講義内容詳細:アカウンティングリサーチメソッド

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年度/Academic Year 2020
授業科目名/Course Title (Japanese) アカウンティングリサーチメソッド
英文科目名/Course Title (English) Accounting Research Method
学期/Semester 春休集中 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 小倉 昇/町田 祥弘/橋本 尚/多賀谷 充/重田 麻紀子
英文氏名/Instructor (English) OGURA, Noboru/MACHIDA, Yoshihiro/HASHIMOTO, Takashi/TAGAYA, Mitsuru/SHIGETA, Makiko

講義概要/Course description
博士後期課程において博士学位申請論文の完成を目指し、また、そのプロセスとして、学位申請に必要な学術論文の投稿を行うに当たって、最低限の学術的な研究手法の習得、及び研究の前提となる研究者倫理を身に着けることは、必要不可欠である。本講義は、博士後期課程のコースワークとして、本研究科の博士後期課程担当教員のオムニバス形式による講義によって、研究者倫理、並びに、文献研究、実証研究、制度研究及び事例研究の研究手法の基礎についての講義を行う。
達成目標/Course objectives
本講義の第1の目標は、学術研究を実施するに当たって備えることが求められる研究者倫理について理解し、受講生自身の研究の実施に当たって常に配慮できるようになることにある。併せて、本講義の目標としては、受講生自身が研究に用いている研究手法について、改めて、その方法及び留意点を学ぶこと、並びに、受講生自身が利用しない研究手法であっても、アカデミック・リテラシーとして、最低限の知識を得ることにある。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
受講の前に、自分自身の研究テーマに必要な研究手法について検討しておくことが期待される。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 研究者倫理(知的所有権の尊重)
研究を進めるためには、すでに第3者が作り出した知識を活用することが必要になります。知的所有権の尊重という視点から関連文献・資料を整理することによって、やたら件数の多い参考文献リストを避けながら論文作成を行う考え方を指導します。
事前学習/Preparation 事前に配布する資料に目を通し、疑問点をリストし、自分の考え方をまとめておくこと。
事後学習/Reviewing 事前配布資料と講義内容にしたがってレポートを作成する。
2
授業計画/Class 研究者倫理(情報の捏造と推論)
事実とは異なるデータを示したり描写をすることが捏造ですが、論文の中で根拠を示さないまま主張を述べたり感想を書くことも広い意味での情報の捏造といえます。情報の捏造のない論文を書くための考え方を指導します。
事前学習/Preparation 事前に配布する資料に目を通し、疑問点をリストし、自分の考え方をまとめておくこと。
事後学習/Reviewing 事前配布資料と講義内容にしたがってレポートを作成する。
3
授業計画/Class 研究者倫理(実証研究と個人情報保護の葛藤)
実証的な研究を進めるためには、検証可能なデータに基づき分析を行う必要があります。データの検証可能性を高めることは時として個人情報の保護や組織内情報の機密保持と葛藤を生じる危険があります。実証研究を行うにあたって注意すべき情報保護の論点を指導します。
事前学習/Preparation 事前に配布する資料に目を通し、疑問点をリストし、自分の考え方をまとめておくこと。
事後学習/Reviewing 事前配布資料と講義内容にしたがってレポートを作成する。
4
授業計画/Class 文献研究(1) 学術論文の作成にあたって、関連文献の検索、入手、引用方法などについて概説する。また、大学図書館をはじめとする各種図書館における文献検索、入手方法について説明する。
事前学習/Preparation 大学図書館の利用方法を確認する。各自の学術論文の作成に必要な文献リストを作成する。
事後学習/Reviewing 大学図書館などにおいて、各自の研究テーマに関連する文献を検索してみる。
5
授業計画/Class 文献研究(2) 学術論文の作成にあたって、NDL SearchやCiNiiなどのデータ検索、収集方法やウェブサイトを通じた文献資料の検索、入手、引用方法について概説する。
事前学習/Preparation 文献検索に利用可能な内外のウェブサイトを確認する。
事後学習/Reviewing ウェブサイトを通じて各自の研究テーマに関連する文献を検索してみる。
6
授業計画/Class 文献研究(3) 学術論文の作成にあたって、先行研究の検索、引用方法や図表などの作成、引用方法について概説する。
事前学習/Preparation 各自の研究テーマに関連する先行研究を確認する。
事後学習/Reviewing 各自の研究テーマに関連して、図表などを用いることで学術論文の内容の理解可能性が高まるか検討してみる。
