講義内容詳細:宗教文化概論

戻る
年度/Academic Year 2021
授業科目名/Course Title (Japanese) 宗教文化概論
英文科目名/Course Title (English) Religious Culture
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 竹内 智子
英文氏名/Instructor (English) TAKEUCHI Tomoko

講義概要/Course description
キリスト教音楽ー英米独自の流れ:バラッドからスピリチュアルへ
  ヨーロッパの基層文化・ケルトからアメリカのスピリチュアルまでをつなぐ英米のキリスト教音楽の流れを、特に口承伝承:人間の「声」に注目して通史的にたどります。まず概論としてアメリカの音楽と宗教・文化との関係や特徴を広く概観した上で、ヨーロッパのケルト文化から始め、ケルトと初期キリスト教の出会い、パレスチナから入ったキリスト教初期の音楽性の残るガリア聖歌、ケルトの詩の伝統を継ぐイギリスの民衆詩バラッドと賛美歌の関係を軸に、宗教改革とルネサンス期の新しい音楽、ピューリタンの出現と新大陸アメリカへの移住、アメリカの植民地社会と賛美歌の変容、黒人奴隷の歴史とリヴァイヴァル運動における白人・黒人のスピリチュアルの誕生、公民権運動における音楽の力などを通し、その宗教観や音楽の特質を、背景にある歴史・文化とともに広い視野で捉えます。今日コロナ禍の世界において益々分断が進む中、宗教・異文化の問題や非暴力の可能性について考える意味は大きいと思います。バラッドからスピリチュアルまで同じ一つの水脈から湧き上がった民衆の声が、1000年以上の時を経て途切れることなく継承されたのはなぜか?また何を継承してきたのか?ー歴史に学びながら、今起こっていることを冷静に受け止め、批評し、記憶する力を養い、将来につなげて欲しいと思います。ヴィデオ・CDなどの鑑賞を多用します。
達成目標/Course objectives
・パレスチナで生まれたキリスト教が世界に伝わる過程で変容を重ねたように、キリスト教の音楽も各地の風土・文化を反映して想像以上に多彩です。授業では、キリスト教と音楽の流れを背景にある歴史・文化とともに通史的にたどることで、その多様性・重層性を捉え、歴史への客観的視野を養い異文化理解を深めます。
・宗教改革・ルネサンス・リヴァイヴァルなどの変革期に、宗教や思想、音楽がなぜ、どのように変容したか、又それに伴い、音楽や文学がどのような役割を果たしたかを認識します。                                                                       ・人間の内面:人間性・感性への洞察を深め、それを土台として宗教・芸術の意味を問うことで、精神的世界を含む総合的知を学ぶ姿勢を促し、各自の思考力を養います。                                    ・宗教・芸術の本質を学ぶ中で人間の尊厳性、思想・表現の自由、文化の相対性などを捉え、今日世界的な課題である「排他性」の問題や非暴力の可能性について、各自の問題意識を高めます。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 1.導入ー授業の視点と概要、概論Ⅰー英・米のキリスト教音楽の流れ
事前学習/Preparation キリスト教と音楽の関連について、自分なりに考えておく。
事後学習/Reviewing 学んだ授業の視点と概要を復習する。
2
授業計画/Class 2.概論Ⅱーアメリカ音楽のルーツと独自性:ピューリタンの賛美歌からガーシュインへ
事前学習/Preparation 解説①を読み、アメリカ音楽の特徴を予習する。
事後学習/Reviewing アメリカ音楽のルーツと背景の歴史を復習する。
3
授業計画/Class 3.概論Ⅲーアメリカ音楽の背景:独自の思想、日本の唱歌と賛美歌・ミッションスクールの誕生
事前学習/Preparation 更に解説①を読み、歴史的背景のポイントを予習する。
事後学習/Reviewing アメリカの音楽とその背景にある思想の独自性を復習する。
4
授業計画/Class 4.ヨーロッパ文化の基層・ケルトーケルトの世界観、アイルランドの伝統芸術
事前学習/Preparation アメリカ音楽の概論で学んだことを確認したうえで、解説②を読んで予習する。
事後学習/Reviewing ケルト文化の特徴ー特に口承伝承におけるバラッドの意味を復習する。
5
授業計画/Class 5.ケルトとキリスト教の出会いⅠーアイルランドのケルト・キリスト教文化
事前学習/Preparation 前回学んだケルトの宗教観・世界観を明確にしたうえで解説②を読み、特に初期キリスト教の修道院文化について予習する。
