講義内容詳細:人権法特論B

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年度/Academic Year 2021
授業科目名/Course Title (Japanese) 人権法特論B
英文科目名/Course Title (English) Topics in Human Rights Law B
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 森本 麻衣子
英文氏名/Instructor (English) MORIMOTO, Maiko

講義概要/Course description
「貧困と人権」を副題とする本講義は、現代社会の経済格差から生じる問題を「人権(human rights)」の概念や実践、その可能性や限界との接点においてみていきます。講義は大きく「日本篇」「世界篇」にわけ、「日本篇」では日本国内の貧困現象をその「見えにくさ」とともに認識すること、「世界篇」ではグローバル資本主義のもとでの格差の構造(先進国における格差、途上国と先進国の格差)を理解することを目指します。まずは映像作品や報道資料などを通じてできるだけ当事者の目線で現状を捉える努力をし、そのうえで、様々なかたちの貧困現象の歴史的・構造的背景について文献資料を読んで考察するとともに、法や社会制度を通じた救済や格差是正のありかたについても考えていきましょう。
達成目標/Course objectives
1)貧困のリアル/現場の一端を知る。あるいは、今まで知っていると思っていたことを見直す。
2)貧困の現状を構造的に考えることで、貧困を「社会の」(そしてまた翻って「自分自身の」)問題として捉える知的訓練を積む。
3)貧困の現状に対して、「人権(human rights)」の概念やそれに関わる法・社会実践のもつ可能性や限界について考え、必要に応じて調べる姿勢を涵養する。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
「ヒューマン・ライツの現場A・B」「人権法特論A」を受講していることが望ましいですが、真摯に課題と取り組む姿勢があればこれまでの履修状況は問いません。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class オリエンテーション 【対面授業】
事前学習/Preparation 副読本(「教科書」欄参照)を手に入れる。
事後学習/Reviewing 副読本を読み始める。
2
授業計画/Class 日本篇1:「野宿者」から「ネットカフェ難民」へ 
事前学習/Preparation 副読本のはじめにと第1講を読む。日本篇の予習課題文献(コースパワーで配布)を読み始める。
事後学習/Reviewing 映像資料の感想を提出する。
3
授業計画/Class 日本篇2:生活保護制度を考える
事前学習/Preparation 副読本第2講を読む。
事後学習/Reviewing 映像資料の感想を提出する。
4
授業計画/Class 日本篇3:貧困と女性、子ども――貧困の連鎖を考える
事前学習/Preparation 副読本第3講を読む。
事後学習/Reviewing 映像資料の感想を提出する。
5
授業計画/Class 日本篇4:奨学金が返せない
事前学習/Preparation 副読本第4・5講を読む。
事後学習/Reviewing 映像資料の感想を提出する。日本篇の予習文献を読み終える。
6
授業計画/Class 日本篇の総括講義
事前学習/Preparation 中間レポート(プロンプトは事前発表)の準備を始める
事後学習/Reviewing 中間レポート作成
7
授業計画/Class 世界篇1:新自由主義と労働
事前学習/Preparation 副読本第6・7講を読む。世界篇の予習課題文献(コースパワーで配布)を読み始める。
事後学習/Reviewing 映像資料の感想を提出する。
8
授業計画/Class 世界篇2:資本主義と格差の歴史
事前学習/Preparation 副読本第8講を読む。
事後学習/Reviewing 映像資料の感想を提出する。
9
授業計画/Class 世界篇3:先進国と途上国ーー援助について
事前学習/Preparation 副読本第9講を読む。
事後学習/Reviewing 映像資料の感想を提出する。
10
授業計画/Class 世界篇4:先進校と途上国――出稼ぎ労働について
事前学習/Preparation 副読本第10講を読む。
事後学習/Reviewing 映像資料の感想を提出する。
11
授業計画/Class 世界篇の総括講義・リサーチプロジェクト作業
事前学習/Preparation 副読本第11講を読む。
事後学習/Reviewing 講義メモなどの復習。世界篇の予習課題文献を読み終える。リサーチプロジェクト作業継続
12
授業計画/Class リサーチ・プレゼンテーション
事前学習/Preparation リサーチプロジェクト作業。副読本第12講を読む。
事後学習/Reviewing 感想を提出する。
13
授業計画/Class リサーチ・プレゼンテーション(予備日)
事前学習/Preparation リサーチプロジェクト作業。副読本第13講を読む。
事後学習/Reviewing 感想を提出する。
14
授業計画/Class リサーチプロジェクト総括、副読本総講義
事前学習/Preparation 副読本第14講を読む。
事後学習/Reviewing 期末レポート(プロンプトは事前発表)作成開始
15
授業計画/Class 講義総括
事前学習/Preparation 副読本全体を読み返す。
事後学習/Reviewing 期末レポートの作成
授業方法/Method of instruction
本講義は対面授業(通常型)で実施します。

暗記すべき知識を与えたり、問題に対する解法を教えたりする授業ではありません。課題は比較的多めといえると思います。数回の感想(映像資料に関して、提出したい回を5回選ぶ方式。講義3日後の日曜日までに提出)に加えて、中間・期末レポートの提出を課し、また後半では「戦争・紛争と人権」というテーマに関連して、受講者が興味をもったトピックについてリサーチして発表する機会(希望に応じて個人/グループで実施)も設けます。予習用の文献資料は適宜配布しますが、それとは別に毎回少しずつ読んでいく副読本(「教科書」欄参照)も指定します。貧困や格差を生み出す資本主義社会の構造そのものを各自が考えていく端緒とすることを企図して選びました。毎回の予習課題とし、講義での議論にも組み込んでいきます。主体的に考え、参加する意志のある方の受講をお待ちしています。
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 40% 感想提出やリサーチ発表などを通じたクラスへの貢献
2 レポート Report 60% 講師からのプロンプト(レポートの方向性について簡単な示唆を与えるためのオープンエンドの質問)に答えるかたちで、講義内容・文献資料をふまえた中間/期末レポートを作成・提出
教科書/Textbooks
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タイトル
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出版社
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1 白井聡 武器としての「資本論」 東洋経済新報社 2020.4 9784492212417 1600 副読本です。
その他/Others
コースパワーを通じて課題等の連絡をしますので、お知らせを受け取れるようにしておいてください。
また履修者数や習熟度に応じて、課題内容や進め方を見直す場合があります。
キーワード/Keywords
貧困     人権     格差     新自由主義     資本主義     途上国     ドキュメンタリー