講義内容詳細:宇宙科学

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年度/Academic Year 2021
授業科目名/Course Title (Japanese) 宇宙科学
英文科目名/Course Title (English) Space Science
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 吉川 真
英文氏名/Instructor (English) YOSHIKAWA Makoto

講義概要/Course description
 天文学は、古くからある歴史の長い学問であるが、二十世紀後半から急速でめざましい進歩があり、それは現在も続いている。ビッグバンによって宇宙が始まり、星・銀河が形成され、太陽系そして地球が生まれ、生命が誕生して現在に至るというシナリオについて、現在の知識を整理する。また、このような宇宙像を得ることができるようになった技術的背景も重要である。昔は肉眼でしか宇宙を見る手段がなかったが、ガリレオが望遠鏡で天体を観測してからは観測技術が急速に発展し、現在では、大型の望遠鏡に加えて人工衛星による観測や、惑星探査機が太陽系天体まで行って観測することができるようになった。宇宙を知るための技術的進歩について、いくつかの実例を紹介する。さらに人類史的に見ると、太古の世界では宇宙は神話の世界だったが、時代を経るにつれて、天動説そして地動説のように科学的に宇宙を理解しようとする試みがなされ、一般相対性理論と量子力学に基礎をおく現在の宇宙論に至った。人類の生活は、そのさまざまな側面において宇宙というものから影響を受けてきているが、そのことについて改めて認識を深める。
達成目標/Course objectives
我々の宇宙に対する知識は、技術の進展とともに急速に変化し増大しているが、現在までに得られた宇宙に関する知識をまとめ、最新の宇宙像を把握することが授業の到達目標である。また、宇宙科学という学問が、人類に対してどのような役割を持っているのかを理解することも目標とする。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
なし
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class イントロダクション【オンライン(リアルタイム型)】
半期の講義で扱う内容を紹介する。宇宙の誕生から現在までの進化を概観し、宇宙科学が何を目指すのかについて考える。また、宇宙を扱うときにしばしば遭遇する似非科学についてコメントする。
事前学習/Preparation 新聞・テレビ・雑誌などの報道や、国立天文台や宇宙航空研究開発機構のWebなどを見て、最近の宇宙の情報に触れておく。
事後学習/Reviewing 講義で得た新しい知識について整理し、知らない言葉等があれば調べておく。さらに、興味を持った事項について自分で調べ、必要があれば次の講義で質問する。
2
授業計画/Class 1章 太陽系:太陽系の概要
我々の地球が存在している太陽系の概要について把握する。太陽系の誕生から現在に至るまでの変化や、現時点での太陽系の特徴を紹介する。
事前学習/Preparation これまでに学んだり自分で本を読んだりして知っている太陽系についての知識を整理しておく。
事後学習/Reviewing 講義で得た新しい知識について整理し、知らない言葉等があれば調べておく。さらに、興味を持った事項について自分で調べ、必要があれば次の講義で質問する。
3
授業計画/Class 1章 太陽系:惑星・準惑星
水星から火星までの4つの惑星について、最新の探査の結果を交えながらその特徴を紹介する。
事前学習/Preparation 太陽系の惑星について、その特徴を参考書や理科年表、インターネットなどで調べておく。
事後学習/Reviewing 講義で得た新しい知識について整理し、知らない言葉等があれば調べておく。さらに、興味を持った事項について自分で調べ、必要があれば次の講義で質問する。
4
授業計画/Class 1章 太陽系:惑星・準惑星
木星から海王星までの4つの惑星と準惑星について、最新の探査の結果を交えながらその特徴を紹介する。
事前学習/Preparation 太陽系の惑星や準惑星について、その特徴を参考書や理科年表、インターネットなどで調べておく。
事後学習/Reviewing 講義で得た新しい知識について整理し、知らない言葉等があれば調べておく。さらに、興味を持った事項について自分で調べ、必要があれば次の講義で質問する。
5
授業計画/Class 1章 太陽系:小天体
小惑星、彗星、流星、隕石といった太陽系小天体についてその特徴をまとめる。また、小惑星や彗星への探査について紹介する。
事前学習/Preparation 太陽系小天体とは何かを調べておく。最近、小惑星や彗星について報道されていることについて確認する。
事後学習/Reviewing 講義で得た新しい知識について整理し、知らない言葉等があれば調べておく。さらに、興味を持った事項について自分で調べ、必要があれば次の講義で質問する。
6
授業計画/Class 2章 太陽系天体探査:探査の基本
太陽系天体を調べるためのロケットや人工衛星・宇宙探査機の技術について紹介する。
事前学習/Preparation ロケットの仕組みについて調べておく。また、人工衛星や宇宙探査機にどのようなものがあるかを調べておく。
事後学習/Reviewing 講義で得た新しい知識について整理し、知らない言葉等があれば調べておく。さらに、興味を持った事項について自分で調べ、必要があれば次の講義で質問する。
7
授業計画/Class 2章 太陽系天体探査:探査の実際
日本が行った太陽系天体探査として小惑星探査機「はやぶさ」を中心に、いくつかのミッションについて紹介する。
事前学習/Preparation 小惑星探査ミッション「はやぶさ」が何を目指したミッションであるのかを調べておく。
事後学習/Reviewing 講義で得た新しい知識について整理し、知らない言葉等があれば調べておく。さらに、興味を持った事項について自分で調べ、必要があれば次の講義で質問する。
8
授業計画/Class 3章 スペースガード
