講義内容詳細:憲法と政治制度Ⅰ

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年度/Academic Year 2020
授業科目名/Course Title (Japanese) 憲法と政治制度Ⅰ
英文科目名/Course Title (English) The Constitution and Political Institution Ⅰ
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 久保田 祐介
英文氏名/Instructor (English) KUBOTA, Yuusuke

講義概要/Course description
 本講義では,法学・憲法の初学者を想定し,憲法学の基礎的な知識について解説するとともに,政治・社会・司法の場で現実に展開された憲法問題・人権問題を紹介する。
 憲法が国家の最高法規であることは広く知られており,また近時では,政治の場で憲法が重要な争点として論じられることも多い。しかし,憲法の条文は数が少なく書きぶりも抽象的であるから,内容を理解するのはそれほど容易ではない。したがって,条文・歴史・原理・具体的事例など,様々な観点から学習することが望ましい。
 この講義では,立憲主義・人権保障の基本原理を扱うところからスタートし,様々な人権問題の実例を扱うことで,多角的な憲法学習の題材を提供したい。
達成目標/Course objectives
(1)⽴憲主義とそれにかかわる基本原理・制度を理解し,説明することができる。
(2)⼈権保障の基本原理を理解し,説明することができる。
(3)人権保障にかかわる憲法判例を読み,事件概要と判例の論理構造を説明することができる。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
 法律学の初学者を前提にしているので,特に履修条件は設けない。
 後期「憲法と政治制度Ⅱ」とは,担当教員・教科書が共通する。講義内容は独⽴しているので両方の履修は必須ではないが,通じて履修することで幅広い学習が可能になる。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class (1)イントロダクション
概要:オンライン授業の進め方(学習方法,成績評価方法,各テーマの紹介)。
事前学習/Preparation 予習:高校までの講義等,これまで憲法について学習したことを復習しておくこと。
事後学習/Reviewing 復習:教科書を用意し,条文の引き方を確認しておくこと。
2
授業計画/Class (2)立憲主義と人権保障[1] 立憲主義
概要:立憲主義の原理,憲法概念の歴史的転換,憲法学の役割について学ぶ。
事前学習/Preparation 予習:教科書1章・18章を読み,「立憲主義」という言葉の意味を可能な限り探ること。 
事後学習/Reviewing 復習:レジュメ,ノート,教科書を再読し,復習問題に解答できるようにすること。
3
授業計画/Class (3)立憲主義と人権保障[2] 個人の尊重
概要:人権保障の基本原理である個人の尊重,個人主義と利己主義・全体主義の違いについて学ぶ。
事前学習/Preparation 予習:教科書3章を読み,「公共の福祉」の考え方を理解しておくこと。「個人主義」,「利己主義」,「全体主義」の3つの語の意味を国語辞典等で調べておくこと。 
事後学習/Reviewing 復習:レジュメ,ノート,教科書を再読し,復習問題に解答できるようにすること。
4
授業計画/Class (4)[特講]人権侵害とは何か
概要:人権保障論を考える者として念頭に置くべき,人権侵害の重要な事例について学ぶ。
事前学習/Preparation 予習:前回講義の内容をよく復習しておくこと。
事後学習/Reviewing 復習:人権侵害とは何か,自分の考えをまとめておくこと。
5
授業計画/Class (5)立憲主義と人権保障[3] 憲法訴訟
概要:人権保障の手段としての憲法訴訟,違憲審査制について学ぶ。
事前学習/Preparation 予習:教科書24章を読み,違憲審査制について理解しておくこと。
事後学習/Reviewing 復習:レジュメ,ノート,教科書を再読し,復習問題に解答できるようにすること。
6
授業計画/Class (6)法の下の平等
概要:平等の概念,法の下の平等の考え方,尊属殺重罰規定事件について学ぶ。
事前学習/Preparation 予習:教科書4章を読み,法の下の平等の考え方と問題になった事件の概要を理解しておくこと。
事後学習/Reviewing 復習:レジュメ,ノート,教科書を再読し,復習問題に解答できるようにすること。
7
授業計画/Class (7)[特講] 事例問題の答え方
概要:法の下の平等を題材に,事例問題の解答方法について学ぶ。
事前学習/Preparation 予習:前回講義の内容について復習しておくこと。 
事後学習/Reviewing 復習:レジュメ,ノート,教科書を再読し,復習問題に解答できるようにすること。
8
授業計画/Class (8)家族と平等[1] イエ制度・婚外子相続分差別
概要:法の下の平等に関する重要問題として,家族制度と平等の問題について学ぶ。
事前学習/Preparation 予習:教科書4章を読み,婚外子相続分差別訴訟について理解しておくこと。
事後学習/Reviewing 復習:レジュメ,ノート,教科書を再読し,復習問題に解答できるようにすること。
9
授業計画/Class (9)家族と平等[2] 再婚禁止期間・選択的夫婦別姓
概要:法の下の平等に関する新しい問題として,再婚禁止期間違憲訴訟,選択的夫婦別姓について学ぶ。
事前学習/Preparation 予習:教科書4章を読み,再婚禁止期間訴訟,選択的夫婦別姓について理解しておくこと。
事後学習/Reviewing 復習:レジュメ,ノート,教科書を再読し,復習問題に解答できるようにすること。
10
授業計画/Class (10)外国人の人権[1] 人権共有主体性の問題
概要:人権共有主体性,権利性質説,マクリーン事件判決について学ぶ。
事前学習/Preparation 予習:教科書2章を読み,人権共有主体性と外国人の人権について理解しておくこと。
事後学習/Reviewing 復習:レジュメ,ノート,教科書を再読し,復習問題に解答できるようにすること。
11
授業計画/Class (11)外国人の人権[2] 外国人参政権
概要:外国人参政権についての最高裁判決,問題の背景について学ぶ。
事前学習/Preparation 予習:前回講義の内容を復習しておくこと。
事後学習/Reviewing 復習:レジュメ,ノート,教科書を再読し,復習問題に解答できるようにすること。
12
授業計画/Class (12)外国人の人権[3] 国籍と人権保障
概要:国籍法違憲判決,戦後補償と国籍の問題について学ぶ。
事前学習/Preparation 予習:教科書4章を読み,国籍法違憲判決について理解しておくこと。
事後学習/Reviewing 復習:レジュメ,ノート,教科書を再読し,復習問題に解答できるようにすること。
13
授業計画/Class (13)公務員の人権[1] 人権共有主体性の問題
概要:人権共有主体性の問題,特別権力関係論,猿払事件と堀越事件について学ぶ。
事前学習/Preparation 予習:教科書2章を読み,特別権力関係論・公務員の政治的自由について理解しておくこと。
事後学習/Reviewing 復習:レジュメ,ノート,教科書を再読し,復習問題に解答できるようにすること。
14
授業計画/Class (14)公務員の人権[2] 公務員の労働基本権
概要:労働基本権の基本,公務員の労働基本権に関する最高裁判例の変遷について学ぶ。
事前学習/Preparation 予習:教科書15章を読み,労働基本権の内容,公務員の労働基本権について理解しておくこと。
事後学習/Reviewing 復習:レジュメ,ノート,教科書を再読し,復習問題に解答できるようにすること。
15
授業計画/Class (15)憲法と政治制度Ⅰのまとめ・統治機構論の論じ方
事前学習/Preparation これまでの講義内容を復習しておくこと。
事後学習/Reviewing 復習:レジュメ,ノート,教科書を再読し,復習問題に解答できるようにすること。
授業方法/Method of instruction
【オンライン授業の方法】Course Powerでレジュメ・資料を配布、毎回の提出課題を設定し、Webex上に講義動画をアップロードする。質問も原則としてCourse Power上で行う。

