講義内容詳細:文化施設経営論

戻る
年度/Academic Year 2021
授業科目名/Course Title (Japanese) 文化施設経営論
英文科目名/Course Title (English) Management of Cultural Facility
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 中島 秀男
英文氏名/Instructor (English) NAKAJIMA Hideo

講義概要/Course description
『指定管理者制度』の施行・導入やPFI法の改正等を背景に「公の文化施設」の管理運営や評価のあり方に変化が生まれました。従来行政によって実施されていた博物館や文化ホールの経営が確実に変わってきています。この現状を踏まえ、文化施設経営について実例を用いて理解を深めます。また、文化芸術を振興する上で大切な公共性と経済性のバランスのとれた経営のあり方を考察します。そしてこれらを通じて経営には「愛が必要」であることを解説します。
達成目標/Course objectives
 この講義では、歴史・文化や芸術、科学技術を展示する博物館・美術館・科学館などの施設と、音楽や演劇を公演する文化ホールなどにスポットを当て、「公立の文化施設」を中心に経営のあり方について解説します。「文化施設に求められること」や「文化施設が置かれた状況」などを把握することによって、受講者が将来文化施設などの経営や文化事業に係わる際の一助となることを目指します。

 文化施設は、国や自治体によって設置されたものが多く、「施設を経営する」という観点や「サービスを提供する」という視点が欠如していました。しかし、現在では国においては「独立行政法人」、地方自治体においても「財団法人」の設置や「PFI」「指定管理者制度」の導入など、民間もしくは民間手法を採り入れた団体や企業による施設経営が一般的になってきています。また文化施設自体が「文化的コモンズ」の中核施設としての役割を持つことが求められるようになりました。つまり、言い換えれば自治体が直営する施設では必要なかった経営や事業プロデュースの担い手が求められている訳です。授業を通じて文化事業をプロデュースする際の知識として役立てられるよう解説します。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
この授業は毎週月曜日・4限(15:05~16:35)に行います。

