講義内容詳細:監査論Ⅰ

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年度/Academic Year 2020
授業科目名/Course Title (Japanese) 監査論Ⅰ
英文科目名/Course Title (English) Theory on Auditing Ⅰ
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 町田 祥弘
英文氏名/Instructor (English) MACHIDA, Yoshihiro

講義概要/Course description
監査論Ⅰ・監査論Ⅱでは,監査に関する基礎的な知識を習得し,他の監査関連諸科目を履修するのに必要な監査の基本的枠組み,監査理論,及び監査プロセスの概要等についての理解を深めることを目的としている。監査論Ⅰでは,監査の意義と目的,監査の歴史と制度,及び監査主体にかかる問題を中心に,講義形式で授業を行う。授業の範囲としては,テキストの理解を前提として,制度については,監査関連諸法令,監査基準及び実務指針の重要な監査規定等をカバーする。
達成目標/Course objectives
監査論Ⅰ・監査論Ⅱは,会計プロフェッションとして求められる監査に関する基礎的な知識を習得することを目標とし,監査の基礎的な概念や監査の実施プロセスの全体像の把握につとめる。とくに,監査論Ⅰでは,監査論の基礎理論,歴史,制度及び監査主体の問題を中心に検討する。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
大学の学部で、監査論を履修したことがない場合には、事前にテキストを読んで理解を図っておくことが必要である。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class ガイダンス/監査の概要  
監査論の講義の開始に当たって,財務会計と監査の関係を把握し,監査の枠組みの全体像の理解を図る。
事前学習/Preparation ガイダンスのため、とくになし。
事後学習/Reviewing 復習のための課題に取り組むとともに、テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
2
授業計画/Class 監査の意義
財務諸表監査,及びその他の監査と称されるさまざまな行為について,監査の定義及び監査の成立要件について検討する。また,監査基準において目的として示されている「合理的な保証」や「重要な虚偽表示」等についても理解を図る。
事前学習/Preparation テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
事後学習/Reviewing 復習のための課題に取り組むとともに、テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
3
授業計画/Class 監査の種類
監査の種類について,形式的識別規準による分類を学び,もって社会で必要とされているさまざまな監査のあり方を理解する。また,古くから議論のある情報監査と実態監査の議論を検討し,監査の意義について検討する。
事前学習/Preparation テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
事後学習/Reviewing 復習のための課題に取り組むとともに、テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
4
授業計画/Class 監査の歴史(1):監査の生成から現代の財務諸表監査まで
監査の歴史的展開について,19世紀英国における会計監査制度の成立から現代の財務諸表監査に至るまでの経緯について解説する。その中でも、現代の監査に通じる議論として,リスク・アプローチの概要とその後の展開を検討する。
事前学習/Preparation テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
事後学習/Reviewing 事後学習  復習のための課題に取り組むとともに、テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
5
授業計画/Class 監査の歴史(2):日本における監査の発展
日本の監査の歴史的展開について,商法/会社法における監査役監査及び会計監査人監査の展開,ならびに,証券取引法/金融商品取引法における公認会計士監査制度の展開を検討する。
事前学習/Preparation テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
事後学習/Reviewing 事後学習  復習のための課題に取り組むとともに、テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
6
授業計画/Class 監査規範(1):日本における監査制度と監査規範の体系
日本における法定監査制度の概要を把握する。金融商品取引法の下での財務諸表監査,並びに,会社法の下での会計監査人監査及び監査役監査を中心として,四半期レビューや内部統制監査その他の監査制度等についても取り上げる。また,それらの制度において,いかなる監査規範の体系がとられているのかについて,制度の趣旨を踏まえて検討する。
事前学習/Preparation テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
事後学習/Reviewing 復習のための課題に取り組むとともに、テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
7
授業計画/Class 監査規範(2):監査基準、自主規制、会計プロフェッション
会計プロフェッションの意義を検討したうえで,監査基準及び自主規制として設定されている各種の規範が有する役割について考察する。また,いかなる規範が監査人の判断及び行為に影響を与えるかを幅広く検討する。
事前学習/Preparation テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
事後学習/Reviewing 復習のための課題に取り組むとともに、テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
8
授業計画/Class 中間テストと講評
第2回から第8回までの講義内容を踏まえて,中間テストを実施し,講義内容の理解度を把握する。
