講義内容詳細:キリスト教概論Ⅱ

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) キリスト教概論Ⅱ
英文科目名/Course Title (English) Introduction to Christianity Ⅱ
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 河野 克也
英文氏名/Instructor (English) KAWANO Katsuya

講義概要/Course description
 キリスト教は、過去2000年の間、地中海世界から始まって世界中に政治的・経済的・文化的な影響力を広げていった。国際化がますます加速するなか、キリスト教が文化や民族のアイデンティティーにおいてどのような位置を占めているのか、なぜそうなのかを理解することは重要であろう。そこで、このコースの第一部では、現代の小説や映画などポピュラー・カルチャーにおいて様々に描かれて(あるいは歪曲されて)いるキリスト教の描写を手がかりに、キリスト教と文化の関わりについて批判的に考察する。第二部では、具体的に複数の聖書箇所を歴史的・文学的に読むことを通して、聖書の使信が現代社会に対して投げかけているチャレンジを浮き彫りにすることを試みる。特に、旧新約聖書を貫く貧しいものへの神の愛を辿るとともに、ルカ福音書にあるイエスの譬え物語の分析を通して、ルカ福音書から読み取れる史的イエスの経済正義の実践とその現代的意義を検討する。    
達成目標/Course objectives
 履修者は、キリスト教概論Ⅰの履修を通して習得した、キリスト教の経典(正典)である旧新約聖書についての基礎的な理解を土台としつつ、より具体的に聖書全体を貫く思想内容を把握することが期待される。第一部においては、キリスト教に対する一般的な誤解やステレオタイプに対して、正確な歴史理解に基づいた批判的理解を獲得することを目指す。第二部では、貧しく抑圧された人々を選ぶ神という聖書の神理解が、具体的に経済的正義への関心として展開されていることを確認し、その視点を現代の経済的不正義に対する批判と、さらに経済的正義の実現のためのヴィジョンとして獲得することを目指す。    
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
キリスト教概論Ⅰ
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 1. オリエンテーション(シラバスの配布と説明)、聖書の概観
シラバスをもとに、クラスの目的、評価方法、授業計画など、この科目の全体について説明をする。その際に、参考文献などについても説明する。また、この科目の全体を貫く問題提起をし、クラスの方向づけを行なう。さらに、聖書について簡単に概要を説明する。
【初回から対面授業で実施します】
事前学習/Preparation キリスト教概論Ⅰで学んだことを振り返り、概論Ⅰを履修したことで、自分のキリスト教に対する考えや理解がどのように変わったかを考えて見る。
事後学習/Reviewing コースパワー上にアップロードする資料、およびスライドPDFを参考に、授業内容を振り返る。
2
授業計画/Class 第一部:ポピュラーカルチャーとキリスト教(1)新約聖書の時代:『ユダ福音書』とグノーシス主義
【イスカリオテのユダの実像?】近年発見・公開された『ユダ福音書』をめぐって、様々な評価がなされている。はたしてユダはイエスを銀貨30枚で神殿当局に売り渡した裏切り者か、それとも弟子の中で唯一イエスを理解し、その信頼に応えた真の弟子か?『ユダ福音書』の記述から何を読み取るべきか、グノーシス主義の背景を踏まえて考察する。
事前学習/Preparation *課題図書 各福音書および使徒言行録におけるイスカリオテのユダに関する記述(マルコ3:13-19//マタイ10:1-4;ルカ6:12-16、ヨハネ6:60-71、マルコ14:1-50//マタイ26:1-56; ルカ22:1-53; ヨハネ12:1-8; 13:1-34; 18:1-14、マタイ27:1-10//使徒1:12-26)。『地の塩、世の光』「4. イエス・キリスト」、「6.福音書記者ヨハネ」。
