講義内容詳細:ネットワーク社会と文化

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年度/Academic Year 2021
授業科目名/Course Title (Japanese) ネットワーク社会と文化
英文科目名/Course Title (English) Network Society and Culture
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 宮田 和樹
英文氏名/Instructor (English) MIYATA, Kazuki

講義概要/Course description
バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)、人工知能やロボット工学、フードテックなどの新しい技術がより身近な話題となってきました。この講義では、社会の課題を解決し文化やくらしを変えていく新たな技術ついて考えるための基礎を講義で学ぶとともに、ワークショップに主体的に参加することで学習内容を多面的に理解していきます。最終課題はプレゼン形式で行います。まだ一般には普及していないけれどこれから一般的になるとみなさんが考える「いま、ここにある未来」をテーマに、ストーリー性のある発表を体験してもらうことで、発信力も高められるようにします。

達成目標/Course objectives
1. バーチャルリアリティや人工知能など話題を理解し、ネットワーク社会の可能性や課題を説明できる
2. ワークショップやグループワークに参加し、学習内容の多面的にとらえる手法や習慣を身につける
3. ビジュアルプレゼンテーションとストーリーテリングの手法を用いて、自分の考えをわかりやすく発表できる
4. 他の学生の発言や発表を真摯に傾聴する姿勢を身につけ、建設的なフィードバックができる
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
【定員40人・抽選方式】

※ 対面授業(ハイブリッド型)です。対面授業で行うことを基本としますが、状況に応じてオンラインで行う可能性もあります。オンラインで行う際は授業内やCoursePowerで指示しますが、使用するツールについては「授業方法/Method ofinstruction」の確認をお願いします。

※ プレゼンテーションの様子を動画で撮影し、履修者のあいだで共有する場合があります。動画の共有にFacebookやslackなどのソーシャルメディアを用いる可能性があります。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class <オリエンテーション>
1. 担当講師の自己紹介
2. 授業計画の説明し、疑問や不安があれば解消する
3. バーチャルリアリティ(VR)、拡張現実(MR)、ストーリーなど、今後の授業の鍵となるキーワードを紹介する

事前学習/Preparation 1. 「バーチャル」「リアリティ」「ストーリー」から連想する言葉を自由に書き出してみる
2. 参考文献のなかから興味を持てそうなものを3冊選び、サイトや図書館で選んだ本についての評判を調べてみる

事後学習/Reviewing 1. 授業計画を見直し、最終課題の準備をするスケジュールを立ててみる

2
授業計画/Class <ワークショップ1:対話ワークショップをやってみよう>
1. 対話が求められる社会的な背景について理解する
2. 対話ワークショップに参加し、対面でのネットワークづくりの手法を経験する
3. ワークショップの内容の振り返り、参加者間で共有する

※Zoomのブレイクアウトルーム機能の使用を検討しています。

事前学習/Preparation 1. 過去に参加したワークショップの経験を振り返ってみる

事後学習/Reviewing 1. 対話ワークショップの前と後で、教室の雰囲気や講義に参加するモチベーションに変化があったかどうか考えてみる

3
授業計画/Class <ネットワーク社会の様々なトピックに関心を広げる その1>
1. 新たな社会インフラとしてのVR/AR/MRの可能性を理解する
2. VR/AR/MR研究の流れを振り返り現在の技術を歴史的に位置付ける
3. GoogleやFacebook、MicrosoftなどIT企業のVR/AR/MR戦略の違いについて考える
4. 日本のサブカルチャーとVR/AR/MRの関係について知る

※ 履修者の興味や関心によって、取り上げるトピックしたり減らしたりする場合があります

事前学習/Preparation 1. 自分にとって「新しい映像技術」とは何か、どんな特徴があるかを考えてみる

事後学習/Reviewing 1. VR/AR/MRを実際に体験出来る場所があるか探して、実際に体験してみる

4
授業計画/Class <ネットワーク社会の様々なトピックに関心を広げる その2>
1. 社会的な課題への理解と共感を深める「没入型ジャーナリズ」の可能性を考える
2. 健康面への影響などVR活用における懸念点について理解する
3. VRやMRに関する自分の体験や感想を共有する

※履修者の興味や関心によって、取り上げるトピックを変更したり減らしたりする場合があります
※体験できる機会がより身近になったため、2019年度からはVR/MRの体験は授業時間内には行わず、課題として各自で体験してもらうことを予定しています