次ぎのような点がこの授業のポイントです。
1.マーケティングやP.F.ドラッカーの『マネジメント』に興味があるとさらに理解が深まります。
2.企画を立てたり、事業を経営したりすることに対する基礎知識を得るにはよい授業です。
3.講師は企業の社員ですから、「仕事」に対する心構えも教えることができると思います。
4.新たな公民連携(PPP)事業に興味がある人にも意味がある授業にしていきます。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 講義ガイダンス(講義の目的・内容)
一週目は「オンライン授業(オンデマンド型)での実施」
※次週からは原則として対面授業を予定。
事前学習/Preparation 講義内容(PDFファイルで掲出)を熟読しておくこと。
事後学習/Reviewing 講義ガイダンスの内容を復習しておくこと。
2
授業計画/Class 文化、文化施設、経営とは何か?
事前学習/Preparation 前回の授業の復習
事後学習/Reviewing 自分の行ったことのある文化施設を想起して授業を振り返ってください。
3
授業計画/Class 文化施設は誰が何の目的でつくるのか?
事前学習/Preparation 前回の授業の復習
事後学習/Reviewing 経営の視点で文化施設を見るクセをつけてください。
4
授業計画/Class 文化施設経営とは何をするのか?
事前学習/Preparation 前回の授業の復習
事後学習/Reviewing 経営とは何か考えてみてください。
5
授業計画/Class 文化施設の事業とは?営業とは?
事前学習/Preparation 前回の授業の復習
事後学習/Reviewing マーケティングについて考えてみてください。
6
授業計画/Class 利用者について理解する(ミュージアム・マーケティング)
事前学習/Preparation 前回の授業の復習
事後学習/Reviewing 学んだことを整理しておいてください。
7
授業計画/Class 多様な経営手法
事前学習/Preparation 前回の授業の復習
事後学習/Reviewing 経営手法の多様性について整理してください。
8
授業計画/Class 指定管理者制度とは?
事前学習/Preparation 前回の授業の復習
事後学習/Reviewing 指定管理者制度のポイントを整理してください。
9
授業計画/Class 文化施設の活動Ⅰ・博物館
事前学習/Preparation 前回の授業の復習
事後学習/Reviewing 博物館の活動内容を整理し博物館経営の特徴を把握してください。
10
授業計画/Class 文化施設の活動Ⅱ・科学館
事前学習/Preparation 前回の授業の復習
事後学習/Reviewing 科学館の活動内容を整理し、科学館経営の特徴を把握して博物館と比較してみてください。
11
授業計画/Class 文化施設の活動Ⅲ・美術館
事前学習/Preparation 前回の授業の復習
事後学習/Reviewing 美術館の活動内容を整理し、美術館経営の特徴を把握して博物館や科学館と比較してみてください。
12
授業計画/Class 文化施設の活動Ⅳ・文化ホール
事前学習/Preparation 前回の授業の復習
事後学習/Reviewing 文化ホールの活動内容を整理し、文化ホール経営の特徴や課題を把握してください。
13
授業計画/Class 市民参加/事業評価
事前学習/Preparation 前回までの授業の復習
事後学習/Reviewing 社会に開かれた文化施設として活動していくためにはどうすればよいか考えてください。
14
授業計画/Class 文化施設の使命と経営
事前学習/Preparation 前回までの授業の復習
事後学習/Reviewing 公の文化施設を対象に、新しい公民連携事業について考えてみてください。
15
授業計画/Class 授業の振り返りと整理
事前学習/Preparation 前回までの授業の復習
事後学習/Reviewing 自分が将来係わる事業などについて考えてみてください。
授業方法/Method of instruction
○原則として毎週月曜日・4限(15:05~16:35)に授業を実施する
○使用ツール:Course Powerを利用する(資料配布、出欠、レポート提出など)
○使用する教科書:PDFファイルを毎回Course Powerに添付する

講師がCourse Powerに用意した授業資料をもとに講義します。毎回授業では15分間程度のミニレポート作成時間を用意しますから、質問や感想を書き授業時間内に提出してください。受講者全員で共有すべきと講師が判断した質問は、翌週以降の授業の冒頭で回答します。

定期試験は行いませんから課題レポートの提出等によって評価します。課題レポートは、この講義を通じて学生が新たに獲得した視点について、授業で学んだポイントをもとに作成し提出してもらいます。詳細は講義内で説明します。
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 50% ●授業資料の理解度などによる授業への貢献度 50%
2 レポート Report 40% ●授業で得た新たな視点に基づく課題レポートの作成(1200文字程度) 40%
3 その他 Others 10% ●ミニレポート(400文字以内)に毎回の授業ごとに質問や感想を記載してもらう 10%
教科書/Textbooks
 コメント
Comments
1 毎回講師がCourse Powerから授業資料を配布します。これを使って授業を行い解説していきます。
参考書/Reference books
 コメント
Comments
 
1 ピーター・F・ドラッカーが著したなんらかの書物を読んでいることが望ましい。例えば、「マネジメント(エッセンシャル版)」「非営利組織の経営」「ポスト資本主義社会」などの書物。※いずれも必読ではありません。
メッセージ/Message
「アイデアを形にする」ためには、ものごとのしくみ等を知識として得ていく必要があります。企画を立てる場合でも同様で、単にフラッシュ・アイデアの羅列だけでは成果を生み出すことができません。この授業で事業のしくみについて考えてみませんか?
その他/Others
・出席については、授業内の貢献度、参加度として取り扱う
・毎回、出席を取ることを予定している
・授業日数の3分の2以上の出席がないと単位を付与できない
・講師の公立文化施設経営や公立文化施設経営評価委員の実務、企業の事業マネージャーとしての実務経験を活かし、マネジメントが概括して理解できる授業内容とする
キーワード/Keywords
実務経験