講義内容詳細:産業論(ベンチャーとマーケティング)

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年度/Academic Year 2021
授業科目名/Course Title (Japanese) 産業論(ベンチャーとマーケティング)
英文科目名/Course Title (English) Analysis of Selected Industries (Venture and Marketing)
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 金森 努
英文氏名/Instructor (English) KANAMORI Tsutomu

講義概要/Course description
講義第1回はオンライン(オンデマンド型)での実施となるが、第2回からは通常の対面授業を行う。
講師からの一方的な講義ではなく、インタラクティブに進めていく。
受講者には講師からの問いに対する積極的な挙手・回答を求める。
(授業内の発言は「授業点(発言点)」として成績評価の約50%を占める:後述)

講義内容は、マーケティングの基礎から実践のポイントまでを学ぶ。
マーケティングは「おもしろい!楽しい!」と思わなければ身につかないため、講義は極力、身近で具体的な事例などを多用し、受講者が興味を持てる内容で行うことを基本方針とする。

基礎部分はまずはマーケティングの全体像(流れ)を理解することから始める。
マーケティングを「断片的に知っているが、きちんと理解できていない」場合、この全体像に沿った思考ができていないという理由が大きい。
また、日常でも用いられるようになっている「ニーズ」という言葉など、極めて基本的な部分も誤って理解されており、それが根本原因となって、「売れない製品、マーケティングプランや販売施策」が作られていることも多いため、基礎部分からしっかり学べるようにする。
さらに、マーケティングの分析・立案には数多くの「フレームワーク」が用いられるが、こちらも正しく理解できていない、誤用されていることが多いため、基本から実践までしっかりと押さえていく。

上記のようなポイントをしっかりと学び、卒業後、ベンチャービジネスを含む、何らかマーケティングと関連する業務に就いた際だけでなく、どのような事後とにおいても役立つ能力を獲得することを目指す。

そのために、基本的なマーケティング理論を実際の企業活動の事例を用い、受講者自身が授業内でワークやディスカッションを通じて身に付けていく。

また、後半の数回はビジネススクールでも用いられるケースメソッド演習(ビジネス事例を用いた実践演習)を通じて企業のマーケティング戦略立案の疑似体験をし、より実践的なマーケティング能力を身に付けていく。
達成目標/Course objectives
1・マーケティングの基礎から実践できるまでの知識・理解の習得=「わかる」の状態にすること。
  インタラクティブな講義、クラスでのディスカッションを通じて実践的な能力として磨く。
2・上記1を繰り返すことで起業やビジネスの場で使える=「できる」というレベルの能力を習得する。
※「知っている・わかっている」だけでは、マーケティングはビジネスでは使えない。
 「使える=できる」ことが重要。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
マーケティングやベンチャービジネス、もしくは実際のビジネス現場での活動に「興味を持っている」こと。
マーケティングは自ら「面白い」と思って能動的に学ばないと、絶対に身に付かない。
当講義は「モノが売れるしくみ」に少しでも関心が持てる者にとっては確実に面白いことは保証する。
そうした関心があれば、今までのマーケティング関連の講義の受講経験について有無を問わない。
また、自らの進路として起業やマーケティング関連職種への就業を考えているかどうかも不問。
(但し、今日の企業活動において直接的か間接的かは問わず、マーケティングと全く無関係な部門はほぼ皆無と言える。その意味では、正しいマーケティングの知識と実践的な能力を身に付けることができるため、起業家志望でなくとも受講価値は十分ある)

授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 【オンライン授業(オンデマンド型)での実施】

・なぜ、マーケティングが重要なのか?~世の中の変化とマーケティング~
・マーケティングとは何か?
・ベンチャービジネス、ビジネスモデルとは何か?
・マーケティングの全体像の理解
・「ニーズ」とは何か?
・「ニーズ」のとらえ方と成功・ヒット商品事例
事前学習/Preparation 自分なりに最近~過去にヒットした商品を挙げ、その「売れた理由」を考えてみる
事後学習/Reviewing クラス内容の復習
クラスで学習した「ニーズとは?」から考えて、ヒットした商品の分析を行う
2
授業計画/Class ・PEST分析(マクロ環境)
 ー分析事例(演習)ある農産物業界を取りまマクロ環境
・5F分析(業界分析)
 ー事例:100円ショップ業界の分析
 ー分析事例(演習)ビール業界の分析
・起業のポイント=「業界の”切り口”を変えること」
事前学習/Preparation 各自、何らかの業界を取り上げて、その特徴を考えてくる
事後学習/Reviewing クラス内容の復習・振り返り課題=「飲料業界のマクロ~業界分析」
3
授業計画/Class ・3C分析
 ー事例:A百貨店の3C分析
 -(演習)猿田彦珈琲の3C分析
・バリューチェーン(VC)分析
 -(演習)LCC(格安航空会社)
・起業のポイント:KSF(成功決定要因)の見つけ方
事前学習/Preparation 第2回に事前検討課題を指示。各自の考えをまとめてくる。
事後学習/Reviewing クラス内容の復習・(演習)「生花ビジネス」における新業態を検討する
4
授業計画/Class ・前回の「3C分析~VC分析~KSFの確定」の流れの復習
・前回事後課題「生花ビジネスにおける新業態を検討する」についてのクラスディスカッション
・SWOT分析
 -フレームワーク解説:ポピュラーなフレームワークに潜む危険なポイント
 -フレームワーク解説:SWOT分析のフレームワークから、具体的な市場機会・事業課題を導出する