事前学習/Preparation 1. ゲーム以外の分野でVR/AR/MR技術を応用するとしたどんな分野があるか考えてみる

事後学習/Reviewing 1. 実際にVR/AR/MRを体験してみる前と後で、印象がどのように変わったか書き出してみる

5
授業計画/Class <ネットワーク社会の様々なトピックに関心を広げる その3>
1. ポスト真実(post-truth)時代とネットメディアの特徴を理解する
2. ニュースサイトやキュレーションメディアの課題と現状について知る
3. GoogleやFacebookなどIT企業の対応策について考える


※ 履修者の興味や関心によって、取り上げるトピックしたり減らしたりする場合があります
事前学習/Preparation 1. 自分または友人や家族が経験した偽ニュースについて振り返る
事後学習/Reviewing 1. ネットメディアと自分が関わっていくときに注意することを改めて整理してみる
6
授業計画/Class <プレゼンテーションのテーマ案の発表>
1. エレベーターピッチやライトニングトークなど、短時間の発表の意義を理解する
2. 3-5分の持ち時間で、プレゼンテーションのテーマ案を発表する
3. 評価シートを使って、他の履修者のプレゼンテーションのレビューを行う

※ 履修者数によって、計画が変更になることがあります

事前学習/Preparation 1. 発表内容の要点をメモにまとめてみる

事後学習/Reviewing 1. 自分の発表を動画を見て振り返り、気づいたことや新たな発見がないか探してみる

7
授業計画/Class <プレゼンテーション・メソッドから学ぶ>
1.  情熱を持って話せるテーマを見つけることの重要さとその方法を学ぶ
2. プレゼンテーションにおける「ストーリー」とは何かを理解する
3. ビジュアルプレゼンテーションが求められる背景を知り、スライド制作のコツを習う

※ ガー・レイノルズ『シンプルプレゼン』で紹介されているメソッドを参考にする予定です

事前学習/Preparation 1. スティーブ・ジョブスの製品発表会など話題になったプレゼンテーションを動画で視聴する

事後学習/Reviewing 1. 自分の発表テーマの「ストーリー」を際立たせる方法を考える

8
授業計画/Class <ネットワーク社会の様々なトピックに関心を広げる その4>
1. 人工知能が活用されている具体的な事例を知る
2. 人工知能研究の歴史を学び、現在の技術を適切に評価できるようになる
3. 人工知能と人間の共存にとって不可欠な課題について自分なりの考えを持つ

事前学習/Preparation 1. 最近のニュースなどで人工知能が話題になった事例を調べてみる

事後学習/Reviewing 1. 自分の将来の仕事や活動に人工知能がどんな影響をもたらすか考えてみる

9
授業計画/Class <Preziを使ってみよう>
1. Preziの特徴と、ビジュアルプレゼンテーションが求められる背景を理解する
2. 自分のメールアドレスで、アカウント登録を完了する
3. テンプレートの選択、テキストや図形、ズーミング効果の追加方法などの編集方法を習得する
4. 著作権をクリアした画像素材の探し方を身につけ、テンプレートへの取り込みや配置する方法を習得する
5. 動画ファイルの取り込みと設定方法について習得する
6. ファイルの公開設定や共有方法を学び、作成したファイルのリンクを提出する

事前学習/Preparation 1. Preziを使ったプレゼンテーションをネット上で探してみる
2. 大学から支給されているac.jpドメインのメールアドレスのパスワードや受信方法を確認しておく
事後学習/Reviewing 1. 自分のアカウントでPreziにアクセスして、学んだことを自分で復習してみる
2. 自分の発表資料を作るときにPreziを使ってやりたいことを考えてみる

10
授業計画/Class <ラフ・コンセンサスから生まれたインターネット>
1. IT社会の特徴づけるふたつの法則、ムーアの法則と収穫加速の法則について理解する
2. IT技術の発展の過程を、冷戦構造やカウンターカルチャーなどの同時代のトピックと関連付けて位置づける
3. 通信プロトコルの策定方法など、ルールの決め方や運用の仕方など、インターネット運用のガバナンスについて理解する

事前学習/Preparation 1. 参考文献やインターネット検索で、インターネットの歴史について調べてみる

事後学習/Reviewing 1. インターネットが、社会に与えている影響について考えてみる

11
授業計画/Class <TEDからプレゼンテーションを学ぶ>
1. TED(毎年開催される世界的なプレゼンテーション大会)の運営の仕組みやマーケティング戦略を理解する
2. TEDで選ばれるテーマやプレゼンテーション手法の傾向を知る
3. 日米のプレゼンテーターの動画を見比べて、共通点や違いを考察する