7
授業計画/Class 実証研究(1) 実証研究として捉えられている研究手法全般について概説した後、第1回として、アーカイバル・データによる研究手法について、仮説設定、サンプル・セレクション、分析手法、結果の解釈等について説明する。
事前学習/Preparation 実証研究としては、いかなる方法があるのか、また、自分自身の研究において実証研究が必要であるかどうか、必要な場合には、いかなる実証研究が必要なのかについて検討しておくこと
事後学習/Reviewing 配布した資料及び研究論文の例を読んで講義の内容を復習し、疑問点等を整理しておくこと
8
授業計画/Class 実証研究(2) 実証研究として捉えられている研究手法のうち、第2回として、社会調査、とくにQuestionaire調査について、仮説設定、質問票の作成、調査の実施の留意点、分析手法、結果の解釈等について説明する。
事前学習/Preparation 自分自身の研究において、Quesionaire調査が必要であるかどうか、必要な場合には、いかなる調査を行うことが想定されるかについて検討しておくこと。
事後学習/Reviewing 配布した資料及び研究論文の例を読んで講義の内容を復習し、疑問点等を整理しておくこと。
9
授業計画/Class 実証研究(3) 実証研究として捉えられている研究手法のうち、第3回として、株価実証研究について、仮説設定、データ収集、分析手法、結果の解釈等について説明する。 ※受講生との相談の上で、株価実証研究に代えて、統計ソフトの実習を行う場合もある。
事前学習/Preparation 自分自身の研究において、株価実証研究が必要又は取り入れる余地があるかどうかについて検討しておくこと。
事後学習/Reviewing 配布した資料及び研究論文の例を読んで講義の内容を復習し、疑問点等を整理しておくこと。
10
授業計画/Class 制度研究(1)社会には活動主体の行動をコントロールするさまざまな法規範などの制度が存在する。こうした制度という枠組みを前提として規範・理論研究に主軸を置く研究分野が法学であり、会計学においてもその側面は少なからず否めない。まず第1回では、制度の分類と階層を体系的に確認した後、制度研究の意義について概説する。
事前学習/Preparation 自分の研究課題においてベースとする制度を整理し、制度上の問題の所在を抽出しておく。
事後学習/Reviewing 事前学習と授業内容を振り返り、自分の研究課題に応用すべき点があるか再検討する。
11
授業計画/Class 制度研究(2)制度研究における制度の制定経緯・背景を含めた歴史的・沿革的研究の意義、解釈論と立法論・政策論について概説する。
事前学習/Preparation 自分の仮説を構築・検証するために、どのような理論的アプローチを試みているのか、まとめておく。
事後学習/Reviewing 事前学習と授業内容を振り返り、自分の研究課題に応用すべき点があるか再検討する。
12
授業計画/Class 制度研究(3)制度研究における海外との比較研究の意義とその手法について概説する。
事前学習/Preparation 自分の研究課題において、海外との比較研究の必要性・有用性について考えておく。
事後学習/Reviewing 事前学習と授業内容を振り返り、自分の研究課題に応用すべき点があるか再検討する。
13
授業計画/Class 事例研究(1)事例研究を行う場合に、研究目的に合わせた分析や解釈を行うようなバイアスが生じることを考え、多数の事例を繋げて連続性や方向性を安易に求めないような研究について説明する。
事前学習/Preparation 事前指定資料の学習。
事後学習/Reviewing 自分の研究での事例研究上の課題の考察。
14
授業計画/Class 事例研究(2)事例研究において、事例を解釈する際の法令や基準について、事例の発生時点の法令等についての理解が不十分であると、誤った解釈をしてしまうことについて説明する。
事前学習/Preparation 事前指定資料の学習
事後学習/Reviewing 自分の研究での事例研究上の課題の考察
15
授業計画/Class 事例研究(3)事例研究において、事例固有の背景や状況も考慮して多角的な考察を要することについて説明する。
事前学習/Preparation 事前指定資料の学習。
事後学習/Reviewing 自分の研究での事例研究上の課題の考察。
授業方法/Method of instruction
講義形式による。ただし、講義回によっては、一部実習を行う場合もある。
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 100% 成績評価は、各講義担当者ごとに、その講義の方法によって異なります。各講義担当者による成績評価を統合して全体の成績評価とします。●ただし、単位取得には、講義回数の2/3以上の出席が必須です。
メッセージ/Message
上記達成目標に記載した通り、自らの研究手法については、改めて基本的な知識を再学習して、研究手法の精緻化を図って下さい。また、今後、学会等で他の研究者の研究報告に接するときのために、自らの研究手法以外についても、最低限の知識を獲得して下さい。そして何より、高度な倫理観に裏付けられた研究者であるために、本講義を通じて、研究者倫理を身につけてください。