*辞典項目『岩波キリスト教辞典』「ユダ(イスカリオテの)」「グノーシス」、Wikipedia(英語版が充実):「イスカリオテのユダ」「ユダの福音書」。 *ナショナルジオグラフィック ニュース:「ユダの福音書」の持つ意味
事後学習/Reviewing コースパワー上にアップロードする資料、およびスライドPDFを参考に、授業内容を振り返る。
3
授業計画/Class 第一部:ポピュラーカルチャーとキリスト教(2)初代教会の時代:『ダ・ヴィンチ・コード』とキリスト論
ダン・ブラウンによる小説『ダ・ヴィンチ・コード』の出版および映画化によって、歴史のイエスとマグダラのマリアの関係に関心が集まった。また、初期キリスト教の成立過程についても、イエスを神とする信仰が皇帝の圧力によって成立したとするブラウンの主張の歴史的真偽をめぐって論争が繰り広げられた。迫害される少数者であった初期キリスト教が、コンスタンティヌス帝による公認を経てローマ帝国の唯一の公認宗教へと変貌する過程で、キリスト教にどのような変更が生じたのか、小説で争点とされたポイントを辿りつつ確認する。
事前学習/Preparation *課題図書 マグダラのマリアに関連する福音書箇所(マルコ15:33-16:8//マタイ27:45-28:20;ルカ23:44-24:12; ヨハネ19:17-20:18、ルカ8:1-3)。
*辞典項目『岩波キリスト教辞典』「マリア(マグダラの)」。
*事前に映画『ダ・ヴィンチ・コード』を観るか、小説を読んでおくと、話がわかりやすいと思います。
事後学習/Reviewing コースパワー上にアップロードする資料、およびスライドPDFを参考に、授業内容を振り返る。
4
授業計画/Class 第一部:ポピュラーカルチャーとキリスト教(3)コンスタンティヌス体制:映画『アレクサンドリア』と資料問題
映画『アレクサンドリア』は、紀元5世紀初頭にエジプトのアレクサンドリアで起こった女性哲学者・数学者ヒュパティアの虐殺事件を描く。映画では当時の総主教キュリロスに責任を負わせ、異教徒を迫害するキリスト教の残虐さを描いているが、はたしてこの理解は正確だろうか? キリスト教がローマ帝国の唯一の公認宗教となり精力を拡大する中、長くアレクサンドリアを拠点としてきたユダヤ教徒との対立や、学問の中心として繁栄してきたアレクサンドリアの異教の伝統への対応など、時代背景を睨みつつ考える。
事前学習/Preparation *課題図書 使徒18:24-28。
*辞典項目『岩波キリスト教辞典』「アレクサンドリア」「新プラトン主義」。Wikipedia(英語版が充実):「アレクサンドリア(映画) = Agora (film)」「ヒュパティア」「ネオプラトニズム」。
*事前に映画『アレクサンドリア』を見ておくと、話がわかりやすいと思います。
事後学習/Reviewing コースパワー上にアップロードする資料、およびスライドPDFを参考に、授業内容を振り返る。
5
授業計画/Class 第二部:現代社会において聖書を批判的に読む(1)出エジプトとヨベルの年:解放の神・契約の神
聖書全体を貫く神のイメージは、弱者を憐れみ解放する神である。古代イスラエル宗教の原体験は、エジプトでの奴隷生活からの解放の出来事(出エジプト: Exodus)であった。この経験が神理解を決定的に性格づけ、神との契約が神の民イスラエルを根本的に性格づける。さらに神による救済のイメージは、この出エジプトを原型として拡大していく。この奴隷解放のヴィジョンは、現代社会に何を問いかけるだろうか? その答えを探るために、特に創世記のヨセフ物語を検討する。
事前学習/Preparation *課題図書 出エジプトの出来事に関する箇所(出エジプト1:1-4:17; 6:1-13; 11:1-10; 12:29-42)、神との契約に関する箇所 (出エジプト19:1-20:-21; 24:1-11)、契約内容・法に関する箇所 (出エジプト22:20-26; 23:4-9; レビ記19章; 申命記24:5-22)、ヨベルの年に関する箇所 (レビ記25章)、およびヨセフ物語(創世記37; 39-41; 46-47章)。『地の塩、世の光』「2. モーセ」。*辞典項目『聖書神学事典』「贖い」「十戒」「法」「ヨベルの年」、『キリスト教平和学事典』「解放の神学」「契約」「正義」。
*副読本『シャローム・ジャスティス』第4章。
事後学習/Reviewing コースパワー上にアップロードする資料、およびスライドPDFを参考に、授業内容を振り返る。
