講義内容詳細:哲学史

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年度/Academic Year 2020
授業科目名/Course Title (Japanese) 哲学史
英文科目名/Course Title (English) History of Philosophy
学期/Semester 通年 単位/Credits 4
教員名/Instructor (Japanese) 佐藤 拓司
英文氏名/Instructor (English) SATOH, Takuji

講義概要/Course description
 哲学史を学ぶことは、それ自体が「哲学」そのものである。そしてそれはつねに「現代の哲学」でもある。
 偉大な哲学者、およびその哲学も、そのときどきの社会的環境、時代の政治・制度のもとで生まれたものである。そして同時に後世の政治・制度を形成していく動因でもある。それゆえ哲学史を学ぶことは必然的に歴史を学ぶことであり、そしてそれは「現代」に過去の哲学をよみがえらせることにもつながる。
 私たちは哲学の歴史を学ぶとき、つねにその哲学が時代の産物であったことを意識していなければならない。そしてその時代の問題意識と現代との差異に注意する必要がある。新たな問題意識が新たな哲学をつくりだす。だから哲学史を学ぶことは自ら「哲学する」ことにもなる。
 前期は、以上の視点のもとに、古代ギリシアから近世初期までの哲学史を概観する。後期は前期の哲学史Aに続く形で、近世初期から現代のポストモダン哲学までの哲学史を概観する。
達成目標/Course objectives
 この講義では、哲学の歴史を学びながら、同時にそれが今にどうつながっているかの考察を求めていく。この考察を自ら行うことができ、将来教壇に立つ者として恥ずかしくない哲学的素養を身につける。これを達成目標とする。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 導入:哲学史を学ぶということ
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを熟読。ヘーゲル『哲学史序論』。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
2
授業計画/Class 古代ギリシアの概観―哲学の生まれた背景①
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。教科書 古代から中世へ、第1章から第4章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
3
授業計画/Class 悲劇を読む―哲学の生まれた背景②
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。ギリシア悲劇、とくにトロイア戦争にまつわる悲劇作品
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
4
授業計画/Class 自然と驚き―ソクラテス以前の哲学
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。教科書、古代から中世へ、第1章から第4章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
5
授業計画/Class ソクラテスの登場―プラトン①
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。教科書 古代から中世へ、第5章から第6章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
6
授業計画/Class 当時のアテナイと『国家』―プラトン②
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。教科書、古代から中世へ 第5章、第6章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
7
授業計画/Class プラトン対アリストテレス①-イデア論批判
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。教科書 古代から中世へ 第6章、第7章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
8
授業計画/Class プラトン対アリストテレス②-時代の変化と求められる学問
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。教科書 古代から中世へ 第7章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
9
授業計画/Class ヘレニズムの時代―エピクロス派とストア派に見る時代の変遷
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。教科書 古代から中世へ 第8章、第9章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
10
授業計画/Class すべての道はローマへ通じる―キケロからセネカまで
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。教科書 古代から中世へ、第10章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
11
授業計画/Class 新プラトン派、そしてグノーシス
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。教科書 古代から中世へ、第10章、第11章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
12
授業計画/Class キリスト教の哲学①
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。教科書 古代から中世へ、第12章、第13章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
13
授業計画/Class キリスト教の哲学②-中世とスコラ哲学
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。教科書 古代から中世へ、第14章、第15章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
14
授業計画/Class ルネサンスとは何だったのか―「新時代」の幕開けと「古き良き時代」の終わり
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。ルネサンスについての一般的予習。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
