講義内容詳細:現代史B

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 現代史B
英文科目名/Course Title (English) Modern History B
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 高江洲 昌哉
英文氏名/Instructor (English) TAKAESU Masaya

講義概要/Course description
 この授業は当初「未決の戦争問題」を中心におこなってきたが、2016年度以降、戦争非経験者による「継承」の問題に重点を置いた考察を深めてきた。また、戦争を反省し平和について考えるということは、ある意味で結論が明確であるため、権威主義的になるか、模範解答をおうむ返しに答える(思考停止の)おそれがある。そのため、授業では、自分の頭と語彙で「なぜ、平和が大事なのか」考えることを目的に進めてきた。2019年度、2020年度は「憎悪や敵愾心」をどのように克服し継承すべきかについて考えてきた。2021年度は「歴史の声は音声多重である」、「現在は歴史の積み重ねであるが、歴史像は現在の価値観に規制される」ということ念頭において、歴史理解の意味を考えてきた。22年度は、21年度の実践から見えてきた課題、①「自分は正しい」病の問題、②「愛国心と自由に考える」は相性が悪いのかという問題を踏まえて、実証だけでは解決できない、ナショナリズムと歴史認識について考えていく。
 本講義では、「多様な歴史像の共有」を目的にしているが、「見解の相違」のように没交渉的な「知の隔離状態」と何処が違うのか考えていきたい。さらに、ここ数年からの課題である「慰霊と反省の両立」、「思考停止にならない慰霊の方法」について考えを深めていくようにしたい。
 講義時間内で講義題目を十分に伝えることは難しいので、配布するブックリストを活用して、授業以外でも本問題について、主体的に取り組んでもらいたいと考えている。
 なお、授業計画は便宜的な見通しであり、授業の流れや学生の関心などによって変更もありうるので、この点、承知しておくように。
達成目標/Course objectives
立ち位置によって解釈の異なる「植民地支配の歴史」、「戦争の歴史」について学んでいく。これら歴史を通して、講義の主要キーワードである「思考停止」、「慰霊と反省の両立」、「多様な歴史像の共有」、「寛容さと語彙力の獲得」などの意味について主体的に考えていく。本講義では、かかる問題を考えることで、現代日本で生きることと、アジアの中で生きることについて考える視点を養うことを目的とする。歴史像は可変的であり、歴史認識は用語の暗記や年表を覚えて済む問題ではないので、「答えの無い問い」について考える能力を身に着けることを目標とする。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class オリエンテーションー歴史の見方について考えるーオンライン授業(オンデマンド型)での実施
2
授業計画/Class 2021年度の実践を通して課題を確認する
3
授業計画/Class 戦争を支持する心性について考える
4
授業計画/Class
空襲の歴史ー被害と敵愾心
5
授業計画/Class

慰霊碑を通して「歴史問題」を考えるーレポートを書くために



6
授業計画/Class
本年度の課題の確認ーこれまでの「現代史B]の実践を踏まえてー
7
授業計画/Class 戦後50年から70年を経てー「慰霊と反省の両立」について考える
8
授業計画/Class 兵士の死について考える
9
授業計画/Class 植民地の人、「日本兵」になる
10
授業計画/Class 「戦争継承」論の問題について考える
11
授業計画/Class 東アジア現代社会の形成

12
授業計画/Class 冷戦下の戦後処理
13
授業計画/Class 靖国神社について考える
14
授業計画/Class 特攻像について考える
15
授業計画/Class 講義のまとめ‐今後の課題について考える‐
 
事前学習/Preparation 参考図書などを利用し、歴史認識をめぐる議論の大枠について理解しておくこと(2時間程度)。


事後学習/Reviewing 授業で扱った内容から関心をもったテーマを各自でほりさげて理解しておくこと(2時間程度)。

 


授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes初回は規定によりオンライン授業(オンデマンド型)をおこなうが、それ以降は対面授業をおこなう。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 35% 授業理解に関する論述型の試験(授業期間内に実施する、最終レポート的位置づけの課題)。
2 レポート Report 35% 期間内に課題(1問)を提示する(中間レポート的位置づけ、CoursePowerを利用して実施)。
3 平常点 In-class Points 30% 授業内で数回提示する課題など
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法/Feedback methods for assignments (exams, reports, etc.)
授業内で講評をおこなう(この授業では、数年前から現在までの授業内課題、レポート、試験回答を踏まえつつ授業を進めるところもあるので、成績評価物の作成ではなく、「知の共有財産」を作成しているつもりで取り組んでください)。
教科書/Textbooks
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1 特になし。
参考書/Reference books
 著者名
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タイトル
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出版社
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1 内海愛子・大沼保昭・田中宏・加藤陽子 戦後責任 岩波書店 2014年 40000258548 2600円+税 ブックリストを配布するが、下記の図書は読んでいるほうが望ましい。蘭信三ほか編『なぜ戦争体験を継承するのか』(みずき書林、2021年)、レオ・チン『反日』(人文書院、2021年)、成田龍一『増補「戦争経験」の戦後史』(岩波現代文庫、2020年)、吉田裕『兵士たちの戦後史』(岩波現代文庫、2020年)、古市憲寿『誰も戦争を教えられない』(講談社、2015年)、服部龍二『外交ドキュメント歴史認識』(岩波新書、2015年)
メッセージ/Message
授業外の関連事項にも関心をもってください。