講義内容詳細:日本文学特講Ⅱ[5]

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年度/Academic Year 2021
授業科目名/Course Title (Japanese) 日本文学特講Ⅱ[5]
英文科目名/Course Title (English) Lecture on Japanese Literature Ⅱ [5]
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 佐伯 眞一
英文氏名/Instructor (English) SAEKI Shin_ichi

講義概要/Course description
前期の日本文学特講Ⅰ[5]に引き続き、「軍記物語とは何だったのか 」をテーマとします。
「軍記物語」は、日本文学史の中で一つの重要な領域となっています。『平家物語』や『太平記』などを中心とした、戦争を描いた作品群、というあたりまでは常識と言ってよいでしょう。しかし、常識的に思い描かれている「軍記物語」像にはしばしば誤解もあり、その内実をより詳しく考えてみようとすると、わからないことがたくさん出てきます。この授業では一年間をかけて、「軍記物語とは何だったのか」と、改めて問い直してみたいと思います。
 後期は、まず『曽我物語』『太平記』を取り上げて、作品を紹介すると共に、これらの作品が武士や合戦とどう関わっているか、また、鎮魂という問題を重視して、『平家物語』などの「軍記物語」との相違や時代による変化を考えてゆきます。
 その後、後半には、「軍記」「軍記物語」という概念がどのように作られたかを検討し、私たちの知っている「軍記物語」という概念の抱えている問題を検討してまとめます。「軍記」という言葉は、『平家物語』の時代には未だ存在しなかったと見られます。つまり、『平家物語』作者には、「軍記」を書いているという意識は無かったわけです。
中世後半から「軍記」と呼ばれる作品が登場し、近代には「軍記物語」という文学史用語が作られます。「軍記」の枠の中におさめて理解されてゆくことによって、軍記物語理解にどのような問題が生じたかを考えることが、今年度の最終目標です。
達成目標/Course objectives
(1)中世文学の代表的ジャンルの一つである軍記物語に対する理解を深めること。
(2)文学史のジャンルなどの概念はどのように作られているのかを考え、文学研究への理解を深めること。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
半期科目ですが、一年間を通したテーマ設定なので、前期の特講Ⅰ[5]を受講していることが望ましいです。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 導入。授業計画について説明します。オンライン授業(オンデマンド型)での実施。
事前学習/Preparation シラバスを読んでくる。
事後学習/Reviewing 授業で提示された資料を読み直す。
2
授業計画/Class 『曽我物語』① 作品紹介。曽我兄弟の敵討ちを描く『曽我物語』の概要を解説します。
事前学習/Preparation 『将門記』について、JapanKnowledgeなどで調べてくる。
事後学習/Reviewing 講義資料を読み直す。
3
授業計画/Class 『曽我物語』② 中世の「敵討ち」とはどういうことか、『曽我物語』以外の文献も含めて考えます。
事前学習/Preparation 前週に配布されたプリントを読んでくる。
事後学習/Reviewing 講義資料を読み直す。
4
授業計画/Class 『曽我物語』③ 敵討ちを果たして捉えられた曽我五郎と頼朝の問答の場面などから、この作品の基本的な性格を考えます。
事前学習/Preparation 前週に配布されたプリントを読んでくる。
事後学習/Reviewing 講義資料を読み直す。
5
授業計画/Class 『太平記』① 作品紹介。最大の軍記物語である『太平記』の概要を解説します。
事前学習/Preparation 前週に配布されたプリントを読んでくる。
事後学習/Reviewing 講義資料を読み直す。
6
授業計画/Class 『太平記』② 楠木正成の形象。合戦描写を中心に取り上げます。
事前学習/Preparation 前週に配布されたプリントを読んでくる。
事後学習/Reviewing 講義資料を読み直す。
7
授業計画/Class 『太平記』③ 後醍醐天皇の形象。『太平記』と鎮魂の問題について考えます。
事前学習/Preparation 前週に配布されたプリントを読んでくる。
事後学習/Reviewing 講義資料を読み直す。
8
授業計画/Class 『太平記』④ 第三部世界における怨霊・天狗の跳梁について考えます。
事前学習/Preparation 前週に配布されたプリントを読んでくる。
事後学習/Reviewing 講義資料を読み直す。
9
授業計画/Class 『太平記』⑤ 中世末から近世にかけて、『太平記』世界を作り替えた『太平記評判』への展開について考えます。
事前学習/Preparation 前週に配布されたプリントを読んでくる。
事後学習/Reviewing 講義資料を読み直す。
10
授業計画/Class 軍記物語と評判書 「評判書」は『平家物語』についても書かれました。『平家物語』と近世の評判書の価値観の違いについて考えます。
事前学習/Preparation 前週に配布されたプリントを読んでくる。
事後学習/Reviewing 講義資料を読み直す。
11
授業計画/Class 「軍記」という言葉と作品 15世紀前半に、初めて「軍記」という言葉を題名に冠した『義貞軍記』を中心に考えます。
事前学習/Preparation 前週に配布されたプリントを読んでくる。
事後学習/Reviewing 講義資料を読み直す。
12
授業計画/Class 『甲陽軍鑑』と「武士道」 戦国時代~近世初期の武士の価値観を伝える『甲陽軍鑑』を中心に、「武士道」という言葉の成立について考えます。
事前学習/Preparation 前週に配布されたプリントを読んでくる。
事後学習/Reviewing 講義資料を読み直す。
13
授業計画/Class 近世の「軍書」と「軍記」 近世(江戸時代)には、「軍書」「軍記」と呼ばれる作品が大量に作られます。それらの作品群と「軍記物語」の相違や、それらと近代の「軍記物語」概念のつながりについて考えます。
事前学習/Preparation 前週に配布されたプリントを読んでくる。
事後学習/Reviewing 講義資料を読み直す。
14
授業計画/Class 「軍記物語」の成立 「軍記物語」は、近代、西洋の文学史概念を輸入したことによって作られた概念です。それがどのように作られたのかを考えて、講義のまとめとします。
事前学習/Preparation 前週に配布されたプリントを読んでくる。
事後学習/Reviewing 講義資料を読み直す。
15
授業計画/Class 後期の授業を振り返り、まとめます。
事前学習/Preparation 後期の授業を振り返り、疑問点についてまとめる。
事後学習/Reviewing 後期の授業まとめをふまえ、自分の興味に従ってレポートを書く。
授業方法/Method of instruction
本講義は対面授業で実施します。毎回、作品本文を切り貼りしたプリントを配布し、それに基づいて講義します。質問はリアクション・ペーパーによって受けます。
成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 70% テーマの独創性、調査の確かさ、論理の明確さなどによって評価します。
2 平常点 In-class Points 30% リアクション・ペーパーなどによって評価します。
教科書/Textbooks
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1 特に決まったテキストは使用せず、配布するプリントによって授業を進めます。
参考書/Reference books
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1 教室で指示します。