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授業計画/Class |
講義全体の導入として、明治維新から現在に至るまでの歴史において、いかなる空間で言葉による政治的交渉が展開されたかを概観する。基本的に、明治初年から議会開設までの時期、議会という公開の場での議論が展開されるようになった時期を経て、政治家がITを利用するまでになった現在に至っているが、それは単純な発展段階を示しているわけではないことにも留意する。【初回のみオンライン授業(オンデマンド型)での実施】 |
事前学習/Preparation |
高校日本史教科書の明治初年から帝国議会開設までの部分を通読しておくこと。 |
事後学習/Reviewing |
SNS上で発信を行っている政治家は相当数に達している。その誰でもよいので(河野太郎行革担当相などはその好例である)、実際に見てみるとよい。
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授業計画/Class |
明治24(1891)年11月開幕の開幕の第二回帝国議会において、予算案中の軍艦建造費否決に憤激した樺山資紀海軍大臣が行った、いわゆる「蛮勇演説」を題材に、議会開設を契機として、藩閥政府が自らの政権掌握の正当性を主張し、それに対抗する論理を自由党・改進党がぶつける様相を検証し、その後の藩閥と政党との関係が変化していく予兆を検証する。 |
事前学習/Preparation |
高校日本史教科書の初期議会(帝国議会開設から日清戦争勃発までの時期)政治史部分を読んでおくこと。 |
事後学習/Reviewing |
余裕がある人は、坂野潤治『明治憲法体制の確立』の初期議会部分を読んでみるとよい。 |
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授業計画/Class |
明治27(1894)年に勃発した日清戦争中の、明治天皇が発した言葉を手がかりとして、明治憲法体制形成期から成熟期にかけての明治天皇の役割を検証する。 |
事前学習/Preparation |
高校日本史教科書の、明治10~20年における条約改正交渉の展開と、日清戦争の勃発から講和に至るまでの経過を読んでおくこと。 |
事後学習/Reviewing |
余裕がある人は、ドナルド・キーン『明治天皇を語る』(新潮新書)を読んでみるとよい。 |
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授業計画/Class |
立憲政友会成立(1900年)直後、その実権を握る実力者・星亨は疑獄事件への関与を疑われ、「大丈夫の事、棺を負うて後知るべし(自分の真価は、自分が死んだ後わかるだろう)」と言い放ち、その数ヶ月後に暗殺される。その星の言葉を手がかりに、政治と利権との関わりを歴史的に考察する。 |
事前学習/Preparation |
高校日本史教科書の、日清・日露戦後間の政治史部分を読んでおくこと。 |
事後学習/Reviewing |
余裕がある人は、有泉貞夫『星亨』を読んでみるとよい。 |
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授業計画/Class |
『原敬日記』で把握できる桂太郎の発言を手がかりに、日露戦後政治史の枠組みとなった、いわゆる「桂園体制」を概観する。同時に、桂園体制は、日露戦争中に密かに進められていた桂太郎・西薗寺公望の間の密約で成立したが、これは日本政治特有の密約文化とでもいうべきものの嚆矢であった。その意味も併せて検証する。 |
事前学習/Preparation |
高校日本史教科書の日露戦後政治史の部分を読んでおくこと。 |
事後学習/Reviewing |
余裕のある人は、岡義武『近代日本の政治家』中の原敬篇・西薗寺公望篇を読んでみるとよい。 |
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授業計画/Class |
大正期に至ると、第一次護憲運動などに見られるように政治の大衆化とでもいうべき現象が進行し、それを背景として政治家の雄弁が従来以上に注目を集めるようになる。尾崎行雄や永井柳太郎といった、雄弁で知られる政治家を例とし、日本的演説文化を考えてみたい。 |
事前学習/Preparation |
高校日本史教科書の大正政治史部分を読んでおくこと。 |
事後学習/Reviewing |
余裕がある人は伊佐秀雄『尾崎行雄』(吉川弘文館)を読んでみるとよい。 |
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授業計画/Class |
大正から昭和に年号が変わろうとする時期、憲政会・政友会・政友本党の間で妥協が成立し、新天皇即位時の政治対立を回避することとなったが、その裏で政権譲渡密約が躍った。「小川平吉日記」に見える政友本党リーダー・床次竹二郎の発言を手がかりに、桂園時代のそれとは別の、密約文化の側面を探る。 |
事前学習/Preparation |
高校日本史教科書の、第二次護憲運動から昭和初年の部分を読んでおくこと。 |
事後学習/Reviewing |
余裕のある人は若槻礼次郎『明治・大正・昭和政界秘史』(講談社学術文庫)を読んでみるとよい。 |
