講義内容詳細:文化産業概論

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年度/Academic Year 2021
授業科目名/Course Title (Japanese) 文化産業概論
英文科目名/Course Title (English) Cultural Business
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 馬場 広信
英文氏名/Instructor (English) BABA Hironobu

講義概要/Course description
 本講座は Zoom を利用した、リアル・タイム・ライヴ講義(アーカイヴ視聴可能期間金曜18時から翌月曜正午まで)と、Course Power によるレポート提出フィードバックの反転講義(ハイブリッド型)形式とします。受講者は必ずウェブ・マイクが使える状態、できればカメラも利用できる状態で、Zoom ルームに入室してください。
 第1回授業開始前から、Course Power の「事前準備・アンケート」フォルダにアクセスし、ハンドアウトとレスポンス・カード記入用紙 pdf を紙に印刷し、メモをとりながら受講してください。そこに設置したアンケートに回答してください。講座内容の微調整の参考資料とします。アンケート回答のない履修生には無条件で単位を与えません

 マス・メディア以降の出版産業を中心に、文化産業出版の歴史を学びます。
 After COVID-19 の現代、文化産業は大きな転換点を迎えています。そこで本講座では、史実や世界情勢、テクノロジーの変化が文化産業を勃興・衰亡させていった事例を学びます。また情報も文化産業最大の商品です。いわゆるフェイク・ニュースを偽りと見抜くリテラシーを身につける基礎を指導します。