天体の地球衝突という問題について、現在どこまで検討がなされているのかと、何が重要なのかについて論じる。
事前学習/Preparation 最近話題になった天体の地球衝突・地球接近について調べておく。
事後学習/Reviewing 講義で得た新しい知識について整理し、知らない言葉等があれば調べておく。さらに、興味を持った事項について自分で調べ、必要があれば次の講義で質問する。
9
授業計画/Class 4章 アストロバイオロジー
生命の起源や地球外にも生命がいるかという問題について、現在の研究状況について紹介する。
事前学習/Preparation 生命の起源や地球外生命について調べておく。
事後学習/Reviewing 講義で得た新しい知識について整理し、知らない言葉等があれば調べておく。さらに、興味を持った事項について自分で調べ、必要があれば次の講義で質問する。
10
授業計画/Class 5章 太陽
太陽の特徴について、最近の人工衛星による観測結果を交えながら紹介する。また、太陽が地球に及ぼす影響について考える。
事前学習/Preparation 太陽の特徴を参考書や理科年表などで調べておく。
事後学習/Reviewing 講義で得た新しい知識について整理し、知らない言葉等があれば調べておく。さらに、興味を持った事項について自分で調べ、必要があれば次の講義で質問する。
11
授業計画/Class 6章 恒星
恒星の基本的物理量について説明し、恒星の誕生や進化について紹介する。
事前学習/Preparation 恒星について、基本的な性質である等級やスペクトルについて調べておく。また、講義では星座については詳しく触れないので、どのような星が星座を形作っているのか調べる。
事後学習/Reviewing 講義で得た新しい知識について整理し、知らない言葉等があれば調べておく。さらに、興味を持った事項について自分で調べ、必要があれば次の講義で質問する。
12
授業計画/Class 7章 銀河
天の川として知られている我々の銀河系の特徴をまとめる。そして、銀河系以外に様々な銀河があることや、銀河衝突、銀河の集まりである銀河群・銀河団について紹介する。
事前学習/Preparation 天の川とは何か、調べておく。また、これまで見てきた天体のスケールの違いについて、整理して正しく認識しておく。
事後学習/Reviewing 講義で得た新しい知識について整理し、知らない言葉等があれば調べておく。さらに、興味を持った事項について自分で調べ、必要があれば次の講義で質問する。
13
授業計画/Class 8章 宇宙論
銀河団の集まりである超銀河団から宇宙の大規模構造へと現在の理解を示す。また、宇宙が膨張しているという事実からビッグバン宇宙論に至った過程と宇宙の起源の現在の考えを論じる。
事前学習/Preparation 宇宙がビッグバンで始まったという考え方を調べておく。また、宇宙の開闢から現在までの進化について理解しておく。
事後学習/Reviewing 講義で得た新しい知識について整理し、知らない言葉等があれば調べておく。さらに、興味を持った事項について自分で調べ、必要があれば次の講義で質問する。
14
授業計画/Class 9章 文明との関わり:過去から現在へ
過去から現在までの人類の宇宙観の変遷をたどる。天動説から地動説、ケプラーからニュートンそしてアインシュタインへと考え方が変わってきたことを紹介する。また、宇宙に関係した身近なものとして暦を考える。
事前学習/Preparation 地動説と天動説の違いについて調べておく。また、天体の動きというものが暦に大きな影響を及ぼしていることを理解しておく。
事後学習/Reviewing 講義で得た新しい知識について整理し、知らない言葉等があれば調べておく。さらに、興味を持った事項について自分で調べ、必要があれば次の講義で質問する。
15
授業計画/Class 9章 文明との関わり:未来へ
これからの宇宙開発がどのように行われようとしているのか紹介する。また、宇宙開発が引き起こした問題としてスペースデブリがあることも紹介する。
事前学習/Preparation 現在の宇宙開発の状況を調べておく。また、宇宙開発のメリット・デメリットについて各自で考える。今後、我々が宇宙というものに対してどのように関わっていくべきなのかを考える。
事後学習/Reviewing 講義全体を振り返って「宇宙とは何か」を考える。
授業方法/Method of instruction
オンライン(リアルタイム型)で実施する。講義資料に加えて授業の録画も公開するので、講義に出席できなかった場合には講義後に各自で学習することも可能である。講義では、パワーポイントを用いて多くの写真や動画を示しながら解説を行うが、重要なスライドは資料として提供する。
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 35% 期末試験の代わりに講義のまとめに対応するレポートを提出する。講義に関連した学習の総合的理解度で評価する。
2 レポート Report 35% 講義の後半に中間レポートを提出する。レポートの課題は、講義中に説明する。取り組んだ課題についての理解度や、課題に対する自分の考えがどの程度書かれているか、さらに説明の分かりやすさで評価する。
3 その他 Others 30% 毎回の講義でミニ課題および質問を出すので、その回答の仕方で評価する。
教科書/Textbooks
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1 教科書は特に指定しない。
参考書/Reference books
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1 講義中に適宜紹介する。
メッセージ/Message
本講義では、「宇宙科学」というものを単なる学問としてだけではなく、現代を生きる我々に密接に関係したものとしてとらえる。そして、人間が宇宙で生活すらできる時代を迎えるにあたって、今後、我々は宇宙とどのように関係していくのがよいのかを考えるための契機としてもらいたい。従って、宇宙科学について、広い視野で積極的に考える意欲のある学生に受講してもらいたいと思う。
その他/Others
宇宙に関連した報道(テレビのニュースや新聞記事)について注意しておくこと。