事前学習/Preparation 前回事後課題「生花ビジネスにおける新業態を検討する」について、自分なりに分析をしてくる
事後学習/Reviewing SWOT分析に関する演習ケースを出題。自分なりに分析しておく。
5
授業計画/Class ・前回事後課題「SWOT分析の演習」に関するクラスディスカッション
・経営戦略とマーケティング戦略
 ー解説:「戦略」とは?
・戦略オプションの選択肢
 -マイケル・ポーターの3類型とその事例
 -フィリップ・コトラーによる4類型とその事例
 -自社の各事業の位置付け=プロダクトポートフォリオ
 -成長戦略・新規ビジネスアイディアの見つけ方=アンゾフのマトリックス
事前学習/Preparation 前回事後課題「SWOT分析の演習」を自分なりに分析しておく
事後学習/Reviewing 様々な業界の企業の「戦略オプション」の事例を自分なりに考えてみる
6
授業計画/Class ・マーケティング戦略の定石:フィリップ・コトラー「STP戦略」
・「セグメンテーション(顧客細分化)」の基本
ー(演習)「街行く人々」を分類してみる
-(演習)”あるチェーン”の顧客は誰か?
ー(演習)”ある商品”のユーザーは誰か?
・「ターゲティング(目標市場の決定)」の基本
ー解説:ターゲティングの具体的な方法
ー事例:「カフェチェーン」のセグメンテーション~ターゲティング
-解説:”ペルソナ”というターゲットの明確化手法
・「ポジショニング」の基本
ー事例:ゲーム機のポジショニング
ー事例:パナソニックLet's noteのポジショニング
-(演習)花王「ヘルシアスパークリング」のSTPとペルソナ
事前学習/Preparation 各自の気になる商品のターゲットと、そのターゲットが買う理由、同一カテゴリー商品ではなくその商品を選ぶ理由を考えてくる
事後学習/Reviewing 講義内容の振り返り・何らかの商品のターゲット像、ペルソナとポジショニングを考える
7
授業計画/Class ・マーケティング施策:「4Pとマーケティングミックス」1
・製品戦略:製品特性分析とプロダクトライフサイクル
ー事例:デジタルカメラのプロダクトライフサイクルと製品特性
-(演習)登山靴のターゲットと製品価値
ー(演習)「新しいカラオケボックスのコンセプト」を考える
・価格戦略:価格戦略の基本
-(演習)新製品の価格決定
・流通戦略
 -事例:ユニクロのチャネル戦略
・プロモーション戦略
 -事例:ロッテ フィッツのコミュニケーション戦略
事前学習/Preparation 自分が愛用している商品の「価値」は何かを細かく分解して考えてくる
事後学習/Reviewing 講義内容の振り返り・自分が購入した商品についてどのような態度変容が何によって起こったか考える
8
授業計画/Class ・マーケティング施策:「4Pとマーケティングミックス」2
・流通戦略:流通戦略の基本
 -(演習):住宅販売会社の流通戦略
・プロモーション戦略:態度変容モデルとコミュニケーションミックス
 -(演習):ロッテ フィッツのコミュニケーション戦略
・B to Bマーケティングの特徴
※講義と事例紹介・演習
事前学習/Preparation B to B企業の活動をWebサイトで調べてくる
事後学習/Reviewing 講義内容の振り返り
9
授業計画/Class ・総合演習:売れない商品のテコ入れ「若年女性向けアロマデフューザー」「除菌消臭スプレー」
事前学習/Preparation 課題の2つの「売れていない商品」の「テコ入れ策」を考えてくる
事後学習/Reviewing クラス内容の復習
10
授業計画/Class ・ビジネスケース演習「ペンギン美容室2号店の復活」
事前学習/Preparation ケースの読み込みと設問への回答
事後学習/Reviewing クラス内容の復習
11
授業計画/Class ・ビジネスケース演習「新たなWebサービスを立ち上げよ」1~環境分析・1
事前学習/Preparation ケースの読み込みと設問への回答
事後学習/Reviewing クラス内容の復習
12
授業計画/Class ・ビジネスケース演習「新たなWebサービスを立ち上げよ」2~環境分析・2
事前学習/Preparation ケースの読み込みと設問への回答
事後学習/Reviewing クラス内容の復習
13
授業計画/Class ・ビジネスケース演習「新たなWebサービスを立ち上げよ」3~セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング
事前学習/Preparation ケースの読み込みと設問への回答
事後学習/Reviewing クラス内容の復習
14
授業計画/Class ・ビジネスケース演習「新たなWebサービスを立ち上げよ」4~マーケティングミックス(4P)
事前学習/Preparation ケースの読み込みと設問への回答


