講義内容詳細:日本文学演習Ⅱ[17]

戻る
年度/Academic Year 2021
授業科目名/Course Title (Japanese) 日本文学演習Ⅱ[17]
英文科目名/Course Title (English) Seminar in Japanese Literature Ⅱ [17]
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 橋本 あゆみ
英文氏名/Instructor (English) HASHIMOTO Ayumi

講義概要/Course description
 テーマ:今の社会の諸問題と繋げながら日本現代文学を精読する

 前期「日本文学演習Ⅰ[17]」では、明治期からおおよそアジア・太平洋戦争直後までの文学を読むことを通じて、近現代文学研究の基本的な考え方やメソッドを身につけてもらいました。後期演習では、それを土台として、1950年前後〜1970年代に至る冷戦期/高度成長期の文学が描き出した多様な問題系を読み解いてもらいます。
 この時期には、「政治と文学」「国や文化を異にする他者との軋轢」「核兵器・原子力」「ジェンダー」「病とそれに対する眼差し」など、現在なお議論され続ける問題が文学の中にはっきり表れてきます。受講者には、発表当時の時代状況を踏まえた分析を行うと同時に、「いま」の問題意識にも繋げて、主体的に調べ論じてもらいたいと思います。
 また、実験的表現を採用した小説も多く見られるようになりますので、「そもそも書く行為とは何か」といった大きな問いを考える機会にもなるでしょう。

 後期演習についても、共通テキストとして短篇小説の本文ないし長篇小説の本文抜粋が掲載された教科書を指定します。ただし引き続き発表者には、長篇の場合、教科書にある場面以外も読んだり、自分で探し出した参考文献・先行研究を活用するなどして、単に教科書の解説をなぞるだけではない発展的な演習発表を求めます。

 演習発表の方法は前期に準じる予定です。「授業方法」欄も確認してください。なお、授業計画や進行方法は、受講者数や発表希望状況等に応じて調整する可能性があります。
 後期も、期末レポート提出や授業内以外の連絡にはCoursePowerを用います。問題なく利用できるよう、環境を整えてください。
達成目標/Course objectives
1、社会背景との関連なども踏まえつつ、細部の表現・表象によく注意して日本近現代文学を精読できるようになる。
2、基礎的な研究手法を定着させ、自分自身で設定した問題意識に沿った文献・資料調査ができるようになる。
3、引用や出典明記などのルールを守った発表資料を作り、聞き手が理解しやすいプレゼンテーションができる。
4、積極的かつ誠実な態度で質疑応答ができる。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
前期「日本文学演習Ⅰ[17]」の内容を前提に進めますので、特別な事情がない限り続けて履修することが望ましいです。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 前期レポートのフィードバック、発表希望の提出【オンライン授業(オンデマンド型)での実施】
事前学習/Preparation 教科書に目を通し、発表希望作品を考える。
事後学習/Reviewing 授業内容を復習。発表希望作品名をWeb経由で期限までに教員に送信。
2
授業計画/Class 戦後〜冷戦期の文学を読むための基礎知識、発表順の決定・確認
事前学習/Preparation 発表のアイデアを練っておく。発表に備えて教員に質問・相談したいことがあれば整理しておく。
事後学習/Reviewing 授業内容を復習し、特に自分の発表予定作品に関わりの深い事項について調べておく。次回発表者は発表準備。
3
授業計画/Class 受講者の発表1…島尾敏雄「夢の中での日常」
事前学習/Preparation 発表担当者は発表資料の完成。他の受講者は研究手引き部分を含めて教科書を予習し、自分自身の理解に基づいて発表者に質問できるようにする。
事後学習/Reviewing 次回発表者は発表準備。他の受講者は次回の取扱作品をよく読む。
4
授業計画/Class 受講者の発表2…三島由紀夫「卒塔婆小町」
事前学習/Preparation 発表担当者は発表資料の完成。他の受講者は研究手引き部分を含めて教科書を予習し、自分自身の理解に基づいて発表者に質問できるようにする
事後学習/Reviewing 次回発表者は発表準備。他の受講者は次回の取扱作品をよく読む。
5
授業計画/Class 受講者の発表3…小島信夫「アメリカン・スクール」
事前学習/Preparation 発表担当者は発表資料の完成。他の受講者は研究手引き部分を含めて教科書を予習し、自分自身の理解に基づいて発表者に質問できるようにする。
事後学習/Reviewing 次回発表者は発表準備。他の受講者は次回の取扱作品をよく読む。
6
授業計画/Class 受講者の発表4…円地文子「黝(くろ)い紫陽花」
事前学習/Preparation 発表担当者は発表資料の完成。他の受講者は研究手引き部分を含めて教科書を予習し、自分自身の理解に基づいて発表者に質問できるようにする。
事後学習/Reviewing 次回発表者は発表準備。他の受講者は次回の取扱作品をよく読む。
7
授業計画/Class 受講者の発表5…深沢七郎「楢山節考」
事前学習/Preparation 発表担当者は発表資料の完成。他の受講者は研究手引き部分を含めて教科書を予習し、自分自身の理解に基づいて発表者に質問できるようにする。
事後学習/Reviewing 次回発表者は発表準備。他の受講者は次回の取扱作品をよく読む。
8
授業計画/Class 受講者の発表6…石牟礼道子「ゆき女きき書」
事前学習/Preparation 発表担当者は発表資料の完成。他の受講者は研究手引き部分を含めて教科書を予習し、自分自身の理解に基づいて発表者に質問できるようにする。
事後学習/Reviewing 次回発表者は発表準備。他の受講者は次回の取扱作品をよく読む。
9
授業計画/Class 受講者の発表7…大江健三郎「セヴンティーン」
事前学習/Preparation 発表担当者は発表資料の完成。他の受講者は研究手引き部分を含めて教科書を予習し、自分自身の理解に基づいて発表者に質問できるようにする。
事後学習/Reviewing 次回発表者は発表準備。他の受講者は次回の取扱作品をよく読む。
10
授業計画/Class 受講者の発表8…佐多稲子「のない画」
事前学習/Preparation 発表担当者は発表資料の完成。他の受講者は研究手引き部分を含めて教科書を予習し、自分自身の理解に基づいて発表者に質問できるようにする。
事後学習/Reviewing 次回発表者は発表準備。他の受講者は次回の取扱作品をよく読む。
11
授業計画/Class 受講者の発表9…藤枝静男「空気頭」
事前学習/Preparation 発表担当者は発表資料の完成。他の受講者は研究手引き部分を含めて教科書を予習し、自分自身の理解に基づいて発表者に質問できるようにする。
事後学習/Reviewing 次回発表者は発表準備。他の受講者は次回の取扱作品をよく読む。
12
授業計画/Class 受講者の発表10…古井由吉「円陣を組む女たち」
事前学習/Preparation 発表担当者は発表資料の完成。他の受講者は研究手引き部分を含めて教科書を予習し、自分自身の理解に基づいて発表者に質問できるようにする。
事後学習/Reviewing 次回発表者は発表準備。他の受講者は次回の取扱作品をよく読む。
13
授業計画/Class 受講者の発表11…金井美恵子「兎」
事前学習/Preparation 発表担当者は発表資料の完成。他の受講者は研究手引き部分を含めて教科書を予習し、自分自身の理解に基づいて発表者に質問できるようにする。
事後学習/Reviewing 次回発表者は発表準備。他の受講者は次回の取扱作品をよく読む。
14
授業計画/Class 受講者の発表12…中上健次「十九歳の地図」
事前学習/Preparation 発表担当者は発表資料の完成。他の受講者は研究手引き部分を含めて教科書を予習し、自分自身の理解に基づいて発表者に質問できるようにする。
事後学習/Reviewing 次回発表者は発表準備。他の受講者は次回の取扱作品をよく読む。
15
授業計画/Class 受講者の発表13…開高健「渚にて」
事前学習/Preparation 発表担当者は発表資料の完成。他の受講者は研究手引き部分を含めて教科書を予習し、自分自身の理解に基づいて発表者に質問できるようにする。
事後学習/Reviewing 各自、発内容を改善できるよう調査を進め、期末レポートを準備する。
授業方法/Method of instruction
 この演習は、対面授業(通常型)で実施します。
 これは、第1回授業のみオンライン授業(オンデマンド型)とし、第2回授業以降は教室に集まって演習を行う形式です。

