講義内容詳細:文化人類学概論

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年度/Academic Year 2021
授業科目名/Course Title (Japanese) 文化人類学概論
英文科目名/Course Title (English) Cultural Anthropology
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 前嵩西 一馬
英文氏名/Instructor (English) MAETAKENISHI, Kazuma

講義概要/Course description
本講座は毎回の講義を通して、文化人類学の世界に繋がる回路を獲得すべく、特異な
時間と空間の共有を目指します。その縦糸は人類学の歴史や学説を中心とした周辺領
域の理論的な枠組みであり、横糸は私達が住まう共同体の内側と外側の双方に見られ
る様々な文化現象や社会問題を考える作業となります。グローバルな現代社会を自分
の視点と足で探索できる自律的な文化的感覚を養いましょう。
達成目標/Course objectives
本講座の主な達成目標は以下の2つです。
1,適宜配布使用する資料や視覚教材を通して、現代社会の様々なコンフリクトや古
今東西における普遍的な問題を共有し、その解決への筋道と根源的な不可能性を文化
人類学の理論的枠組みを通して知覚する能力を養う。
2,適宜実施するグループワークやディスカッションやレビューシート(回答)へのフィード
バックを通して、人類学的想像力や他者理解の基本的事項と議論の方法を身につける。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
特になし。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class ガイダンス
文化人類学の理論についての概略と今後扱うトピック群の簡単な紹介
*第一週はオンライン授業(オンデマンド型)での実施
事前学習/Preparation 文化や人類学といった言葉の自分なりのイメージを整理しておく。
事後学習/Reviewing 講義内で扱った事象や概念のなかで不明なものがあれば、書籍やインターネットなどで確認をしておく。
2
授業計画/Class 「文化とは何か?」
「人類学者はそれをどのように扱うのか?」
これらの問いを具体的なトピックを用いて考察する。
事前学習/Preparation 「文化人類学」という学問のイメージをあらためて整理しておく。
事後学習/Reviewing 講義内で扱った言葉や概念を整理しておく。
3
授業計画/Class 文化相対主義について
日本国内と海外における具体的な文化事象を扱いつつ、現代における文化人類学の枠組みを提示する。
事前学習/Preparation 前回の講義にて提示された書籍や記事などを各自リサーチして準備する。
事後学習/Reviewing 文化相対主義に対する基本的な反論を想定し、それに対する再反論を自分の言葉で準備する。
4
授業計画/Class 「文化人類学とは文化人類学者が実践していることの総体である」
戦争の記憶からサブカルチャーの論争まで、具体的な事象と研究を通して上記のテーゼを考察する。
事前学習/Preparation 文化相対主義とその批判について整理する。
事後学習/Reviewing 興味関心のある領域における人類学的なリサーチやプロジェクトなどを調べる。
5
授業計画/Class 民族誌的時間1
マイノリティに関する民族誌的研究の紹介
事前学習/Preparation 少数派と多数派という概念について思い浮かぶ社会的事象を、マスメディアやインターネットなどを参考にしつつ整理する。
事後学習/Reviewing 本講義で扱う「マイノリティ」という概念について、肯定的な側面と否定的な側面を整理する。
6
授業計画/Class 民族誌的時間2
海外におけるマイノリティについての事例を扱う。
事前学習/Preparation 移民問題やマイノリティについての知識を自分の言葉で整理する。
事後学習/Reviewing これまでの講義内で扱ってきた固有名や学術用語について整理をする。
7
授業計画/Class 民族誌的時間3
国内におけるマイノリティの事例を扱う。
事前学習/Preparation オリンピックなどの国際的イベントにおけるマイノリティについての描写を探し、自分なりに問題点を探す。
事後学習/Reviewing 講義内で扱う、言葉や概念が捉えることが難しい「領域」について、自分の言葉で整理する。
8
授業計画/Class 民族誌的空間1
「民族とは何か?」
「人種とは何か?」
上記の問いについて具体的事例を扱う。
事前学習/Preparation 民族問題や人種問題に関するニュースや記事を探し出し、人類学的視点から整理をする。
事後学習/Reviewing 講義内で扱う言葉や概念の英語と日本語の違いについて整理をする。
9
授業計画/Class 民族誌的空間2
「不平等」や「階級」について具体的な事象を扱う。
事前学習/Preparation 世代や階級もしくは出自に関する不平等について、自分なりの意見を用意しておく。
事後学習/Reviewing 講義内で扱う言葉や概念を整理する。
10
授業計画/Class 民族誌的空間3
資本主義、国家、共同体について考察する。
事前学習/Preparation 参考書籍やメディアで扱われている事件や出来事をひとつ取り出し、資本主義、国家、共同体の関係性を自分なりにイメージする。
事後学習/Reviewing 現代社会における「文化」の係数について、資本主義、国家、共同体のそれぞれの視点から整理する。
11
授業計画/Class 当事者性について1
日常における小さな当事者性を考える。
事前学習/Preparation 講義内で扱ってきた様々な概念をあらためて整理する。
事後学習/Reviewing 自らの当事者性を考察する視点やテーマをひとつ探し出し、自分の言葉で整理する。
12
授業計画/Class 当事者性について2
「マイノリティになる」という概念を考える。
事前学習/Preparation 「当事者性」を扱う作品をひとつ、フィクションやノンフィクションの領域から探し出し、他者に説明できるように準備しておく。
事後学習/Reviewing 当事者性という概念がもたらすメリットとデメリットを整理する。
13
授業計画/Class 当事者性について3
フィールドワークに関する議論について考察する。
調査をする側とされる側双方が見る風景について具体的な事例を通して考える。
事前学習/Preparation あるひとつの社会や共同体を学問的対象として扱う人文科学・社会科学の問題点について自分の意見を用意する。
事後学習/Reviewing 文化人類学の隣接領域(たとえば歴史学、社会学、哲学)のアプローチについて自分なりの意見をまとめる。
14
授業計画/Class 文化人類学的想像力について
文化という係数を設定することで共同体の内外から見えてくるものと隠れてしまうものを考察する。
事前学習/Preparation リアリティ(現実・現実性)とイメージについて、自分の身の回りの事例をひとつ選び説明できるように準備しておく。
事後学習/Reviewing 文化的想像力を扱う、もしくは召喚する作品(映画、小説、ドラマ、美術作品など)をひとつ探し出し、鑑賞する。
15
授業計画/Class まとめ
事前学習/Preparation 講義で配布した資料やノートを復習する。
事後学習/Reviewing 文化人類学におけるキーワードを自分なりにまとめて整理する。
授業方法/Method of instruction
毎回講義後に、講義にて扱ったトピックについてレビューシートもしくはそれに相当する回答を提出してもらい、次回フィードバックを行う。適宜、グループワークやディスカッションを行う。(但し、条件によっては変更する場合がある。)
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 100%
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
Price
 
1 勝方=稲福 恵子, 前嵩 西一馬編 沖縄学入 門 昭和堂 2010 9784812209745 2300円
メッセージ/Message
昨年度に引き続き、授業形態等の変更の可能性があるため、初回の講義であらためてお伝えする予定です。
*初回講義はオンライン授業(オンデマンド型)での実施
その他/Others

出席については、毎回講義後に課すレビューシートもしくはそれに相当する回答の提出を含め、講義内における貢献度、参加度として取り扱う。(但し条件によっては変更する場合もある。)