講義内容詳細:文化としての科学・技術B

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 文化としての科学・技術B
英文科目名/Course Title (English) A Cultural Approach to Science and Technology B
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 岸田 一隆
英文氏名/Instructor (English) KISHIDA Ittaka

講義概要/Course description
 「通常型」の対面授業です。第1回のみ「オンデマンド型」のオンライン形式で行います。Course Power と YouTube を使用します。Course Power に記載の指示に従ってください。
 この講義では「文明論の科学」に関する話題について取り上げます。「文明論の科学」というのは私の造語です。人類文明を科学的に分析し、社会システムについて考察した上で、科学・技術の位置づけを考えようというのが、その内容です。
 化石燃料の枯渇、地球温暖化……。産業革命以降、急速に発展した人類文明は悲鳴を上げ始め、持続可能性に黄信号が灯っています。今すぐ近代科学文明を捨て、産業革命以前のスローライフに戻るべきだと論ずる人もいます。ですが残念ながら、現代文明は科学・技術なしでは成り立ちません。たとえば、無理にでも産業革命以前の水準に戻したと仮定してみましょう。すると、地球が養うことができる人口は現在の10分の1に過ぎず、人間の平均寿命は40歳という短さになってしまいます。もはや後戻りはできないことが、誰の目からも明らかでしょう。
 一方で、科学・技術の未来に根拠なき楽観を抱くのも危険です。私たちは、人類文明の持続可能性が危機に陥っている現状に、もっと危機感を持つべきです。そのためにも、科学・技術と社会のあり方を全体として俯瞰的に捉えなくてはいけません。その上で、正しく未来を選択することが必要になります。もし、正しく未来を選択できれば、人類文明はけっして暗いものではなくなるでしょう。この講義では、こうした問題に正面から向き合います。
達成目標/Course objectives
 この講義は以下の3つを目標にしています。
1 人類文明の成り立ちと科学・技術の役割について深く理解する
2 新しい社会と科学・技術のあるべき姿について自分なりの考えを持つ
3 人類文明の未来について総合的な意見を述べる力を養う
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
なし
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class この講義の概要:オンライン授業(オンデマンド型)での実施
2
授業計画/Class 私たちの世界は持続可能かⅠ(地球環境の変動)
3
授業計画/Class 私たちの世界は持続可能かⅡ(成長し続ける人類)
4
授業計画/Class 三つの循環(人類を支える流れの環)
5
授業計画/Class 自然は大きいけれども弱い(自然の物質・エネルギー循環)
6
授業計画/Class 環境占有面積(自然の限界)
7
授業計画/Class 科学・技術で乗り越えるⅠ(人工的な再生システム)
8
授業計画/Class 科学・技術で乗り越えるⅡ(新しい科学・技術)
9
授業計画/Class 資源・エネルギー・人口の増大(循環から見た経済学史)
10
授業計画/Class 大きなルール変更(新しい社会システム)
11
授業計画/Class 日本システムの輸出(地域社会の成熟)
12
授業計画/Class イノベーションの可能性(科学・技術と社会システム)
13
授業計画/Class 着眼大局・着手小局(望ましい未来を達成する)
14
授業計画/Class ゼネラリストのススメ(知的市民の力)
15
授業計画/Class 〈自由討議〉あなたは世界のこれからをどう考えるか
 
事前学習/Preparation  拙著『3つの循環と文明論の科学』を、あらかじめ読んでおくことをお勧めします。この本の内容と順序にほぼ準拠して、講義を進めます。本の内容に関する事前の質問も受け付けます。もう一つの参考文献『エネルギー文明論』は、青学での講義によって、前著の内容をブラッシュアップさせたものです。併せてお勧めします。
事後学習/Reviewing  新聞やニュース番組やネットで流されている「文明」「社会」「産業」「経済」「科学・技術」「環境」などに関する情報を、この講義で示した時間的にも空間的にも大局的・俯瞰的な視点から捉え直してみてください。それによって、驚くほど深い理解に到達できるはずです。なお、学期末試験では、事後学習の成果を問う問題も出題します。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 80% 定期試験は小問と論述問題で構成されています。
2 平常点 In-class Points 20%
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
Price
 
1 岸田一隆著 3つの循環と文明論の科学 エネルギーフォーラム 2014.9 9784885554353 1400円+税 蔵書情報 / Library information
2 岸田一隆著 「青学発」岸田教授のエネルギー文明論 エネルギーフォーラム 2019.12 9784885555053 1500円+税 蔵書情報 / Library information
メッセージ/Message
 講義で提供したいのは情報や知識ではありません。枠組みです。それは情報・知識をどこに位置づけるのか、それを判断するための地図です。リベラルアーツ(教養)を学ぶことの意味とは、多様な枠組み・物差し・価値観を身につけることであり、それはあなたの生きる力そのものに結びつきます。
 一方、細かな情報や知識は自分自身で手に入れようと努力することが大切です。それには、事前学習と事後学習と質問が欠かせません。
 毎回の授業の中で質問コーナーを設けます。出席カードに記入された質問を、次の授業で回答します。どんな質問でもかまいません。積極的に参加してください。また、講義の改善を目的に「無記名アンケート」を行う予定です。
その他/Others
 火曜日3限をオフィスアワーとして、学生の質問や相談を受け付ける時間にあてます。気軽に研究室を訪ねてください。