講義内容詳細:西洋史特講(6)

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年度/Academic Year 2021
授業科目名/Course Title (Japanese) 西洋史特講(6)
英文科目名/Course Title (English) Lecture on Western History (6)
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 姉川 雄大
英文氏名/Instructor (English) ANEGAWA Yudai

講義概要/Course description
 この授業のテーマは、東欧から見た「ヨーロッパの近代化」である。
 この授業では、近代化と言った場合に、人びとが国民という意識を持ってまとまろうとすること(国民主義)と、それまでの封建的な規制を越えて新しい産業や市場経済に適応していこうとすること(自由主義)を意味する。現在の社会を歴史的に理解したいと思ったときに、ヨーロッパ近代史における「市民社会(自由主義)」と「国民国家(国民主義)」の問題は、重要なテーマとなる。
 東欧は普通にイメージされる西欧と少し「違う」発展の仕方をした、と言われている。近代化を支える「市民」が育たず、そのため「国民」とはどういう人々なのかということについて、西欧と異なる考え方を持っているというのである。だとすると、東欧のことをよく見てみないと近代ヨーロッパの全体像はよく理解できないはずだ。
 この授業では、19世紀から20世紀前半にかけての東欧(主にハンガリー)に焦点をあてながら、ヨーロッパの「市民社会」と「国民国家」について考えていく。また、今、ヨーロッパ近現代史の「市民社会」と「国民国家」について考えるとはどのようなことか、という現在の歴史認識の問題についても、考えを広げたい。
達成目標/Course objectives
 この授業を受講する際の目的は、ヨーロッパ近現代史における「市民社会」「国民国家」の諸問題を理解することができるようになることである。受講者はこの授業を通じて、「東欧」の「近代化」について、ある程度具体的なイメージをもって説明できるようになることを目標とする。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class オリエンテーション、近世ヨーロッパの農業と経済【初回のみオンライン授業(オンデマンド型)】
事前学習/Preparation 前回授業で示した参考文献による予習
事後学習/Reviewing 授業で示した参考文献による復習
2
授業計画/Class 16-19世紀(1)近世ヨーロッパの社会と国家
事前学習/Preparation 前回授業で示した参考文献による予習
事後学習/Reviewing 授業で示した参考文献による復習
3
授業計画/Class 16-19世紀(2)西欧と東欧の近代化、自由主義・国民主義モデル
事前学習/Preparation 前回授業で示した参考文献による予習
事後学習/Reviewing 授業で示した参考文献による復習
4
授業計画/Class 16-19世紀ヨーロッパ史論(近代化論、従属論、世界システム論)
事前学習/Preparation 前回授業で示した参考文献による予習
事後学習/Reviewing 授業で示した参考文献による復習
5
授業計画/Class 19世紀(1)1848年革命とナショナリズムの矛盾
事前学習/Preparation 前回授業で示した参考文献による予習
事後学習/Reviewing 授業で示した参考文献による復習
6
授業計画/Class 19世紀(2)近代化する王朝国家(二重君主国)と諸国民
事前学習/Preparation 前回授業で示した参考文献による予習
事後学習/Reviewing 授業で示した参考文献による復習
7
授業計画/Class 19世紀(3)19世紀大都市の市民、労働者と社会問題
事前学習/Preparation 前回授業で示した参考文献による予習
事後学習/Reviewing 授業で示した参考文献による復習
8
授業計画/Class 19世紀ヨーロッパ史論(「西欧」と「東欧」の「近代化」)
事前学習/Preparation 前回授業で示した参考文献による予習
事後学習/Reviewing 授業で示した参考文献による復習
9
授業計画/Class 20世紀前半(1)帝国主義・東方問題・第一次世界大戦
事前学習/Preparation 前回授業で示した参考文献による予習
事後学習/Reviewing 授業で示した参考文献による復習
10
授業計画/Class 20世紀前半(2)ヴェルサイユ体制と東欧の「マイノリティ」
事前学習/Preparation 前回授業で示した参考文献による予習
事後学習/Reviewing 授業で示した参考文献による復習
11
授業計画/Class 20世紀前半(3)民主体制の崩壊・権威主義体制の成立
事前学習/Preparation 前回授業で示した参考文献による予習
事後学習/Reviewing 授業で示した参考文献による復習
12
授業計画/Class 20世紀ヨーロッパ史論(「全体主義」と「ファシズム」、「総力戦体制」と「福祉国家」)
事前学習/Preparation 前回授業で示した参考文献による予習
事後学習/Reviewing 授業で示した参考文献による復習
13
授業計画/Class 現在の東欧(1)東欧革命、ヨーロッパ統合、東欧の新自由主義
事前学習/Preparation 前回授業で示した参考文献による予習
事後学習/Reviewing 授業で示した参考文献による復習
14
授業計画/Class 現在の東欧(2)歴史認識と「ヨーロッパ」意識
事前学習/Preparation 前回授業で示した参考文献による予習
事後学習/Reviewing 授業で示した参考文献による復習
15
授業計画/Class まとめ:「ヨーロッパ史」の可能性と限界について
事前学習/Preparation 前回授業で示した参考文献による予習
事後学習/Reviewing 授業で示した参考文献による復習
授業方法/Method of instruction
初回を除き、対面授業(通常型)を予定しているが、状況によっては部分的にオンライン授業を実施する可能性もある。その場合は、CoursePowerや授業内で周知する。
成績評価方法/Evaluation
1 100% 【前期科目成績評価】論述形式の試験により、理解度を評価する(100%)。採点基準は、(1)授業内容の理解40%のほか、(2)自分の言葉で論理的に説明できているか30%、(3)事実とその解釈のレベルを分けて説明できているか30%、という点を重視する。ただし、少人数の場合は輪読形式にするため、試験ではなく、平常点による評価とする。
【通年科目成績評価】試験の採点基準は同様だが、前期試験結果50%と後期の成績と合わせて通年科目の成績評価50%とする。したがって前期成績評価は、試験の採点基準が上記(1)40%×50%、(2)30%×50%、(3)30%×50%となる。