事後学習/Reviewing クラス内容の復習
15
授業計画/Class ・今までの講義のまとめ
・マーケティング実務の要諦:「戻って考え直す」
ー事例:無印良品のジャケット
・受講生によるレポート内容のプレゼンテーションとクラスディスカッション
事前学習/Preparation レポートの作成と提出
事後学習/Reviewing 全回を通しての復習
授業方法/Method of instruction
講義は第2回から通常の教室での対面授業とし、講師からの一方的な講義ではなくインタラクティブな授業を行うため、積極的な挙手・発言を求める。
座席の周囲の受講者同士でのグループワークも行う。
成績評価方法/Evaluation
1 100% 1・講義中の発言の回数、講義終了後の「質問・感想カード(レスポンスシート)」の提出を加点要素とする。
2・期末レポートの提出。
1と2を各々全体の50%として評価。
3・期末レポートの内容を最終回にてプレゼンテーションした場合、さらに加点要素として扱う。
教科書/Textbooks
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
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出版年
Published year
ISBN価格
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1 金森努 最新版・よくわかるこれからのマーケティング 同文舘出版 2016年 4495589822 1944円 講義内容は毎回テキストと連動したパワーポイントのスライドで行い、その概要を講義前に毎回配布する。
授業の予習・復習に活用すべき書籍と位置づけている。
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
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1 金森 努 9のフレームワークで理解するマーケティング超入門 同分舘出版 2019年 4495540416 1,650円 授業内容より、最低限の知識と「使いこなし」ができるようになることを目的として執筆した書籍。
よりマーケティングの実務を知りたいと思った時に参照すると効果的。
メッセージ/Message
マーケティングの講義を今まで受けたことがない学生でも基礎から講義するため受講可能。また、起業やベンチャー企業への就職を希望していなくとも、現実のビジネスに触れてみたいという関心があれば歓迎する。
ベンチャーといってもビジネスにおける成功のポイントは既存のビジネスと変わらない部分が大半である。但し、より短期間でシビアに結果が現れる点に特徴がある。
そこで勝ち抜くためには、
・ビジネスモデルを強固に設計すること。
・マーケティングプロセスを確実に遂行すること。
・顧客視点を忘れないこと。
以上が必須となる。

上記のように成功のポイントを列記することは簡単だが、実行することは難しい。
 「ビジネスモデル」の構築がうまくできないと、会社は立ち上がらないか早期に失速する。講師もかつてベンチャーを起業したが、ビジネスモデルの不備から1年弱で精算を余儀なくされた。その失敗経験も講義に反映する。
 「マーケティングプロセス」を欠くとモノは売れない。講師はコンサルタントとして多くの企業のマーケティング活動に参画しているが、うまくいっていない企業はほとんどの場合、プロセスに問題がある。
 「顧客視点」を忘れると、モノが売れないだけでなく、中長期的に企業は存亡に関わる問題を起こす。そして残念なことに、顧客視点を忘れた企業は今日数多く存在する。
講師自らの起業経験とコンサルタントとしての業務経験を講義を通じて伝えたいと考えている。
よりリアリティーのあるビジネス現場を知りたい学生を歓迎する。

その他/Others
講師が企業に対するコンサルティングを行う際に用いるマーケティングのフレームワークと同じ内容が学習できるようにしている。また、実際に講師がコンサルティングで手がけた事例も授業内の課題として紹介する。
キーワード/Keywords
実務経験