講義内容詳細:音楽史A

戻る
年度/Academic Year 2021
授業科目名/Course Title (Japanese) 音楽史A
英文科目名/Course Title (English) History of Music A
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 山田 晴通
英文氏名/Instructor (English) YAMADA Harumichi

講義概要/Course description
 ポピュラー音楽の歴史を、単に文化現象の展開として追うのではなく、それぞれの時点における社会的背景や技術的基盤との関係で捉えながら把握し、二十世紀における世界的文化現象としてのポピュラー音楽について理解を深めることが、この講義の目標である。
 前期の音楽史Aでは、まず最初に「ポピュラー音楽」という概念とその歴史性を批判的に検討する。ポピュラー音楽とは何か、というある意味で極めて不毛な問いかけから講義は始まる。そこではまず、ポピュラー音楽は、いかなる意味において「ポピュラー」であり、どのような音楽「ではない」のかについて議論することを通して、ポピュラー音楽の本質を、複製技術、商品化といった文脈から捉え直す。続いて、二十世紀のポピュラー音楽に先行した、十九世紀の音楽現象の中から、二十世紀につながる論点を拾い上げて紹介していく。ここでは、吹奏楽、自動演奏機械、楽譜出版と著作権といった論点に簡単に触れていく。
 次に、ジャズの歴史について、音源の紹介に重点を起きながら論じて行く。ジャズを取り上げるのは、これが、今日でも大きな影響力をもつ純粋なポピュラー音楽のジャンルとして、最も長い歴史をもっているためである。講義の中では、最初に録音物として記録されたニューオリンズ・ジャズを起点に、ダンス音楽の総称としてのジャズ、スウィング・ジャズを経て、ビバップ、モード・ジャズ、フリー・ジャズといった流れまで、代表的な演奏の録音を実際に聴いてゆく。しかし、授業の中では、通常、ジャズの歴史として語られる範囲をすべて扱うことは難しい。講義では、二十世紀前半の比較的初期のジャズ(概ねビバップまで)についてより詳しく論じる。
 なお、講義の構成上、通説とはやや異なる観点から諸様式の展開を説明する部分も出てくる。受講者は、ジャズの歴史についての知識を事前に持っている必要はない。しかし、ジャズについてまったく知らない者は、受講と平行して新書数冊程度の読書をするくらいには、時間と貨幣を投じる覚悟をしてほしい。
達成目標/Course objectives
 二十世紀のポピュラー音楽史(その1―基礎的視点とジャズ史)
ポピュラー音楽概念の基礎的理解を獲得し、ジャズ史の概要を把握する。
今年度も、例年に準拠した授業の進行とする予定である。若干の相違はあるが、ウェブ上にある2009年度の授業内容を参照されたい。(http://camp.ff.tku.ac.jp/YAMADA-KEN/Y-KEN/ex-files/notice09-agu.html)
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 第 1回 オリエンテーション【オンライン(オンデマンド型)】
事前学習/Preparation シラバスの熟読、教科書第1章指定範囲の自主的な通読
事後学習/Reviewing オリエンテーション内容を踏まえた自主学習の計画
2
授業計画/Class 第 2回 ポピュラー音楽とそうでない音楽
事前学習/Preparation 教科書第1章指定範囲の精読
事後学習/Reviewing 授業で言及された語彙、諸概念の確認
3
授業計画/Class 第 3回 「フォーク・ソング」概念の背景
事前学習/Preparation 教科書第1章指定範囲の精読、指定関連テキストの精読
事後学習/Reviewing 授業で言及された語彙、諸概念の確認、音源の確認
4
授業計画/Class 第 4回 「ポピュラー音楽らしさ」の尺度
事前学習/Preparation 教科書第1章指定範囲の精読
事後学習/Reviewing 授業で言及された語彙、諸概念の確認、音源の確認 
5
授業計画/Class 第 5回 自動演奏機械と初期録音
事前学習/Preparation 教科書第1章指定範囲の精読、指定関連テキストの精読
事後学習/Reviewing 授業で言及された語彙、諸概念の確認、音源の確認
6
授業計画/Class 第 6回 「ポピュラー音楽」概念の操作的定義
事前学習/Preparation 教科書第1章指定範囲の精読
事後学習/Reviewing 授業で言及された語彙、諸概念の確認、音源の確認
7
授業計画/Class 第 7回 演歌と西洋音楽
事前学習/Preparation 教科書第1章指定範囲の精読
事後学習/Reviewing 授業で言及された語彙、諸概念の確認、音源の確認
8
授業計画/Class 第 8回 ジャズ史1:トラディショナル・ジャズ
事前学習/Preparation 自主的に選択した参考文献を通した主題に関する予習
 
事後学習/Reviewing 授業で言及された語彙、諸概念の確認、音源の確認
9
授業計画/Class 第 9回 ジャズ史2:スウィング・ジャズ
事前学習/Preparation 自主的に選択した参考文献を通した主題に関する予習
事後学習/Reviewing 授業で言及された語彙、諸概念の確認、音源の確認
10
授業計画/Class 第10回 ジャズ史3:ビバップ前後
事前学習/Preparation 自主的に選択した参考文献を通した主題に関する予習
事後学習/Reviewing 授業で言及された語彙、諸概念の確認、音源の確認
11
授業計画/Class 第11回 ジャズ史4:ハード・バップの周辺
事前学習/Preparation 自主的に選択した参考文献を通した主題に関する予習
事後学習/Reviewing 授業で言及された語彙、諸概念の確認、音源の確認
12
授業計画/Class 第12回 ジャズ史5:フリー・ジャズの周辺
事前学習/Preparation 自主的に選択した参考文献を通した主題に関する予習
事後学習/Reviewing 授業で言及された語彙、諸概念の確認、音源の確認
13
授業計画/Class 第13回 ジャズ史6:マイルス「電化」前後
事前学習/Preparation 自主的に選択した参考文献を通した主題に関する予習
事後学習/Reviewing 授業で言及された語彙、諸概念の確認、音源の確認
14
授業計画/Class 第14回 ジャズ史7:「ジャズの死」後
事前学習/Preparation 自主的に選択した参考文献を通した主題に関する予習
事後学習/Reviewing 授業で言及された語彙、諸概念の確認、音源の確認
15
授業計画/Class 第15回 ジャズ史8:ジャズの散開
事前学習/Preparation 自主的に選択した参考文献を通した主題に関する予習
事後学習/Reviewing 授業で言及された語彙、諸概念の確認、音源の確認
授業方法/Method of instruction
本講義は対面授業(通常型)で実施します。
成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 100% 期末のレポートへの評価による。詳細は教室で指示する。レスポンス・シートへのコメントに基づいて加点する場合がある。具体的には、授業中に説明した内容に誤りがあることを指摘した場合、パワーポイントに誤字があることを指摘した場合など、授業の改善に資する指摘を含むコメントを提出した者については、最終的な成績を付ける際に、1件につき1~5点の加点をする場合がある。 
 
教科書/Textbooks
 コメント
Comments
1  東谷 護編『ポピュラー音楽へのまなざし』勁草書房 2003年
メッセージ/Message
 講義に関する情報は、担当者の研究室のサイトでも随時提供する。また、メールでの質問も歓迎する。
 http://camp.ff.tku.ac.jp    yamada@tku.ac.jp