講義内容詳細:ミュージアム情報・メディア論

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年度/Academic Year 2021
授業科目名/Course Title (Japanese) ミュージアム情報・メディア論
英文科目名/Course Title (English) Informatics and Media Studies in Museum
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 水谷 長志
英文氏名/Instructor (English) MIZUTANI, Takeshi

講義概要/Course description
ミュージアム情報・メディア論をアート・ドキュメンテーションの視点から再構築することを試みる。アート・ドキュメンテーションがMLA*に関わる学際的、職能横断的な活動と理論であることを、そもそもの出発点としての美術図書館(アートライブラリ)の文脈から掘り起こして、情報資料の側面からライブラリ&ミュージアム・リテラシーへの理解と獲得を目的とする。あわせて蓄積・検索型の情報資源提供サービスを行うMLAの差異と同質、さらに今日的課題である「MLA連携」について、その意味と可能性を検討する。あわせて、「世界書誌(Bibliotheca Uniuersalis)」の観点からメディア史を俯瞰的に見直すことを試みる。
*MLA=M(useum), L(ibrary), A(rchives)

達成目標/Course objectives
MLA=M(useum), L(ibrary), A(rchives)のコレクションに関わる情報・メディアの特性を把握し、その上で、今日的課題である「MLA連携」についての事例を自ら発見することを目的として、最終レポートの課題とする。提出レポートを吟味し、選抜者(8名程度)による課題発表プレゼンテーションを行うことができるようブラッシュアップする。いくつかの検討要素はありますが、このプレゼンテーションはWebexもしくはZoomなどを活用して、実現したいと考えています。

履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
日ごろから多くのMLA=M(useum), L(ibrary), A(rchives)について、実際に足を運んで体験しておくこと、その行為を好ましい習慣として身につけておくこと。しかしながら、今般のコロナの厄災が依然続くだろうことにより、リアルなMLAへの訪問が困難であろうが、もって仮想的なインターネットを介してのMLA体験を重ねていただけるよう講義において繰り返し事例を紹介することに努めたい。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class イントロダクション:ミュージアム情報・メディア論をアート・ドキュメンテーションから再構築するとはどういうことか
【オンライン授業(オンデマンド型)】
事前学習/Preparation アート・ドキュメンテーションについて、知りうる情報をWebで検索してみること。
事後学習/Reviewing 本科目の講義スケジュール、特に課題提出期日までの見通しをつけてみること。
2
授業計画/Class 「文化の継承」を考える:「あなたのタグがあったから」
【対面授業(通常型)】※必要により登校困難な受講生のためのオンデマンド・コンテンツを用意
事前学習/Preparation 「文化の継承」と言う言葉からイメージされる自己体験を書き出してみること。
事後学習/Reviewing MLAにおける「継承」のための同質性を復習すること。
3
授業計画/Class 「第二の知識」を考える:情報の次性について
【対面授業(通常型)】※必要により登校困難な受講生のためのオンデマンド・コンテンツを用意
事前学習/Preparation 「書誌」と「書誌の書誌」について事前調査してみること、できれば図書館で実物を手にとって見ること。
事後学習/Reviewing 書誌的事項ということをMLA全般に敷衍することの意味を本講義からよく復習すること。これは最終課題レポート作成の鍵となります。
4
授業計画/Class メディア史を考える:世界書誌(Bibliotheca Uniuersalis)の夢 古代からグーテンベルクへ
【対面授業(通常型)】※必要により登校困難な受講生のためのオンデマンド・コンテンツを用意
事前学習/Preparation 「世界書誌(Bibliotheca Uniuersalis)」とは何か、事前に把握しておくこと。
事後学習/Reviewing グーテンベルクの発明の歴史的意義をあらためて復習すること。
5
授業計画/Class メディア史を考える:世界書誌(Bibliotheca Uniuersalis)の夢 ゲスナーからオトレへ
【対面授業(通常型)】※必要により登校困難な受講生のためのオンデマンド・コンテンツを用意

