講義内容詳細:社会言語学

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年度/Academic Year 2020
授業科目名/Course Title (Japanese) 社会言語学
英文科目名/Course Title (English) Sociolinguistics
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 荒井 幸康
英文氏名/Instructor (English) ARAI, Yukiyasu

講義概要/Course description
「我々が日常使っている言語は、社会的にどのような機能を担っているものなのだろうか?また、昔から今まで同じ姿をしていたのであろうか?」
 このような疑問を、社会から見た言語(第2回~第5回)、言語から見た社会(第6回~第10回)、ことばの社会史(第11回~第15回)といった観点から説き起こし、自分たちの日常使っている言語の姿を理解し、社会の多様性を認識する。
達成目標/Course objectives
言語は、人間が社会を構成する際に最も基礎的な媒介となる「話し言葉(音声でのコミュニケーション)」と、一定の文化的背景の下で成立する「書き言葉(文字でのコミュニケーション)」からなる。それぞれがどのように成立し、また社会においてどのような役割を果たしているかについて初歩的な講義を行う。あわせて、多様な文化と社会を理解するうえでその社会の言語習得が如何に決定的な意味を持つかについて講義する。
 日常使っている言語の社会的機能とその多様性を理解すること。言語の社会的側面は一様ではなく、空間的にも時間的にも変化し続けていることを理解すること。また、自分たちの視点で言語と社会の問題を認識し、考え、問題解決に取り組む態度を養う。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
特になし 言語と社会の関わり合いに関心があれば
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 第1回 ことばと社会 総論
事前学習/Preparation 言葉とはどのようなものか、その機能とはどのようなものか かんがえてみる
事後学習/Reviewing シラバスにある教科書など興味のあるものがあれば手に取ってみてほしい
2
授業計画/Class 第2回 社会の中のことば(1) 言語と方言
事前学習/Preparation 方言と言語を分ける基準とはなんだろうか、考えてくる 
(授業を始める前に質問するかもしれないので一言用意しておいてください、以下の授業でも同じです)
事後学習/Reviewing 授業中に紹介された文献に関して読んでみること
授業中に浮かんだ疑問に関して調べてみること
3
授業計画/Class 第3回 社会の中のことば(2) 言語の社会的なバリエーション 社会方言
事前学習/Preparation 国家語(国語)と公用語にはどのような違いがあるだろうか考えてくる
事後学習/Reviewing 授業中に紹介された文献に関して読んでみること
授業中に浮かんだ疑問に関して調べてみること
4
授業計画/Class 第4回 社会の中のことば(3) 多言語社会、ダイグロッシア、言語の取替え
事前学習/Preparation 今の日本にはどれだけの言語が存在するだろうか
それらの言語を話す人々はそれぞれどんなルーツを持った人々だろうか調べてくる。
事後学習/Reviewing 授業中に紹介された文献に関して読んでみること
授業中に浮かんだ疑問に関して調べてみること
5
授業計画/Class 第5回 社会の中のことば(4) 言語政策、言語管理、言語サービス、言語権
事前学習/Preparation 民族を規定するものは何か。言語はその一つだが、他のものについて考えてくる。
事後学習/Reviewing 授業中に紹介された文献に関して読んでみること
授業中に浮かんだ疑問に関して調べてみること
6
授業計画/Class 第6回 ことばの中の社会(1) 言語の混交 -ピジン、クレオール、外来語-
事前学習/Preparation 誰かの真似をしてその人っぽく話すときのコツのというものは何かあるだろうか
考えてみる。
事後学習/Reviewing 授業中に紹介された文献に関して読んでみること
授業中に浮かんだ疑問に関して調べてみること
7
授業計画/Class 第7回 ことばの中の社会(2) 談話の構造 何気ない会話に権力関係を見る
事前学習/Preparation Thisi is a bookは、「これは本です。」以外に、
女性や老人や、様々な役割に応じてどのような適切な表現が可能か、考えてみる。
