講義内容詳細:技術史B

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 技術史B
英文科目名/Course Title (English) History of Technology B
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 岸田 一隆
英文氏名/Instructor (English) KISHIDA Ittaka

講義概要/Course description
 「通常型」の対面授業です。第1回のみ「オンデマンド型」のオンライン形式で行います。Course Power と YouTube を使用します。Course Power に記載の指示に従ってください。
 この講義では「科学・技術の倫理」に関する話題を取り上げます。
 未来の科学・技術を選択するのは、一般市民である私たち自身です。それが人類の未来を左右します。そう言われてもピンと来ない人、科学・技術を選択するのは技術者やメーカーだと思う人、も多いでしょう。ですが、科学・技術の「利用」に関して選択権を握っているのは、間違いなく一般市民です。
 たとえば包丁があります。それを作ったのは職人かもしれません。ですが、それを料理に使うか殺傷のために使うかは、包丁を手にした人間次第です。無線飛行装置ドローンについても同じです。開発したのは技術者でありメーカーですが、どこで何を目的に飛ばすかを選択するのは私たちを始めとする社会です。原子力についてはどうでしょうか。これは発電にも爆弾にも使えます。そもそもこのエネルギー源を使い続けるかどうか選択するのは誰でしょう。
 私たちが科学・技術を選択するにあたって、倫理の問題は避けて通れません。このような問題を深く考えるには、歴史から学ぶのが一番です。講義では、いくつかのトピックを選んで、科学・技術の功と罪について考えていきます。
達成目標/Course objectives
 この講義は以下の3つを目標にしています。
1 人類と技術の歴史についての理解を深める
2 技術の「功」「罪」両面について自分なりの考えを持つ
3 技術社会のあるべき姿について考え、意見を述べる力を養う
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
なし
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class この講義の概要:オンライン授業(オンデマンド型)での実施
2
授業計画/Class テレビドラマ『ガリレオ』(科学・技術の功と罪)
3
授業計画/Class レオナルド・ダ・ヴィンチの自薦状(軍事への貢献)
4
授業計画/Class 神の火を制御せよⅠ(核兵器開発の歴史)
5
授業計画/Class 神の火を制御せよⅡ(原子力発電)
6
授業計画/Class 化学肥料と毒ガス(フリッツ・ハーバーの功と罪)
7
授業計画/Class 越境する酸性雨(公害問題の歴史)
8
授業計画/Class 上昇する海面(地球温暖化問題)
9
授業計画/Class なぜ嘘をつくのか(捏造の科学・技術史)
10
授業計画/Class オウム真理教事件(擬似科学の歴史)
11
授業計画/Class 操作される遺伝子(バイオテクノロジーと生命倫理)
12
授業計画/Class 脳死は人の死か(脳科学にまつわる倫理問題)
13
授業計画/Class 世界金融危機(IT社会の危険性)
14
授業計画/Class 新たな知的生命(加速する人工知能)
15
授業計画/Class 共有は可能か(科学技術コミュニケーション)
 
事前学習/Preparation  世界史、特に第一次世界大戦以降の近現代史について、おおまかに復習しておいてください。高校で世界史を履修しなかった学生も、簡単な本やネット上の資料でもかまいませんから、調べておくようにしてください。近現代の歴史は、歴史の勉強をする際に、おろそかにされがちですが、今に繋がる問題の源流がここから発しています。
事後学習/Reviewing  新聞やニュース番組やネットには、科学・技術に関するニュースがたくさんあります。こうしたニュースを、講義で取り上げた倫理の問題に関連づけて考えてみてください。単純な功罪二元論で片づけることのできない複雑な本質が見えてくるようになるでしょう。なお、学期末試験では、事後学習の成果を問う問題も出題します。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 80% 定期試験は小問と論述問題で構成されています。
2 平常点 In-class Points 20%
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
Price
 
1 岸田一隆著 「青学発」岸田教授のエネルギー文明論 エネルギーフォーラム 2019.12 9784885555053 1500円+税 蔵書情報 / Library information
2 池内了 [著] 科学・技術と現代社会 みすず書房 2014.10 9784622078340 4200円(税別) 蔵書情報 / Library information
メッセージ/Message
 講義で提供したいのは情報や知識ではありません。枠組みです。それは情報・知識をどこに位置づけるのか、それを判断するための地図です。リベラルアーツ(教養)を学ぶことの意味とは、多様な枠組み・物差し・価値観を身につけることであり、それはあなたの生きる力そのものに結びつきます。
 そして、歴史を学ぶことは「過去を知ること」ではありません。「未来を見つめ、現在を選択すること」です。そのような意味で、参考文献『エネルギー文明論』が役に立つかもしれません。
 一方、細かな情報や知識は自分自身で手に入れようと努力することが大切です。それには、事前学習と事後学習と質問が欠かせません。
 毎回の授業の中で質問コーナーを設けます。出席カードに記入された質問を、次の授業で回答します。どんな質問でもかまいません。積極的に参加してください。また、講義の改善を目的に「無記名アンケート」を行う予定です。
その他/Others
 火曜日3限をオフィスアワーとして、学生の質問や相談を受け付ける時間にあてます。気軽に研究室を訪ねてください。