講義内容詳細:文化基礎演習A

戻る
年度/Academic Year 2020
授業科目名/Course Title (Japanese) 文化基礎演習A
英文科目名/Course Title (English) Seminar - Basic A
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 関根 小織
英文氏名/Instructor (English) SEKINE, Saori

講義概要/Course description
多様な文化とその価値観の相違がぶつかり合うことも少なくない現代の世界において、文化や思想がその争いのもとになることもそれを超えることにもなりうることを示唆するのが、道徳哲学と政治哲学にまたがる正義論である。闘鶏場と美術館のどちらかに文化振興上の政策的優位をおくとしたらその根拠はいかなるものでありうるか、という本学部に関わる事例から、四人の命を救うために一人を犠牲にしてよいか、自分が同意していれば生きている自分の腎臓を二つとも売ることは許されるか、殺人者から逃げてきた人をかくまっているときでも嘘をついてはいけないか、といった道徳的ジレンマや応用倫理的諸問題などまで、興味深い事例が頻繁に出現する下記の著作は、正解のない問いを考えることを本務とする哲学的思考を培う恰好の入門書である。講読する著作では著者はベンサムらの功利主義・ノージックらのリバタリアニズム・カントの義務論的道徳哲学・ロールズの正義論・アリストテレスの徳倫理学などを、アメリカの現代文化史の紹介も兼ねた諸事例をしばしば出しながら、解説していくなかで、それぞれの考え方への反論や疑問の考察を通じて各自がもつ考え方の反省が進んでいくよう巧みに促していく。本演習では、こうした文献の講読を通じて、参加者が自身の考え方を自己反省し、多様な文化・伝統・価値観をもつ諸共同体が共存しうる時代を考えるための基礎的考察をなすことにより、哲学的知識形成の導入とすることをもめざす。

達成目標/Course objectives
正義論の文献講読を通じて現代の文化の共同体(コミュニティ)機能およびその倫理的な役割と問題を哲学的に考える。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 導入/1章1 事例検討
事前学習/Preparation 講義内容(シラバス)を熟読して授業計画・評価方法等を確実に把握すること、及びなぜこの科目を勉強しようと決めるのか自身の受講動機を明確にしておくこと。教科書を準備して概観を見ておく。
事後学習/Reviewing 教科書に出てくる語彙に関してよく分からないものや哲学に関する予備知識の不足点などを、文献にあたって補充しておく。
2
授業計画/Class 1章2(続) 三つの正義への接近法「幸福・自由・美徳」 
事前学習/Preparation 文献の対象箇所を熟読(疑問点や内容に関連した討議のテーマになりうることを考えておく)。
事後学習/Reviewing 授業内容の重要事項の確認。必要に応じて関連文献を読み知識を広げる。
3
授業計画/Class 1章3(残り)
事前学習/Preparation 文献の対象箇所を熟読(疑問点や内容に関連した討議のテーマになりうることを考えておく)。
事後学習/Reviewing 授業内容の重要事項の確認。必要に応じて関連文献を読み知識を広げる。
4
授業計画/Class 2章1 事例検討
事前学習/Preparation 文献の対象箇所を熟読(疑問点や内容に関連した討議のテーマになりうることを考えておく)。
事後学習/Reviewing 授業内容の重要事項の確認。必要に応じて関連文献を読み知識を広げる。
5
授業計画/Class 2章2(続)ベンサムの功利主義
事前学習/Preparation 文献の対象箇所を熟読(疑問点や内容に関連した討議のテーマになりうることを考えておく)。
事後学習/Reviewing 授業内容の重要事項の確認。必要に応じて関連文献を読み知識を広げる。
6
授業計画/Class 2章3 (続)ミルの功利主義
事前学習/Preparation 文献の対象箇所を熟読(疑問点や内容に関連した討議のテーマになりうることを考えておく)。
事後学習/Reviewing 授業内容の重要事項の確認。必要に応じて関連文献を読み知識を広げる。
7
授業計画/Class 2章4 (残り)/関連文献ベンサムとミルの資料読解
事前学習/Preparation 文献の対象箇所を熟読(疑問点や内容に関連した討議のテーマになりうることを考えておく)。
事後学習/Reviewing 授業内容の重要事項の確認。必要に応じて関連文献を読み知識を広げる。
8
授業計画/Class 3章1 事例検討 
事前学習/Preparation 文献の対象箇所を熟読(疑問点や内容に関連した討議のテーマになりうることを考えておく)。
事後学習/Reviewing 授業内容の重要事項の確認。必要に応じて関連文献を読み知識を広げる。
9
授業計画/Class 3章2 リバタリアニズム
事前学習/Preparation 文献の対象箇所を熟読(疑問点や内容に関連した討議のテーマになりうることを考えておく)。
事後学習/Reviewing 授業内容の重要事項の確認。必要に応じて関連文献を読み知識を広げる。
10
授業計画/Class 3章3 (残り)/関連文献ロックの資料読解
事前学習/Preparation 文献の対象箇所を熟読(疑問点や内容に関連した討議のテーマになりうることを考えておく)。
事後学習/Reviewing 授業内容の重要事項の確認。必要に応じて関連文献を読み知識を広げる。
11
授業計画/Class 4章1 リバタリアニズムの限界的二事例の考察
事前学習/Preparation 文献の対象箇所を熟読(疑問点や内容に関連した討議のテーマになりうることを考えておく)。
事後学習/Reviewing 授業内容の重要事項の確認。必要に応じて関連文献を読み知識を広げる。
12
授業計画/Class 4章2 (残り) 
事前学習/Preparation 文献の対象箇所を熟読(疑問点や内容に関連した討議のテーマになりうることを考えておく)。
事後学習/Reviewing 授業内容の重要事項の確認。必要に応じて関連文献を読み知識を広げる。
13
授業計画/Class 5章1 カントの義務論的道徳哲学 
事前学習/Preparation 文献の対象箇所を熟読(疑問点や内容に関連した討議のテーマになりうることを考えておく)。
事後学習/Reviewing 授業内容の重要事項の確認。必要に応じて関連文献を読み知識を広げる。
14
授業計画/Class 5章2 (続) 時事事例
事前学習/Preparation 文献の対象箇所を熟読(疑問点や内容に関連した討議のテーマになりうることを考えておく)。
事後学習/Reviewing 授業内容の重要事項の確認。必要に応じて関連文献を読み知識を広げる。
15
授業計画/Class 5章3 (残り) /関連文献―カントの政治論の資料読解
事前学習/Preparation 文献の対象箇所を熟読(疑問点や内容に関連した討議のテーマになりうることを考えておく)。
事後学習/Reviewing 授業内容の重要事項の確認。必要に応じて関連文献を読み知識を広げる。 全体の復習。
授業方法/Method of instruction
Course Powerを用いる。オンデマンドで行う。
(Webexまたは音声ファイル。)

成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 100% 学期末レポート
教科書/Textbooks
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
Price
1 マイケル・サンデル、鬼塚忍訳 『これからの「正義」の話をしよう―いまを生き延びるための哲学』 早川書房 2010年 9784152091314 2300円+税
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
コメント
Comments
 
1 中山元 『正義論の名著』 ちくま新書 2011年 プラトンにはじまる古代哲学からレヴィナスやデリダらの現代哲学まで、経済学や政治学まで、幅広く正義についての諸理論を提示した哲学者・思想家とその代表著作を紹介しているものとして参考のこと。
その他/Others
授業開始までにできれば、教科書を手元に用意しておくこと。