講義内容詳細:高等教育論A

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年度/Academic Year 2021
授業科目名/Course Title (Japanese) 高等教育論A
英文科目名/Course Title (English) Studies on Higher Education A
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 杉谷 祐美子
英文氏名/Instructor (English) SUGITANI Yumiko

講義概要/Course description
「現代社会における大学の現状と課題 -大学を見つめ、学生である自分を見つめなおす-」

  この授業では、高等教育制度(大学・短大・高等専門学校・専門学校)の中核を占める大学に関して、現代的・具体的テーマを取り上げ、日本社会の歴史的変化や欧米諸国との国際比較を視野に入れながら、学校教育全体との関連のなかで、日本の大学の現状・構造・課題について多様な観点から考えていきます。
  同世代の過半数が大学へ進学する現在、大学に関する教育問題は社会の関心を集め、教育政策においても重視されています。日本では、大学・短大への進学率が戦後60年間に5倍近くも増大しました。10人に1人が進学する時代から2人に1人が進学する時代へと移り変わり、現在は「大学全入」時代を迎えているといわれています。こうした進学率の変化に応じて、大学の目的・機能は大きく変容しつつあります。それにともない、大学はこれまでになく社会からそのあり方を問われ、最近では、入試制度の改革などが話題になっています。では、一体、大学の何を、どのように改革すべきなのでしょうか。この大きな転換期にあたり、主として教育面に関わる現代的トピックを取り上げながら、日本の大学の現状と高等教育政策の動向を概観し、学校教育全体との関連のなかで、大学の社会的役割、大学で育成すべき人材と教育のあり方、その改革の方向性について、みなさんと一緒に考察していきたいと思います。
達成目標/Course objectives
  この授業を通じて、大学をより深く理解するために必要な基礎的知識を学ぶとともに、課題を通して学習スキルの向上を目指します。そして、視野を広げて問題を多面的に考察する経験を重ねるなかで、学生のみなさんが日常生活の場である「大学」の存在と意義を見つめなおし、自らにとっての大学の意味を考える契機としてもらうことがこの授業の到達目標です。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
  この授業の発展編として、「高等教育論B」も開講しています。「高等教育論A」は現代の大学教育や大学生に関わる身近なテーマを扱い、「高等教育論B」は現在の大学問題の特質や背景を考えるために国際比較や歴史的考察に重点を置いています。A・B各科目はそれ自体で完結していますので履修に制約はありませんが、AとBの両方を履修することによって、高等教育制度および大学に対する理解は一層深まります。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class オリエンテーション(オンデマンド授業)
事前学習/Preparation シラバスの内容をよく確認し、理解する。
事後学習/Reviewing 授業の内容を復習し、関連する新聞記事を読む。
2
授業計画/Class ワーク「大学について考える」
事前学習/Preparation 自分が日頃どのような大学生活を送っているか振り返る。
事後学習/Reviewing 授業の内容を復習し、高等教育研究についての理解を深める。
3
授業計画/Class 大学をめぐる社会環境の変化
事前学習/Preparation 自分がなぜ大学に進学したのか振り返る。
事後学習/Reviewing 授業の内容を復習し、大学に進学する意味について考える。
4
授業計画/Class 大学入試制度の変遷
事前学習/Preparation 自分がどのような入学者選抜方式によって大学に入学したか振り返り、入学者選抜制度の課題について考える。
事後学習/Reviewing 授業の内容を復習し、日本の大学入学者選抜制度の特徴について考える。
5
授業計画/Class 高校-大学間の接続関係と入学者選抜
事前学習/Preparation 現在、日本で進められている大学入試改革案について調べる。
事後学習/Reviewing 授業の内容を復習し、日本の大学入学者選抜制度をどのように改革したらよいか考える。
6
授業計画/Class 大学改革とそのモデル
事前学習/Preparation 親世代の大学がどのような様子であったか調べる。
事後学習/Reviewing 授業の内容を復習し、日本の大学教育の長所と短所について考える。
7
授業計画/Class 教育内容・教育方法の改革
事前学習/Preparation 高校までの教育と大学の教育と何が異なるか考える。
事後学習/Reviewing 授業の内容を復習し、大学教育の小道具が何のためにあるか考える。
8
授業計画/Class 大学生の実態と学生支援
事前学習/Preparation 現代の大学生の特徴について考える。
事後学習/Reviewing 授業の内容を復習し、調査結果が現在の大学生にあてはまるか考える。
9
授業計画/Class 学士課程教育と学修成果の測定
事前学習/Preparation 大学の学修成果とは何か考える。
事後学習/Reviewing 授業の内容を復習し、学修成果を測定する方法の長所と短所について考える。
10
授業計画/Class キャリア形成と大学で身につけるべき力
事前学習/Preparation 産業界はどのような人材を求めているか考える。
事後学習/Reviewing 授業の内容を復習し、大学のキャリア教育はどのようにあるべきか考える。
11
授業計画/Class 大学から職業への移行
事前学習/Preparation 就職活動はどのように行うのか調べる。
事後学習/Reviewing 授業の内容を復習し、日本の大学から職業への移行システムの特徴について考える。
12
授業計画/Class 高等教育政策の課題(1) 高等教育のグランドデザイン
事前学習/Preparation 社会において大学がどのような機能をもつか考える。
事後学習/Reviewing 授業の内容を復習し、政府と大学の関係はどのようにあるべきか考える。
13
授業計画/Class 高等教育政策の課題(2) 新たな高等教育機関の制度化
事前学習/Preparation 大学と専門学校の違いについて考える。
事後学習/Reviewing 授業の内容を復習し、日本の学校教育において実践的な職業教育をどのように位置づけるべきか考える。
14
授業計画/Class 高等教育政策の課題(3) 高大接続システム改革
事前学習/Preparation 学力とは何か考える。
事後学習/Reviewing 授業の内容を復習し、小学校から大学まで学校教育全体の改革の方向性について考える。
15
授業計画/Class まとめ
事前学習/Preparation これまで授業で学んだことを整理し、レポートの準備をする。
事後学習/Reviewing 授業の内容を復習し、高等教育研究についての理解を深める。
授業方法/Method of instruction
  講義に基づき、適宜、コメント・ペーパーの提出などの課題に取り組んでもらいます。可能であれば、グループ・ディスカッション等もできるだけ行いたいと思います。CoursePowerも利用する予定です。対面授業をする予定ですが、履修者の人数、教室環境、新型コロナウイルス感染症の状況等によって、オンライン授業(Webexを使用)の導入も含めて、進め方や回数を変更する可能性があります。詳細は初回のオリエンテーションで説明しますので、よく理解したうえで履修してください。
成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 70% 学期末のレポート
2 平常点 In-class Points 30% 課題、議論等の取り組み
教科書/Textbooks
 コメント
Comments
1  教科書は特に指定しません。授業は配布資料をもとに進めます。
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
コメント
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1 橋本鉱市他編著 よくわかる高等教育論 ミネルヴァ書房 2021年
2 その他参考文献等は適宜、授業において紹介します。
メッセージ/Message
  履修する人には特に予備知識を必要としませんが、ただ漫然と受動的に講義を聴くのではなく、大学および大学生や教育問題に関心をもち、主体的・積極的に授業に取り組むことを期待します。受講希望者は初回オリエンテーションの授業説明をよく理解したうえで履修してください。
キーワード/Keywords
大学         社会     大学生     キャリア