15
授業計画/Class 「終わり」のはじまり
事前学習/Preparation これまでの講義内容のまとめ。
事後学習/Reviewing これまでのプリント、および資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
16
授業計画/Class 市民社会の誕生と新たな哲学のはじまり
事前学習/Preparation 教科書第1章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。
17
授業計画/Class 「コギト」の含蓄と影響―デカルトと「近代」の哲学
事前学習/Preparation 教科書第1章、第2章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。
18
授業計画/Class 「理性」はすべてを支配する―合理論の哲学
事前学習/Preparation 教科書第3章、第5章、第6章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。
19
授業計画/Class 「心」は空っぽです?-経験論の哲学
事前学習/Preparation 教科書第3章、第5章、第6章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。
20
授業計画/Class 「啓蒙」の時代―そして「進歩」の哲学
事前学習/Preparation 教科書第7章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。
21
授業計画/Class ドイツの学問状況とカントの登場
事前学習/Preparation 教科書第7章、第8章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。
22
授業計画/Class カント哲学と純粋理性批判
事前学習/Preparation 教科書第8章、第9章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。
23
授業計画/Class カント哲学と実践理性批判・判断力批判
事前学習/Preparation 教科書第8章、第9章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。
24
授業計画/Class ロマン主義とドイツ観念論
事前学習/Preparation 教科書第10章、第11章。およびヘーゲル『哲学史序論』
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。
25
授業計画/Class ヘーゲルの哲学:精神現象学と歴史哲学
事前学習/Preparation 教科書第10章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。
26
授業計画/Class ヘーゲルの政治哲学とヘーゲル左派
事前学習/Preparation 教科書第11章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。
27
授業計画/Class マルクス主義と近代批判
事前学習/Preparation 教科書第11章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。
28
授業計画/Class ニーチェという存在
事前学習/Preparation 教科書第11章。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。
29
授業計画/Class ベルクソンとディルタイ:生の哲学
事前学習/Preparation 教科書第13章
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。
30
授業計画/Class ハイデガーとポストモダン:近代批判の哲学
事前学習/Preparation 教科書第15章およびこれまでの総復習。
事後学習/Reviewing これまでのプリント、および資料熟読。
授業方法/Method of instruction
・webexのミーティングシステムを利用して講義をリアルタイムで配信する。講義用資料は事前にcoursepowerのシステムを利用してpdfファイルで配信する。
・疑問点などがある場合はcoursepowerの質問、および掲示板システムを利用する。
・レポートを数回提出してもらう。
・リアルタイム配信ではなく自己学習を主とする回がある場合、coursepowerのお知らせシステムを用いて事前に通知する。
・対面授業に切り替わった場合、レポート提出方法を変更することがある。
・教科書を指定してあるが、講義はけっしてそのとおりに進むわけではない。教科書はあくまで基礎をおさえるための自習用のものと考えてよい。
成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 80%  レポートを1~2回提出してもらう。レポートは基本としてcoursepowerで行う。判定基準は①哲学史の正しい知識(30%)、②それぞれの哲学思想が生まれた背景、その時代に生きている人々への理解を有していること(30%)、③哲学史を現代に生きる自分に基づいて語ること(20%)。
2 平常点 In-class Points 20% ・配信資料の視聴頻度。質問および掲示板の内容。

教科書/Textbooks
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1 熊野純彦著 古代から中世へ 岩波書店 2006.4 4004310075 820円+税 【前期】教科書指定をしていますが、講義自体はこれに準拠するものではありません。予習・復習用と考えてください。
2 熊野純彦著 近代から現代へ 岩波書店 2006.9 4004310083 820円+税 【後期】教科書指定をしていますが、講義自体はこれに準拠するものではありません。予習・復習用と考えてください。
参考書/Reference books
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1 バートランド・ラッセル[著] ; 市井三郎訳 西洋哲学史 全3巻 みすず書房 1970 問題点もありますが、20世紀に生きた一人の哲学者による哲学史全体の概説書としてすぐれたものであり、おおいに有用です。個々の問題については講義内で触れる予定。
2 ヘーゲル著 ; 武市健人訳 哲学史序論 岩波書店 1967.5 4003362985 こちらは序論だけを一冊にまとめた文庫版です。全訳もべつに出版されています。 蔵書情報 / Library information
3 ヘーゲル著 : 長谷川宏訳 歴史哲学講義 上下巻 岩波書店 1994
メッセージ/Message
 テストと単位のためだけでなく、「時代の哲学」を味わうという意識で講義に参加してほしいと思ってます。