参考書/Reference books
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1 教科書を定めないが、参考図書の例は以下のとおり。
(必須参照文献は、コースパワーを通じてリストと文献コピーを配布します。)
『東欧を知る事典』(平凡社)より「再版農奴制」の項およびその関連項
大津留厚他編『ハプスブルク史研究入門』昭和堂より第6章
川北稔『世界システム論講義』筑摩書房
柴田三千雄『近代世界と民衆運動』岩波書店より第1章
植村邦彦『ローザの子供たち、あるいは資本主義の不可能性』平凡社
シュテファン=ルートヴィヒ・ホフマン『市民結社と民主主義1750-1914』岩波書店
ブラックボーン/イリー『現代歴史叙述の神話』『イギリス社会史派のドイツ史論』晃洋書房
塩川伸明『民族とネイション』岩波書店
野村真理『隣人が「敵国人」になる日』人文書院
オリヴァー・ジマー『ナショナリズム1890-1940』岩波書店
エリック・ホブズボーム『ナショナリズムの歴史と現在』大月書店
エリック・ホブズボーム他編『創られた伝統』紀伊国屋書店
木畑洋一編『20世紀の戦争とは何であったか』(大月書店)より第1,2章
歴史学研究会編『講座世界史5強者の論理』東大出版会
ケヴィン・パスモア『ファシズムとは何か』岩波書店
エリック・ホブズボーム『市民革命と産業革命』岩波書店
エリック・ホブズボーム『資本の時代』(1,2)みすず書房
エリック・ホブズボーム『帝国の時代』(1,2)みすず書房
エリック・ホブズボーム『20世紀の歴史』(1,2)三省堂
マーク・マゾワー『暗黒の大陸』未来社
M. B. スティーガー『新版 グローバリゼーション』岩波書店より第3,7章
渋谷望『ミドルクラスを問いなおす』NHK出版
ハーヴェイ『新自由主義』作品社
鹿野政直『歴史を学ぶこと』岩波書店
小田中直樹『歴史学ってなんだ?』PHP新書
橋本伸也編『せめぎあう中東欧・ロシアの歴史認識問題』ミネルヴァ書房