講義内容詳細:西洋倫理思想史A

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 西洋倫理思想史A
英文科目名/Course Title (English) History of Western Ethical Thought A
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 兼利 琢也
英文氏名/Instructor (English) KANETOSHI Takuya

講義概要/Course description
 人が生きていく中で直面せざるをえない、世界と人間に関わる問いは、時空を越えて普遍的である一方、その具体的な姿と扱いは、地域と時代に密接に結びついている。本講義で紹介する古代ギリシャ・ローマ世界の倫理は、現代にいたる西洋の倫理(学)の祖形であるともに、特に近現代の、個人(の感情)の決断と正義と契約に重点を置く倫理とは異なり、人間共同体を各人間の能力(「徳 arete, virtus」)の発揮の場として、そこでの行為を各人の幸福と内在的に繋ぐものであった(現代の徳倫理学および共同体倫理学に直接連なる)。哲学(philosophia「知を愛する営み」)とは古代では特定の学問ではなく、「生の技法 ars vivendi」、つまりよき生(=幸福)をもたらす技であり続けたが、古代異教世界の再度にわたる繁栄と衰退の中で異なる様相を呈し、その制約と新たな可能性をも提示した。彼らの問いと答の試みを概観する中で、現代の社会と個人が直面する問題について考える手掛かりも提供できることを願っている。
達成目標/Course objectives
倫理学の基礎的知識として重要な西洋古代世界の倫理に関わる概念と思考法を知る。
テーマ:幸福とその構成要素としての徳(人間的卓越性)、共同体における個
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
西洋史を概観できていることが望ましいです。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 第 1回:概観:西洋古典古代世界とその基本的な世界観の変遷
【初回のみオンライン(オンデマンド型)で実施】
2
授業計画/Class 第 2回:ホメロス1:古代異教倫理の根幹としての英雄共同体の掟、『イリアス』
3
授業計画/Class 第 3回:ホメロス2:『オデュッセイア』:共同体と正義
4
授業計画/Class 第 4回:ヘシオドス:弱者の生のルサンチマンと要求、正義と宗教
5
授業計画/Class 第 5回:アテナイの啓蒙とソフィスト:民主主義と生の繁栄、成功のための知
6
授業計画/Class 第 6回:ギリシャ悲劇:伝統価値観の変容と衰退、それに対する抗議;三大悲劇詩人について
7
授業計画/Class 第 7回:ソクラテス:「よき生」の問い:相対主義との対決,言語における探求
8
授業計画/Class 第 8回:プラトン1:自然と言語における真理の追求、魂の不死性と幸福
9
授業計画/Class 第 9回:プラトン2:魂の調和としての幸福、理想国と知の体制
10
授業計画/Class 第10回: アリストテレス1:諸学の体系と倫理学の完成:行為と目的
11
授業計画/Class 第11回:アリストテレス2:性格の徳と思慮,実践と観照の幸福
12
授業計画/Class 第12回:エピクーロス:原子論と快楽主義、生の理想(無碍 ataraxia)の逆説
13
授業計画/Class 第13回:ストア派1:宇宙(理性共同体)の構成者としての人間的理想(賢者)
14
授業計画/Class 第14回:ストア派2:ローマの哲学:キケローとセネカ;マルクス・アウレリウスとローマのストア哲学
15
授業計画/Class 第15回:古代世界の終焉とキリスト教:愛の共同体
 
事前学習/Preparation ほぼシラバスに沿って進みますので、扱われる主題について調べてみて下さい。少しでも予備知識があるととても分かりよくなります。
事後学習/Reviewing 講義で学んだことを復習してください。今回は毎回の授業でも、単なる出席票でなくて小さな紙を配り、毎回すこしまとめるか感想を書いてもらおうと思っています。それをそのあともう一度思い起こして下さるとよいです。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes完全な対面授業で行います(オンデマンド配信等も併用しません)。
【初回のみオンライン(オンデマンド型)で実施】
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 100% 試験(75%)と毎回の小カードの記述の評価(25%)の総計
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法/Feedback methods for assignments (exams, reports, etc.)
授業で回収する出席票+小カードの記述内容に関しては、質問等には次回の教場で口頭で応えるようにする予定です。
教科書/Textbooks
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1 教科書はありません。プリントを配布します(進行によりますから毎回ではありません)。
参考書/Reference books
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Comments
 
1 随時紹介します(が、あくまで話の中でです)。
メッセージ/Message
シラバス通りに進める予定ですが、進行が遅れて少し異なることがあるかもしれません。