6
授業計画/Class 第二部(2)預言者の問題提起:平和のヴィジョン
キリスト教の歴史(特に西洋のキリスト教)は、戦争を起こし侵略し抑圧した支配者の歴史として浮かび上がる。それは「平和を実現する人々は幸い」と語り、敵を愛することを教えまた実践したイエス・キリストのヴィジョンとは、ほど遠いものである。イエスの平和のヴィジョンを旧約聖書の預言者の伝統に遡り、そこから私たちの生きる現代社会に対する問題提起を読み取りたい。
事前学習/Preparation *課題図書 平和に関する箇所 (イザヤ1:1-2:22; 8:23b-9:6; 11:1-12:6; 52:1-12; ゼカリヤ9:1-10; マルコ11:1-11)、戦争と不正義の批判・裁きに関する箇所(サムエル記上8:1-22; イザヤ13:1-14:23; 31:1-9; 58:1-14; アモス5:1-27; 8:1-14; 黙示録18:1-24)。『地の塩、世の光』「3. イザヤ」「6.黙示録のヨハネ」。
*辞典項目『聖書神学事典』「怒り」「主の日」、『キリスト教平和学事典』「イエスの平和思想」「軍備」「十字軍」「戦争とキリスト教」「平和・平和主義」。
*副読本『シャローム・ジャスティス』第7章、第8章。
事後学習/Reviewing コースパワー上にアップロードする資料、およびスライドPDFを参考に、授業内容を振り返る。
7
授業計画/Class 第二部(3)パウロの異邦人宣教1:民族主義の克服
イエスの平和のヴィジョンは、パウロを経由して民族主義の克服へと展開される。イエスを信じる群れに後から加わった異邦人(非ユダヤ人)クリスチャンに対して、ユダヤ人との同化を要求する強硬派に抗して、パウロは無割礼の異邦人クリスチャンを擁護し、教会におけるユダヤ人と異邦人の和解・一致に命を賭した。キリスト教会はこのパウロの遺産を継承するはずだが、現実には多くの場合、民族対立に巻き込まれている。あらためてイエスからパウロへと辿り直したい。
事前学習/Preparation *課題図書 民族主義の克服に関する箇所(イザヤ19:1-25; 56:1-8; ヨナ3:1-4:11; ルカ9:51-55; 10:25-37; 17:11-19; ローマ1:1-4:25; 9:1-36; ガラテヤ3:26-29; エフェソ2:11-22)。『地の塩、世の光』「5. パウロ」。
*辞典項目『岩波キリスト教辞典』「エスノセントリズム」「ナショナリズム」、『キリスト教平和学事典』「エスニシティ」「ナショナリズム」。
事後学習/Reviewing コースパワー上にアップロードする資料、およびスライドPDFを参考に、授業内容を振り返る。
8
授業計画/Class 第二部(4)パウロの異邦人宣教2:格差との闘い
パウロによるイエスの平和のヴィジョンの展開は、民族主義の克服に限定されるものではない。教会内に無批判に持ち込まれていた身分や貧富の格差をパウロは徹底的に批判し、神のもとにある平等を実践するよう説いた。この精神は聖書全体を貫いている。社会が身分的・経済的格差を拡大させるのに対して、教会は格差を克服させる福音を説き、それを目に見える形で実践するものである(はずだ)。
事前学習/Preparation *課題図書 マタイ6:19-24;1コリント1:26-31; 11:17-34; フィレモン1-25 (cf. 1コリント7:17-24); ヤコブ2:1-17; 4:13-6; 1ヨハネ3:16-18。『地の塩、世の光』「16.マーティン・ルーサー・キング」。
*辞典項目『岩波キリスト教辞典』「キリスト教社会主義」、『キリスト教平和学事典』「社会主義」「『障害者』との共生」「人権とキリスト教」「奴隷制」「被差別部落問題」「貧困」。
事後学習/Reviewing コースパワー上にアップロードする資料、およびスライドPDFを参考に、授業内容を振り返る。
9
授業計画/Class 第二部(5)ルカの経済的関心1:「金持ち」への警告
聖書を貫く経済的正義への関心は、特にルカ文書に顕著である。ルカ福音書は経済的正義を教えるイエスの譬えを複数伝えており、使徒言行録はこの経済的正義が最初期の信仰者の群れにおいて実現していたと記す。ルカはどのようにイエスのヴィジョンを経済生活に適応させようとしたのか? またそれは現代の格差社会に生きる私たちに、何を語りかけるだろうか?