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授業計画/Class |
政党内閣時代の到来により、政権党の失敗を誘って政変を起こせば政権獲得が可能、との認識のもとに、大臣の失言を誘うような議論を挑む風潮がおこり、実際に頻度は多くないにせよ、失言問題はおこった。その失言のいくつかを取り上げ、昭和期の帝国議会における弁論の様相を考える。 |
事前学習/Preparation |
ほぼ前回の継続だが、高校日本史教科書の昭和初年から太平洋戦争直前ぐらいまでの政治・外交史部分を読んでおくこと。
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事後学習/Reviewing |
余裕のある人は、幣原喜重郎の『外交五十年』中の、浜口雄幸首相の負傷療養中に幣原が首相代理を務めていた時代の箇所を読んでみるとよい。 |
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授業計画/Class |
戦前の帝国議会の歴史の中で、随一の名演説と言われる斎藤隆夫の、いわゆる「反軍演説」を取り上げ、その論理構造と、演説としての特質を検証する。 |
事前学習/Preparation |
高校日本史教科書中の、日中戦争の発端から長期化に至る部分を読んでおくこと。 |
事後学習/Reviewing |
余裕のある人は、斎藤隆夫『回顧七十年』を読んでみるとよい。 |
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授業計画/Class |
敗戦後間もない頃、自由党総裁として総選挙に勝利して政権担当を確実にしながら公職追放にあった鳩山一郎と、自由党と政権を引き継ぐことになった吉田茂との間で結ばれたという、政治史上最も有名な密約を取り上げ、そこに見られる政治文化の一端をさぐる。 |
事前学習/Preparation |
高校日本史教科書の敗戦直後あたりの部分をよく読んでおくこと。 |
事後学習/Reviewing |
余裕のある人は、北岡伸一『自民党―政権党の三十八年―』を読んでみるとよい。 |
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授業計画/Class |
安保条約改定を達成しながら、世論の激しい批判を受けて岸信介内閣が退陣したあと、自民党と、最大野党・社会党の間に位置した民社党の党首・西尾末広を首班とする、自民・民社連立政権が構想されたことがあった。首相就任を打診された西尾の台詞を題材に、幻の連立政権構想の意義を検証する。 |
事前学習/Preparation |
高校日本史教科書の、昭和30年代における政治史部分をよく読んでおくこと。 |
事後学習/Reviewing |
余裕がある人は『岸信介の回想―保守合同と安保改定―』(なかなか所蔵してあるところはないと思いますが)を読んでみるとよい。 |
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授業計画/Class |
政権譲渡の密約の最後のものとして、ともに手を携えて三木武夫政権を倒した福田赳夫・大平正芳という、ふたりの自民党派閥リーダーの対立を、抗争に敗れた福田赳夫の言葉を通して考える。 |
事前学習/Preparation |
高校日本史教科書のオイルショック後の政治史部分を読んでおくこと。 |
事後学習/Reviewing |
余裕のある人は福田赳夫『回顧九十年』(これも所蔵してあるところは少ないと思いますが)を読んでみるとよい。 |
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授業計画/Class |
1980年代に入り、自民党のエネルギー源であった派閥抗争が衰弱していく過程をとらえた中曽根康弘の言葉を題材に、自民党の変質を検証していく。 |
事前学習/Preparation |
前回に同じ。 |
事後学習/Reviewing |
余裕のある人は、中曽根康弘『天地有情』を読んでみるとよい。 |
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授業計画/Class |
石原慎太郎の回顧録『国家なる幻影』中の記述を題材に、石原の田中角栄及びその系列の政治家に対する見方を探り、それを通じて自民党の田中支配の様相を探る。 |
事前学習/Preparation |
前回に同じ。 |
事後学習/Reviewing |
余裕のある人は、石原慎太郎『天才』を読んでみるとよい。 |
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授業計画/Class |
1992年に本格政権との期待を担って組閣した宮沢喜一は、テレビカメラの前で政治改革の実行を明言したことで追い詰められ、不信任案を突きつけられる。その過程を通じて、メディアと政治の関係を考える。 |
事前学習/Preparation |
高校日本史教科書のバブル崩壊以降の政治史部分を読んでおくこと。 |
事後学習/Reviewing |
余裕のある人は『聞き書 宮澤喜一回顧録』を読んでみるとよい。 |
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