講義内容詳細:キリスト教と自然科学

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年度/Academic Year 2021
授業科目名/Course Title (Japanese) キリスト教と自然科学
英文科目名/Course Title (English) Christianity and Natural Science
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 中山 良男
英文氏名/Instructor (English) NAKAYAMA Yoshio

講義概要/Course description
私たちは、21世紀の科学技術の時代に生きています。私たちは、科学と技術がこの世界のすべてを明らかにできると考えています。そのような時代に、なぜキリスト教という宗教が可能なのでしょうか?キリスト教は宇宙に関するある視点を提示します。それは、この宇宙は神の被造物であるということです。神が創造した世界なので、そこに調和と秩序があり、科学者はそれを自然法則と呼びます。本授業では、キリスト教と自然科学は相補う関係にあることを前提にしています。キリスト教と自然科学の双方の考え方は、一般に理解されているような対立的、闘争的な関係ではないからです。キリスト教と自然科学の両方について歴史的、思想的に理解することにより、両者のこれまでの関係を概観します。最初に、中世以降のキリスト教と自然科学の歴史を振り返りながら、両者の関係を考えます。ガリレオ裁判は非常に重要な出来事ですので、その前後のキリスト教と自然科学の状況も含めて詳細に検討します。ダーウィンの進化論は、キリスト教と自然科学が敵対的だと考えられている代表的な理論ですが、キリスト教内部でも、様々な考え方があることを取り上げます。現代宇宙論は、自然科学で最も関心の高いテーマの一つです。ここでは、ビッグバン宇宙論に注目し、それがキリスト教の自然理解と深く関係することを学びます。このほかに、神の存在論証、神の自然へのかかわり方、自然科学的な方法論の特徴と限界、そして復活に代表される奇跡などについて考えます。
達成目標/Course objectives
キリスト教の自然の見方と自然科学の方法論や特徴を整理し、次に両者を比較し、そして共通する部分とそうでない部分を明らかにします。それにより、キリスト教と自然科学の関係を考察することを目標とします。

主な項目は、以下になります。
創造のモデル、科学革命を準備した中世の重要性、標準的な聖書の解釈方法、地球中心説(天動説)と太陽中心説(地動説)、コペルニクスの生涯、ガリレオ裁判とその後、ガリレオ・ガリレイの生涯、機械論的宇宙と理神論、ニュートンの生涯、ダーウィン進化論、ダーウィンの生涯、キリスト教と科学哲学、神の存在の論証と自然科学、還元主義と反還元主義など。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 講義概要(内容、方法、評価など)を説明する。
事前学習/Preparation 教科書のp.3~p.11を読んでおく。
事後学習/Reviewing キリスト教と自然科学の関係を四つに分類する方法(資料を配布します)をまとめる。
2
授業計画/Class 創世記と創造モデル
事前学習/Preparation 旧約聖書の創世記第1章1節から第2章9節を通読し、そこに記載されている内容を各自で調べる。教科書のp.114~p.119の下12行目を読んでおく。
事後学習/Reviewing 3種類の創造のモデル(流出、建築、芸術的表現)と一番興味を持ったモデルをまとめる。
3
授業計画/Class 創造と時間、そして創造と自然法則
事前学習/Preparation 教科書のp.119の下13行目~p.121の上13行目、そしてp.124の下1行目~p.129の上3行目を読んでおく。
事後学習/Reviewing 創造は物理的世界の時間そして自然法則と深い関係があることをまとめる。
4
授業計画/Class 中世の総合
事前学習/Preparation 教科書の教科書の第1章p.13冒頭~p.17の下10行目を読んでおく。
事後学習/Reviewing 伝統的な聖書の解釈方法についてまとめる。それに基づいて、青山学院のスクール・モットーである「地の塩、世の光」(新約聖書マタイによる福音書 第5章13~16節)についての各自の解釈をまとめる。
5
授業計画/Class 新天文学 地球中心説と太陽中心説
事前学習/Preparation 教科書のp.17の下11行目~p.22の上17行目を読んでおく。
事後学習/Reviewing アリストテレス、プトレマイオス、そしてコペルニク、ブラーエ、ケプラーの天文学から太陽中心説の正しさを立証してきた歴史をまとめる。
6
授業計画/Class ガリレオ裁判
事前学習/Preparation 教科書のp.22の上18行目~p.26の上3行目を読んでおく。
事後学習/Reviewing 裁判に至る経緯と裁判の真の争点をまとめる。
7
授業計画/Class ニュートンの機械的宇宙と理神論
事前学習/Preparation 教科書のp.26の上4行目~p.30の下2行目を読んでおく。
事後学習/Reviewing ニュートンの信仰、そして理神論と機械論的宇宙論をまとめる。
8
授業計画/Class ダーウィンの進化論
事前学習/Preparation 教科書のp.30の下3行目~p.35の上4行目を読んでおく。
事後学習/Reviewing ダーウィンの信仰、そして聖書の創造論と進化論の争点をまとめる。
9
授業計画/Class キリスト教と科学の関係
事前学習/Preparation 教科書のp.51下1行目~p.60の上最終行を読んでおく。
事後学習/Reviewing キリスト教と自然科学の相互関係モデルをまとめる。
10
授業計画/Class 神の存在証明
事前学習/Preparation 教科書のp.91冒頭~p.112の上4行目を読んでおく。
事後学習/Reviewing 自然科学から得られる知見が、神の存在証明と関係することをまとめる。
11
授業計画/Class 宗教と科学哲学
事前学習/Preparation 教科書のp.62冒頭~p.71の下7行目を読んでおく。
事後学習/Reviewing 合理主義と経験主義、そして実在論と観念論をまとめる。
12
授業計画/Class 科学と宗教におけるモデルと類比
事前学習/Preparation 教科書のp.145冒頭~p.156下4行目を読んでおく。
事後学習/Reviewing 類比とモデルの具体例をまとめる。

13
授業計画/Class 人間原理とキリスト教
事前学習/Preparation 教科書のp.175冒頭~p.184上3行目を読んでおく。 
事後学習/Reviewing 人間原理とキリスト教の関係についてまとめる。
14
授業計画/Class 反還元主義、全体論、そして創発
事前学習/Preparation 別途配布する配布資料を読んでおく。
事後学習/Reviewing 還元主義と反還元主義に対立点についてまとめる。
15
授業計画/Class 奇跡を考える
事前学習/Preparation 別途配布する配布資料を読んでおく。あわせて、新約聖書にある奇跡の出来事について幾つか探しておく。
事後学習/Reviewing 奇跡の可能性について考えるところをまとめる。
授業方法/Method of instruction
本講義はオンライン授業(オンデマンド型)で実施します。

成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 40% 最終レポート(最終講義後、2週間以内を目途にコースパワーで提出する)
2 その他 Others 30% 中間レポート(第7回講義後を目途にコースパワーで提出する)
3 平常点 In-class Points 30% レスポンスシート(講義後、10日以内を目途にコースパワーで提出する)
教科書/Textbooks
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN
1 A.E.マクグラス(稲垣久和他訳) 科学と宗教 教文館 2009 4764272954