講義内容詳細:哲学A

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年度/Academic Year 2021
授業科目名/Course Title (Japanese) 哲学A
英文科目名/Course Title (English) Philosophy A
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 佐藤 拓司
英文氏名/Instructor (English) SATOH Takuji

講義概要/Course description
近代西洋哲学とその現代的超克の可能性

 「西洋」と「近代」はきわめて密接に結びついている。それは安易な切り離しを許さない。「近代」は人間理性が自らの自立、そして自律を求めたところから始まった。そして理性が自然、社会、そして人間をも理解の対象とし、客体化しだしたとき、「近代」というシステムが形作られ始めたといえよう。自然科学、社会科学、人間科学という学問体系が形づくられ、さらには歴史までもが「西洋近代人」を中心・頂点とする「世界史」として完成されていく。
 しかし、19世紀も後半に入ったころ、「近代」は自らその土台が崩壊しだしていることに気付き始める。近代というシステムが本来主体であるはずの人間までも拘束し、圧殺しようとしている。そうした認識、そして近代理性それ自体への懐疑が西洋において生まれ始めた。そしてそれは「近代」を乗り越える「超克」の哲学として姿を現す。
 この哲学Aでは、デカルトにおける近代理性の誕生、カントの理性批判、ヘーゲルによる弁証法的理性の支配体系、そしてそれに対する懐疑の芽生え、たとえばニーチェ、ディルタイの生の哲学、ハイデガー、ヤスパースの実存哲学などを概観していく。そのなかで、現代に生きる人間として、そして近代システムの恩恵のなかで生活するものとして、そのシステムと超克それ自体を哲学として考える。それがこの講義の概要である。
達成目標/Course objectives
西洋近代哲学の思想的概略、および近代そのものが抱える問題について理解を深める。さらにその超克を目指すということがどういうことであるか、「近代」と「現代」、そして「ポストモダン」という問題をどう考えるべきか、これらを現代に生きる自分自身の問題として、語ることができるようになる。これを達成目標とする。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
必須ではないが、同講師(佐藤拓司)が金1後期に開講している自己理解(個別科目)をすでに履修していることが望ましい。この講義は、自己理解(個別科目)では煩雑として省いてあった哲学的理論背景を明らかにするものとなっている。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 講義の導入:「近代」を批判する意味
(オンライン授業(オンデマンド型))
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。17世紀西洋の時代的状況を予習する。
事後学習/Reviewing 資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
2
授業計画/Class デカルト哲学の思想史的意義:世界、自然、社会、人間、すべてが客体化されるということ
(オンライン授業(オンデマンド型))
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。デカルト『方法序説』。
事後学習/Reviewing 資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
3
授業計画/Class コギトと合理論
(オンライン授業(オンデマンド型))
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。
事後学習/Reviewing 資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
4
授業計画/Class 合理論による世界の体系化:スピノザの試み
(オンライン授業(オンデマンド型))
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。スピノザ「エチカ」
事後学習/Reviewing 資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
5
授業計画/Class カントの論理学①
(オンライン授業(オンデマンド型))
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。カント『純粋理性批判』。
事後学習/Reviewing 資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
6
授業計画/Class 「物自体」という問題―カントの論理学②
(オンライン授業(オンデマンド型))
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。カント『純粋理性批判』。
事後学習/Reviewing 資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
7
授業計画/Class カントからヘーゲルへ:フィヒテとシェリング
(オンライン授業(オンデマンド型))
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。
事後学習/Reviewing 資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
8
授業計画/Class 超越論的論理学と弁証法的論理学:ヘーゲル①
(オンライン授業(オンデマンド型))
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。
ヘーゲル『小論理学』
事後学習/Reviewing 資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
9
授業計画/Class 論理学と歴史哲学:ヘーゲル②
(オンライン授業(オンデマンド型))
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。
ヘーゲル『小論理学』/『歴史哲学講義』
事後学習/Reviewing 資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
10
授業計画/Class ヘーゲル論理学の限界
(オンライン授業(オンデマンド型))
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。
ヘーゲル『小論理学』
事後学習/Reviewing 資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
11
授業計画/Class ショーペンハウアーとヘーゲル批判
(オンライン授業(オンデマンド型))
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。
事後学習/Reviewing 資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
12
授業計画/Class ディルタイ:精神科学と生の哲学①
(オンライン授業(オンデマンド型))
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
13
授業計画/Class ディルタイ:精神科学と生の哲学②
(オンライン授業(オンデマンド型))
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。
事後学習/Reviewing プリント、および資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
14
授業計画/Class ディルタイとニーチェ
(オンライン授業(オンデマンド型))
事前学習/Preparation 配信された講義概要プリントを事前に熟読。
事後学習/Reviewing 資料熟読。coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。
15
授業計画/Class 実存からの哲学批判
(オンライン授業(オンデマンド型))
事前学習/Preparation これまでの講義内容の総復習。
ヤスパース『哲学入門』
事後学習/Reviewing coursepowerにレポートおよび小テストがあればそれを行う。疑問などがある場合は掲示板もしくは質問を使用する。まとめと総復習。
授業方法/Method of instruction
・オンライン授業(オンデマンド型)
・講義用資料はcoursepowerのシステムを利用してpdfファイルで配信する。講義内容もその多くは文章化して配信する。
・疑問点などがある場合はcoursepowerの質問、および掲示板システムを利用する。
・レポートを数回提出してもらう。