事前学習/Preparation *課題図書 ルカ3:1-14 (cf. マタイ3:1-10); ルカ6:20-36 (cf. マタイ5:1-11, 43-48); ルカ12:13-21; 14:7-14; 16:1-13, 19-31; 19:1-10, 11-27; 使徒2:43-47; 4:32-11; 6:1-7。『地の塩、世の光』「8.アッシジのフランチェスコ」「12. ジョン・ウェスレー」「17.マザー・テレサ」。
*辞典項目『キリスト教平和学事典』「賀川豊彦」「グローバリズム」「経済」「資本主義」「山室軍平」。
事後学習/Reviewing コースパワー上にアップロードする資料、およびスライドPDFを参考に、授業内容を振り返る。
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授業計画/Class 第二部(6)ルカの経済的関心2:「愚かな金持ち」/「招待客・大宴会」の譬え
ルカ福音書に記されているイエスの譬え物語から、経済的正義を教えるイエスのモラル・ヴィジョンを具体的に検討し、その現代的意義を考える。第一回目は「愚かな金持ち」と「招待客/大宴会」。果たして金持ちは愚かなのか? 現代の互恵的関係は経済的に間違っているのか?
事前学習/Preparation *課題図書 ルカ12:13-21;ルカ14:7-24。
*注解書 カルペッパー、クラドック、ケアード、モリスの注解書該当箇所。
事後学習/Reviewing コースパワー上にアップロードする資料、およびスライドPDFを参考に、授業内容を振り返る。
11
授業計画/Class 第二部(7)ルカの経済的関心3:「不正な管理人」/「金持ちとラザロ」の譬え
ルカ福音書に記されているイエスの譬え物語から、経済的正義を教えるイエスのモラル・ヴィジョンを具体的に検討し、その現代的意義を考える。第二回目は「不正な管理人」と「金持ちとラザロ」。譬えに出てくる管理人は、不正を褒められたのか? また現在の地上での経済行為は、永遠を決定するのか?
事前学習/Preparation *課題図書 ルカ16:1-13;ルカ16:19-31。
*注解書 カルペッパー、クラドック、ケアード、モリスの注解書該当箇所。
事後学習/Reviewing コースパワー上にアップロードする資料、およびスライドPDFを参考に、授業内容を振り返る。
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授業計画/Class 第二部(8)ルカの経済的関心4:「ムナ」の譬え
ルカ福音書に記されているイエスの譬え物語から、経済的正義を教えるイエスのモラル・ヴィジョンを具体的に検討し、その現代的意義を考える。第三回目は「ムナの譬え」。マタイ福音書に記されている並行箇所(タラントの譬え)の方が有名だが、ルカ版は大きく異なっている。一体なぜ違いが生じたのか、またその違いは何を教えているのか?
事前学習/Preparation *課題図書 ルカ19:11-27 (cf. マタイ25:14-30)。
*注解書 カルペッパー、クラドック、ケアード、モリスの注解書該当箇所。
事後学習/Reviewing コースパワー上にアップロードする資料、およびスライドPDFを参考に、授業内容を振り返る。
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授業計画/Class 第二部(9)史的イエスと新約聖書の倫理1:ガリラヤの経済状況
キリスト教の本質を理解する際に、歴史のイエスへの一定の理解は不可欠である。イエスの教えと実践を抜きに「福音」を語っても、それは正しい福音理解ではあり得ない。キリスト教の従来の救済論は、イエスを救済のメカニズムの説明としては強調しても、倫理的模範や行動規範とは見なしてこなかったのではないか? あらためて、イエスを倫理の根拠として考えてみたい。
事前学習/Preparation *課題図書 1コリント8:1-11-1; 2コリント8:1-15; 1ペトロ1:13-16; 2:11-25。
*辞典項目 『岩波キリスト教辞典』「イエス」「イエス・キリスト」「倫理」。
*副読本 『シャローム・ジャスティス』第9章。
事後学習/Reviewing コースパワー上にアップロードする資料、およびスライドPDFを参考に、授業内容を振り返る。
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授業計画/Class 第二部(10)史的イエスと新約聖書の倫理2:史的イエス研究の課題
