講義内容詳細:日本の思想Ⅱ/日本の思想

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 日本の思想Ⅱ/日本の思想
英文科目名/Course Title (English) Ideologies of Japan Ⅱ/Ideologies of Japan
学期/Semester 後期/通年 単位/Credits 2/4
教員名/Instructor (Japanese) 古川 江里子
英文氏名/Instructor (English) FURUKAWA Eriko

講義概要/Course description
 思想とは、自己とは何か、いかにあるべきなのかという個人のレベルから、社会や国家とは何であり、どうあるべきなのかという集団のレベルにいたるまで、人間生活全般のあり方を問い、決定づけていく役割を果たすものです。中でも、政治思想は、社会や国家のあり方を問い、決定づけていくものなので、政治思想の変遷をそれがもたらした結果の良否を踏まえて、そのあり方を考えていくことは今日の政治、社会の発展を考えていくためのてがかりを得ることにつながります。
 この講義では、日本の近代の政治思想を取り上げます。それは、日本の近代が近代化の成功から太平洋戦争へという成功と失敗の激動の時代であり、中でも太平洋戦争は近代さらには日本史上最大の失敗といえるので、その原因を明らかにすることによって多くの知恵が得られるからです。そこで、講義では、戦争原因として、大正デモクラシーの凋落が重要であると考え、それを指導した美濃部達吉や吉野作造を取り上げ、彼らの思想と行動の考察と共に、その背景となった政治、社会状況にも目配りし、受講者のみなさんと共に、その原因を総合的に考え、民主主義をとる今日の発展につながる知恵を一緒に考えていきたいと思います。特に、後期では、大正デモクラシーの発展者の吉野作造の民本主義を説明した上で、美濃部と吉野の思想が現実の政治・社会状況の中でいかに展開していったのかを論じていきます。
 なお、後期の内容は、前期と関係しながらも、独立した内容であり、前期の内容の概要は後期授業の始めに説明を行いますので、後期のみの受講も心配いりません。
達成目標/Course objectives
戦前日本の民主化の動きである大正デモクラシーの歴史的考察を通して、現代の社会や思想のあり方を考える
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 第1回オリエンテーション(自己紹介・講義の概要・受講上の注意・成績評価の基準の説明と前期の講義内容の説明)

★この回は、オンデマンド型(音声とプリント)で授業を行います。コースパワーで配布したプリントを参照しながら、音声ファイルを聞いて、授業を受けてください。授業後にコースパワーを通してのアンケートを行いますので、忘れないで、ご提出ください。



2
授業計画/Class 第2回 大正デモクラシーの先駆者、美濃部達吉の天皇機関説
3
授業計画/Class 第3回当時の世論の反応ー天皇主権説論者の上杉慎吉との論争
4
授業計画/Class 第4回 天皇機関説と大正デモクラシーについての映像資料の鑑賞
5
授業計画/Class 第5回 大正デモクラシーの発展者、吉野作造の人物像
6
授業計画/Class 第6回 大正期の時代像を理解するための映像資料の鑑賞(ロシア革命・シベリア出兵)
7
授業計画/Class 第7回 吉野の民主化論「民本主義」①-原理論と定義
8
授業計画/Class 第8回 吉野の民主化論「民本主義」②-具体像と真意
9
授業計画/Class 第9回 当時の世論の反応―民本主義論争
10
授業計画/Class 第10回 現実への挑戦としての時事評論①―期待と支持の1919~25年
11
授業計画/Class 第11回 現実への挑戦としての時事評論②―不安と批判の1926~31年
12
授業計画/Class 第12回 現実への挑戦としての時事評論③―失望と模索の1932~34年
13
授業計画/Class 第13回 民主化論の完全敗北としての天皇機関説事件ー事件の経緯
14
授業計画/Class 第14回 第13回 民主化論の完全敗北としての天皇機関説事件ー原因とその後の影響+事件とその背景を理解するための映像史料の鑑賞+後期のレポートの説明
15
授業計画/Class 第15回 まとめー敗北の原因とそこから見えてくる歴史的知恵とは?
 
事前学習/Preparation 事前に配布したプリントを一読しておいてください。
事後学習/Reviewing 授業プリントや資料プリントを復習してください。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method ハイブリッド型ブレンド形式 / hybrid blend
補足事項/Supplementary notes対面なら講義は、パワーポイントと講義内容を要約したプリントをコースパワー上から配布して授業を進めていきます。もし感染状況が悪く、オンラインとなった場合は、講義の音声ファイルを使って進めていきます。なお、感染防止上の観点からプリントなどは、コースパワーにアップする形での配布となります。(授業中にパソコンやタブレットの持ち込みはオッケーです)
 また、感染状況などにより、シラバスの内容を変更する場合もありますので、この点、ご理解ください。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 100% 評価については、学期末のレポートか試験かで70点、残りの30点は平常点で(授業内で鑑賞するビデオの感想やコースパワー上のパスワードによる出席登録など)によって行います。学期末での評価がレポートか試験、どちらになるかは感染状況や受講者の人数などで決めます。
教科書/Textbooks
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
価格
Price
1 古川江里子 『美濃部達吉と吉野作造―大正デモクラシーを導いた帝大教授』 山川出版社  2011年 800円+消費税
参考書/Reference books
 コメント
Comments
 
1 その他については、授業中に適時紹介します。
メッセージ/Message
 授業への理解を深めて欲しいので、みなさんからの質問や要望は大歓迎です。積極的にしてください。また、受講者のみなさんの理解度を見ながら、授業を進めますので、シラバスを修正することもあります。
その他/Others
 日本史を高校で選択していない人は、教科書や概説書などを読んでおくことを勧めます。
キーワード/Keywords
日本近代の思想と社会の歴史から今日を考える