成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 70% レポート。
2 平常点 In-class Points 30% coursepowerにおける授業参加度。質問および掲示板の内容。
教科書/Textbooks
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1 毎回、資料をpdfファイルで配信する。
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBNコメント
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1 デカルト 方法序説 岩波書店 1997 4003361318 他にも邦訳は多数あります。講義にて紹介予定。
2 カント 純粋理性批判 平凡社 2005 4582765270 他にも邦訳は多数あります。講義にて紹介予定。
3 ヘーゲル 小論理学 岩波書店 1978 4003362918 新訳もでましたが、手軽な文庫版を紹介しています。
4 フィヒテ著 ; 木村素衞譯 全知識學の基礎 岩波書店 1949.5 4003362721 古い訳本ですが、ドイツ観念論の理解するための必読書です。今日ではフィヒテ全集にすべておさめられています、単独で手軽なこちらをあげておきます。図書館では全集版を利用したほうが読みやすいです。 蔵書情報 / Library information
5 ディルタイ 精神科学における歴史的世界の構成 以文社 今日ではディルタイ全集にすべて収められていますが、単独で読みやすいこちらをあげておきます。
6 ディルタイ [著] ; 久野昭訳 解釈学の成立 以文社 1981.1 後期ディルタイの重要論文が収録されています。ディルタイ全集にももちろん収録されていますが、手軽なこちらをあげておきました。 蔵書情報 / Library information
7 ヤスパース 哲学入門 新潮社 1954 ヤスパース自身があらわした哲学の入門書です。実存からの近代哲学批判の基礎はこれでよくわかります。
8 スピノザ [著] ; 畠中尚志訳 エチカ 岩波書店 1975.1 4003361547 他にも邦訳は複数ありますが、手軽で読みやすいこちらをあげておきます。 蔵書情報 / Library information
その他/Others
・事前学習で課されている参考書は、その多くが大部であり、事前に読みとおすことはむずかしい。それでも、どういうことが書かれた書物なのか、機会があれば、少しくらいは目を通しておいてほしい。まえがきやあとがきなどでそれらの書物が出版された時代状況をつかむだけでもよい。講義の理解度が格段にあがるはずである。部分的に講義資料として配信する予定。
・この講義の参考書はどれも近現代哲学の古典的名著である。それゆえ現代ではそれらを理解するための入門書・解説書も数多く出版されている。それらについては講義概要のプリントなどで紹介する。
・前期「哲学A」と後期「哲学B」では一部内容が重複している。カント、ヘーゲルや生の哲学、実存哲学に関する部分などである。ただし論述の基本となっている著書、およびそこからの展開は大きく違う。あえていえば、「哲学A」ではそれぞれの哲学者の基本的な考えとその論理が主題とされ、「哲学B」ではその歴史的生とのかかわりが主題とされていると考えられたい。
キーワード/Keywords
西洋近代哲学     現代哲学     生の哲学     実存哲学