事前学習/Preparation 中間テストに備えて、講義前半の内容を十分に復習しておく。 
事後学習/Reviewing 講評において指摘された事項を復習する。
9
授業計画/Class 監査主体(1):監査人の専門性
監査人の属性について,監査基準の一般基準をもとに,包括的に検討する。その上で,監査人として求められる専門的知識や技能,それらを問う試験制度及び資格取得後のCPEや教育の問題を検討する。
事前学習/Preparation テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
事後学習/Reviewing 復習のための課題に取り組むとともに、テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
10
授業計画/Class 監査主体(2):監査人の独立性
監査人の独立性について,精神的独立性と外見的独立性のそれぞれが有する意義,及び相違等について検討する。併せて,公認会計士法や同施行令・施行規則、日本公認会計士協会の倫理規則等で求められる独立性の規定を確認する。
事前学習/Preparation テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
事後学習/Reviewing 復習のための課題に取り組むとともに、テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
11
授業計画/Class 監査主体(3):監査人の責任
監査人の責任について,監査基準にいう「正当な注意義務」の内容を検討し,刑事責任,民事責任,行政処分その他において問われる責任について把握する。併せて,違法行為と不正な財務報告との関係や,有限責任制の問題についても検討する。
事前学習/Preparation テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
事後学習/Reviewing 復習のための課題に取り組むとともに、テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
12
授業計画/Class 監査主体(4):品質管理
現代の監査は,組織的監査として実施され,監査の品質管理をどのように実施するかは重要な課題である。本講義では,監査における品質管理基準の概要を整理するとともに,監査事務所及び監査実施の現場における品質管理の問題を取り上げる。
また、公認会計士協会による品質管理レビューや公認会計士・監査審査会による検査等の概要についても理解を図る。
事前学習/Preparation テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
事後学習/Reviewing 復習のための課題に取り組むとともに、テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
13
授業計画/Class 事例
これまでの講義で学んだ範囲、とくに監査主体に関連する監査事例について、ケース・スタディを実施する。監査人の独立性、責任、品質管理の実際の取り扱い学び、教場レポートを作成する。
事前学習/Preparation テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
事後学習/Reviewing 復習のための課題に取り組むとともに、テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
14
授業計画/Class 監査報告(1):監査意見
監査人によって表明される監査意見の種類、適正意見の要件、適正意見と準拠性意見の相違、限定付適正意見、不適正意見及び意見不表明が表明される条件等について学ぶ。
事前学習/Preparation テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
事後学習/Reviewing 復習のための課題に取り組むとともに、テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
15
授業計画/Class 監査報告(2):監査報告書
監査報告書に記載される内容とその意義を検討する。とくに、追記情報、Key Audit Matters(KAM)、各種意見が表明される場合の書式等を学ぶ。
事前学習/Preparation テキストの該当箇所を読んで、疑問点等を整理しておく。
事後学習/Reviewing 期末テストに備えて、講義前半の内容を十分に復習しておく。
授業方法/Method of instruction
講義形式で行う。講義は、資料を配布しながら行うが、講義の前に,後掲のテキストを通読してくる必要がある。また、講義の最後に質疑応答の時間を設ける。
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 90% 中間テスト40%,教場レポート(第13回)10%,及び期末テスト50%の結果をもとに評価する。 
2 レポート Report 10%
教科書/Textbooks
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1 町田祥弘 監査論の基礎 同文舘出版 2020年9月刊行予定 前期の講義においては、初回に、テキストの元原稿を配布する。
2 中央経済社編 監査法規集<第4版> 中央経済社 2015年3月
参考書/Reference books
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出版年
Published year
 
1 八田進二・町田祥弘 逐条解説で読み解く 監査基準のポイント 同文舘出版 2013年5月
2 伊豫田隆俊・松本祥尚・林隆敏 ベーシック監査論<8訂版> 同文舘出版 2019年12月
3 盛田良久・蟹江章・長吉眞一[編著] スタンダードテキスト 監査論<第4版> 中央経済社 2016年9月
4 鳥羽至英ほか 財務諸表監査 国元書房 2015年4月
メッセージ/Message
前期の監査論Ⅰは、2クラス開講されるが、講義は、共通の講義資料で行うとともに、中間テスト及び期末テストは、2クラス合同の統一テストで行う。また、成績評価も、2クラスを統合して行う。
単位取得には、少なくとも、講義回数の3分の2以上の出席が必要である。
監査論Ⅰを履修済みでなければ、監査論Ⅱを履修することはできない。
キーワード/Keywords
監査     合理的な保証     公認会計士     監査役     独立性     正当な注意     品質管理     監査意見     監査報告