講義内容詳細:東洋史特講(6)

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年度/Academic Year 2021
授業科目名/Course Title (Japanese) 東洋史特講(6)
英文科目名/Course Title (English) Lecture on Oriental History (6)
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 林 美希
英文氏名/Instructor (English) HAYASHI Miki

講義概要/Course description
 大学で歴史を研究するための第一歩は、「一次史料」に触れ、それを読み解くことである。もちろん、その史料の種類は、いつの時代のどの地域を専門とするかによってさまざまだが、東洋史分野、とりわけ「中国」の歴史を学ぼうとする場合には、漢文読解からはまず逃れられない。そこで本講義では、中国隋唐時代を焦点を当て、この時代を研究する際に基本となる史料を紹介しつつ、実際にそれらを読んでみることにする。扱う史料は、正史をはじめとする在来史書、詔勅や律令等の法制史料、地理書、文集、石刻史料(墓誌)、伝奇小説などであり、これらを毎回輪読形式で講読しながら、史料の性格や背景、内容を適宜解説していく方式をとる。
達成目標/Course objectives
①中国史研究のための基礎史料について、それぞれの性格を理解し、使いこなせるようになる。
②中国隋唐時代を中心とした7~9世紀のアジアの歴史の全体構造をつかむ。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
①中国隋唐王朝の歴史について、基礎的な知識を有すること。
②漢文による史料読解を行う能力があること。
※前期に「東洋史特講(5)」を履修しておくとより理解が深まりますが、必須ではありません。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class オリエンテーション:この授業ではどのような内容・史料を扱うかを紹介するので、自分に適した難易度かどうかを判断し、次週以降の履修を決定すること。
事前学習/Preparation 各自、本講義を受講するにあたっての動機を明確にしておく。
事後学習/Reviewing 教場で紹介された参考文献を読み、次週以降の講義テーマについて理解を深める。
2
授業計画/Class 正史①:『旧唐書』太平公主伝
『旧唐書』成立の歴史的背景と『新唐書』の記述との比較
事前学習/Preparation 事前に配布された漢文史料の指定箇所について、漢和辞典等を使用しながら訓読・現代語訳を作成する。
事後学習/Reviewing 教場で紹介された参考文献を読み、講義に対する理解を深める。
3
授業計画/Class 正史②:『新唐書』太平公主伝
『新唐書』成立の歴史的背景と『旧唐書』の記述との比較
事前学習/Preparation 事前に配布された漢文史料の指定箇所について、漢和辞典等を使用しながら訓読・現代語訳を作成する。
事後学習/Reviewing 教場で紹介された参考文献を読み、講義に対する理解を深める。
4
授業計画/Class 通史:『資治通鑑』玄宗先天二年七月甲子条
『資治通鑑』における史料の取捨選択とその歴史観
事前学習/Preparation 事前に配布された漢文史料の指定箇所について、漢和辞典等を使用しながら訓読・現代語訳を作成する。
事後学習/Reviewing 教場で紹介された参考文献を読み、講義に対する理解を深める。
5
授業計画/Class 法制史料①:『唐六典』
『唐六典』が描き出す官僚体系の理想と現実
事前学習/Preparation 事前に配布された漢文史料の指定箇所について、漢和辞典等を使用しながら訓読・現代語訳を作成する。
事後学習/Reviewing 教場で紹介された参考文献を読み、講義に対する理解を深める。
6
授業計画/Class 法制史料②:『唐律疏議』衛禁律
唐律・唐令の史料的性格と現存状況
事前学習/Preparation 事前に配布された漢文史料の指定箇所について、漢和辞典等を使用しながら訓読・現代語訳を作成する。
事後学習/Reviewing 教場で紹介された参考文献を読み、講義に対する理解を深める。
7
授業計画/Class 新出史料①北宋『天聖令』厩牧令
「不行唐令」発見の衝撃と日唐律令比較研究の現在
事前学習/Preparation 事前に配布された漢文史料の指定箇所について、漢和辞典等を使用しながら訓読・現代語訳を作成する。
事後学習/Reviewing 教場で紹介された参考文献を読み、講義に対する理解を深める。
8
