講義内容詳細:現代史B

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年度/Academic Year 2021
授業科目名/Course Title (Japanese) 現代史B
英文科目名/Course Title (English) Modern History B
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 高江洲 昌哉
英文氏名/Instructor (English) TAKAESU Masaya

講義概要/Course description
 この授業は当初「未決の戦争問題」を中心におこなってきたが、2016年度以降、戦争非経験者による「継承」の問題に重点を置いた考察を深めてきた。また、戦争を反省し平和について考えるということは、ある意味で結論が明確であるため、権威主義的になるか、模範解答をおうむ返しに答える(思考停止の)おそれがある。そのため、授業では、自分の頭と語彙で「なぜ、平和が大事なのか」考えることを目的に進めてきた。2019年度、2020年度は「憎悪や敵愾心」をどのように克服し継承すべきかについて考えてきた。2021年度は「歴史の声は音声多重である」、「現在は歴史の積み重ねであるが、歴史像は現在の価値観に規制される」ということ念頭において、歴史理解の意味を考えていきたい。昨年度授業でも質問のあった「ナショナリズムの克服は何故難しいのか?」という疑問に向き合いつつ、ナショナリズムと歴史認識についても考えていきたい。
 本講義では、「多様な歴史像の共有」を目的にしているが、「見解の相違」のように没交渉的な「知の隔離状態」と何処が違うのか考えていきたい。さらに、ここ数年からの課題である「慰霊と反省の両立」、「思考停止にならない慰霊の方法」について考えを深めていくようにしたい。
 講義時間内で講義題目を十分に伝えることは難しいので、配布するブックリストを活用して、授業以外でも本問題について、主体的に取り組んでもらいたいと考えている。
 なお、学生の関心やオンライン授業等の影響で授業内容に変更もありうるので、この点、承知しておくように。
達成目標/Course objectives
立ち位置によって解釈の異なる「植民地支配の歴史」、「戦争の歴史」について学んでいく。これら歴史を通して、講義の主要キーワードである「思考停止」、「慰霊と反省の両立」、「多様な歴史像の共有」、「寛容さと語彙力の獲得」などの意味について主体的に考えていく。本講義では、かかる問題を考えることで、現代日本で生きることと、アジアの中で生きることについて考える視点を養うことを目的とする。特にこれまでの講義を踏まえて、今年度は「継承」の意味について主体的に考える能力を身につけることを達成目標とする。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class オリエンテーションー歴史の見方について考えるーオンライン授業(オンデマンド型)での実施
事前学習/Preparation 参考書のうち、どれか1冊に目を通しておくこと。または、高校の時に利用した日本史や世界史の本を再読しておくことが望ましい。
事後学習/Reviewing ブックリストを活用した復習
2
授業計画/Class 2019年度の実践を通して課題を確認する
事前学習/Preparation ブックリストを活用した予習
事後学習/Reviewing 配布資料やブックリストを活用した復習
3
授業計画/Class 空襲の歴史ー被害と敵愾心ー
事前学習/Preparation ブックリストを活用した予習
事後学習/Reviewing 配布資料やブックリストを活用した復習
4
授業計画/Class
多摩の空襲
事前学習/Preparation ブックリストを活用した予習
事後学習/Reviewing 配布資料やブックリストを活用した復習
5
授業計画/Class

慰霊碑を通して「歴史問題」を考えるーレポートを書くために



事前学習/Preparation ブックリストを活用した予習
事後学習/Reviewing 配布資料やブックリストを活用した復習
6
授業計画/Class
本年度の課題の確認ーこれまでの「現代史B]の実践を踏まえてー
事前学習/Preparation ブックリストを活用した予習
事後学習/Reviewing 配布資料やブックリストを活用した復習
7
授業計画/Class 戦後50年から70年を経てー「慰霊と反省の両立」について考える
事前学習/Preparation ブックリストを活用した予習
事後学習/Reviewing 配布資料やブックリストを活用した復習
8
授業計画/Class 兵士の死について考える
事前学習/Preparation ブックリストを活用した予習
事後学習/Reviewing 配布資料やブックリストを活用した復習
9
授業計画/Class 植民地の人、「日本兵」になる
事前学習/Preparation ブックリストを活用した予習
事後学習/Reviewing 配布資料やブックリストを活用した復習
10
授業計画/Class 戦争の継承についてー相模湖・ダムの歴史を記録する会の活動を事例にして
事前学習/Preparation ブックリストを活用した予習
事後学習/Reviewing 配布資料やブックリストを活用した復習
11
授業計画/Class 東アジア現代社会の形成

事前学習/Preparation ブックリストを活用した予習
事後学習/Reviewing 配布資料やブックリストを活用した復習
12
授業計画/Class 冷戦下の戦後処理
事前学習/Preparation ブックリストを活用した予習
事後学習/Reviewing 配布資料やブックリストを活用した復習
13
授業計画/Class 靖国神社について考える
事前学習/Preparation ブックリストを活用した予習
事後学習/Reviewing 配布資料やブックリストを活用した復習
14
授業計画/Class 特攻像について考える
事前学習/Preparation ブックリストを活用した予習
事後学習/Reviewing 配布資料やブックリストを活用した復習
15
授業計画/Class 講義のまとめ‐今後の課題について考える‐
事前学習/Preparation ブックリストを活用した予習
事後学習/Reviewing 配布資料やブックリストを活用した復習
授業方法/Method of instruction
オンライン授業でおこなう。授業形態はオンデマンド型授業になる予定(リアルタイムも考えているが、学生の意向などを考慮して判断する。リアルタイムでも録画を流すなどの措置を講じる)。毎回テーマに関係する資料をアップし、それを用いながら講義をする。基本は教師による語りを中心に進めていく。授業計画は学生の関心や授業の進展、時宜的な必要性などに応じて内容の変更もある。オンライン授業のため、例年おこなっている外部スピーカーによる講演や数回の映像利用については、中止もありうる。
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 35% 授業理解に関する論述型の試験(授業期間内に実施する、最終レポート的位置づけの課題。CoursePowerを利用して実施する)。
2 レポート Report 35% 期間内に課題(1問)を提示する(中間レポート的位置づけ、CoursePowerを利用して実施)。
3 平常点 In-class Points 30% 授業内のコメントなど
教科書/Textbooks
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1 特になし。
参考書/Reference books
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1 内海愛子・大沼保昭・田中宏・加藤陽子 戦後責任 岩波書店 2014年 40000258548 2600円+税 ブックリストを配布するが、下記の図書は読んでいるほうが望ましい。成田龍一『増補「戦争経験」の戦後史』(岩波現代文庫、2020年)、吉田裕『兵士たちの戦後史』(岩波現代文庫、2020年)保坂正康『戦場体験者』(ちくま文庫、2018年)古市憲寿『誰も戦争を教えられない』(講談社、2015年)服部龍二『外交ドキュメント歴史認識』(岩波新書、2015年)
メッセージ/Message
授業外の関連事項にも関心をもってください。