【授業1回分の流れ】履修者は、レジュメ・資料を手元に置き、講義動画(15分×3本程度)を視聴した上で、Course Power上で小テスト・小レポートなどの課題を提出する。オンデマンド型の講義であるから、履修者はかならずしも月曜4限に動画視聴・課題提出を行う必要は無いが、各回の課題には提出締切が設定されているので、期限内に提出できるよう計画的に進めること。

※第一回目の授業(オリエンテーション)でも、授業の進め方を解説するので、そちらも確認してほしい。

※教科書・参考書について【外出が制限されている状況では、参考書の利用は推奨しない。無理して図書館・書店等へ行かないこと。オンライン授業は参考書を利用しなくても受講可能である】
 教科書は高校社会科でいうところの「資料集」に当たる。授業中に適宜参照する。レジュメと講義を主軸に,教科書は予習復習・補足用の資料として使用すること。
 本講義で扱うのは憲法学の一部分にすぎず、教科書も入門的なレベルである。大学院進学・資格試験等を視野に入れた発展的学習には,参考書に挙げたテキスト・判例集を使用するとよい。

成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 100% 【オンライン授業での評価方法】毎回の授業での課題提出とその内容をもって評価する。
教科書/Textbooks
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1 斎藤一久・堀口悟郎 編 『図録 日本国憲法』 弘文堂 2018年 9784335357619 2,300円(税別) 講義中に参照する「資料集」の位置づけ。講義はレジュメを軸に進むことに注意。
【オンライン授業でも教科書は変更しない】
参考書/Reference books
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1 只野雅人・松田浩 編 『現代憲法入門』 法律文化社 2019年 9784589040114 3,200円(税別) 大学生向けに書かれたベーシックなテキスト。学習案内の要素もある。
2 高橋和之 編 『新・判例 ハンドブッ ク[第2版]』 日本評論社 2018年 9784535008304 1,400円(税別) 学習⽤の憲法判例集の中では、最新かつコンパクトにまとまっている。
メッセージ/Message
 ⼀つの学説・判例から多くを学ぶスタイルの講義である。公務員試験の対策講義ではないことに注意。
 オンライン授業・動画による講義は担当教員も初めての試みであるから、教員側も学生側も授業を成立させる負担が大きいと思われるが、がんばってほしい。私たちは、今、日本の大学教育の転換点に立ち会っている。
キーワード/Keywords
憲法     人権     統治機構     立憲主義     憲法改正     法の下の平等     外国人の人権     公務員の人権