事前学習/Preparation ポール・マリー・ギスラン・オトレ (Paul Marie Ghislain Otlet, 1868/8/23 - 1944/12/10)について事前調査しておくこと。

事後学習/Reviewing ゲスナーからオトレさらに現在への連続を「世界書誌(Bibliotheca Uniuersalis)」に基づいて復習すること。
6
授業計画/Class アート・ドキュメンテーションの発端としてのアートライブラリ
【対面授業(通常型)】※必要により登校困難な受講生のためのオンデマンド・コンテンツを用意
事前学習/Preparation 博物館/美術館の中にある公開のアートライブラリ(美術図書室)のどこかへ一度足を運んでおくこと。
事後学習/Reviewing アートライブラリの資料と美術館のコレクションとの関係(連携)について復習しておくこと。
7
授業計画/Class アート・ドキュメンテーションの展開としてのアートアーカイブ
【対面授業(通常型)】※必要により登校困難な受講生のためのオンデマンド・コンテンツを用意
事前学習/Preparation 慶應義塾大学アートセンターのアートアーカイヴについてそのサイトを一覧しておくこと。
事後学習/Reviewing アーカイブの二面性と仲介性について本講義から復習しておくこと。
8
授業計画/Class MLA連携とは何か/MLAの差異と同質-同質:ドキュメンテーション
【対面授業(通常型)】※必要により登校困難な受講生のためのオンデマンド・コンテンツを用意
事前学習/Preparation ドキュメンテーションの定義・歴史を『図書館情報学ハンドブック』等概説書において確認しておくこと。
事後学習/Reviewing MLAにおけるドキュメンテーションの階梯を本講義からよく復習すること。
9
授業計画/Class MLA連携とは何か/MLAの差異と同質-差異:コレクションの特性
【対面授業(通常型)】※必要により登校困難な受講生のためのオンデマンド・コンテンツを用意
事前学習/Preparation MLAのコレクションの特性の「差異」を自分の言葉で記述することを試みておくこと。
事後学習/Reviewing MLAのコレクションの特性における二軸について本講義をよく復習すること。これは最終課題レポート作成の鍵となります。
10
授業計画/Class ものの記述とメタデータ
【対面授業(通常型)】※必要により登校困難な受講生のためのオンデマンド・コンテンツを用意
事前学習/Preparation メタデータについての言説は多様であるが、事前学習として、「国立国会図書館ダブリンコアメタデータ記述(DC-NDL)」のサイトを一覧しておくこと。
事後学習/Reviewing MLAにおけるメタデータの生成過程の差異をよく本講義から復習すること。
11
授業計画/Class MLAの事例を探すー端緒としての「岸田劉生 作品と資料(Ryusei Kishida Works and Archives)」
【対面授業(通常型)】※必要により登校困難な受講生のためのオンデマンド・コンテンツを用意
事前学習/Preparation 洋画家岸田劉生について事前調査し、その人物像を理解しておくこと。
事後学習/Reviewing MLAの事例について、いよいよ本格的に調査を開始すること。
12
授業計画/Class MLAの事例を探すー作品の「生命史」を編む
【対面授業(通常型)】※必要により登校困難な受講生のためのオンデマンド・コンテンツを用意
事前学習/Preparation MLAの事例の調査を継続すること。
事後学習/Reviewing 本講義で紹介した事例を参考に課題提出のプロットのまとめに入ること。
13
授業計画/Class デジタルアーカイブの原理を考える
【対面授業(通常型)】※必要により登校困難な受講生のためのオンデマンド・コンテンツを用意
事前学習/Preparation Web上に公開されているデジタルアーカイブの事例を一つ以上参照しておくこと。
事後学習/Reviewing デジタルアーカイブの構築と公開におけるMLAの差異について本講義をよく復習すること。
14
授業計画/Class 選抜受講生による「MLA連携の事例を探す」報告プレゼンテーション会
【対面授業(通常型)】※必要により登校困難な受講生のためのオンデマンド・コンテンツを用意
事前学習/Preparation 提出レポートにおいての考察を読み直しておくこと。
事後学習/Reviewing 選抜プレゼンテーションの優れている点を考察すること。
15
授業計画/Class ミュージアム情報・メディアとはなにか-まとめにかえて
【対面授業(通常型)】※必要により登校困難な受講生のためのオンデマンド・コンテンツを用意
事前学習/Preparation もう一度、MLAの差異と同質を考えてみること。
事後学習/Reviewing 全講義の内容を振り返り、今後のMLAにおける情報・メディア活動の課題を考察すること。
授業方法/Method of instruction
・基本、対面授業(通常型)で講義する。十全なものとはならないが、極力、登校困難な受講生のためのオンデマンド・コンテンツを用意するよう努めたい。
・配布資料およびパワーポイントのスライドによる講義が中心になる。
・課題レポートに至るプロセスについて適宜議論と質疑応答の時間を取る。
・あわせて、出来る限り、静止画、動画を用い、イメージの喚起につとめる。
成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 70% 最終レポート「MLAの連携の事例を探す」および中間に1~2点の小レポートを含む。
2 平常点 In-class Points 30% 毎講義において、講義内容にかかわるコメント(リアクション・ペーパー、A5版型のWordファイル記入、Max15分程度での)の提出を求め、これをもって平常点に代える。
教科書/Textbooks
 著者名
Author
1 教科書の指定はありません。
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
 