前回に引き続き、イエスの歴史的実像と新約聖書倫理との関係を探る。特に、リチャード・ヘイズの『新約聖書のモラル・ヴィジョン』第3章を手掛かりに、イエスの教えと生き方とが、現代を生きる私たちにとって意味のある問いかけをしていることを確認したい。第二部において、聖書の様々な箇所を丹念に読みながら、現代社会の抱える問題に対する聖書の問いかけについて問題提起を行ってきた。聖書の提示する平和のヴィジョン、経済正義のヴィジョンは、歴史におけるキリスト教会のパフォーマンスにおいては必ずしも十分に実践されてこなかったが、それでもこのヴィジョンを実践した人々は確かに存在する。イエスに従い、イエスの教えを生きようとすることは、今日もなお、その意義を失っていないと考えたい。
事前学習/Preparation リチャード・ヘイズ『新約聖書のモラル・ヴィジョン 共同体・十字架・新しい創造』、第3章「キリスト教倫理に対する指摘イエスの意義」77-113頁(キリスト新聞社、2011年)。
事後学習/Reviewing コースパワー上にアップロードする資料、およびスライドPDFを参考に、授業内容を振り返る。
15
授業計画/Class 15. まとめ
最終回は、キリスト教信仰の合理性について考えてみたい。日本では、特に1995年のオウム真理教による地下鉄サリン事件(カルト集団による無差別テロ)の影響もあり、「宗教は怖い」という感覚が強い。この感覚は、遡ればキリシタン禁制期の凄惨な迫害と、キリシタン排除のために作られた檀家制度によって醸成されたものでもある。特定の宗教にコミットすることが「狂信的」で「カルト的」という誤解に対して、キリスト教信仰は(そして伝統的な宗教もまた)合理的な営みであることを理解することは、グローバル化する世界において宗教とテロとを短絡的に結びつける誤謬を避けるために、極めて重要だと考える。
事前学習/Preparation これまでの講義全体を振り返り、自分なりにキリスト教信仰の合理性について考えてみる。
事後学習/Reviewing コースパワー上にアップロードする資料、およびスライドPDFを参考に、授業内容を振り返る。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 60% ①授業へのレスポンス(15回)
 講義内容に関して、また課題図書の内容に関して、学んだ点や疑問点を所定の用紙1枚に簡潔にまとめ、講義終了時に提出してください。授業へのレスポンスは、毎回の授業への積極的な取組みの判断材料として評価します。
 初回は、キリスト教概論1で学んだこと、これまでのキリスト教との関わり、授業に期待することなどを記入してください。
 

2 レポート Report 40% ②学期末のタームペーパー (Term Paper)
 課題は講義⑨までに出題します。A4サイズ5枚以上にまとめて、指定期間中にコースパワー上に提出してください。
*提出ファイル名:学生番号+ローマ字氏名+TermPaper
*縦置き・横書き:1,000-1,200文字/頁、MS明朝体等で10-11ポイント程度(参考値)
*直接引用はカギ括弧「」で示し、丸括弧()か、脚注で出典を明記すること
*要約する場合は、該当部分の終わりに丸括弧()か、脚注で出典を明記すること
教科書/Textbooks
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1 聖書協会共同訳 小型 日本聖書協会 2019 482021344X 3,300 翻訳テクストとしては、聖書協会共同訳を使用しますが、すでに持っている聖書があれば、新共同訳(日本聖書協会)でも、新改訳2017(新聖書刊行会、2017年)でも構いません。聖書の理解を深める資料付きのものとしては、新共同訳聖書『バイブルプラス』(The Bible +)がおすすめです。バイブルプラスの利点は、巻頭・巻末にあるカラー資料がついている点です。また同じく横組みの新共同訳聖書『ハンディーバイブル』にも当てはまりますが、巻末の白黒の付録が充実しています。*バイブルプラスのカラー資料部分は、独立して出版されていて入手可能ですので、聖書協会共同訳聖書と併せて持っておくと便利だと思います。
2 青山学院宗教センター 地の塩・世の光:人物で語るキリスト教入門 教文館 2006 4764272539 付属のCD-Romも活用してください。
参考書/Reference books
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1 ペリー・B. ヨーダー著 ; 河野克也, 上村泰子共訳 シャローム・ジャスティス いのちのことば社 2021.8 9784264042884 2300円+税 この本は、学期末のタームペーターのための参考図書の1冊です。同時に、コース全体の理解を助けるための「副読本」として位置づけてあります。少しずつ読み進められるように、講義第2部において、具体的に関連する章を指定しておきました。 蔵書情報 / Library information