授業計画/Class 伝奇:『太平広記』
「物語」を「史料」としてどう使うのか?
事前学習/Preparation 事前に配布された漢文史料の指定箇所について、漢和辞典等を使用しながら訓読・現代語訳を作成する。
事後学習/Reviewing 教場で紹介された参考文献を読み、講義に対する理解を深める。
9
授業計画/Class 旅行記:『入唐求法巡礼行記』
日本人留学僧が伝える唐・武宗の時代
事前学習/Preparation 事前に配布された漢文史料の指定箇所について、漢和辞典等を使用しながら訓読・現代語訳を作成する。
事後学習/Reviewing 教場で紹介された参考文献を読み、講義に対する理解を深める。
10
授業計画/Class 政書:『通典』
唐の前半期を知るための一級史料
事前学習/Preparation 事前に配布された漢文史料の指定箇所について、漢和辞典等を使用しながら訓読・現代語訳を作成する。
事後学習/Reviewing 教場で紹介された参考文献を読み、講義に対する理解を深める。
11
授業計画/Class 地理書:『長安志』『唐両京城坊考』
世界都市・長安を知るための基本史料
事前学習/Preparation 事前に配布された漢文史料の指定箇所について、漢和辞典等を使用しながら訓読・現代語訳を作成する。
事後学習/Reviewing 教場で紹介された参考文献を読み、講義に対する理解を深める。
12
授業計画/Class 言行録:『貞観政要』
名君太宗の「演出」と史料の虚飾性について
事前学習/Preparation 事前に配布された漢文史料の指定箇所について、漢和辞典等を使用しながら訓読・現代語訳を作成する。
事後学習/Reviewing 教場で紹介された参考文献を読み、講義に対する理解を深める。
13
授業計画/Class 文集:『文苑英華』『全唐文』
詔勅・上奏文など散文作品の読みかた
事前学習/Preparation 事前に配布された漢文史料の指定箇所について、漢和辞典等を使用しながら訓読・現代語訳を作成する。
事後学習/Reviewing 教場で紹介された参考文献を読み、講義に対する理解を深める。
14
授業計画/Class 新出史料②:石刻史料(墓誌と神道碑)
遣唐使にまつわる墓誌の発見とその史料的価値
事前学習/Preparation 事前に配布された漢文史料の指定箇所について、漢和辞典等を使用しながら訓読・現代語訳を作成する。
事後学習/Reviewing 教場で紹介された参考文献を読み、講義に対する理解を深める。
15
授業計画/Class まとめ:理解度の確認
事前学習/Preparation これまで教場で配られた資料を再読し、自分なりにまとめる。
事後学習/Reviewing 教場で紹介された参考文献を読み、講義に対する理解を深める。
授業方法/Method of instruction
本授業は、担当者による講義と履修者による漢文講読・発表の双方の形式を織り交ぜながら進みます。
【対面授業(通常型)での実施です】
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 50% 最終回に論述式の試験を行い、授業内容への理解度を問う。
2 平常点 In-class Points 50% 教場での漢文読解の状況など、主体的な授業参加を重視する。
教科書/Textbooks
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1 特に指定しません。教場で講義資料を配布します。
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
Price
 
1 渡辺信一郎著 中華の成立 岩波書店 2019.11 9784004318040 840円+税 蔵書情報 / Library information
2 丸橋充拓著 江南の発展 岩波書店 2020.1 9784004318057 820円+税 蔵書情報 / Library information
3 氣賀澤保規 [著] 絢爛たる世界帝国 講談社 2020.12 9784065219072 1350円+税 蔵書情報 / Library information
メッセージ/Message
 中国史を研究してみようかなという人向けの「史料の読みかた・扱いかた」の講座です。漢文史料を読む時間が多くなると思いますが、(なんとしても読んでやるという強い心さえあれば)漢文が得意でも苦手でも構いません。怖がらずに読んでみて、失敗することが大事です。「あと数年は漢文とランデブーなのにぜんぜん読めない」という初心者から、「なんでしたら漢詩とか詠めますけど」という上級者まで、広くお待ちしています。
キーワード/Keywords
東洋史     中国史             漢文