事後学習/Reviewing アイルランドのキリスト教文化の特徴を復習する。
6
授業計画/Class 6.ケルトとキリスト教の出会いⅡー初期キリスト教の音楽とガリア聖歌のモード性
事前学習/Preparation 前回学んだアイルランドのキリスト教文化を確認したうえで、資料②を予習する。
事後学習/Reviewing 初期キリスト教とその音楽の特徴ー特にモード性について復習する。
7
授業計画/Class 7.バラッドの流れとルネサンス前夜
事前学習/Preparation ケルト文化の詩の伝統を確認し、資料③を予習する。
事後学習/Reviewing バラッドと言語や世相との関連、時代の変化の背景を復習する。
8
授業計画/Class 8.ルネサンスと宗教改革ールネサンスの世界観、英国国教会の音楽と詩編歌
事前学習/Preparation 解説②・資料③のルネサンスまでの歴史的過程を予習する。        
事後学習/Reviewing ルネサンスの世界観、社会・宗教・文学・音楽の変化を復習する。
9
授業計画/Class 9.イギリス・ルネサンス文化ーシェイクスピアとバラッド
事前学習/Preparation 資料⑤を読み、イギリスルネサンスの特徴を予習する。
事後学習/Reviewing イギリスの演劇文化の特徴、社会の変化の背景にある思想について復習する。
10
授業計画/Class 10.ピューリタンのオランダ~新大陸アメリカ移住:信仰の自由を求めて
事前学習/Preparation 解説④を読み、ピューリタン出現と移住の背景を予習する。
事後学習/Reviewing ピューリタンのオランダでの経験、アメリカ移住の際にもたらしたもの、初期植民地社会の特徴を復習する。
11
授業計画/Class 植民地社会と賛美歌の変容ー詩編歌~民謡的賛美歌へ
事前学習/Preparation 解説④を読み、後続のピューリタンによる植民地の特徴を予習する。
事後学習/Reviewing ピューリタン社会の変化、バラッドの伝統とキリスト教・音楽との関連など復習する。
12
授業計画/Class 12.リヴァイヴァル運動と新しい賛美歌~スピリチュアルの誕生
事前学習/Preparation 解説⑤を読み、アメリカ建国期の思想の特徴を予習する。
事後学習/Reviewing リヴァイヴァル運動と、その中で生まれた新しい音楽の特徴を復習する。
13
授業計画/Class 13.黒人奴隷の歴史と黒人霊歌
事前学習/Preparation 解説⑥を読んでアメリカの黒人奴隷の歴史を予習し、人間の差別の問題について自分なりに考えておく。
事後学習/Reviewing 黒人奴隷の歴史、クレオール文化、黒人霊歌成立の経緯を復習する。
14
授業計画/Class 14.黒人霊歌とゴスペルの音楽性:体験的音楽・身体的歌唱
事前学習/Preparation 解説⑥を読み、黒人霊歌・ゴスペルの音楽の特徴を予習する。
事後学習/Reviewing 黒人の歴史における音楽の意味について復習する。
15
授業計画/Class 15.キング牧師の公民権運動における非暴力と音楽の力ー授業のまとめ
事前学習/Preparation 学んできたアメリカの黒人の歴史に加え、解説⑦を読んで現代までのその歩みを予習し、今日的課題について考えておく。
事後学習/Reviewing 黒人霊歌の社会性、普遍性について復習し、まとめとして本授業の視点の理解につなげる。
授業方法/Method of instruction
授業はオンライン授業で行います。又状況によっては、途中から対面授業に切り替える可能性もあります。原則オンデマンド型の授業とし、毎回の授業は講義録を配信しますが、その中に各授業に関連する鑑賞曲、ビデオを集めた「鑑賞授業」を3回配置する予定です。その場合、シラバスの各授業配置に若干の違いが出ると思いますが、内容は変わりません。変更する場合は、追ってお知らせします。それらを網羅して課題にも取り組んでください。
成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 100% 成績評価は小課題1回と本課題1回ににより行います。
小課題は1つの授業を選び、①自分なりに学んだこと②その授業の鑑賞への感想を計400字を目安にまとめてください。
本課題については、後ほど指示をします。
実技試験は中止します。
教科書/Textbooks
 コメント
Comments
1 随時プリント資料・楽譜などを配布する。
参考書/Reference books
 コメント
Comments
 
1 関連の文献・CD・コンサート情報など随時紹介する。
メッセージ/Message
毎回リアクションペーパーを用意し、授業内で共有課題として取り上げる予定なので、積極的に自由に活用して授業理解に役立ててほしい。