講義内容詳細:監査事例研究Ⅲ

戻る
年度/Academic Year 2021
授業科目名/Course Title (Japanese) 監査事例研究Ⅲ
英文科目名/Course Title (English) Case Study (Audit) Ⅲ
学期/Semester 後期集中 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 町田 祥弘
英文氏名/Instructor (English) MACHIDA Yoshihiro

講義概要/Course description
 AI技術の飛躍的な進歩は、監査業務や不正調査業務にも影響があると考えられており、同業務に対するAI技術の適用に関する研究も進められていますが、実用のレベルには至っていないのが現状です。仮に、AI技術が実用レベルに達したとしても、人間の役割が全くなくなるというわけではなく、人間にはAI技術を使いこなす技能の習得が求められます。
 当講義では、来るべきAI時代に向けて、コンピュータとデータを利用して監査業務/不正調査業務を行う技法(Computer Assisted Audit Techniques, CAATs)の活用イメージをもつための体系的な講義を行います。
達成目標/Course objectives
この講義を通じて、CAATsを活用したデータ分析手法を理論面の理解だけではなく、操作演習を通じて、CAATsツール(※)の操作イメージをもつことも達成目標としています。この講義を修了することで、CAATsの活用イメージを持つことが出来ます。
※:ACL™ Analyticsを予定
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
とくにありません。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class イントロダクション
 当講義における全体像を説明します。データ分析は監査に限らず、あらゆる分野で注目されています。データ分析手法の一つであるCAATsの特徴を紹介するとともに、CAATsを実践するに際して有用なフレームワーク(考え方や分析の枠組み)を解説します。
事前学習/Preparation シラバスの確認
事後学習/Reviewing 講義を踏まえて、CAATsの特徴およびフレームワークを自分の言葉で説明できるようにしておく。
2
授業計画/Class 監査手法は監査目的とともに歴史的に変遷しています。当講義では、監査手法におけるCAATsや継続的監査(Continuous Auditing, CA)の位置づけや有効性、それぞれの課題について解説し、これからの監査手法についての考察を行います。
事前学習/Preparation 日本公認会計士協会 IT委員会研究報告第 48 号 P1~10までを読んで理解する。
事後学習/Reviewing 伝統的監査、CAATs、CAの有効性や課題を自分の言葉で説明できるようにしておく。
3
授業計画/Class オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン博士が2013年に発表した『未来の雇用』によると、「Accountants and Auditors」の職業は、94%の割合で人工知能(AI)やロボットに移っていくと予想されています。当講座では、人工知能(AI)が会計監査のどの部分に活用できるのかについての解説および考察を行います。
事前学習/Preparation 事前に指示する資料を読んで理解しておく。
事後学習/Reviewing 講義を踏まえて、人工知能(AI)が会計監査に与える影響を自分の言葉で説明できるようにしておく。
4
授業計画/Class データ分析には分析対象となるデータの特定と入手が必要になります。このデータの特定と入手にはデータベースに関する知識が欠かせません。当講義では、データ分析に最低限必要なデータベースの基礎知識の解説を行います。
事前学習/Preparation 事前に指示する資料を読んで理解しておく。
事後学習/Reviewing 講義を踏まえて、データベースの基本用語を自分の言葉で説明できるようにしておく。
5
授業計画/Class CAATsの実践には、『データ分析』という概念を理解しておくことが重要になります。当講義では、『データ分析』を実践するに際して有用なフレームワーク(考え方や分析の枠組み)の解説を行います。
また、売上データなどから不正や誤謬の兆候を示す売上データを特定する手法として、統計分析手法が有効な場合があります。この講義では、統計分析手法の基本的な指標の一つである偏差値の算定方法の解説と、Excelを用いた演習問題を行います。
事前学習/Preparation 事前に指示する資料を読んで理解しておく。
事後学習/Reviewing 講義を踏まえて、「データ分析の概念」および「偏差値の算出方法」を自分の言葉で説明できるようにしておく。
6
授業計画/Class データ分析演習(1)-1
「売上計上処理は深夜時刻には行わない」という仮説ものとで、CAATsツールを使って、「深夜時刻に売上計上されたデータ」の抽出演習を行います。このデータ抽出に必要なCAATsツールの操作方法の解説および操作を行います。
事前学習/Preparation 事前に指示する資料を読んで理解しておく。
事後学習/Reviewing 講義で学習したCAATsツールの操作方法操作方法を復習しておく。
7
授業計画/Class データ分析演習(1)-2
前回講義のデータ抽出演習の続きを行い、最後に解説を行います。
