講義内容詳細:技術史A

戻る
年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 技術史A
英文科目名/Course Title (English) History of Technology A
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 岸田 一隆
英文氏名/Instructor (English) KISHIDA Ittaka

講義概要/Course description
 「通常型」の対面授業です。第1回のみ「オンデマンド型」のオンライン形式で行います。Course Power と YouTube を使用します。Course Power に記載の指示に従ってください。
 この講義では「科学・技術の歴史」に関する話題を取り上げます。
 第2回の講義で、眼や手足や脳や言語を道具の一つとして扱い、生命誕生・人類誕生・進化の話題から始めているのは技術史としては異色かもしれませんが、ここで進化や人間の意識について触れたことが、講義の最後の頃の内容に効いてきます。人類はこれらの生物的な道具を世界の認識と開拓のために使いました。認識のために生み出されたのが「科学」、開拓のために生み出されたのが「技術」、という言い方ができるかもしれません。
 技術の歴史からわかることは、技術は、過去の成果というブロックの上に新しいブロックを積み重ねるように、累積的に発展してきたということです。一方、生命の進化はあくまで「変化と適応」であって、進歩ではありません。生命の本質は流動にあり、科学・技術の特徴は累積にあります。ところが、現在、遺伝子情報をはじめとする生命情報がデータベース化され、遺伝子操作技術の進歩もあり、生命現象が累積性を持つことも考えられるようになりました。また、人工知能の学習能力が飛躍的に上昇して、人間の能力を上回る可能性も指摘されています。
 歴史を学ぶことは過去を振り返ることではありません。科学・技術の歴史を学ぶことによって、現代における科学・技術の位置づけを明らかにすることができますし、未来への視線を養うことができます。それによって、私たち自身が科学・技術を選択する能力が生まれます。よりよき未来のために今をどう考えるかという「バックキャスト」の思考法を獲得することができます。
達成目標/Course objectives
 この講義は以下の3つを目標にしています。
1 人類と技術の歴史についての理解を深める
2 技術の「功」「罪」両面について自分なりの考えを持つ
3 技術社会のあるべき姿について考え、意見を述べる力を養う
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
なし
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class この講義の概要:オンライン授業(オンデマンド型)での実施
2
授業計画/Class 眼と身体と脳と言語(生物進化と人類誕生)
3
授業計画/Class 農業と都市(古代の技術と科学)
4
授業計画/Class 製鉄と森林(中世の技術と科学)
5
授業計画/Class 拡大する世界(ルネサンスから近代科学へ)
6
授業計画/Class 啓蒙主義と技術の便覧(近代科学革命)
7
授業計画/Class 技術と科学の相乗効果(産業革命)
8
授業計画/Class フランケンシュタインの怪物(科学技術への恐怖)
9
授業計画/Class 独学の大科学者・ファラデー(化学と電気の利用)
10
授業計画/Class 江戸時代の日本(循環型社会の技術)
11
授業計画/Class 人類最後の加速(化石エネルギーと重化学工業)
12
授業計画/Class 科学技術の米国化(規格品の大量生産とオートメーション)
13
授業計画/Class 第一次世界大戦の悪夢(大量破壊兵器の出現)
14
授業計画/Class 制御不能の現代(バイオ技術と電脳社会)
15
授業計画/Class 技術の特異点(人工知能にまつわる新たな恐怖)
 
事前学習/Preparation  各回に関連した時代の世界史について、おおまかに復習しておいてください。高校で世界史を履修しなかった学生も、簡単な本やネット上の資料でもかまいませんから、調べておくようにしてください。講義の理解度が違ってきますし、世界史のある程度の知識はみなさんが世界で活躍する上での当然の常識です。
事後学習/Reviewing  新聞やニュース番組やネットには、科学・技術に関するニュースがたくさんあります。こうしたニュースを、講義で示した歴史の中に位置づけると、他の人には見ることのできない側面を見ることができるはずです。ぜひ、そのような心構えで社会を観察してみてください。なお、学期末試験では、事後学習の成果を問う問題も出題します。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 80% 定期試験は小問と論述問題で構成されています。
2 平常点 In-class Points 20%
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
Price
 
1 山崎正勝 [ほか] 編著 科学技術史概論 ムイスリ出版 1985.12 4943998070 1700円 蔵書情報 / Library information
2 岸田一隆著 「青学発」岸田教授のエネルギー文明論 エネルギーフォーラム 2019.12 9784885555053 1500円+税 蔵書情報 / Library information
メッセージ/Message
 講義で提供したいのは情報や知識ではありません。枠組みです。それは情報・知識をどこに位置づけるのか、それを判断するための地図です。リベラルアーツ(教養)を学ぶことの意味とは、多様な枠組み・物差し・価値観を身につけることであり、それはあなたの生きる力そのものに結びつきます。
 そして、歴史を学ぶことは「過去を知ること」ではありません。「未来を見つめ、現在を選択すること」です。そのような意味で、参考文献『エネルギー文明論』が役に立つかもしれません。
 一方、細かな情報や知識は自分自身で手に入れようと努力することが大切です。それには、事前学習と事後学習と質問が欠かせません。
 毎回の授業の中で質問コーナーを設けます。出席カードに記入された質問を、次の授業で回答します。どんな質問でもかまいません。積極的に参加してください。また、講義の改善を目的に「無記名アンケート」を行う予定です。
その他/Others
 火曜日3限をオフィスアワーとして、学生の質問や相談を受け付ける時間にあてます。気軽に研究室を訪ねてください。