講義内容詳細:バイオテクノロジーと生命倫理

戻る
年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) バイオテクノロジーと生命倫理
英文科目名/Course Title (English) Biotechnology and Life Ethics
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 中島 理暁
英文氏名/Instructor (English) NAKASHIMA Masaaki

講義概要/Course description
 生命科学研究とバイオテクノロジーは、国家や産業と深く結びつき飛躍的な進展を遂げている。疾病のコントロールと苦痛の軽減を可能にしたと肯定的に評価される一方で、人間の生命が科学技術の操作対象となり、新たな苦悩を産み出しているとの指摘もある。
 本講義では、1960年代後半に米国で登場しその後日本に導入された「生命倫理」の主要概念・制度を概括した上で、バイオテクノロジーの実践がもたらした倫理的・法的・社会的な軋轢の諸相を検討する。加えて、それらの問題系に「生命倫理」が果たした役割を、歴史的経緯及び社会構造との関連において考察する。
 通奏低音を成すのは、生命や身体をめぐる願望の充足を可能にするテクノロジーの開発と使用をめぐって、個人の選択に委ねられる領域と公権力による規制が及ぶ範囲との分割線をどこに引くのか、その線引きはいかなる論理によって正当化され得るのか、という問いである。
達成目標/Course objectives
バイオテクノロジーをめぐる生命倫理問題の理解に資する知的基盤の形成
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
なし
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class ガイダンス【初回のみオンライン(オンデマンド型)での実施(CoursePowerの第1回講義フォルダを必ず確認すること)】
生命倫理とその諸制度の歴史的展開
2
授業計画/Class 医療・医学研究における生命倫理の諸原則
3
授業計画/Class インフォームド・コンセント/自己決定権をめぐる諸問題
4
授業計画/Class 社会の中の生物医学(biomedicine)
   ー医学知識の構築と不確定性・専門知と政策判断・科学者集団と研究不正
5
授業計画/Class 生殖技術(1)
   ―人工授精(AIH・AID)・体外受精・顕微授精・出自を知る権利
6
授業計画/Class 生殖技術(2)
   ―代理出産・生殖ツーリズム・不妊の医療化
7
授業計画/Class 遺伝医療(1)
   ―遺伝子診断・遺伝カウンセリング・遺伝子差別
8
授業計画/Class 遺伝医療(2)
   ―出生前診断・選択的中絶・着床前診断・ゲノム編集
9
授業計画/Class 生殖技術・遺伝医療の歴史的現在
    ―優生学/優生政策と福祉国家・強制不妊手術・reproductive rights
10
授業計画/Class 脳死・臓器移植(1)
    ―「脳死」概念の登場・「臓器移植」との邂逅・ハーバード基準・和田移植
11
授業計画/Class 脳死・臓器移植(2)
   ―死の定義をめぐるポリティクス・臓器移植法の成立と改正
12
授業計画/Class 再生医療をめぐる問題群
    ーエンハンスメント・中絶胎児の研究/臨床利用
13
授業計画/Class 「市場社会」と生命科学技術
    ―人体の資源化/商品化/市場化・人体由来個人情報の研究利用と保護
14
授業計画/Class 感染症対策のテクノロジー
   ー「共同体の医学」としての公衆衛生・ワクチン開発における倫理・「ワクチン・ナショナリズム」・
     ワクチン忌避・予防接種政策
15
授業計画/Class 生命倫理政策形成過程の国際比較
 
事前学習/Preparation 配布教材を全て精読した上で、考慮すべき論点を多角的な視座から明確化する。
事後学習/Reviewing 講義内容の正確な理解に基づいて考察を深めたレポートを作成し、提出する(期限厳守)。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes


活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 30% 講義内容・配布教材の正確な理解に基づいた考察(毎回・提出期限厳守)
2 試験 Exam 70% 期末試験(論述式:ノート及び配布教材等参照不可)
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法/Feedback methods for assignments (exams, reports, etc.)
講義中に適宜フィードバックを行う。また、レポートの発表(教材提示装置を使用)を求める場合がある。
教科書/Textbooks
 コメント
Comments
1 特定のテキストは使用せず、CoursePower上で教材を配布する。
参考書/Reference books
 コメント
Comments
 
1 関連文献を適宜紹介する。
キーワード/Keywords
バイオテクノロジー     生命倫理     研究不正     生殖技術     遺伝子診断     出生前診断     着床前診断     優生学     再生医療     脳死     臓器移植     公衆衛生     ワクチン     予防接種政策