事前学習/Preparation 1. TEDやTEDxのプレゼンテーション動画を複数見比べてみる

事後学習/Reviewing 1. 自分のプレゼンテーションに応用できそうなことを探してみる

12
授業計画/Class <リハーサルとPreziのQ&A>
1. プレゼンテーションの準備におけるリハーサルの重要性について理解する
2. Preziの使い方についての質問に答え、主な疑問を解消する
2. ペアを組んで、自分の発表内容の相互レビューを行う

事前学習/Preparation 1. プレゼンテーション大会用のPreziを作成する(完成していなくても、全体の流れに沿って、発表できるところまでは作成しておく)

事後学習/Reviewing 1. ペアを組んだ人のレビューを参考に、自分のプレゼンテーションの見直しを行う

13
授業計画/Class <プレゼンテーション大会 1日目>
1.Preziを使った3分間(または5分間)のビジュアルプレゼンテーションを事前に決められた発表者20名が行う
2. 発表を行わない履修者は、評価シートに良かった点と改善点を記入する
3. 1日目で発表のなかから最も印象に残ったプレゼンを3つ選び、その理由を評価シートにコメントする

※ 履修者数によって、計画が変更になることがあります

事前学習/Preparation 1. 発表者はPreziを完成させ、時間を計って練習やリハーサルを行う
2. 聞き手として適切なコメントが行えるよう、プレゼンテーションのチェック項目を復習する

事後学習/Reviewing 1. 今回の発表した場合は、自分のプレゼンテーションを自己採点してみる
2. 次回に発表する場合は、自分のプレゼンテーションの改善に生かせる発見がないか検討する

14
授業計画/Class <プレゼンテーション大会 2日目>
1.Preziを使った3分間(または5分間)のビジュアルプレゼンテーションを事前に決められた発表者20名が行う
2. 発表を行わない履修者は、評価シートに良かった点と改善点を記入する
3. 1日目で発表のなかから最も印象に残ったプレゼンを3つ選び、その理由を評価シートにコメントする

※ 履修者数によって、計画が変更になることがあります

事前学習/Preparation 1. 発表者はPreziを完成させ、時間を計って練習やリハーサルを行う
2. 聞き手として適切なコメントが行えるよう、プレゼンテーションのチェック項目を復習する

事後学習/Reviewing 1. 今回の発表した場合は、自分のプレゼンテーションを自己採点してみる
3. 相互評価で最も印象に残った発表に選らばれたプレゼンテーションを予想してみる

15
授業計画/Class <まとめ>
1. プレゼンテーション大会の総評
2. これまでの講義を振り返りと共有

事前学習/Preparation 1. 講義ノートを見直すなど、これまでの講義を振り返る

事後学習/Reviewing 1. この講義で学んだことを、今後の大学生活や社会に出てから、どのように役立てられるか考えてみる

授業方法/Method of instruction
【 対面授業(ハイブリッド型)】
講義、ワークショップ、プレゼンテーションの3つを組み合わせて行います。
対面授業で行うことを基本としますが、オンライン授業を行う際に使用するツールは、Zoomを基本とし、授業の内容にあわせてCluster(バーチャルSNS)やMiro(オンラインホワイトボード)の使用も検討しています。
Zoom以外のツールも、無料でも使用可能で、Windows、Macのどちらでも使用できるものとする予定です。
プレゼンテーション・ツールの学習は履修者のパソコン(Windows/Mac)を使用して行います。
成績評価方法/Evaluation
1 100% 1. 講義内容のポイントを踏まえた、独自の気づきや疑問点を、分かりやすく表現できるかを、コミュニケーションペーパーなどから担当講師が評価する (20%)
2. ワークショップに積極的に参加し、建設的な議論に貢献できたかどうかを、履修者の相互評価で行う  (20%)
3. 内容、話し方、スライド作成など、学んだかとを活用したプレゼンテーション行えたかどうかの評価を、履修者の相互評価(20%)と担当講師の評価(20%)で行う 
4. プレゼンテーションの聞き手として、建設的なコメントを行えたかどうかの評価を、担当講師が行う (20%)

教科書/Textbooks
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参考書/Reference books
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1 <VR/AR/MR>
・GOROman(近藤義仁)、西田 宗千佳『ミライのつくり方2020―2045 僕がVRに賭けるわけ』講談社 2018
・ジェレミー・ベイレンソン『VRは脳をどう変えるか? 仮想現実の心理学』文藝春秋 2018
・Celine Tricart『バーチャルリアリティ映画製作―ハリウッドの実践テクニックとベストプラクティス』カットシステム 2018
・日本バーチャルリアリティ学会(編)、『バーチャルリアリティ学』、日本バーチャルリアリティ学会 2011年
・ピエール・レヴィ『ヴァーチャルとは何か?』、昭和堂 2006年