事後学習/Reviewing 授業中に紹介された文献に関して読んでみること
授業中に浮かんだ疑問に関して調べてみること
8
授業計画/Class 第8回 ことばの中の社会(3) 「世界の切り取り方」 カテゴリー化の問題
事前学習/Preparation 色の切り分け方は、世界でさまざまである。
虹の色は、七色でないところがあるとすればどんな色だといっている文化があるだろうか
事後学習/Reviewing 授業中に紹介された文献に関して読んでみること
授業中に浮かんだ疑問に関して調べてみること
9
授業計画/Class 第9回 ことばの中の社会(4) 日本語の自称詞と対称詞の用法と対象依存社会
事前学習/Preparation 周りにいる人たちと会話をするとき、
自分をどう読んでいるか、相手をどう読んでいるかを
振り返ってみる。(例えば先生に対しては?両親に対しては?友達に対しては?など)
事後学習/Reviewing 授業中に紹介された文献に関して読んでみること
授業中に浮かんだ疑問に関して調べてみること
10
授業計画/Class 第10回 ことばの中の社会(5) テレビ型言語 ラジオ型言語
事前学習/Preparation 周りにいる読み方の難しい名字や名前を持っている人のことを思い浮かべ
なんでそんな難しい読み方になったのか、調べてくる(考えてみる)
事後学習/Reviewing 授業中に紹介された文献に関して読んでみること
授業中に浮かんだ疑問に関して調べてみること
11
授業計画/Class 第11回 ことばの社会史(1) 声の文化
事前学習/Preparation 現代社会、文字がなかったとすればどのような不便が生じるか考えてくる
事後学習/Reviewing 授業中に紹介された文献に関して読んでみること
授業中に浮かんだ疑問に関して調べてみること
12
授業計画/Class 第12回 ことばの社会史(2) 声の文化から文字の文化へ
事前学習/Preparation 人間だれしも、自分に自分で突っ込みを入れた経験があると思うが
自分の体験として何かエピソードを考えてきてください
事後学習/Reviewing 授業中に紹介された文献に関して読んでみること
授業中に浮かんだ疑問に関して調べてみること
13
授業計画/Class 第13回 ことばの社会史(3) 文字の文化による社会の変化
事前学習/Preparation 自分が今送るメッセージが重要だということをさりげなく
アピールしたいとき、どのようなことをするか、考えてくる。
事後学習/Reviewing 授業中に紹介された文献に関して読んでみること
授業中に浮かんだ疑問に関して調べてみること
14
授業計画/Class 第14回 ことばの社会史(4) 読み書き能力の拡大と社会
事前学習/Preparation 工業社会になると、文字を知っているかいないかで
社会的な地位や収入に大きな差異が出る。
どのような場面で識字が必要されるのだろうか考えてみる。
事後学習/Reviewing 授業中に紹介された文献に関して読んでみること
授業中に浮かんだ疑問に関して調べてみること
15
授業計画/Class 第15回 ことばの社会史(5) 二次的な声の文化、二次的な文字の文化の成立?
事前学習/Preparation 文章語と会話の言葉と、チャットなどで友達とやり取りするときの文は
どういった違いがあると思われるか、考えてみる。
事後学習/Reviewing 授業中に紹介された文献に関して読んでみること
授業中に浮かんだ疑問に関して調べてみること
授業方法/Method of instruction
パワーポイント中心で授業を進める。事例に即した地域の地図及び、歴史年表などの資料は必要と思われる場合、適宜、配布する
成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 50%  レポートは3つ提出してもらう。レポートのテーマは(1)授業中に紹介した文献の書評、(2)身近な言語問題と自分が考える解決方法。
2 平常点 In-class Points 50% 毎回、授業の感想・質問・改善点を求める紙を配るので必ず回答すること。質問には、プリントを作成し回答する予定。

メッセージ/Message
この授業は社会言語学の多岐にわたる分野への入門編です。
各授業で、この分野では、どんな研究ができるかを、さらに詳しく勉強を進められるよう文献を紹介していきます。
社会言語学の全体像を見せられるわけではないのですが、その世界の魅力の一端を知っていただければと思います。
その他/Others
おしゃべり、惰眠は歓迎しませんが、突っ込みは歓迎します
キーワード/Keywords
社会言語学     言語政策     アイデンティティ     ジェンダー     ナショナリズム     リテラシー     方言学     言語の社会史