 演習開始までに教科書を入手し、期日(第1回授業の後)までにCoursePowerのアンケート機能からどれを発表したいか教員に連絡してください。
 第2回までは、踏まえておくべき戦後史の基礎的知識や、前期の復習を兼ねた補足解説を行います。その後は、受講者の発表によって進めます。変更・調整がある場合は授業内で告知します。
 基本的な演習発表方法は次の通りです(前期に準じます)。

1、担当する小説を精読し、教科書で指摘されている観点・方法論を踏まえた上で、自分自身で発表テーマを設定する。それに基づいて図書館およびデータベースで参考文献・先行研究を十分調査し、単なる感想とならないよう論を立てる。
2、発表者は、演習日までに発表資料(レジュメ)を完成させ、配布準備をする。パワーポイントや参考動画など、紙の資料以外を用いたい際は教員に事前に知らせておくこと。
3、発表者は決められた時間内でプレゼンテーションを行う。発表者以外の受講者は、疑問点やもっと詳しく聞きたい点、自分の解釈との違いを整理しながら、注意深くこれを聞く。
4、質疑応答を行い、発表者は必要に応じて補足説明をする。
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 25% 質疑応答での貢献度。事前事後の学習。
2 レポート Report 40% 発表内容をより発展させ、後期の成果のまとめとして提出。
3 その他 Others 35% 発表の完成度で評価(適切な発表資料・プレゼンテーション。他の受講者からの質問への回答)。
教科書/Textbooks
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
Price
コメント
Comments
1 河野龍也 [ほか] 編著 大学生のための文学トレーニング 現代編 三省堂 2014.6 9784385365541 2500円+税 前期の教科書「近代編」に続いて、「現代編」を使用します。付属の「トレーニングシート」は演習内では使用しませんが、自習や発表構想を立てる段階で活用していただくのは自由です。
また、前期教科書「近代編」に挙げられていた参考文献は、後期にも活かせるものが多くありますので、引き続き参照してください。
その他/Others
演習ですので、ぜひ積極的に質問や意見を述べてください。
現代に通じるテーマが多く出てきますので、各種メディア報道や時事問題にもアンテナを張って、考える材料にしていただきたく思います。
単位認定にあたっては、文部科学省の基準に従い3分の2以上の出席を前提とします。
万一、新型コロナウィルス感染症拡大で対面授業が困難との判断が大学から出た場合、演習発表をWebex meetingで行ってもらう可能性がありますので、受講環境に注意してください。
キーワード/Keywords
戦後史     社会問題と文学     ジェンダー