<人工知能>
・松尾豊『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』 KADOKAWA 2015年
・レイ・カーツワイル『ポスト・ヒューマン コンピュータが人類の知性を超えるとき』 NHK出版、2007年
(電子書籍版『シンギュラリティは近いーー人類が生命を超越するとき』 2012年)

<ポスト真実/フェイクニュース>
・笹原和俊『フェイクニュースを科学する 拡散するデマ、陰謀論、プロパガンダのしくみ』化学同人 2018年
・津田大介『情報戦争を生き抜く 武器としてのメディアリテラシー』朝日新聞出版 2018年
・イーライ・パリサー『フィルター・バブル インターネットが隠していること』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)早川書房 2016年

<インターネットの歴史と仕組み>
・村井純『インターネット』岩波書店 1995年
・ティム・バーナーズ=リー『Webの創成World Wide Webはいかにして生まれどこに向かうのか』毎日コミュニケーションズ 2001年
・アンドリュー・リー『ウィキペディア・レボリューション 世界最大の百科事典はいかにして生まれたか』早川書房 2009年

メディア論
・落合陽一『魔法の世紀』PLANETS/第二次惑星開発委員会 2015年
・小林啓倫『今こそ読みたいマクルーハン』マイナビ 2013年
・M. マクルーハン『メディア論 人間拡張の諸相』みすず書房 1987年

<ネットワーク理論>
・増田直紀『私たちはどうつながっているのか ネットワークの科学を応用する』中央公論社 2007年
・アルバート=ラズロ・バラバシ『新ネットワーク思考 ~世界のしくみを読み解く~』NHK出版 2002年

<文化>
・ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史(上/下) 文明の構造と人類の幸福』河出書房新社 2016年
・安田登『あわいの力 「心の時代」の次を生きる』ミシマ社 2014年
・福嶋亮大『神話が考える ネットワーク社会の文化論』 青土社 2010年

<物語理論とその応用>
・明石ガクト『動画2.0 VISUAL STORYTELLING』幻冬社 2018年
・ロバート・マッキー『ストーリー ロバート・マッキーが教える物語の基本と原則』フィルムアート社 2018
・ジョセフ・キャンベル『千の顔をもつ英雄〔新訳版〕』(上下巻)早川書房 2015年

<プレゼンテーション>
・ガー・レイノルズ『シンプルプレゼン』日経BP社 2011年
・ジェレミー・ドノバン『TEDトーク 世界最高のプレゼン術』新潮社 2013年
・吉藤 智広『あなたのプレゼンが劇的に変わる!Preziデザインブック』日経BP社 2018年

カーマイン・ガロ『スティーブ・ジョブズ 脅威のプレゼン 人々を惹きつける18の法則』
メッセージ/Message
オンライン授業での開講となるため、上記に挙げた以外のツールを使用する可能性があります。できるだけ事前に試してから履修者のみなさんにも体験してもらう予定ですが、試行錯誤のプロセスも含めて、ネットワーク社会と文化を学ぶ機会として前向きに捉えて履修してもらえるとありがたいです。
 
最新の技術動向やニュースを取り入れるため、授業計画は変更になることがあります。また、各分野で活躍する方によるゲスト講義によりスケジュール変更の可能性があります。

プレゼンテーションで使ってもらう予定のPreziという ツールは、ズームするアニメーション効果が簡単に付けられる、面白いツールです。そして、無料で利用できます。多少、コツがいりますが、必要に応じて使い方を教えますので、PCの操作があまり得意でないと思っている人も、遠慮せず、挑戦してみてください。

ワークショップはコミュニケーションがあまり得意ではないと感じている人でも参加しやすいように工夫しています。「苦手意識があったが参加してみてよかった」という感想もあるので、積極的な参加をお待ちしています。

最終プレゼンテーションの準備は、主に授業時間外に課題として取り組んでもらうことになります。適切な課題量になるように心がけたいと思いますが、積極的な取り組みを期待しています。
キーワード/Keywords
バーチャルリアリティ(VR)     拡張現実(AR)     複合現実(MR)     人工知能     機械学習     シンギュラリティ(技術的特異点)     ポスト真実(post-truth)     フェイクニュース     インターネット     プレゼンテーション     物語     ストーリー     デジタル・ストーリーテリング     TED     Prezi     ワークショップ