1 水谷長志編 『MLA連携の現状・課題・将来』 勉誠出版 2010
2 日本図書館情報学会研究委員会編 『図書館・博物館・文書館の連携』(シリーズ・図書館情報学のフロンティア No. 10) 勉誠出版 2010
3 吉見俊哉ほか編 『つながる図書館・博物館・文書館 デジタル化時代の知の基盤づくりへ』 東京大学出版会 2011
4 NPO知的資源イニシアティブ編著 『デジタル文化資源の活用 地域の記憶とアーカイブ』 勉誠出版 2011
5 R.シャルチエ 『書物の秩序』 ちくま学芸文庫 1996
6 椎名仙卓 『日本博物館成立史 - 博覧会から博物館へ』 雄山閣 2005
メッセージ/Message
情報資源、とりわけミュージアム情報・メディアは、Web界にのみあるのではないことをあらためて認識するように、多様なMLAの実体へ目を開き、自ら多くの館(やかた)の扉を叩いてもらいたい。ミュージアムの展示空間、ライブラリの棚、アーカイブの堆積にこそ、見出されることを今なお待つ文化資源、とその豊穣があることを体験として発見していただきたい。しかしながら、今期はリアルなMLAへの訪問が困難であるかもしれないが、仮想的なインターネットを介してのMLA体験を重ねていただきたい。そのための多くの事例を講義中に紹介しますので、実際に紹介関連サイトへのweb 「訪問」を重ねてください。
その他/Others
対面授業(通常型)を基本とするが、必要に応じて、Webex/ ZoomおよびYouTubeを用いたオンデマンドの動画視聴を組み合わせて授業構成する。環境の変化に応じて、適宜、講義方法を検討し、受講生と相談・合意の上、実施する。
授業中、授業後およびメールにて質問・意見などは、平常時にも増して、期待して受け付けます。メールアドレスは授業初回に提示します。予期せぬトラブルも今期の対面とオンラインのハイブリッド授業においては発生するかもしれませんが、受講生の皆さんとその「乗り越え」もまた、得難い学習機会と捉えたいと考えいる。

キーワード/Keywords
図書館     博物館     美術館     文書館     書物の秩序     シャルチエ     バベルの図書館     ボルヘス     世界書誌     ヨーロピアーナ     文化遺産オンライン     MLA連携     デジタル     アート・ドキュメンテーションアーカイブ     アート・アーカイブ     アートライブラリ     MLA     Museum     Library     Archives     Bibliotheca Uniuersalis     Europeana     digital archives     art documentation