 21世紀にインターネットが普及したため、出版ビジネス(書籍、新聞雑誌などの定期刊行物、動画音楽ソフト)は20世紀のように大きな利益を生み得ません。ただ、そもそも文化とは近代社会で、自立して経済活動をもたらすとは言い難いのです。文化が商品となったのではなく、権威や広告というパトロネージないしスポンサーの力で、文化産業という虚業が成立していたとすら考えられます。
 一方で映画や音楽は興行やソフト産業として、衰退の流れを食い止めることはほぼ不可能でしょう。テクノロジーと両産業の関係を踏まえて理由を認識しなければ、有為な展望は開けないと言えます。その好例が、音楽や動画の違法アップロード・サイト問題でしょう。加えてサブスクリプション型ビジネスが発展する現代は、文化産業における「文化」の質を軽視する傾向に向かっています。その理由として、今世紀に主流となったネット言論の傾向を知る必要があります。
 本講座では主に書籍、定期刊行物、音楽、動画出版産業の歴史を学びます。産業構造の変化はもとより、産業としての成立用件も考えてゆきます。
 毎回授業終了時には、20分でその日の講義で何を学んだか、レスポンス・カードにまとめて、手書きで作成したものを pdf ファイルとして提出してもらいます。
 履修生の関心に応じて、ワークショップを講座に組み込む可能性があります。
 学期末レポートに代えて、第11回にレポート課題を出し、第13回授業開始時刻までに提出してもらいます。締め切り厳守。締め切り後の提出不可。このレポートの提出がない場合、無条件で単位を与えません。
 第4回以降の内容は変更する場合があります。その際には教場でのみ指示します。
達成目標/Course objectives
文化産業の二つの利益について説明できるようになる。
出版産業の歴史を正確に説明できるようになる。
産業と文化の関係を読解する基盤となる教養を身につける。
マス・メディア以降の情報産業と出版産業の関係を論じられるようになる。
正しい日本語で講義や書籍の要約を、短時間で書けるようになる。
情報報道の信憑性を的確に判断できるようになる。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
* レポート執筆に必須の書物は自己調達してもらいます。本学図書館に所蔵がないこともあり得ますので、地元などの地域図書館に行き、読書する時間を確保してください。
*  Zoom 講座配信時・レスポンス・カード作成時は複数の通信端末・辞書を含む電子機器の使用を禁止します。違反者は平常点を減点します。2回以上違反した履修生にはミーティング・ルームから即時退出を命じ、以後の授業出席及びレポート提出を認めません。
* 必ず鉛筆ないしシャープ・ペンと消しゴム、ノートでメモをとりながら受講してください。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class オリエンテーション/著作権 (1): 盗用と剽窃
事前学習/Preparation シラバスの熟読。Course Power の事前準備フォルダにアクセスし、アンケートに回答、第1回講座準備の書類を印刷しておく。
事後学習/Reviewing ハンドアウトの復習、レスポンス・カード執筆方法の習得。
2
授業計画/Class 文化と産業: 経済的利益と権威的利益、パトロネージは産業か?
著作権 (2):守られるのは経済的利益だけではない。ネット時代の危機。
事前学習/Preparation 第1回内容を復習し、レスポンス・カード記入法を習得しておく。原稿用紙の使い方(ぶら下がり式)を調べ、習得しておく。参考書籍1,2を読み進める(第12回までに読了しておく)。
事後学習/Reviewing ハンドアウトの復習。
3
授業計画/Class 文化産業の宿痾: PR 会社、IT 企業、フェイク・ニュースのスポンサーはだれか? 
「リサーチの自由」を制限して利潤を出す企業体。
事前学習/Preparation 出版物の定義について調べる。
事後学習/Reviewing 返却されたレスポンス・カードの検討、ハンドアウトの復習。
4
授業計画/Class 書籍 (1): 産業の成立要件、極東と欧米の相違
事前学習/Preparation 事前配布ハンドアウトの予習。
事後学習/Reviewing 返却されたレスポンス・カードの検討。
5
授業計画/Class 書籍 (2): 出版産業の大規模化 20世紀情報革命と出版社
事前学習/Preparation 事前配布ハンドアウトの予習。
事後学習/Reviewing 返却されたレスポンス・カードの検討。
6
授業計画/Class 定期刊行物 (1): 欧米型新聞の成立、産業と広告
事前学習/Preparation 事前配布ハンドアウトの予習。
事後学習/Reviewing 返却されたレスポンス・カードの検討。
7
授業計画/Class 定期刊行物 (2): 広告収入と産業の発達 - 書籍か雑誌か?
事前学習/Preparation 事前配布ハンドアウトの予習。
事後学習/Reviewing 返却されたレスポンス・カードの検討。
8
授業計画/Class 定期刊行物 (3): 日本の定期刊行物 - 明治から太平洋戦争終結まで
事前学習/Preparation 事前配布ハンドアウトの予習。
事後学習/Reviewing 返却されたレスポンス・カードの検討。
9
授業計画/Class 定期刊行物 (4): 通信社と広告代理店の栄枯盛衰
事前学習/Preparation 事前配布ハンドアウトの予習。
事後学習/Reviewing 返却されたレスポンス・カードの検討。
10
授業計画/Class 音楽ソフト (1): 音楽ソフト (1): 録音出版とラジオ、ハードの普及とソフトの充実の相関関係
事前学習/Preparation 事前配布ハンドアウトの予習。
事後学習/Reviewing 返却されたレスポンス・カードの検討。
11
授業計画/Class 音楽ソフト (2): i-Tunes 革命と音楽ソフトの付加価値、ハード対ソフトの構図からPC アプリ依存へ
レポート課題発表
事前学習/Preparation 事前配布ハンドアウトの予習。
事後学習/Reviewing 返却されたレスポンス・カードの検討。レポート執筆。
12
授業計画/Class 動画ソフト (1): 著作隣接権と動画の原典版、劇場映画産業の隆盛と終焉
事前学習/Preparation レポート執筆。
事後学習/Reviewing 返却されたレスポンス・カードの検討。レポート執筆。
13
授業計画/Class 動画ソフト (2): テレビ、ヴィデオ・ソフトとストリーミング・ビジネス
事前学習/Preparation 動画ビジネスに関して調べ、自分の考えをまとめる。
事後学習/Reviewing 返却されたレスポンス・カードの検討。
14
授業計画/Class 文化と助成金: 西欧と日本の違い、知的所有権問題
事前学習/Preparation 事前配布ハンドアウトの予習。
事後学習/Reviewing 返却されたレスポンス・カードの検討。
15
授業計画/Class ネット時代の広告: 著作者の道義的責任
事前学習/Preparation 第14回までの内容を復習し、不明点・疑問点を明らかにしておく。
事後学習/Reviewing 全講座を復習する。
授業方法/Method of instruction
Zoom による講義配信(70分以内、タイムシフト視聴は翌日18時から翌週月曜日正午まで)と、Course Power 経由レポート提出およびフィードバックの反転授業。毎回レスポンス・カードを指定の書式に従い手書きで作成し、pdf 化して提出してもらいます。必ず無料アプリケイション Adobe Reader をインストールしておいてください。
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 60% レスポンス・カードを5段階で評価、次の講義の冒頭で添削の上返却。詳細は第1回授業で告知。
出席しただけでは平常点を与えません。指示した方法で、レスポンス・カードを最低9回執筆・提出することが必須です。
進路が決まっていない4年生にも、特別な配慮はしませんので、注意してください。
第11回の講義までに、すでに獲得した平常点を出します。この段階で基準の平常点に満たない履修生は、第13回締め切りのまとめレポート提出資格資格を喪失します。つまり単位を与えません。
2 レポート Report 40% 第11回に出題、第13回講座開始時刻までに提出。締め切り後提出不可。
教科書/Textbooks
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参考書/Reference books
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1 レイ・ブラッドベリ著:小笠原豊樹訳 火星年代記(ハヤカワ文庫SF) 早川 9784150117641 1,034円 電子書籍でも可。レポート執筆課題作です。第11回までに読了して
おいてください。
2 烏賀陽弘道 フェイクニュースの見分け方 新潮新書 2017 880 第13回までのレポート執筆の参考書として推薦します。第3回までの講義内容の復習や応用に使用しましょう。
3 ベネディクト・アンダーソン著 ; 白石隆, 白石さや訳 定本想像の共同体 書籍工房早山 2007.7 9784904701089 2000円+税 教場では使用しませんが、是非読了し自分の文章執筆に役立ててください。 蔵書情報 / Library information
4 谷崎潤一郎著 文章讀本 中央公論社 1996.2 4122025354 540円 教場では使用しませんが、是非読了し自分の文章執筆に役立ててください。 蔵書情報 / Library information
メッセージ/Message
書くことと聴くことが主となる講座です。書くことが苦ではない学生のみ履修してください。コピー&ペーストは発覚し次第単位取得要件を喪失します。
Course Power 経由のフィードバックは、必ず次の講義までに読んでください。単位取得に関わる重要な警告を記す場合があります。前期にはフィードバックを読まず放置したため、第8回講義までに単位取得資格を喪失した履修生が複数出ました。例外は一切認めませんので、自己責任で行ってください。
その他/Others
オフィス・アワーは設けていません。質問・相談は授業終了後、Zoom 会議室内でのみ受け付けます。メールなどによる相談には一切対応しません。
こちらからもメールによる連絡は、休講など緊急時を除き行いません。
各種告知は Zoom の配信内でのみ行います。
担当教員は月曜夕刻と木曜午後にしか Course Power にログインしません。