2 ロナルド・J.サイダー著 ; 御立英史訳 聖書の経済学:格差と貧困の時代に求められる公正 あおぞら書房 2021.5 9784909040053 2800円+税 1989年に『飢えの時代と富むキリスト者』というタイトルで翻訳出版されていた書(原著初版は1977年)の増補改訂版(第6版、2015年)の邦訳です。学期末のタームペーパーのための参考図書ですが、第2部「聖書は経済について何を教えているか」は、コース全体の理解の助けになります。 蔵書情報 / Library information
3 クリス・マーシャル著 ; 片野淳彦訳 聖書の正義 いのちのことば社 2021.2 9784264042402 1300円+税 訳者は、修復的正義を実践する人物ですが、著者と同じ、米国インディアナ州のアナバプテスト・メノナイト聖書神学校の平和学修士課程を終了した理論家でもあります。学期末のタームペーパーのための参考図書にする予定です。 蔵書情報 / Library information
4 東方敬信著 神の国と経済倫理 教文館 2001.3 4764265532 \2800 著者は長年青山学院大学で教えた先生です。これこそ、青山学院で経済学を学ぶ学生の必携書! 蔵書情報 / Library information
5 東方敬信著 地球共生社会の神学 教文館 2015.5 9784764273917 2500円+税 タイトルから判断すると、地球社会共生学部の人専用の本のように見えますが、こちらも青山学院で経済学を学ぶ人にとって外せない内容です。より最近の主題も扱っています。 蔵書情報 / Library information
6 J.J.フラーフラント著 ; 関谷登訳 市場倫理とキリスト教倫理 教文館 2014.3 9784764273771 2600円+税 東方先生のものよりも、一回り専門的な記述のような気がします。
キリスト教の視点ではないですが、ロバート・B・ライシュ『最後の資本主義』も面白いです。
蔵書情報 / Library information
7 清水光男 メソジストって何ですか:ウェスレーが私たちに訴えること 教文館 2007年 4764269015 1,800円+税 メソジスト主義の大学である青山学院で経済学を学ぶ人にとって、必読書と言ってもいいでしょう。
8 清水光男 民衆と歩んだウェスレー 教文館 2013年 476426966X 1,900円+税 『メソジストって何ですか』の続編。よりウェスレー自身に焦点を合わせた内容です。
9 リチャード・ヘイズ著 ; 東方敬信, 河野克也訳 新約聖書のモラル・ヴィジョン キリスト新聞社 2011.3 9784873955896 1800円+税 講義では、この第3章「キリスト教倫理に対する史的イエスの意義」を取り上げます。著者は私の留学時代の指導教官です。巻末の「訳者解説」の中に、人となりを紹介していますが、若い頃、財産を共有するほどの親密な信仰者の共同生活を送っていたそうです。 蔵書情報 / Library information
10 嶺重淑著 ルカ神学の探求 教文館 2012.4 9784764273412 3500円+税 講義9-12(第2部:ルカの経済的関心)の理解の助けになる書です(図書館所蔵)。新約聖書学の専門的な議論ですが、第2部「ルカの富理解」は参考になるでしょう。
11 ジョエル・B・グリーン, 山田耕太訳 ルカ福音書の神学 新教出版社 2012.10 9784400104612 3,600円+税 ルカ福音書全般について参考になる書です(図書館所蔵)。
メッセージ/Message
 キリスト教概論Ⅰを通して、すでに一定程度の理解を持っていることを前提に授業を進めます。授業は講義が中心になりますが、事前に課題図書を読み、一定の知識を習得した上で、内容理解を深める形で進めていきますので(反転授業)、事前の予習を心がけてください。講義では、スライドによる資料提供を行い、講義後にスライドPDFをコースパワー上で提供するようにいたします。内容としては、巷で話題になった小説や映画も取り上げますし、また皆さんの関心とも関わる経済的正義の問題を集中して取り上げます。ぜひ興味をもって授業に取り組んでください。
その他/Others
*欠席は3回まで:4回以上欠席の場合は「欠席 X」という最終評価になります。
 事情があって欠席した場合の救済措置として、前年度の講義動画をコースパワー上で提供し、後日視聴してレスポンスをコースパワーの所定の提出先に直接入力で提出できるように設定いたします。

*礼拝レポート
 なお、大学礼拝については、課題として成績評価の対象とはしませんが、説教内容の要約と説教に対するレスポンスを、A4サイズ1枚(1,000文字程度)にまとめて、指定期間中にコースパワー共通教材ページの提出先に提出してくだされば、僅かながらボーナス点を差し上げます(現時点では1回1点を考えています:数多く提出しても大した加点にはなりませんが、成績のためではなく、魂の養いのために、ぜひ礼拝動画をご覧ください)。
 提出する場合は、礼拝に関する基本情報(礼拝の日付、説教者名、聖書箇所、説教題)を忘れずに明記してください。
*提出ファイル名:学生番号+ローマ字氏名+Chapel+通し番号