼンテーション(1回目~9回目)または履修者がプレゼンテーション(10回目~14回目、毎回複数名が分担担当、担当部分は4回目の授業で決定)、適宜クラスで議論・質疑応答、隔週小テスト
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 100% 1. 参加:12%(遅刻1回=2点減点、欠席1回=4点減点)
2. 小テスト:42%
3. プレゼンテーション:10%
4. まとめテスト36%
教科書/Textbooks
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
Price
1 Robert Phillipson Linguistic Imperialism Oxford University Press 1992年 9780194371469 6,393円(Amazon.co.jp)
メッセージ/Message
今日、私たちは英語の利便性を適切に認識しそのための方策を講じる必要がある一方で、それを無批判に受け入れるだけではなく、私たちの母語やその他の言語と英語との政治経済的なパワーバランスを考慮に入れ、たとえば、英語教育における支配的な言説が持つ政治的な意味や差別的な内容を批判的に分析する必要があります。異集団間コミュニケーションをより公平かつ有意義なものとするために、英語の使用者あるいは英語を主要言語として用いる使用者と健全な関係を築くための方策を一緒に考えましょう。
その他/Others
授業前に予定の章を必ず読むこと。特に、授業10回目以降では各章のプレゼンテーション担当者は所定の日時までにパワーポイントファイルを作成し、担当章の内容についてクラスで共有する議論のための質問を1つ作成することが義務付けられる。最低でも授業回数の5分の4以上の出席が必要であり、遅刻2回で欠席1回分としてカウントされる。

*本科目は定員を超える応募があった場合、選考を行います。選考方法は以下の通りです。

1年生   : TOEIC-IPテストのスコア
2~4年生 : 第一外国語のG.P.A.

*ただし、上記の資格試験や成績だけでは授業を受講できるだけの英語力は判断できないため、Course Powerにアップロードしてある教科書の第1章分を参照して自身で受講の可否を判断すること。10回目以降の授業では教科書の内容を分担発表するため、英語で専門書を読む意思があり、そのための基礎的な英語力があることを前提とする。
キーワード/Keywords
sociology of language(言語社会学)     language planning(言語計画論)     sociology of knowledge(知識社会学)     linguistic anthropology(言語人類学)     cultural studies(カルチュラルスタディーズ)