事前学習/Preparation 事前に指示する資料を読んで理解しておく。
事後学習/Reviewing 講義で学習したCAATsツールの操作方法操作方法を復習しておく。
8
授業計画/Class データ分析演習(2)-1
「販売単価を恣意的に操作しているかもしれない」という仮説ものとで、CAATsツールを使って、「年間売上取引データから、商品Noごとに販売単価が外れ値となっている売上取引データ」の抽出演習を行います。このデータ抽出に必要なCAATsツールの操作方法の解説および操作を行います。
事前学習/Preparation 事前に指示する資料を読んで理解しておく。
事後学習/Reviewing 講義で学習したCAATsツールの操作方法操作方法を復習しておく。
9
授業計画/Class データ分析演習(2)-2
前回講義のデータ抽出演習の続きを行い、最後に解説を行います。
事前学習/Preparation 事前に指示する資料を読んで理解しておく。
事後学習/Reviewing 講義で学習したCAATsツールの操作方法を復習しておく。
10
授業計画/Class データ分析演習(3)
データ分析演習(2)で抽出した売上取引の営業担当者を特定する演習を行います。このデータ抽出に必要なCAATsツールの操作方法の解説および操作を行います。
事前学習/Preparation 事前に指示する資料を読んで理解しておく。
事後学習/Reviewing 講義で学習したCAATsツールの操作方法を復習しておく。
11
授業計画/Class データ分析演習(4)-1
データ分析演習(3)で特定した営業担当者が関わった売上データを抽出し、他の営業担当者との比較・検討を行います。この検討に必要なCAATsツールの操作方法の解説および操作を行います。
事前学習/Preparation 事前に指示する資料を読んで理解しておく。
事後学習/Reviewing 講義で学習したCAATsツールの操作方法を復習しておく。
12
授業計画/Class データ分析演習(4)-2
前回講義のデータ抽出演習の続きを行い、最後に解説を行います。
事前学習/Preparation 事前に指示する資料を読んで理解しておく。
事後学習/Reviewing 講義で学習したCAATsツールの操作方法を復習しておく。
13
授業計画/Class データ分析演習(5)-1
接待交際費データを対象にして、不正や異常な接待交際が行われている疑いのあるデータを特定する演習を行います。
この演習を行うにあたっては、データ分析の視点が重要になります。当講義では、演習を行う前にデータ分析の視点の解説を行い、当該視点からデータ分析の演習をします。この検討に必要なCAATsツールの操作方法の解説および操作を行います。
事前学習/Preparation 事前に指示する資料を読んで理解しておく。
事後学習/Reviewing 講義で学習したCAATsツールの操作方法およびデータ分析の視点を復習しておく。
14
授業計画/Class データ分析演習(5)-2
前回講義のデータ抽出演習の続きを行います。
事前学習/Preparation 事前に指示する資料を読んで理解しておく。
事後学習/Reviewing 講義で学習したCAATsツールの操作方法を復習しておく。
15
授業計画/Class データ分析演習(5)-3
前回講義のデータ抽出演習の続きを行い、最後に解説を行います。
事前学習/Preparation 事前に指示する資料を読んで理解しておく。
事後学習/Reviewing 講義で学習したCAATsツールの操作方法およびデータ分析の視点を復習しておく。
授業方法/Method of instruction
第1回~第  5回:講義形式を中心に講義を進めます。第6回~第15回:CAATsツールを操作して監査手続を実施する演習を中心に講義を進めます。
成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 70% 提出されたレポートの点数(100点)に左記割合を乗じた点数
2 平常点 In-class Points 30% 講義への参加状況
教科書/Textbooks
 コメント
Comments
1 テキストは、パワーポイントなどで準備します。
メッセージ/Message
コンピュータが今ほど社会で利用されてない時代には、紙の総勘定元帳や補助簿、伝票などの帳簿を通査することで会社の会計取引の全体像を把握でき、同時に異常な会計取引も不思議と見つけることが出来ました。最近では帳簿が紙からデータに移行したことにより、従来の通査が難しくなっています。これからは、会計データおよび非会計データを分析して会社の会計取引の全体像を把握し、同時に異常な会計取引を発見するというデジタル通査の時代になります。この講義を通じて、コンピュータ利用監査技法を実務で活用するイメージを持つことが出来ます。
その他/Others
●講義実施は、一般社団法人 国際コンピュータ利用監査教育協会の弓塲啓司が担当します。 
当講座はCAATsツールの操作演習を行いますが、パソコンの基本操作(ソフトウエアの起動、終了、キーボード入力およびマウス操作など)ができれば、パソコン初心者でも受講が可能です。また、データ分析演習では、演習問題を解く前に十分な解説を行うため、前提となる講義科目はありません。 
なお、当講義を受講するためには、受講生が各自ノートパソコン(Windows)を持参する必要があります。
キーワード/Keywords
実務経験     コンピュータ利用監査技法(CAAT)     ACL Analytics     データ分析